21/03/22(月)17:25:32 我がト... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1616401532143.jpg 21/03/22(月)17:25:32 No.785836771
我がトレーナーの既往歴たるや、それは凄惨なものであった。 心臓、右膝、両足首、おまけに腰もちょっと悪い。こんなのを健康な女性だと勘違いしたのも、ひとえにその端麗な容姿、特にその綺麗な立ち姿の賜物であろうか。 かつて地方でその身体を痛めながらも必死に走り続けたウマ娘である彼女は、引退後を中央の、それも私のトレーナーとして過ごしているが──── 「なんだいなんだい、その杖は」 左手に杖をつきながら私の前に現れたトレーナーは、虚脱感を隠さない。 「膝が痛いんだよ。痛み止めが効きづらいから、仕方なく」 青色吐息で話す彼女を見ているとトレーニングどころではないような気がしてくるが、彼女はトレーナーとしては大層勤勉なタイプだ。その日のトレーニング内容を事細かに報せて、 「さあ行った行った」 と不機嫌そうに、こちらをコースに追い立てる。 果たして彼女は、私がそんな姿を見て何も気にしない冷血だと思っているのだろうか。 もう2年以上の付き合いだ。いい加減、互いの理解が進んでいると思っていたのだが。
1 21/03/22(月)17:25:55 No.785836855
坂路トレーニングを1回、2回、3回。ふとベンチの方を見ると、憂鬱そうな彼女が見える。 こんな身だ。私も怪我をした者の末路が分からない訳ではないし、今も、彼女をどう救えたものかと考えながら、坂を走っている。 きっと彼女はそんな気も知らずに、ベンチで膝を抱えているのだ。 ああ腹が立つ。君が惚れたのは私の走りだけか。憧れだけでそこに居るのか。 はっと気づくと、ベンチから目立つ青鹿毛の姿が消えている。あんな図体でどこへも隠れられるまいと思っていると、背後から硬質なもので頭を叩かれる。 「いたい!何をするんだ!いくらウマ娘だからって、杖でたたく事はないだろ!」 怒りながら振り向くと、私より一回り大きな影が、 「ぼけっと突っ立ってないでプログラムを守って」 と、未だ痛みの抜けない顔でこちらを見下ろしている。 わかったよ、とコースへ戻ろうとした時、脳内に閃きが溢れる。 そうだ。良いのがあった。
2 21/03/22(月)17:26:07 No.785836893
「トレーナーくん、これが済んだら部屋で待っていてくれないか。試したいことがあるんだ」 露骨に嫌そうな顔。しかし、返事は快い。 そうだろうそうだろう。君は私のモルモットなんだ。そう簡単に断れまい。 君の痛みを取り除いてあげよう。君の苦しみを少しでも和らげてあげよう。もしかしたら3時間ほど下肢が真っ青に染まるかもしれないが、それでもきっと喜ぶ結果になるだろう。 ああ、君の喜ぶ顔が楽しみだ────
3 21/03/22(月)17:29:12 No.785837574
嫌な予感がする
4 21/03/22(月)17:32:13 No.785838270
終わり!?終わりなの!?