ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/03/14(日)13:39:26 No.783315475
はじめましてー! 第三村から赴任してきました鈴原サクラ言います。 同じ苗字の生徒もおられるようで奇遇ですねー! (14歳のお兄ちゃんや……まだやらかい表情してるわ) 教育実習やから短い間かもしれませんけどよろしゅうお願いします! では五十音順に自己紹介してください。お名前は? 碇! 碇シンジさんいうんやね! はぁ~ええお名前やね! 気弱そうで線が細いけど頑固一徹で意志も強くて自分が傷つくのも恐れへん感じ! 「……なにこれ?」」 教室のミニチュアで女教師として気持ち悪い絡み方をする自身と嫌そうにするシンジのフィギュアをみている。 暗い空間に一人立ち、そんなことをしている己にサクラは気づいた。 「これはあなたの願望、女教師としてあの時の第三新東京市に戻れた願いが叶ったときの世界」 声がしたほうを見ると綾波レイがいる。ネーメシズに搭乗または搭載されている綾波シリーズのどれかにしては意志の強さを感じる。 「ちょっとおかしくありません? この設定ちょっとキツいわ!」 「あなたの願望だから歪なことになっている、でもそれは人が世界を、他人を見――」
1 21/03/14(日)13:39:38 No.783315531
「――碇シンジさんが年下の幼馴染と再会、兄のように慕ってきていた二ね……いや一年! 一年年下の女の子になぜか胸がドキドキ! そうかこの子がいる街に僕は生きるんだというシチュエーションでお願いします!」 「……話聞いてた?」 眉根を寄せて不快感を露わにする綾波レイがいる。 ものすごく珍しい、捕虜として捕まえられたりした綾波レイらは感情というものが希薄だった。 こんな風に自意識を表現する人間性などなかった。 「わかりました、じゃあ私からラブレターを渡すという方向で妥協します」 「あの、話……」 感情や自意識があれば付け入るスキはいくらでもある。 有無を言わさぬ勢いでシチュエーションを設定して臨むままに事象を改変せねばならない。 「お願い! どうしても補完されたいんよ!」 「……じゃあやるわね」 険しい山麓からの吹きおろしのような溜息が青い髪の少女の口から出た。
2 21/03/14(日)13:39:50 No.783315591
放課後、校舎裏の空間。 この手の場所は誰が言うともなしに利用法などが伝わっているもので、 今は二年生の少年と一年生の少女がそこにいました。 少年は不良に絡まれると思ったのでしょうか? 少女が来るまで少し緊張していました。 でも少女が幼馴染であり妹のように思っている知り合いだったのを見て態度と顔つきも柔らかくなります。 手を振ってから少年に近づいた少女はモジモジと体を揺すっていましたが、えいと勇気を出して手紙を出しました。 「碇先輩…いやシンジさん! 私、シンジさんのことを小さい頃からずっと好きです!」 「ええ! いやその! 急に言われても」 恋の―― 『――これは愛やからね?』 はぁ~……愛の告白を受けた少年、碇シンジはたじろぎます。 青天の霹靂という言葉通りに彼の頭上では空が割れて――。 『マジックリアリズムやったらもっとかわいくして! 二人を祝福して!』 あのね、私こう見えても本にはうるさいほうなの。 あまりそういう注文ばかりするならマルキド・サドとかウラジミール・ソローキンみたいにしてもいいのよ?
3 21/03/14(日)13:40:06 No.783315638
『ごめんなさい、ゆるしてください、反省します』 わかればよろしい……。ふわっとサクラが舞ってシンジ君のほほを撫でていきます。 今は夏、いつも夏な被災後の日本に春がやってきたのでした。 「シンジさんには急でも私にはずっと昔からのことなんです!」 「あ、うん……そうだよね。サクラちゃんずっと僕のことシン兄ちゃんシン兄ちゃんってかまってくれてたし」 「はい! でもこれからはお兄ちゃんじゃなくて私のか、か、」 「か?」 「私だけの彼ピッピになってください!」 「……サクラちゃん結構ミーハーなんだね」 「そ、そんなことありません! 私はシンジさん一筋で!」 「うん、わかってるよ。返事は…返事しないといけないよね……今」 「あ、あの私のこと嫌ですか?」 「そうじゃなくて! こういう風に人から好きだって言われるのは初めてだからさ…それもかわいいなって思った女の子に」 「し、シン兄ちゃん」 「だから……サクラ――」
4 21/03/14(日)13:40:20 No.783315697
――ガンガンガンガンガン! 甘くて硬い、愛というタッフィーを砕かんとするように槌が振り下ろされていく。 さくら色とは桃色とも見える、桃と見たらば其は長命にして聖なる神秘の果実。 春と滋養と恵みを称える水蜜の塊。 音の塊が頭上から二人を祝福している。 『なんですのんコレ! 新手の補完計画者か!!』 二人が仰ぐと、校舎の窓からフライパンとお玉を打ち鳴らしつつ眼鏡をかけた三年生の女生徒がいた。 「おーい! ワンコくーん!」 ああ……やっぱり、とシンジは肩を落として苦笑いをする。少しひきつっているようだ。 おさげの女生徒はこの世のすべてをからかうようなチェシャ猫のごとき笑みを口に浮かべて二人を見下ろしていた。 「なあんですかぁぁぁぁ!」 ガンガンとならされる什器に負けじとシンジは声を上げる。 「今日はすごい実験をするから部室に顔を出せといったよねー!」
5 21/03/14(日)13:40:34 No.783315744
「僕は科学部じゃないですよぉぉぉ!」 「君はすでに万物事象改変部の名簿には載ってるのにゃ~! 先輩の言うことは絶対服従と教えたにゃ~!」 「そういうの~! ハラスメントっていうんですよ~!」 「ワンコくんのお母さんに~息子さんからセクハラをうけたっていってもいいのかー!」 「そういうこと本当にやめてください!!! ……あのサクラちゃん、ごめん! 返事は絶対にするから!」 『貴様、何をしている?』 『……正しいことをしている、何か問題にゃ~ん?』 『正しい? 何がどう正しいんや! こんなんめちゃくちゃやないですか!』 『こちとら数十年前から補完計画に関してはメタ対策してるにゃ~。悪いけど年期の違いってやつだねぇ~』 『ジャッジー! ジャッジー! 今すぐ来てー! レギュレーション違反者がいるんですー!』 窓際の席で本を読んでいた綾波レイが顔を出す。 両手で大きく×印を象るとカーテンを閉めてしまった。
6 21/03/14(日)13:40:59 No.783315844
『ほら、あかん言うてはるやん! これは制裁対象やね!』 『お手上げのサインにゃ! 「科学部部長とチェロ弾きの僕」という青春恋愛ドタバタストーリーが始まるにゃ……ああっ早くワンコくんに抱かれて夜の演奏会したい!』 『なに言うてはるんですか! 「お兄ちゃん先輩と私のおもしろ事件簿」が始まるんですよ? そんな話は補完されません!』 『すでにあらゆる伏線を張っているから無断にゃ! そちらが兄とその友人で止まるがこっちは両親とその恩師を使ってプロットを組んでいるにゃーん!』 「こっちが先に計画始めたんやからそっちが引くのが道理ってもんですよ!」 「引く理由ないでーす。葛城教室を強引な実験するまで追い込んだ冬月ゼミの生徒なめんなよ~?」 「理由なんてうちがシンジさんと結ばれるだけでええ!」 「猫に道理を説いても無駄ですにゃ~」 二人の補完計画者に挟まれて碇君の前途は多難です。 科学部の部員、吹奏楽部のエースと多忙な青春時代を碇君は過ごしてますが彼は文芸部員だから終わったら本を読みに帰ってくるの。 不思議だね。でも私が決めてそうなってるからしょうがないね。 おわり
7 21/03/14(日)13:44:45 No.783316748
SF学園ラブコメきたな…
8 21/03/14(日)13:46:40 No.783317189
力作来たな…
9 21/03/14(日)13:47:56 No.783317474
しれっとヒロインレース者増えてへんか?
10 21/03/14(日)13:49:59 No.783317955
>あまりそういう注文ばかりするならマルキド・サドとかウラジミール・ソローキンみたいにしてもいいのよ? サドも大概だけどソローキンはやめろ!
11 21/03/14(日)13:50:02 No.783317965
自分のやりたいようにやれって皆言うもの
12 21/03/14(日)13:54:16 No.783319013
事件簿ってなにをするんだ…
13 21/03/14(日)13:58:28 No.783320044
>事件簿ってなにをするんだ… ワトソン役の鈴原サクラちゃんがいつもは頼りない感じのシンジ先輩と一緒に学校や町で起きた怪事件を推理する感じの…
14 21/03/14(日)14:03:58 No.783321353
> 険しい山麓からの吹きおろしのような溜息が青い髪の少女の口から出た。 ここだけ灰原哀になってそう
15 21/03/14(日)14:04:29 No.783321473
どう頑張っても綾波勝利が約束されてね?
16 21/03/14(日)14:30:29 No.783328204
まだ日も高いうちから攻めて来やがったな
17 21/03/14(日)14:38:36 No.783330487
そういう風潮があってもええで転校生
18 21/03/14(日)14:48:14 [sage] No.783333137
「サドって…どんなんですの?」 「…糞便を泥のようにこねる老いた狂人がごとく男の上で腰を振りながら己の嬰児とその兄弟であるなりそこないを手に取って彼女は」 「うわあああああ! 聞きたない、聞きたない!そんな耳から流し込む拷問は聞きたない!」 「私とワンコくんのラブラブジュテームな日々はバタイユみたいにしてほしいにゃ~」 (お、わかるねぇ!というほくそ笑み)