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21/03/14(日)05:56:59 この怪... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1615669019358.jpg 21/03/14(日)05:56:59 No.783229602

この怪文書はゆかりさん(19歳↑)がきりたん(11歳)となにかする怪文書となっています 前回のあらすじ ポトフを作りました

1 21/03/14(日)05:58:21 No.783229671

私は目の前で湯気を立てて、狐色の揺れる液体をそっと掬うとふぅー、ふぅーと息で少し冷ましてから啜ります。 少し熱い位の液体が口の中で広がると、暖かさの他にじんわりと味が広がるのを感じました。 野菜か、それともお肉の味かはたまたブイヨンの出汁か。 口の中でその液体を暫く楽しみながら、目を瞑ります。 複雑で、中々何か分解しきれないような味。 ……ああ、そうか、美味しいってこういうものだったっけ。 私はそんな事を思いながら、口に含んだスープをこくりと飲み込みました。 「……どうですか?」 目の前でポトフの野菜をスプーンで崩しながら、きりたんさんはこちらを見て微笑みます。 その複雑で、色々なもの混ざりあった味に浸りながらふぅ……と小さく息を吐きました。

2 21/03/14(日)06:00:06 No.783229746

「ええ、とても美味しいです」 私はそう言って彼女に微笑みを返します。 「……まあ、満足いただけたようで良かったです」 そう言いながら彼女は胸を撫で下ろしたように、野菜をまた突きます。 私はまた目線を落とし、次は箸でブロック状のレタスを一口大に切り分けて口に運びました。 少しだけしっとりした味わいですが、先程のスープが染みてこれまた美味しい味わいです。 「老若問わず、野菜は嫌いな人が多いですから……とは言っても、ゆかりには心配は要らないでしょうが」 そう言ってこちらを見る少女に、私は苦笑いを零しました。 「でも、とても美味しいですよ」 私がそう言うと、きりたんさんも満足そうに頷きます。

3 21/03/14(日)06:01:22 No.783229794

「折角の食材です、美味しく食べて上げないと可愛そうですよ」 そう言いながら、彼女もまた一口、今度はお肉のブロックを箸で解しながら食べています。 美味しい……そう思うのも、そう言えば彼女との生活を始めてからでしたっけ。 ……何時から忘れてしまっていたんでしょう。 思い出そうとしても、中々思いだすことは出来ません。 もしかしたら美味しいと感じていたのかもしれませんが……私は中々その記憶を辿ることが出来ないまま、ポトフの人参をまた口に運びます。 どの野菜も、噛みしめる度に暖かな汁が溢れ口を満たします。 ……さて、お肉、ですか。 私はついつい、そんな事を思いながらブロック状の肉を箸で解します。 思えば私は何故か、このお肉というものを気がつけば避けていたような気がします。

4 21/03/14(日)06:03:05 No.783229879

無意識か? それとも別のなにかか? 別段お肉が苦手というわけではないのですが……考えてみれば、不思議なものです。 そんな事を考えながら又一口、口に料理を運んでいきます。 少しだけ締まった硬い感触を噛むと、強烈な味が口に広がりました。 ……ああ、之がお肉か……そんな事を思いつつ、私はそのお肉を一噛み、二噛みと口の中でゆっくりと噛み締めます。 それから飲み下すと、段々とお腹が温かくなるのを感じました。 「……美味しい」 私はつい、無意識の内にその味わいを口にしていました。 気がつけば目の前の少女が、少しだけ吃驚したようにこちらを見つめています。 「……そうですか、それなら良かった」

5 21/03/14(日)06:04:19 No.783229929

そう言って少しだけ驚いた表情の彼女に、私は苦笑いを零してから、また一口、また一口と料理を口に運んでいきます。 少しだけ塩辛さを感じたら、白いご飯を一口。 白いご飯で流し込み終えたら、それからポトフをまた一口。 食事のペースはゆっくりですが、気がつけば私はポトフを黙々と食べています。 トマトを齧れば酸味の効いた味わいが肉と合い、これもまた美味しいのです。 「ゆ、ゆかり?」 気がつけば目の前の少女の言葉に気がつくまで、私は黙々とご飯を食べていました。 「あ……ご、ごめんなさい、何か聞き逃してしまいましたか」 彼女の言葉に私は少しだけ気恥ずかしい気持ちになって、一度ご飯を食べるのを止めました。 「あ、いえ、良いんです……良いんですが……」

6 21/03/14(日)06:05:37 No.783229979

そう言いながら彼女は言葉を続けます。 「いえなに、随分良い食べっぷりでしたから、少し驚いたもので」 そう言って目の前の少女はこちらを見て微笑みます。 「少し、端なかったでしょうか」 私は少し恥ずかしさに目を逸らしながら言うと、彼女は首を横に振ります。 「気に入ってくれたならそれで良いのですよ」 彼女はそう言いながら、また料理を一口含みます。 「……美味しい料理ですね」 私がぽつりと感想を述べると、きりたんさんがにぃっと笑みを浮かべます。 「そうでしょう、家族もお気に入りの料理でしたから」

7 21/03/14(日)06:06:31 No.783230022

……家族か……そんな事をポツリと考えます。 そう、時折きりたんさんが触れようとして、何かに気がついたように手を引く話題。 禁忌だとも、禁止もしていない筈なのに彼女はその話になるとさっと話を一度引きます。 ……まあ、それは一度置いておくことにしましょう。 ともあれ、きりたんさんはこの様な手料理を、毎日家族と分け合っているに違いはありません。 そう考えると少しだけ、本当に少しだけ羨ましいな、なんて思ってしまいます。 ……いえ、過小に言っているのかもしれません。 ですが、彼女がにこやかに話す家族について聞いていると、少しだけもやもやとした思いが募ります。 何とも言い難いような、形容し難い気持ち。 なんと言えば良いのでしょう、どうにもほの暗く、後ろめたくもついつい考えてしまいます。

8 21/03/14(日)06:07:41 No.783230066

これは彼女の家族に対する興味なのでしょうか? それとも、もっと別の気持ちなのでしょうか。 ですが、この気持を彼女に明け渡すのはどうにも気が引けてしまいます。 何故でしょう、こんな事思った事もないのに。 そんな事を考えながら、私はポトフを口に運びつつ、彼女の言葉に耳を傾けました。 「我が家には家族が常に二人はおりまして、姉が二人居るのです」 「そうなんですね」 そう言って私は彼女の言葉に相槌を打ちました。 「町内会でも有名な美人と言われていまして、少々……作る手料理に偏りはありますが、二人の手料理も絶品です」 ……そうなんだ。

9 21/03/14(日)06:09:12 No.783230129

またもやり、と何ともいえない感情。 「素敵なお姉さんですのね」 私はそう言いながら彼女の言葉に耳を傾けつつ、ポトフを口に運びます。 「ええ、大切な家族です」 ……大切か。 そんな事を考えると、ついついまたあの感覚が背筋からふつふつと沸いて出ます。 「……きりたんさんは、家族思いですのね」 私はそう言って、また作り笑いを零しました。 それからは少し間が空いて、私はただ黙々とポトフを口に運びます。 暖かく、美味しいポトフ。

10 21/03/14(日)06:10:38 No.783230192

でもどうしてでしょう、少しだけ何か、何かが欠けているそんな気がするのです。 そんなもやもやをいだきながら、私はポトフをもぐもぐと口に運びます。 ……どうしてでしょう、少しだけ味に集中出来ません。 そんな気持ちで、私はポトフを食べ終えるのでした。 ──── 夕餉を食べ終えた私達は、何時ものように使い終えた皿を二人で並んで洗います。 「どうでしたか?」 そう言ってこちらを見上げる彼女に、私は精一杯の笑顔を零します。

11 21/03/14(日)06:13:29 No.783230313

きょうはここまで 本日の:su4682498.txt 累積の:su4682499.txt プロット(ネタバレが含まれる可能性あり):su4682500.txt そろそろゆかりさんも動いてもいい時期だな、卑しい方へ PS:明日は定休日となります、そのため累積データも置いていきます

12 21/03/14(日)07:30:29 No.783234937

みんなまともそうで良かった…

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