21/03/12(金)06:25:39 この怪... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
画像ファイル名:1615497939809.jpg 21/03/12(金)06:25:39 No.782606763
この怪文書はゆかりさん(19歳↑)がきりたん(11歳)となにかする怪文書となっています 前回のあらすじ 二人でコーラを飲みました。
1 21/03/12(金)06:25:52 No.782606772
口の中でしゅわしゅわと弾ける液体を少しずつ、少しずつ口に含んではこくりと飲み下します。 時折、口から溢れる噫を出来るだけ抑えながら、初めての炭酸ジュースを楽しんでいると、目の前でコップを揺らして氷を滑らせる少女が口を開きました。 「良いものでしょう、たまにはこういうジュースも」 そう言いながら彼女は微笑みます。 私は喉を鳴らしてコーラを飲み込み、じっとコーラを見ます。 「でも、噫が出てしまうのは少し……」 そう言って苦笑いをすると、目の前の少女は首を横に振ります。 「そういうものなのですよ、一時の甘さと痺れるような炭酸の感触を楽しんだ後、少しだけお釣りに悪いことが出る」 そう言って意地の悪い顔をする彼女に、私は少し首を傾けます。 「どうしてそこまでしてこれを飲むのでしょうね」
2 21/03/12(金)06:26:10 No.782606798
手元のグラスを持ち上げて翳し、窓の外を見ると薄く黒い世界と、黒褐色のきりたんさんがこちらを見て微笑みます。 「誰だってそういう時はあるものです」 そう言ってこちらを見て微笑む彼女に、私は首を傾げます。 「そうなのですか?」 「そうなのです」 何時ものようにそう言ってこちらを見る少女に、私は小さくため息を漏らしながら最後の一口を、口に注ぎます。 パチパチと弾ける感触と、濃い香辛料の効いたシロップが私の口を満たし、清涼感の有る味わいを押し広げていきました。 それをまた、舌でかき混ぜてコクリと飲み干すと、目の前の少女がこちらを見ながら微笑みます。 「悪くは、無いでしょう?」 そう言って悪童のように笑う少女に、私は苦笑いを零しました。
3 21/03/12(金)06:26:21 No.782606807
「確かに、そうかもしれませんね」 そう言うと、目の前の少女が二つの空になったコップを持って台所に運びます。 私は手持ち無沙汰になって、彼女の後ろをついて回りました。 少し体格の小さな少女は、鼻歌を歌いながらコップに水を注いで洗い始めます。 コップから溢れた氷は、つるつると排水溝を流れて飲み込まれ、コップの汚れもまた同じ様に落ちていきました。 「きりたんさんは、色々な事を知っているのですね」 私がそう言って彼女に話しかけると、鼻歌が止まり少女がコップをスポンジで洗い初めます。 「ゆかりとは、知っている範囲が違うだけですよ」 そう言いながらキュッキュと音を立てて、彼女はコップをスポンジの泡で拭っていきます。 少しだけ得意げにそう言ってコップを拭く少女の姿を見ながら、私は苦笑いを零しました。
4 21/03/12(金)06:26:45 No.782606828
「私は……知らないことが一杯です」 そう言ってバツの悪そうな苦笑いを零すと、コップを水で流しながらきりたんさんが口を開きます。 「私だって、知らないことは分かりませんよ」 そんな事を言いつつ、洗い終えたコップを乾燥棚に並べると手をタオルで拭って彼女がこちらに振り向きました。 「でも、だからこそ知りたく成るんです」 そういう彼女は何処か不敵な笑みを浮かべています。 「……良いなぁ」 私はそんな事を言いながら、彼女の笑みを眺めていました。 「ゆかりもきっと、成れますよ」 そう言ってきりたんさんは、居間へと歩いて行きます。
5 21/03/12(金)06:27:01 No.782606843
……本当に、そうなんだろうか。 私は心のなかで、そんな事をぼんやりと考えました。 自信に溢れていて、賢い彼女に自分も成れるのでしょうか。 ……少し、そんな自信はないかもしれません。 そんな事をつらつらと考えていると、きりたんさんがソファに腰掛けて、隣をぽんぽんと掌で軽く叩きます。 私はそうやって着席を促す彼女に少しだけ距離を開けて座ると、きりたんさんが腰を持ち上げてこちらに詰め寄りました。 「それでは、今日の診察です」 そう言いながら、目の前の少女はソファに腰掛けたままこちらを見つめます。 「前よりは、色々な事にチャレンジしてみましたか?」 そんな事を言う彼女に、私は苦笑いをしつつ口を開きました。
6 21/03/12(金)06:27:16 No.782606852
「自分からではありませんが、少しだけ」 そう言って彼女に言葉を返すと、私の名医は口を少しだけ横に広げてニヤリと微笑みました。 「良いじゃないですか、知り合いでも、友人でも頼る人が居るというのは」 そんな事を言いながら、彼女はまるできりたんさんではないように頭を縦に揺すります。 「では、どんな事をしましたか」 そう言いつつ、彼女は私の目を覗き込みます。 真っ直ぐな目がこちらをじぃっと眺めるのを感じつつ、何から話そうかそんな事を考えつつ口を開きました。 「その……そうですね、友人、ええ友人の勧めに従って、キッチン用品を買いに出かけました」 私がそう言うと、きりたんさんは頷きます。 「どんな用具を買いましたか?」
7 21/03/12(金)06:27:56 No.782606884
そう言いながらきりたんさんは少しだけリラックスしたように、ソファに深く腰掛けました。 「お鍋と、菜箸、包丁と……夕餉を作るための道具と、その夕餉を作るための材料を買いました」 私は少しだけそう言って、こちらを見る少女の姿が面白くてくすりと笑ってしまいます。 「そうですか、それは良いじゃないですか」 そんな事を言いつつ、彼女はこちらを見ています。 「友人の名前は覚えられましたか?」 そう言ってこちらを見る彼女に、私は頷きを返します。 「ええ、東北きりたんさん、です」 私がそう言うと、お医者様はほくそ笑みました。 「友人に、さんをつけるのですか?」
8 21/03/12(金)06:28:30 No.782606919
私は少し苦笑いを返します。 「大切な、友人ですから」 そう言うと、目の前のお医者様は少しだけ苦笑いをして、照れたように笑います。 「きっと、その友人は冥利に尽きるでしょうな」 そう言って笑う彼女に、私も笑顔を零しました。 「お医者様が言うなら、きっとそうなのでしょうね」 そう言いながら微笑みつつ、お医者様は口を開きます。 「今日は何時にも増して素敵なお召し物をしていますが、そちらは何処で?」 そう言いつつ、少女がこちらに微笑みかけます。 「こちらも、その友人が選んでくれたのです」
9 21/03/12(金)06:28:57 No.782606935
そう言って、私は彼女の顔を覗き込みます。 「なるほど、それは本当にいい友達ですね……所で貴女はこの衣服をどう思いますか?」 そう言いながら、お医者様がこちらを見ました。 素敵なお召し物……とは思いましたが、少し考えて頭を捻ります。 「買ったお店は華やかなお店でした」 私がそう言うと、目の前の少女が少しだけほぉ……と嘆息を漏らしました。 「色とりどりの衣服や、季節が夏に向かう最中でしたから、もう少し別の色もあったのかもしれません」 そう言いつつ、目の前で頷くお医者様の目を見ます。 「……ですが、彼女はこの少し落ち着いた季節を選ばない衣服を選んでくれました」 私の言葉に頷きつつ、目の前のお医者様がそれで……と短めに私の言葉を促します。
10 21/03/12(金)06:29:15 No.782606954
「私はこの通り、根暗ですから……そんな私でも似合う衣服を探してくれたのだと思います」 私がそう言うと、目の前のお医者様は苦笑いを零しました。 「少々自分への語句が強いですが……確かに貴女は物静かな性格ですから、そうなのかもしれませんね」 そう言いつつ彼女は小さく頷きます。 「それでは、今の所経過は良好、そう考えてもよろしいでしょうか」 そう言ってこちらを見上げる彼女に、私は微笑みを返します。 「ええ……そうですね、きっとそうなのかもしれません」 私がそう言うと、きりたんさんは満足げに頷きました。 「……中々、良いんじゃないですかね」 そう言って彼女は私の顔を見ます。
11 21/03/12(金)06:31:37 No.782607067
きょうはここまで su4676160.txt ……予定見直しが必要そうだぞ……? PS:明日は8時~9時頃からになりそうです
12 21/03/12(金)06:32:41 No.782607117
いつも素敵な怪文書を有難うございます 「」のスレを朝から見れた日は元気が出る
13 21/03/12(金)06:53:08 No.782608258
健全なきりゆかいい…
14 21/03/12(金)07:01:52 No.782608740
おまけ 累積KB:su4676179.txt 今回は幅が短いので文字数はまだ5万字ですね……通りで展開がゆっくりなわけだ
15 21/03/12(金)07:13:51 No.782609543
すげー綺麗なガラス玉見てる気分 触れたら割れそうなくらい儚い