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21/03/11(木)06:30:21 No.782325963
この怪文書はゆかりさん(19歳↑)がきりたん(11歳)となにかする怪文書となっています 前回のあらすじ 食と住、そして衣について触れました。
1 21/03/11(木)06:30:54 No.782325990
百貨店から一歩出ると、人の熱気で蒸していた室内とは打って変わって、少し清涼感のある風が頬を撫でました。 朝方だった頃からすっかり変わって、街は少し人の流れがまばらになっています。 もう多くの人は目標を達成して、街に淀むことを楽しんでいるのかもしれません。 色々なものが集まるこの場所では、人々はついつい色々なものに目移りしてしまうものです。 大きなビル、大きな駅、大きな市街地。 どれもこれも生活と娯楽を満たす、大きな生活圏。 でも、今の私にはもうこれ以上は必要ありませんから、きりたんさんの手を引いて街から徐々に離れていきます。 今夜の晩御飯の材料を買い込んで、喧騒を離れ徐々に家へと近づいてきました。 きりたんさんの持ってきたリュックには流石に入り切りませんので、余った分の荷物は私の手に。 半透明なポリ袋には、お肉と野菜が少しに、お昼用の食材など。
2 21/03/11(木)06:31:32 No.782326016
「ゆかり、今日の街はどうでしたか?」 そう言いながら私の隣を歩く少女は、少しだけ額に汗を浮かべながら笑っています。 私はスカートの中に入れているハンケチを取り出し、その場でしゃがみ込んで彼女の額を拭いながら答えました。 「人の熱気は凄いですね……少し、疲れてしまったかもしれません」 私がそう言いながら彼女の額の汗を拭うと、彼女は少しだけ照れながらも顎を撫でながらこちらの顔を見ます。 「そうですか……欲しい物は今回も見つからず、ですかね」 そう言ってこちらをみるきりたんさんの手を引きながら、小さく笑います。 「難しいですね、欲しい物、っていうのは」 それから道沿いにせせり出る草木を眺めつつ、私達は帰り道を歩きました。 「ゆかりは何かをほしいと思ったことはないのですか?」
3 21/03/11(木)06:32:16 No.782326041
そう言って手をつないでこちらを見上げる彼女に、私は少し首を捻ります。 「あったのかもしれません」 私がそう言うと、きりたんさんが続けて急き立てるように私に問いかけます。 「どんなものだったんですか?」 どんなもの、だったんでしょうね。 私はそれから少し考えて、苦笑いを零します。 「ごめんなさい、大分昔のことですから」 そう言いながら彼女の方を見ると、どうにもモニャモニャとしたような納得の行かない表情をしていました。 「手には入ったんでしょうかね」 聞いているのか、それともただ言っただけなのか、どちらともつかないような言葉に私は小さく言葉を漏らします。
4 21/03/11(木)06:33:50 No.782326113
「さあ、どうでしょう」 私がそう言いながら道を歩いて、家の前で家の戸を開くときりたんさんが口を開きます。 「見つかるといいですね、欲しかったもの」 振り返ってリュックを背負った彼女が、そう言ってこちらを見上げるのを眺めながら私は薄く笑みを浮かべます。 「そうですね」 それから、私達は家の中に入って荷物を一度玄関に置きました。 ふと、自身の指を見ると浅く指の色が変色していました。 指に少しだけ紐状になったプラスチックが食い込んでいたらしく、少しだけピリピリします。 「大丈夫ですか?」 そんな事を言いながら、リュックを玄関に置いて靴を脱いでいたきりたんがこちらを見上げます。
5 21/03/11(木)06:34:22 No.782326145
「少しは、運動とかしたほうが良いのかもしれませんね」 私は苦笑いをしつつ彼女に掌を見せると、彼女がほぉと小さく言いながら私の指をもみ始めます。 「流石に少し休憩しましょうか」 そう言ってこちらを見上げる彼女に、私は小さく笑いかけます。 「そうですね、荷物を片付けたら何か……飲み物でも飲みながら、休憩いたしましょう」 それから私達は買ってきた食べ物は冷蔵庫、キッチン用品は台所へと運んで食器などは少し水で濯いでから仕舞い始めます。 小さい体で荷物を手際よく仕舞い込んでいく彼女を見ながら、私はふぅと小さく嘆息を漏らします。 「よし……これで大体片付きましたかね」 そう言って洗った包丁を台所の包丁掛けに締まったきりたんが、額を腕で拭いながらそう呟きました。 「……うーん、それでは何を飲みましょうか」
6 21/03/11(木)06:35:11 No.782326182
私がそう言いながら冷蔵庫の中を見ますが、中にあるのは水や、牛乳のみ。 お菓子と一緒に、牛乳などでいいでしょうか、なんて考えているときりたんさんがふと口を開きます。 「そう言えば、倉庫の中には飲み物は無いのですか?」 私はそう言ってこちらを見上げる少女を見ながら、少し唸りました。 「何かあったような、無かったような」 私がそう言って頬に手を当てると、目の前の少女が私の手を引いて歩きだします。 「折角です、お茶の他に何が有るのか少し見てみましょう」 そう言ってきりたんさんに手を惹かれながら、私達は倉庫のドアを開きます。 倉庫はただの部屋ですが、ただただ長年荷物が置かれているだけあり、確かにその中には私の把握していない荷物も置かれているかもしれません。 「……それにしても、この部屋は少し埃っぽい気がしますね」
7 21/03/11(木)06:35:33 No.782326197
そんな事を言いながら、きりたんさんが部屋の中を見回します。 金属製の棚や、箱入りの長期間保存食料が並ぶ部屋の中は、私が余らせたものが多く格納されていました。 「……そのうち、この部屋も少しは掃除したほうが良いのかもしれませんね」 私がそう言うと、少女がうなずき返します。 「食べ物も多くありますからね、こんな感じですと少し保存によくないかもしれません」 棚と棚の隙間を縫うように進んでいくと、不意に小さな箱が目に写ります。 「おや……これは……」 そう言ってきりたんさんが興味深そうにしゃがみ込んで、見慣れない箱を手に取ります。 「何かございましたか?」 私がそんな事を言うと、きりたんさんが頷きながらその箱をこちらに見せつけました。
8 21/03/11(木)06:37:04 No.782326268
「クラフトコーラですよ」 そう言って差し出された箱には、香辛料の柄とコーラという文字が踊っています。 「あぁ……確かに、そのようですね」 私がそんな事を行っていると、目の前の少女はその箱を持ち上げながら小躍りしました。 「たまにはこういう飲み物も良いんではないでしょうか」 そう言って嬉しそうに笑う彼女は、少しだけ何時もより幼く見えます。 「……まあ確かに、たまには良いかもしれません」 そう言いつつ、ふと私は思った疑問を彼女に投げかけました。 「このクラフトコーラ、どうやって飲むものなのでしょう」 私がそう言うと、きりたんさんはハッとしたような顔でその箱をその場で開き始めます。
9 21/03/11(木)06:37:22 No.782326284
それから少しして、少しだけため息を漏らしました。 「……炭酸水で割るようですね」 そう言って、私に小さな瓶を見せつけます。 その瓶は、まるでお菓子売り場のブランデーのような形をしていて、側面には炭酸水でお割り下さいと記載がありました。 「……炭酸水とかあったりしませんかね」 そういってこちらを少し疲れた顔で見上げる彼女に、私はまた首を捻ります。 「どうでしょうか……」 私の言葉に、きりたんさんははぁ、とため息を漏らして仕方ないなぁと小さく漏らします。 「取り敢えず、この一瓶だけ持って、もう少し探してみましょうか」 「……ごめんなさいね、役に立たなくて」
10 21/03/11(木)06:37:42 No.782326310
私がついそんな事を言うと、きりたんさんはこちらを見上げて手を振ります。 「あ、い、いえ、ゆかりが悪いわけではありませんから」 そう言いながら申し訳無さそうな顔をする彼女をみて、私は少しふふと笑い声を漏らします。 「それじゃあ、探しましょうか」 その言葉に、きりたんさんがええと短く返し、再び私達は倉庫の中をゆっくりと進んでいきます。 ──── それから少しして、私達は一つ奥の棚に炭酸水の箱が眠っていることに気が付きました。 きりたんさんは少し嬉しそうにその箱を開き、一本分のボトルを取り出します。
11 21/03/11(木)06:39:43 No.782326416
きょうはここまで su4673363.txt クラフトコーラって思ったより香辛料使うやつ多いよね
12 21/03/11(木)06:43:22 No.782326603
2人して沢山の初めてを分かち合うとか健全すぎて身悶えしてきた
13 21/03/11(木)06:50:11 No.782326952
朝から健全さが眩しい… 健全なきりゆかいい…
14 <a href="mailto:s">21/03/11(木)08:30:38</a> [s] No.782334714
暫くは行動を積み重ねる期間かな…… それにしてもYoutubeプレミアムにオブラディン号の帰還のサントラが無くて悲しい