ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/02/13(土)18:02:08 No.774400323
泥の依存
1 21/02/13(土)18:11:28 No.774403411
すいません この共依存カップル1つ
2 21/02/13(土)18:17:00 No.774405194
それもう心中したんですよ
3 21/02/13(土)18:36:39 No.774411729
あなたは時計塔がエルメロイ教室の生徒です。 あなたには気になるクラスメイトがいます。 去年の冬に留学してきたその生徒は正式にはエルメロイ教室の生徒というわけではありません。 貴族の子弟が多い時計塔における付き人のシステムを用いてやってきた青年です。 自称青年です。本当は女子なのではないでしょうか。 蕩けるほど甘いマスクの青年です。匂い立つような奥床しい東洋の美です。 外見を嫣然としながら内面も丸みがあり、教室内の奇人変人相手すら無下にしない面倒見の良さを発揮しています。 魔術に関して特筆すべき才能は何一つ無いはずなのに人を惹きつける何かがある人です。 あなたは日本からやってきたその青年に話を切り出しました。 「…えっ、日本式のバレンタインのチョコ?ああそういう」 彼は日本のと前置いたことの意味をすぐ理解してくれました。 だってロンドンではバレンタインにプレゼントを送るのは意中の相手ですからね。義理チョコなんてありません。 でもあなたは食べたかったのです。どうしても彼のチョコが食べたかったのです。 以前食べた彼が焼いたというケーキがとても美味しかったですから。チョコも美味しいはずです。
4 21/02/13(土)18:36:52 No.774411801
「うーん…分かった。いいよ。チョコ菓子を作ればいいんだね」 彼は困ったように微笑みながらも頷いてくれました。 切り出したのはこちらとはいえ何という安請け合い。本当に大丈夫なのでしょうか。 生き馬の目を抜くような時計塔の社会に彼はいていいのでしょうか。巡り巡って海産物やラッコとかに良くないのではないでしょうか。 そう思わせるほどに彼の微笑みはどこか儚さや溶け行く雪の温もりが同居していて見る者の胸をきゅっと締め付けるのです。 「バレンタインデー当日だとさすがに露骨だから前日でいいかな。それまでに何か考えておくよ」 そんな約束をして彼とはそこで別れました。楽しみで夜しか眠れませんね。 そして果たして彼はバレンタインデーの前日、手に提げられるくらいの大きさの紙箱をこっそりと持ってきたのです。 「はい、どうぞ。簡単なものだけれど気に入ってくれれば嬉しいかな」 彼は穏やかに笑いながらあなたにそれを手渡してきました。 ここで開けてもいいかと尋ねれば「もちろん」と頷いてくれます。 逸る心が抑えきれずあなたは慎重かつ急いで紙箱の蓋を開けました。 そこにはいくつもの焼き菓子がひっそりと詰まっていたのです。
5 21/02/13(土)18:37:02 No.774411845
「いやぁチョコレートは扱い難しいよね」 などと目の前の男はほざいていますが…これ店売りのチョコレート菓子では? チョコクッキーにこれまたチョコレートが挟まっています。もう見るからに美味しそうです。 思わずあなたはその場でひとつ摘んで齧ってみてしまいました。 その精緻かつ豪奢な味わい。筆舌に尽くし難いものがありました。 チョコを挟んでいたクッキーにはバターの風味が豊かに香りサクサクとした食感。 更に挟まれていたチョコの表面は内部を閉じ込める外皮に過ぎず、パリッと割れた奥から飛び出してきたのは…生チョコ。とろりとした生チョコです。 軽やかな口当たりは仮の姿、濃厚なビターチョコレートの味わいが舌と脳をずしりと打ち据えてきます。 フェザー級の選手からヘビー級のパンチが繰り出してきたかのような衝撃です。やつはあなたを涼しい顔で殺しに来ています。 「どうだろう。なるべく美味しくなるよう頑張ってみたんだけど、これで良かったかな」 野良ショコラティエはそう言って仄かに女性的な空気感が香る柔らかな仕草で小首を傾げました。 そう、これがエルメロイ教室をざわつかせる十影典河という新入生なのです。かわいい。
6 21/02/13(土)18:45:05 No.774414244
貴様泥メロイ教室にも粉を…
7 21/02/13(土)18:46:38 No.774414707
バレンタインか…
8 21/02/13(土)18:53:19 No.774416808
>かわいい。 かわいいならしかたないな…