虹裏img歴史資料館

1 21/02/08(月)01:31:09 No.772738303

空ッ！こぼれ落ちたッ！二つの星がッ！

2 21/02/08(月)01:32:41 No.772738751

su4580806.png Picrewイジって作りましたセバスティアンのイメージです

3 21/02/08(月)01:35:03 No.772739443

柔らかい雰囲気の子ね

4 21/02/08(月)01:47:56 No.772743169

蓋を開けた瞬間「おーっ」という感嘆の声が響いた。 「十影が料理出来るとは聞いてたけどここまでとは思わなかったな」 「うむ。自分に同じ出来栄えのものを作れと言われてもこれは無理だ」 茉莉と太桜は頷きあい、いただきますと唱えてから割り箸を弁当箱の中へと突っ込んだ。 「これなんだろ。サンマかな？トマトで煮てあるんだ」 「おお、だし巻き卵だ…。この緑の色合いはあおさだな。なんと美麗な…」 それぞれ見栄えを評しながら箸をつけたものを口へと運ぶ。ぱくりと口にした。 「うま…」 ふたりとも同じタイミングで溜息みたいな素の感想が漏れた。 学園祭準備期間で下校時間が延長され、夜まで作業が続く今日このごろ。 同じ作業班の典河に駄目元で夕飯を作ってくれ、なんて頼んでみるものだとしみじみと実感していた。 ちなみに当の本人は現在進行系で奮戦の続く実行委員会へと陣中見舞い中である。 三人はクラスの端っこで典河から託された弁当箱を囲んで夕食を摂っていた。 「すげー、ホントにウマいよこれ。十影ってやっぱり女の子なんじゃないの？ 　そうじゃないと女子力で大差つけられてるボクの立つ瀬が無いっていうかさぁ。お嫁さんかよ」

5 21/02/08(月)01:48:10 No.772743214

「なんと言うべきか、おかずが全体的にお洒落だな。洋風弁当だ。 　よくよく目を凝らすとあちこちに配慮がある。おかずが茶色くない弁当というのは不思議な感慨があるな…」 典河の弁当はとにかく色合いが美しかった。 揚げ物や煮物ばかりで茶色が目立つということがない。赤や黄、緑がバランス良く配置されている。 なるべく汁気を切る気遣いもあり、周りのおかずに汁が染みているということもない。 普通想像するような弁当のおかずとは違う、洋風の料理の数々も新鮮さがある。 野菜に切り込みを入れて可愛らしい形にする手間さえかけてあった。感性が女子だった。 「うわ、これ真っ白だから何かと思ったら唐揚げじゃん…。衣にチーズ混ぜてあるよ…イタリアンだよ…」 「この根菜の炒めものが香草の香りが効いていて絶妙だ。弁当に詰める根菜は煮物だけではないのだな…」 「…」 「…」 和気藹々と典河弁当を堪能していた二人は、そこでここまで一言も発していない一名へと目を向けた。 一名は二人の視線にも気付いていないようだった。感極まったように瞳を潤ませている。 「すごい…十影くんは本当にすごいんだ…お弁当ひとつとっても、こんな…」

6 21/02/08(月)01:48:22 No.772743262

自分の世界に入ってしまっている海深を前に、二人は顔を寄せ合わせた。 「どう思います太桜さん。うちの海深ちゃんは完全に乙女モードに入っちゃいましたよ。 　どうかと思うくらい食べる相手への愛情たっぷり弁当にすっかりメロメロですよ」 「そうだな松山。夏休み明けてからの十影は以前あった近づき難さが薄れてますます男前に磨きがかかっている。 　梅村はそのたびいちいち惚れ直しているからな。まったく罪作りな男だ」 「どうしよっか？」 「可哀相だが呼び戻そう。でないと梅村は食が進まない」 頷いた茉莉は海深に腕を伸ばしてそっとその腕を叩いた。 「海深さんや。食べないと無くなっちゃうよ？」 「ふぇっ？あ、そだね。食べよう食べよう。いただきます」 ようやく二人の存在に気付いたようにぎくりとした海深は鳥もも肉のソテーに箸を伸ばした。…が。 「…すごく美味しい…十影くんすごい…かっこいいよぉ…」 またぼんやりとしだす。茉莉と太桜は臨終を看取るように頭を横に振った。 学園の文化祭準備はまだまだ終わらず、校内は学生たちの活気に満ちている。 そんな中で営まれた、これは他愛のない青春の1ページ。恋する乙女は盲目なのだ。

7 21/02/08(月)02:12:10 No.772748351

いい…