21/01/28(木)22:28:45 しばし... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1611840525510.jpg 21/01/28(木)22:28:45 No.769518257
しばしの沈黙があった。 テイオーは訴えるような目でトレーナーを見たが、トレーナーはただ真っ直ぐに見つめ返すだけ。 いよいよどうにもならないと悟り、テイオーは口を開いた。 「理由くらいは聞いてもいいでしょ?」 「理由か…そうだなテイオー、俺はお前のトレーナー。そうだな?」 「うん」 「それでだ。今はまだ、お前の恋人でもある」 「そうだね」 ひとつひとつ丁寧に、何かを確認するためのような問いだった。 「俺はどちらか一つしか選べない。俺は今日、それを確信したんだよ」 「選べない?…選ばなきゃいけないの?」 「ああ、選ばなきゃいけなかった。でも俺は意気地なしでさ…ゴルシに連れてこられてなきゃ、選ばないまま終わってたかもしれなかった」 「…そうなんだ」 「でさ、結局俺は誰にあのレースで勝って欲しいかって思ったら、それはスピカ全員だった。誰が勝っても嬉しくて、誰が負けても悲しくて…お前たちのトレーナーとしちゃ、それが正しい。でもなテイオー、お前の恋人としちゃ落第なんだよ」 トレーナーとしては誠実で、恋人としてはどうしようもなく不誠実。それが男の自らに対する評価だ。
1 21/01/28(木)22:28:58 No.769518331
「ボクさ、少しふらつかれたくらいでガッカリなんてしないよ?トレーナーがそういう人だって分かってたんだから」 「そうじゃないんだ、テイオー…俺の愛馬はお前一人じゃないってハッキリした今、もう恋人ではいられない」 「どうしても…?」 声を荒げそうになるのと、駄々をこねたい気持ちを必死で抑えながら、テイオーは尋ねた。 目を潤ませつつも、精一杯の笑顔で。 「ああ、どうしてもだ」 その健気さに絆されてもおかしくはなかっただろう。しかしトレーナーの答えは変わらない。 あくまで毅然とした態度で、追い縋るテイオーを突き放した。 「…そっか」 そしてテイオーは追うのを止めた。涙を拭って、潔くトレーナーを見送る決意をした。 「…ありがとっ」 「ああ、ありがとう。テイオー」 トレーナーは先程と同じように平身低頭をする。先程より長く、ゆっくりと、そして丁寧に。 顔を上げると、テイオーもまた頭を下げていて、二人が頭を上げるのは同時で…見つめ合った二人は、それから高らかに笑った。 笑い終えると、トレーナーはテイオーに背を向けその場を後にする。後ろを振り返ることは決してしなかった。
2 21/01/28(木)22:29:13 No.769518420
「…ばーか」 誰もいなくなった場所で、テイオーはひとりごちる。 「ばーか。トレーナーのばーかばーか、おたんこなす…これは違うか。なら、いくじなし!」 もう少し欲張ってみせればいいのに。それはそれ、これはこれって割り切ってみせればいいのにと、さっき言えなかった言葉がぽろぽろ出てくる。 「なにさなにさ。どうせフッちゃうんなら、あの時断ってくれればよかったのに…トレーナーのスケベ」 無敗の三冠ウマ娘というテイオーの夢を、まるで自分の夢のように願い、叶えようとしたトレーナーの姿。 テイオーはそれを見て思ったのだ。トレーナーをずっとそんな風にさせられたら…独り占めにしてやれたらと思い、おもむろに唇を奪ってみせた。 はたしてその目論見は上手くいき、良いことも悪いことも展開が向いて、トレーナーとテイオーの関係は深まっていった。 目論見が上手くいったからこそ、トレーナーは不振と故障にあえぐテイオーに対して、一層献身的に接した。 それはテイオーのトレーナーとしてであり、それから恋人としてでもあった。 だが、トレーナーと恋人という二足のわらじはやがて二律背反を生じさせることとなる。
3 21/01/28(木)22:29:35 No.769518550
…テイオーは預かり知らぬことだが、かつてトレーナーはスズカのリハビリ生活に付き合う中で、必要以上に入れ込んでしまったことがある。 それはスペのように、時間の許す限り付きっきりだったからということではない。 恋い焦がれかけたのだ。 スズカはトレーナーの再起を促したウマ娘だ。それ故にスズカへの依存心が多分にあることを、トレーナーは自覚していた。 スピカにはリギルに追い縋るだけの勢いがあったが、スズカの故障後はそれを失いつつあり、俺のチームはダメダメだなあと自虐がてらトレーナーがごちることもあった。 しかしながらトレーナーはへこたれるばかりの男ではない。夏合宿にてスペとスズカを叱咤激励し、二人はおろかチームを再起させる流れを作ったのだ。 奮起したスズカは復帰レース後にG1を勝利、渡米することとなった。 「あなたが好きです」 スピカの面々がその場を去る中、空港のロビーでトレーナーへの想いを伝える。 「…ありがとう。スズカ、俺もお前が好きだ」 トレーナーは一旦そう返すも、 「けど、お前の想いには応えられない。俺はお前のトレーナーだからさ」 固辞して潔くスズカを見送った。
4 21/01/28(木)22:29:51 No.769518644
とどのつまり、トレーナーにとってテイオーの関係によって生じた問題とは、かつてスズカとの間に起こりうるものだった。 そうなることが分かっていてトレーナーがテイオーの想いに応じたのは、展開が向いたからであり、テイオーがスズカよりも女として一枚上手だったからでもある。 恋を恋をする年頃、次第にテイオーの気持ちは冷めていくだろうとトレーナーは考えていたが、結果としては的外れ。 単なる依存ではなく、困難を何度も乗り越えるパートナーとしてより関係を強めていったのだ。 そして、そんな関係をもってしても、トレーナーの指導者としての欲というのは、恋人としてのそれよりも大きかった。 悪く言えば、テイオーだけでは満足出来なかった。そうするわけにはいかなかった。 まして、教え子たちと一緒に夢を叶えてやると決めた身ならば、テイオーただひとりを選べはしない。 そういうことだった。 「くやしい、なあ…」 テイオーはもう、溢れそうになる涙を抑えられない。 「ボクじゃ、一番にはなれないのかな…ねえ、トレーナー?ねえってば…」 蹲って、思い切り泣き喚く。嘆きたい相手に届かぬ叫びは、虚しく響いた。
5 21/01/28(木)22:32:21 No.769519627
昨日の続きか…
6 21/01/28(木)22:33:55 No.769520318
「…テイオー」 レース場を後にして、ようやくトレーナーは振り返った。 恋人としてのトウカイテイオーを置き去りにして、その恋を終わらせたことに、トレーナーとしての後悔はない。 「…ああクソ。涙が止まんねえとか、俺はどれだけ勝手で…」 しかし、一人の男としては後悔してもしきれない。 そういう結末だった。
7 21/01/28(木)22:39:04 No.769522426
トレセン学園を卒業すれば…
8 21/01/28(木)22:40:02 No.769522826
つまり私がアメリカから帰ってきたらトレーナーさんと結婚ね。
9 21/01/28(木)22:40:14 No.769522901
本当に自分勝手だ!
10 21/01/28(木)22:41:54 No.769523541
トレーナーさんはこんなことしない
11 21/01/28(木)22:43:27 No.769524094
こっからどうなるんだ
12 21/01/28(木)22:44:53 No.769524639
一人を選べないなら全員だ
13 21/01/28(木)22:48:40 No.769526200
じゃあ誰なら恋人にしていいんだよ
14 21/01/28(木)22:51:56 No.769527537
スピカ以外なら夢じゃないからまったく問題ないな!
15 21/01/28(木)22:57:12 No.769529617
俺の愛馬たちが
16 21/01/28(木)23:00:41 No.769530932
あんなにたくさんセックスしてたのに…ひどいよぉ
17 21/01/28(木)23:05:52 No.769532835
テイオーかわいそう
18 21/01/28(木)23:12:00 No.769534944
ドリームトロフィーのあとは新しい夢も見つけたしなぁ
19 21/01/28(木)23:14:55 No.769535987
何をするのかわからないな
20 21/01/28(木)23:16:15 No.769536465
救いはないんですかぁ!?
21 21/01/28(木)23:17:07 No.769536759
ぬあぁぁ…
22 21/01/28(木)23:18:02 No.769537054
妊娠しちゃって責任取らせてしまえ
23 21/01/28(木)23:20:20 No.769537896
会長に怒られる!
24 21/01/28(木)23:25:12 No.769539705
全員抱いちまえよ…
25 21/01/28(木)23:27:02 No.769540357
それぐらいの甲斐性はある