ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/01/17(日)02:58:37 No.765884002
この怪文書は結月ゆかりの弟が大学へ行くため、心身とも滅茶苦茶にしてくる人の待ち受ける建物の中を行く怪文書です 前回のあらすじ 姉を退け、ご飯を食べる結月ゆかり(弟)だが、次の部屋では姉も弟も等しく性的な目で見つめる金髪女が彼を待ち受けていた
1 21/01/17(日)02:59:19 No.765884113
鮭を箸で解し、一口分を食べる。 塩気の効いたほのかに暖かな魚の味が舌に広がり、鮭の脂身が舌の上で広がるのを楽しむ。 じんわりと米が欲しいな、そう思い白く温かいごはんを舌に載せてお茶を一口啜る。 大体三日ぶりの普通のご飯だろうか、ただのご飯と塩鮭にお茶だがそれが今はただありがたい。 黙々とご飯を食べると段々と腹の虫も収まり、段々と気分が良くなってくる。 これが終わった後はどの学科に進もうか、一先ず大学に行くと決めているものの、何処の大学というのは今一決めかねていた。 やはり国家公務員や、図書司書を目指すというならば法文とか、史学系の学科に進むのが良いのだろうか。 元々淡々と歴史書を読み解き、人物の時系列を並べてその合間に思いを馳せるというのは嫌いではなかったので、そういうのもいいなとぼんやりと思う。 専攻は何で行こうか、外国語も学ぶなら露語や独語が簡単だと言うが、他の学科にも興味を持つならばラテン語で原文を読み漁るのだって悪くはない。 そんな事をぼんやり考えていると、ご飯をすっかり食べ終えてしまっている事に気がつく。
2 21/01/17(日)03:00:07 No.765884224
「ごちそうさまでした」 骨だけ残された皿に箸を載せて、お茶をまた一啜り飲み下す。 これでこの工場の敷地ではなく、何処か都会の下宿先で窓を開けてぼんやりできればなと苦笑いしつつ腰を上げる。 時間はわからないが、格子越しの窓の外ではまだ夜の帳は開けてはいない。 さて次の部屋に行こうか、そう思い磨りガラスの貼られたドアを開けると、ドアの向こうには狭い部屋の中黄色い髪のタッパの良い女性が椅子に腰掛けている。 「やあ」 私は次の瞬間ドアを閉じ、部屋に戻ると静かにコンクリートの天井を仰ぐ。 次のエリアの前に居座るのは確かにルール違反ではない。 だがそれとは別に夜の工場跡地の事務所で背もたれのない回転椅子に座って、にこやかに語りかけてくる人なぞ大抵は碌でもない人物でしか無い。 とはいえ、確かに面食らってしまったというのは事実だが、この次に行けば暫く休憩もまともに取れないのは事実。
3 21/01/17(日)03:00:39 No.765884291
いっそ布団の中に戻ってしまおうかと思ったが、特段眠気が有るというわけでもなく目はパッチリ覚めている。 恐る恐るドアを少しだけ開くと、先程の姿勢のまま弦巻マキはニコリと爽やかな笑顔を向けている。 向けてはいるが、爽やかで利発の良い性格は些か自分から馴染みは薄い。 陽気というのはいいのだが、それを向けられて喜んで受容できるタイプの人間と受容できないタイプの人間が居る。 私はどちらかと言えば後者の方だが、とは言え何も返さないのは気が引けるので曖昧な笑顔を返す。 「結月ゆかりくん、恐縮だが遠慮せず入ってきてくれ給えよ」 天井に吊り下がった裸電球がマキをチカチカと照らす中、私は諦めて部屋の外へ一歩を踏み出す。 ドアを後ろ手で閉じると、弦巻マキがゆったりと口を開く。 「あぁ、前のエリアでは酷い目にあったようだね」 そう言って鷹揚に構える弦巻マキは、ポッケから煙草を取り出し火を付ける。 「……相変わらずですね、マキさん」 慎重に、言葉を選びながら口を開く。
4 21/01/17(日)03:01:17 No.765884381
暴力を振るうわけではない、ただこの事務室に腰掛け紫煙を燻らせる人物は人の行動を何時もじぃっと見つめている。 他人であれば少しだけ、そして身内であれば有るほど、特に自分の行動に関しては人一倍その大きな目を凝らし、じぃっと見ているのだ。 なにかされる訳ではない、ただその綺麗な目はまん丸に見開かれ、時折ニィっと怜悧そうな笑顔を浮かべるのだ。 「相変わらずということはないでしょう」 そう言って煙を部屋に吐き出し、吸い殻をポッケから出した携帯灰皿に仕舞い立ち上がる。 「さて……ようこそ、未来の私、いや私達のお嫁さんというべきかな」 暫しの静寂の後、思わず嫌そうな顔をしてしまう。 「逆では?」 弦巻マキは頭を振り、スカートのポッケからガムを取り出し噛み始める。 「男が夫、女が妻という既成概念はもはや古いのだよ、ゆかりくん」 言動はあくまで紳士的だが、言っている事自体は滅茶苦茶だ。
5 21/01/17(日)03:01:50 No.765884451
「まあ、どうでもいいだろう、このエリアは行き止まりと正解の道しかない」 そう言うとポッケから二つの鍵を取り出すと、こちらに手渡す。 「まず最初は一つの岐路に一つの鍵、ただの運試しさ」 そう言うと弦巻マキは後ろのAと描かれたドアとBと描かれたドアを両手で指差す。 「間違ったドアをくぐらない限り……いや恐らく間違っていても私からは君を襲ったりはしないはずだ、嘘だったら本当に申し訳ないが」 「……せめてどっちか、きっちり決めてくれませんか」 そう言うと、マキは申し訳無さそうな口ぶりで笑顔を漏らす。 「すまないねぇ、全ては状況次第で機械のように0か、1かみたいな事はありえないからね」 そう言うと、弦巻マキは部屋の隅にある机の上に置いてあるペットボトルから水を飲みふぅと一息をつく。 「さあ、次の部屋に進んでくれたまえ」 私はそう言ってまた怜悧な笑みを浮かべて佇むマキを眺めてため息を吐いた。
6 21/01/17(日)03:03:14 No.765884665
「じゃあ、Aで」 「そうか、どうぞ」 そう言って煙草を吸うマキを尻目に、Aと描かれたドアノブに鍵を差し込み回す。 私は恐る恐るドアを開くと、部屋は先程と似たような狭さに布団と机の上にペットボトルが二つと、パンが二つ置いてある。 部屋の向こうにはこれまた同じようなA、Bと描かれたドア。 何が正解で、何が間違いかの判別もつかぬまま、部屋の中にはいると後ろから弦巻マキが遅れてドアを開き、中に入ってくる。 「やあ、おめでとう」 そう言って、弦巻マキが手を叩くとスカートの中に手を入れて妙なカプセルを取り出し飲み込んだ。 なにか、嫌な予感がする。 「お嫁さんと言ったが、お嫁さんという言葉の意味を考えたことは有るだろうか」 その言葉の意味を知る前に、天井のスプリンクラーから何かのガスが漏れシューと音が部屋の中に響く。
7 21/01/17(日)03:04:34 No.765884830
「なっ」 急いでマキさんを押しのけ、元の部屋のドアノブを回そうとするが、一方通行式のドアのようで一度閉まると元の部屋には戻れないようだ。 「落ち着き給えよ、このガスはそう酷く吸ったとして死にはしない」 そう言って私の事をじぃっと見るマキ、一体これはそう思って居ると段々と体が熱くなってくる。 いや、熱いどころではない、脳が熱に浮かされたようにふわふわする。 スカートが自身の生殖器で持ち上がり、心臓がドキドキと早鐘打つ。 「どうした少年、勃起しているぞ」 そう言って、弦巻マキがこちらを見ながらニヤニヤしている。 「だが少年ふと不思議に思わないか、いやさぞ不思議だろう、人を欲情せしめるガスなど世界中何処を見ても無いはずだ」 荒く吐きながら閉じたドアを背に床に座り込んだこちらを見ながら、マキがこちらを見る。
8 21/01/17(日)03:05:44 No.765885016
「……医薬品とか」 「ああ、あるとも……だが効果は長期的で、性欲のみをターゲットに増やすわけではない」 そう言いながら弦巻マキは、こちらの前にしゃがみこちらを見下す。 「あぁそれよりも、少年疼くだろう、私の方もすっかりこの通りさ」 そう言ってスカートを捲りあげた先を見て、思わず顔を歪める。 自分よりも大きく屹立する男性器に、根本についた割れ目からは半透明な液体か滴っている。 「うぁ……?」 目の前に突き出された男性器のツンとする匂いに、頭がくらくらする。 女性に生えているというのもアレだが、どうしてだかそれを見ていると目が離せない。 「少年、お嫁さんの意味を知っているか」 駄目だ、違う口の中でそう言って立ち上がろうと息を吸うと、背筋にピリピリと電気が走ったような感覚が走り腰が抜けてしまう。
9 21/01/17(日)03:06:24 No.765885097
「少年まだお嫁さんになる気はないようだ、辛いなぁ、切ないなぁ、でもまだ待つぞ」 そう言って、床で這いつくばり肩で息をする私にマキが両手に鍵と、男性器を見せつける。 濃い男の匂いに乳首が張り、体に纏わり付いた衣服が肌に纏わりつき、ピリピリする。 「は、ぅっ……、み、右……B……」 そう言って何とか鍵を取って、フラつきながら立ち上がる。 部屋にはガスのせいかピンク色の靄がかかり、視界もふらついている。 それでも屈しまいと、震える手でドアノブを何度か鍵で擦りながら、鍵をねじ込みドアを開くと同時にドアを開く。 「ところで少年、さっきは最初の部屋はといったが、今は次の部屋のルールを説明し忘れたな」 そう言いながら、後ろからマキが歩いて追いかけつつ口を開く。 私は顔を上げると、部屋は先程の部屋と似たような部屋でありながら、真ん中に奇妙なガスマスクが掛けてある金属製の箱が置いてある。
10 21/01/17(日)03:07:54 No.765885332
「さてこの部屋だが選んだ部屋が正解なら、疼きを止めてくれるガスが、間違いならさっきより協力なガスが吹き出る」 「……はぁ……はぁ……選ばないのは」 そう言って再び立ち上がり、衣服が擦れないように体を手で抑える。 「私は別に構わないが、天井から間違えたときと同じ濃度のガスが吹き出る」 「……クソ」 私はそう言って、荒い息を吐きながらガスマスクを被る。 マスクを被ると、勝手に紐が締り顔を締め付ける。 「ああ、ところで少年このガスは君の遺伝子に合わせて調整された、男もふしだらな雌に落ちるほど濃い媚薬ガスだ」 次の瞬間、マスクの先についた奇妙な機械に伸びるガス管が震えだす。 「そして可愛そうだが、そのマスクを被った状態では君は何もしゃべることは出来ないはずだ」 実際問題、マスクの内側にはマウスピースのようなものがあり、マスクをした時点で言葉を発する事はできなくなっている。
11 21/01/17(日)03:11:15 No.765885807
続きは以下 su4521659.txt 今日はここまで 今日の補足 弦巻マキは別に男が孕んでもいいよなと考え、雄の猿の出産について研究している また女装山脈と、性転換手術の適用例、遺伝子適合のためのiPS細胞研究論文を参考文献として研究所に置いているらしい
12 21/01/17(日)03:11:37 No.765885845
起きててよかった
13 21/01/17(日)03:14:24 No.765886218
生えてるのも好き 絵で見るよりこういうのは文章だな
14 21/01/17(日)03:22:51 No.765887337
いい…すごくいい…
15 21/01/17(日)03:23:34 No.765887438
スマホだと続き読めないのか…
16 21/01/17(日)03:25:28 No.765887724
>スマホだと続き読めないのか… su4521671.txt すまない……ANSIで保存するのを忘れててすまない……
17 21/01/17(日)03:29:25 No.765888235
ありがとうございます!今日はこれで抜いてから寝ます!
18 21/01/17(日)06:16:16 No.765900718
いいねぇ…