ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/01/10(日)01:43:58 No.763656745
発進しますにニパー!も出るって聞いたので記念にニパ書きました 前編 su4502591.txt
1 21/01/10(日)01:49:15 No.763658205
すいません文字化けしてませんかね? 読めます?
2 21/01/10(日)01:52:36 No.763659170
めっちゃ化けてる
3 21/01/10(日)01:52:59 No.763659285
じゃあ直接貼ります
4 21/01/10(日)01:53:20 No.763659372
1946年2月2日。 ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン少尉。 統合戦闘航空団507との共同戦線、カイザーベルグ沖でのネウロイ交戦において被弾、および海上への墜落。 本人の固有魔法を鑑み、25日に及ぶ海上での捜索が行われたが、片脚のみのストライカーユニットの残骸を除いて、ついに本人の発見には至らず。 3月1日。本日付にて、カタヤイネン少尉の戦死の報が巡った。
5 21/01/10(日)01:53:38 No.763659453
ブリーフィングルームに参集した――1人を除く――502部隊の面々。ここしばらくは重く冷たい雰囲気が常に渦巻き、明らかに部隊の士気低下に繋がっている。しかしそれは仕方のない事であると、軍隊における心理学の教本には記されている。 ラル隊長もそれを理解しているからこそ、502部隊をネウロイの巣――アンナを攻略する第一歩である前線から引かせている。 夕刻1500。皆に参集を命じたラル隊長は、まずニパさんの捜索が打ち切られ、戦死扱いとなった旨について述べた。名誉の戦死であり、特進が認められた事、明日にも慰霊を執り行う事などを説明し、私達に解散を命じた。 声は時折、気のせいかもしれないが震えていたと思う。
6 21/01/10(日)01:53:55 No.763659542
解散を命じられた後は、誰しも退席する事はなく、暫くの静寂が続いた。 そのうち、隊長がまず無言のままに部屋を後にする。そして、机に拳を激しく打ち付ける音が大きく響いた。その管野さんの行動を皮切りにするように、ひかりさんが嗚咽を漏らし、考美さんがそれを慰めた。ジョゼさん、下原さんもさめざめと涙を流し、それぞれが居なくなったニパさんを想い、喪に服す時間が流れる。 私は、どうだろうか。
7 21/01/10(日)01:54:22 No.763659674
カタヤイネン少尉の固有魔法――超常治癒は常軌を逸しており、例えライフルの弾を受けたとしても内臓に致命的な損傷が無ければ、失血すら物ともせずに細胞レベルでの回復が可能。 その強力な固有魔法は貴重な戦力になるものとして、彼女の昇進を推薦したのは私。通常考えうる倍の期間、彼女の捜索をするべきと進言をしたのも私。 だから、彼女はまだどこかで生きてる。それだけを祈り、この一ヶ月近くを気丈に振る舞った。
8 21/01/10(日)01:54:41 No.763659757
瞼の裏に浮かぶのは、〝私を庇い、身体を貫かれたニパさんの姿。〟 未確認のネウロイにただ圧倒され、おそらく私はあの時に命を落とすはずだった。 残弾はゼロ、振り絞ったシールドも限界に達していた。私に目掛けて発射された一撃は、明らかに私の命を奪うもの。全てを諦めた私は、戦意を放棄して目を瞑った。 次の瞬間、シールドに込められた魔力が離散する、あの独特の衝撃音が響き、それが私が発する物ではないと気付いた時には、彼女の身体は宙を舞っていた。 最後に見た彼女は、私を見つめて笑みを浮かべていた。
9 21/01/10(日)01:55:01 No.763659854
シールドごと貫かれ、落ちゆく彼女を見た時、『もう助からない』という直感があった。そして、それでも私は彼女の名を叫んで空を切っていた。 その後の事は、あまり覚えていない。 ネウロイの追撃を受け、そのまま私も気を失った事、駆けつけた管野さんが私を回収し戦場を離脱した事、それだけを医務室のベッドで聞かされた。私がネウロイの追撃を振り切れていればニパさんを回収できたのではないか、少なくとも管野さんにそれを知らせる事ができたのではないか。 ただひたすら、黙考に耽る。
10 21/01/10(日)01:55:22 No.763659945
結局、最後にブリーフィングルームを退席したのは私だった。 いつのまにか陽がだいぶ落ちている。夕食の時間は過ぎていたかもしれない。気を遣ってか、誰も私を呼びには来なかった。 私は自室には戻ろうとはせず、自然と足が整備庫の方へと向いていた。 薄暗い整備庫の端には、捜索から18日後に見つかった片脚分のストライカーユニットの躯体が、見るも無残な姿となって麻布の上に横たわっていた。
11 21/01/10(日)01:55:46 No.763660093
激しい損傷と海水による腐食が進み、蝶番が錆びついて動きが悪い。私は手に少しばかりの魔法力を込めて、ユニットのエーテルの点検口をこじ開けていた。 蝶番の金具が軋みを上げながら割れて、外した天板の裏を見つめる。 今日、初めての言葉が自然と漏れた。 「ニパさん」 天板の裏にはインクで描かれたテントウムシの絵。それと―― 「ニパさん」 涙がボロボロと視界を覆って、もう何も見えなくなる。
12 21/01/10(日)01:55:59 No.763660155
「私が生き残っても、この戦争が終わっても、もう、幸せなんて有り得ません」 彼女が居なくなってから初めて流す涙は、とめどなく、溢れて、零れて。 彼女の幸せを願って書いた言葉が、生きている自分に跳ね返ってしまった事を呪いさえする。 私はそれを受け入れ、ただただ、もういない彼女の幸せを改めて願うものとする。 「Удачи」 ――幸運を
13 21/01/10(日)01:56:11 No.763660216
後編も書きまーす
14 21/01/10(日)02:04:27 No.763662356
楽しみにしてる
15 21/01/10(日)02:16:59 No.763665229
重いっ…
16 21/01/10(日)02:22:10 No.763666381
痛いっ…
17 21/01/10(日)02:28:45 No.763667706
もっとこうおっぱいがバインバインする話かと思った
18 21/01/10(日)02:54:48 No.763671454
どうして
19 21/01/10(日)03:11:12 No.763673468
明るいスレ画からなんちゅうもんをお出しするんだ…
20 21/01/10(日)03:16:59 No.763674117
し、死んでる…