21/01/09(土)21:30:10 島の守... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1610195410715.jpg 21/01/09(土)21:30:10 No.763557643
島の守り神カプ・キブルよ 「」嬢様ダイス同人誌の運ムン純愛(マンネリ打破特殊性癖「全裸アナルに尻尾ディルド首輪リード犬耳青姦プレイ・ライブチャットオナニー・キメセク・ワイルドブラスト・家族の前でスマタ・やっぱり正常位キス抱きしめSEXがイチバン・オナホコキプレイ」)編の後日談三次創作を書きました どうかお受け取りください そしてなにとぞ、運ムンにお力添えください あらすじ サンとの純愛(特殊性癖R18)本がアローラで発売され完売した 姉から一冊ムーンの元に届けられたが…
1 21/01/09(土)21:30:27 No.763557750
人には「慣れ」という習性がある ニガテなものや怖いものもずっと接していれば次第に克服していく だけど、それは楽しいもの・愛しいものに対しても向けられてしまう どれだけ情熱的だろうと どれだけ刺激的であろうと 「慣れ」はいつか訪れ、そして「飽き」へとつながる むしろ強ければ強いほど、それは急激に忍び寄ってくる 燃え盛っていた炎が、真っ黒な墨だけを残して鎮火してしまうかのように そのとき、あなたは変わらず愛してくれるだろうか わたしはあなたを愛しているだろうか
2 21/01/09(土)21:31:04 No.763558038
「うっわ…あんだよこの本は…」 相変わらずの下品な内容の同人誌を読まされた運び屋さんが困惑している 「お姉さまが私たちの純愛本を書いて下さったんですって」 「流石お客さんのお姉ちゃんだなぁ…」 「どういう意味?」 「え、あ、メンゴ」 まったく、あんなのと一緒にされちゃ困るわよ…今回だってこんなものを送ってきて…まぁ折角頑張って書いたんだろうし?可哀想だから破かないでおいてあげるけど 「なあお客さん、俺っちたちもいっちょやってみっか?」 「何を?」 「こーゆーの」 そう言って見せつけてきたのは野外犬プレイ 「するかァアアアアアアア!!!!!」
3 21/01/09(土)21:31:17 No.763558105
「そうかい」 少し残念そうな運び屋さん 「何ちょっと興味持ってんのよ…」 先日のメイドプレイといい野生児プレイといい、運び屋さんが変な性癖に目覚めかけてる…やっぱり破いとくべきだったかしら… まあこんな話題をピロートークで出したのわたしも悪いんだけど 「世の中いろんなプレイがあるんだなあ」 そんなことを呟きながらむにゃむにゃと寝始める運び屋さん 今日は日中力仕事続きだったみたいだしね、お疲れ様 頬にキスをして、わたしは服を着直して帰宅の途につく
4 21/01/09(土)21:31:54 No.763558388
「…アローラとはいえ、冬の夜は冷えるわね」 曇天の空のもと、冷たい風がヒュウと海から吹いてくる さっきまで人肌で温もりを感じていたこともあり、余計に肌寒く感じた 冷たい風に当てられ頭が冷やされたせいか、夜の薄暗さのせいか、妙な不安が胸に去来する マンネリ、倦怠期、飽き―長く続く関係において必ずそれはやってくる あの本の内容は、ちょっと誇張的ではあったけど…もしかしたらわたしたちの未来を暗示しているのかもしれない 運び屋さんが最近色んなプレイに興味を持ち始めてるのもその予兆といえるかも だけど、現実はあんな風に丸く収まって終われるのかな、そんな簡単に解決することなのかな… なにより、運び屋さんはわたしとの今の関係に無意識に飽きはじめている……?
5 21/01/09(土)21:32:11 No.763558514
流石に杞憂よね、むしろ色んな可能性を楽しみたいってことよね 雨の降り始めのようにポツポツと沸く不安を拭うべく、前向きな思考を展開する いつもそうだ、わたしは一人になると急に不安になってしまう だけど、何を不安がることがあるのよ 毎日彼の家に通って、毎晩を一緒に過ごして、こんなに毎日が幸せで、楽しくて……… ああ、そっか 今感じている幸せ―その気持ちが薄れていくのがわたしは怖いんだ この楽しさを、愛おしさを、幸せを、次第に感じられなくなっていくのが この幸せな世界に「慣れ」が―その先がやって来てしまうのが怖いんだ
6 21/01/09(土)21:32:56 No.763558816
毎日強い愛情を注ぎ合っているわたしたちは、まさに燃え盛った状態だ 燃え盛る炎が強いうちは、火傷をしてしまいそうなくらいの愛が注がれ続けている だけど、燃え盛る炎には、その分ずっと燃料を投下していかなければならない わたしと運び屋さんの前にはどれ程の薪が積まれているんだろう 伐採できる森が広がっているんだろう もし…くべる薪がなくなってしまったら、最後の炭が燃え尽きてしまったら―――
7 画像ファイル名:1610195610124.png 21/01/09(土)21:33:30 No.763559052
ふと気が付くと、目の前には真っ暗な闇が広がっていた 我が家に帰ろうにも、引き返そうにも、自分がどこにいるのかも分からない 進む道も、戻る道も分からない ただ真っ暗な世界に放り出されてしまった 一歩踏み出そうとしても、勇気が出ない あれ?わたしはどこに向かおうとしてたんだっけ… どうしてこんなところにいるんだっけ…… 不安は恐怖に、恐怖は疑問に変わり、一歩も動けなくなって、わたしはその場にうずくまる そして、声にならない声で助けを求める 誰か教えて、わたしは、わたしたちは どうすればいいの―?
8 21/01/09(土)21:33:49 No.763559183
「ムーン、大丈夫ロト?」 声を掛けられ我に返ると、家のベッドに横たわっていた 「うなされてたけど、何か怖い夢を見てたロト?」 「…うん、ちょっとね」 「それにしても、アイツは女の子をひとり夜道歩いて帰らせるなんて何考えてるロト!」 「わたしが勝手に帰っただけだから、明日も朝から仕事みたいだし」「ごめんねロトム…心配させちゃって」 怒るロトムを撫でながら、震える気持ちを落ち着かせる 誓ったじゃない、運び屋さんのことを信じるって そんな運び屋さんが好きになってくれた自分自身を信じるって そうやって結ばれたんじゃない、だから大丈夫…きっと大丈夫 もう一度寝ようと思うけれど、目を閉じると夢の続きの中にいるようで眠れない 何かに縋りつきたくて、安心したくて、わたしは枕を抱きしめながら夜が明けるのを待った
9 21/01/09(土)21:34:43 No.763559579
「ようお客さん」 昼下がり、珍しく彼がわたしの家を訪ねてきた いきなりの来訪はやめてっていつも言ってるのに…特に今日は寝起きなんだから!ばか! 「どうしたのよ、今日も仕事があったんじゃないの?」 「午後に残った分はオレっち抜きでも出来る量だったから、他のみんなに任せてきてさ」「もちろんその分給料を上乗せしてあげてるぜ?」 「あなたがそんなことするなんて珍しいわね」「それで、何の用?」 ぼさぼさの髪を束ねながらわたしはたずねる 「デートしようぜ」
10 21/01/09(土)21:35:00 No.763559724
「―それで、どこに向かおうっていうの?」 ラプラスに揺られながら、海の上を移動するわたしと運び屋さん 「ポニじまだよ」 「ポニじま?デートするスポットなんてあったっけ?」 「まあ着いてきなよ」 ポニじまで向かうところといえば、ハプウさんのところ?それとも― ======= 「やっと着いたな」 夕刻に差し掛かった頃わたしたちが到着した場所は、ポニの祭壇 ほしぐも…コスモッグたちがソルガレオ・ルナアーラに進化した場所であり、わたしと運び屋さんがウルトラスペースに引きずりこまれた場所 デートで来るというには、あまりに殺伐とした思い出の地ね でも、運び屋さんはどうしてここに私と来たかったの?
11 21/01/09(土)21:35:15 No.763559849
問いかけてみようと思うけど、運び屋さんは真面目な顔をしてひとりたそがれている ……もう!だから何しに来たってのよ!ホントにこの人はマイペースなんだから… 「お客さん」 「なに?」 黙り込んでいた運び屋さんが、ようやく口を開いた 「しばらくさ、ウチに来んのやめてくんねえか」 「え……………」 ………… 「?…あっ!」「そうじゃねえ、そうじゃねえんだお客さん!」 わたしの様子を察して、慌ててフォローする運び屋さん そうじゃないって…じゃあどういう意味よ!いっつも説明が足りないんだから!
12 21/01/09(土)21:35:48 No.763560094
「女の子は分かんねえけど、男ってのは性欲と愛ってのが別々に存在してて…」 「はあ」 「お客さんとエッチなことすんのはスゲエ気持ちよくて、楽しいんだ」 「だけど…段々お客さんのことを性欲の対象とだけ見てんじゃねえかって不安になっちまってさ」「昨日だっていつの間にか寝ちまってて、ひとり夜道を帰らしちまって……今の自分が本当にお客さんのことを大事に思ってんのか分かんなくなっちまった」 「そんで考えたんだ、なんでお客さんのことが好きなんだっけって…その時に、最初に思い出したのがここだった」 カプに連れてこられたあの場所に立ちながら、運び屋さんは訥々と語る 「ここで笛を吹きながら、お客さんの横顔を思い返して…ウルトラスペースに引きずりこまれたとき、お客さんが追ってきてくれて…」 「あの時から、オレっちにとってお客さんは“かけがえのない人”になってたんだ」 「ここに立ってその気持ちを思い出したらさ、なんだかお客さんのことをもっと大事にしたいって思って」 「そしたらなんでか知らねえけど…エッチなことを今はしたくなくなっちまって…だからその、ゴメン」
13 21/01/09(土)21:36:25 No.763560349
「……私を拒絶したいわけではないのね」 「そんなわけねぇよう!?」 「じゃあ言い方をもっと考えなさいよ!」 「あう…メンゴ」 まったく…と思いつつも、彼の話を聞いていてストンと腑に落ちたところがあった それは、わたし達が愛のオーバーフロー状態になっているということだった あまりにも激しく燃え盛り、広がる炎は、私たち自身すら制御が出来なくなっていた 暴走する欲求への困惑が、自身や未来への不安に繋がっていたのかもしれない わたしの場合、それが「慣れ」や「飽き」への恐怖に 運び屋さんの場合、「性欲」と「愛」への疑念に その結果、一人で冷静になったとき、自分の感情が本当に相手を思っているのか、今の関係が正しいのか、お互い二進も三進もいかなくなってしまった
14 21/01/09(土)21:37:10 No.763560645
だから運び屋さんは、わたしへの感情を振り返ることで、一度気持ちの整理を行おうとした その結果なんで性欲が減退するのかはよく分からないけど…けどそれは「愛」の証拠であり、運び屋さんの私への愛は揺ぎ無いことが証明された、のかな? でもそれで「しばらく家に来ないで」っていうのも短絡的なんだから… いえ、わたしが思っている以上に本人は深刻に捉えているのかもしれない 運び屋さんはどこまでも一途で、だから周りが見えなくなることがあって、彼もそれは良く分かってる だからこそ、自分の感情を制御できないままわたしと会うのが怖いのかも …そういう不器用な優しさも、あなたの好きなところ
15 21/01/09(土)21:37:35 No.763560801
そういえば、わたしはなんで運び屋さんを好きになったんだっけ…覚えてないわね だって、あなたはいつの間にかわたしの中にいたんですもの ズカズカと踏み込んできて、四六時中私の心の中に光と熱をまき散らす それは本当に眩しくて、煩わしくて、鬱陶しくて いつしかわたしはその光のある世界が当たり前に感じるようになっていた 光も熱も、その存在にいつの間にか慣れてしまって― …そっか、そうだった わたしは、もうとっくにあなたに「慣れ」てるんだった デリカシーの無さも、マイペースさも、単純バカなところも、今でもイライラさせられるけど、その上で、それを全部ひっくるめて、あなたを好きになったんだった …なんだ、じゃあ答えはもう出てるじゃない
16 21/01/09(土)21:38:05 No.763561017
「話は分かったわ」「その上で、わたしなりの解決策をみつけたわ」 「え、本当かい?」 「同棲しましょ」 「…はあ!?」 素っ頓狂な声が祭壇に響く、まあ聞きなさい 「お互い一人でいると色々不安になっちゃうし、毎晩夜を一緒にするならもう一緒に住んだ方が色々ラクでしょ」 「いやでもさ…」 「自分の気持ちの整理がつくまでは私の傍にいたくないって言いたいんでしょう?」 「ええ!?あんで分かるんだ!?」 あなたの彼女なんだから当然です
17 21/01/09(土)21:38:36 No.763561247
「運び屋さんの心配してくれる気持ちはありがたいわ、だけどお互い距離を取ったらますます感情が暴走してしまうかもしれない」 「だったらいっそ『慣れ』ちゃえばいいじゃない、楽しいことも、辛いことも」 「お互い同棲していれば、色々ぶつかることだってあるだろうし、一人になりたくなる時だってあると思うの」 「そうしてたくさん経験して、感情の調整の仕方をふたりで探っていけばいいのよ」 「ね、どう?」 「……お客さん、やっぱスゲエや」 「当然です」 笑顔でそう答えると、わたしは少しワクワクする足取りで、一緒に笛を吹いたあの場所に向かって駆けだした
18 21/01/09(土)21:38:59 No.763561419
「慣れ」が怖かった この感情が燃え尽きてしまうのが怖かった だけどそんな心配なんてなかった だってあなたは太陽だもの あなたはこれまでもこれからも、残酷なまでに情熱と光を注いでくれる そしてわたしはそれを享受する、煩わしさも、愛おしさも全部ひっくるめて あなたという太陽がいる限り、決してこの炎は消えることはない そう気づいたとき、真っ暗だった世界が一気に光に満ち溢れた だけど道はない 広がっているのは真っ白でどこまでもまっさらな世界 だけど怖くない あなたが私を照らしてくれているから それが分かっただけで、何も怖くなくなった
19 21/01/09(土)21:39:28 No.763561610
祭壇の向かい側にたって、彼と過ごしてきた日々を思い返しながら大きな声で叫ぶ 「運び屋さーん!」 「なんだい?」 「大好きーーっ!!」 「オレっちもだよーーっ!!」 そう叫びあうと、ふたりして駆け寄って、手を繋いで笑いあった su4501908.jpg おわり
20 <a href="mailto:s">21/01/09(土)21:39:42</a> [s] No.763561703
以上です
21 21/01/09(土)21:41:02 No.763562237
おお…すごい…