20/12/27(日)23:55:53 年の瀬... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1609080953081.jpg 20/12/27(日)23:55:53 No.759328042
年の瀬も迫る日曜日 テレビには、ワイワイと大騒ぎする芸能人たちの姿が写しだされている 年末特有の、バラエティ特番だ 「…はぁ」 そんな楽し気な芸人たちを眺めながら。しかしみらいちゃんは、物憂げな溜息を吐き出した 「今年ももうすぐ、終わっちゃうんだねぇ」 みらいちゃんの隣で、同じく一緒にテレビを観ていたリコは その呟きに、視線を、テレビからみらいちゃんへと向ける 「…そうねぇ。本当、一年ってあっという間だわ」 そしてみらいちゃんと同じく、リコはふっと表情を陰らせると どこか物悲しげに、ぽつりとそう呟くのだった
1 20/12/27(日)23:56:16 No.759328198
「…ふふ」 すると。それを聞いたみらいちゃんが、急にくすくすと、笑い始める リコが「どうしたの？」と首を傾げると、みらいちゃんは相変わらずくつくつと喉を鳴らしたまま、リコの顔を覗き込んだ 「いや。私たち、確か去年もこんな話をしたな、って思って」 みらいちゃんの言葉に、「そういえば」、とリコ 「言われてみれば。確かに去年もみらいとこんなやり取りをした記憶があるわ」 「ね。去年どころか、たぶん私たち、一昨年もその前も、この時期になるといつもこんなやりとりしてるんじゃないかな。 私たち、毎年毎年、同じ事を繰り返してるんだよ。あはは」 思い返してみれば。馬鹿の一つ覚えみたいに、毎年繰り返していた、このやり取り なんだかそれが、みらいちゃんには、おかしくてたまらない すっかりツボに入ってしまったのか、みらいちゃんはお腹を抱えながら、けらけらと笑い続ける
2 20/12/27(日)23:56:45 No.759328371
「ふふ。いいじゃない。それってとっても、素敵な事だわ」 そんなみらいちゃんを眺めながら、リコはふっと穏やかに微笑むと みらいちゃんの肩に手を回し、その体を、そっと自分の方へと抱き寄せる 「ええ～、素敵？毎年、同やりとりを繰り返すのが？」 「ええ、そうよ。だって、それって」 そしてみらいちゃんの顔を覗き込みながら、リコはにっこりと、笑って見せた 「…それって。私たちが毎年、こうやって、一緒に居るって事でしょう？」 リコはみらいちゃんの手の上に自分の手を重ねると、指を滑らせ、みらいちゃんの指と絡ませる 「…数年前。あなたと離れ離れだった頃。私はずっと夢見てた。 またあなたと一緒に、何気ない毎日を、当り前のように過ごせる日が訪れることを。 それが叶ったって事なんですもの。それってとっても素敵で、幸せな事だわ」
3 20/12/27(日)23:57:14 No.759328571
「…リコ」 リコに握られた指を、みらいちゃんはきゅっと、強く握り返す 「…うん。うん！そうだね！」 みらいちゃんはその表情に、満面の笑みを湛えると ぎゅうっと力いっぱいに、リコに抱きついた 「私たち、幸せだね！」 「ええ、幸せよ」 ふたりはじっと見つめ合うと、どちらからともかく、そっと唇を重ね合わせる 「…また来年も、こうやって。“今年もあっという間だったね”って、話せるかな」 「ええ、もちろん。来年も、再来年も。…十年後だって、百年後だって。 またこうして、同じ話を、繰り返しましょう」
4 20/12/27(日)23:57:33 No.759328697
ふたりはにっこりと笑い合い、そしてまた、唇を重ね合う 「…大好きだよ、リコ」 「ええ、私もよ。私もみらいが、大好き」 「また来年も、よろしくね」 「ええ、こちらこそ」 何気ない日常が、繰り返されていく事。その事の幸せを、改めて噛み締めながら リコとみらいちゃんは、残り少なくなった2020年を、のんびりと過ごすのだった