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20/12/15(火)00:23:52 泥の流... のスレッド詳細

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20/12/15(火)00:23:52 No.755318109

泥の流行語大賞 https://seesaawiki.jp/kagemiya/ https://zawazawa.jp/kagemiya/

1 20/12/15(火)00:34:08 No.755321067

っす

2 20/12/15(火)00:34:26 No.755321154

のじゃ

3 20/12/15(火)00:34:57 No.755321301

喪失帯

4 20/12/15(火)00:39:19 No.755322376

オーストリアとはチョコレートの国である。 あの悪魔が授けたとしか思えない魅力的な甘味と苦味をこの国の住民はこよなく愛している。 ペトラも御多分に漏れない。甘いものは大好物。中でもチョコレートは最高だ。 魔術師だからこそあえて言おう。この甘露にはどんな奇跡も真似できない魔法がかかっている。 「ど、どうぞ…好きなだけ、召し上がれ」 だからチョコレート菓子を作っている間だけ、自分は魔法使いなのだ。 机いっぱいに並べられた色とりどりのチョコレートを前にしてスヴェトラーナの目は零れ落ちそうなくらい見開かれた。 「なんてことなんてこと!本当によろしいんですの!?まあまあまあ、こんっ…なにたくさんっ!  この全てがあの蕩けるほど甘くて苦いお菓子ですの?凄い…これは凄いことですわ!」 それは小躍りするような調子の感想だったが、その態度もまた分かりやすかった。 どれから口にするべきかどうしようもなく目移りし、煌めくような喜びの表情で燥いでいた。 チョコレートにかかっている魔法のお陰だ。世界中の人たちがその魔法に魅了されている。 先日チョコレートを初めて口にしたというスヴェトラーナさえ例外では無かった。

5 20/12/15(火)00:39:32 No.755322438

綺羅星の園に来てから…いや、生まれて始めてペトラは自分から自室に他人を招いていた。 ここで2年以上の月日を過ごしていたがそんなことは1度だって無かった。 流れる月日はペトラの引っ込み思案を解きほぐさず、むしろ頑固なものへと変えていた。 市井の人々と触れ合わずに育ったペトラにとって綺羅星の園の"普通の人々"はそれほどまでに遠い存在だったのだ。 いくら以前よりは抑え込めているといっても自身の周囲の心を惑わせてしまう魔術的特性はそれに拍車をかけていた。 …だから、全く躊躇せずに踏み込んでくるスヴェトラーナには面食らってしまった。 だって、あれ以来園内でもどんどん声をかけてくる。ペトラお姉様、ペトラお姉様、と。 びっくりしてしまうし相変わらずスヴェトラーナにはどこか怖さを感じるが、でも嫌ではない。 そんなふうに他人から無邪気に懐かれるのなんて初めてだったから。 「遠慮せず…食べてください、ね。お口に…合えば、いいんですが…」 気恥ずかしさからほんのりと頬を染めるペトラは軽く俯きながらそう言った。 自分が言ったことながら『また食べにきませんか』という誘いが現実になるなんて思ってもみなかったのだ。

6 20/12/15(火)00:39:43 No.755322484

「ええ!素敵なお誘いありがとうございますペトラお姉様!  見た目も味も、まさに食べられる宝石ですわ!こんな宝ならいくらでも巣へと持ち帰ってしまいたいくらい!  がうっ、次はどれを食べようかしらっ!どれも少しずつ味が違って美味しいですわ!」 ペトラの対面に座っているスヴェトラーナはひとつ口にする度に感激を顕にしている。 大人びた見た目とは裏腹の子供っぽい仕草だが、そのあどけない無垢な感情は不思議とよく似合っていた。 そんな様子を目の当たりにしてようやくペトラの心にも実感が滲んできた。 こんなに喜んでくれている。嬉しい。作って良かった。呼んで良かった。 ずっとこういうものに触れてみたかった。魔術師としては、なんて不純。 でも───ああ、やってみれば、なんて簡単なこと───。 次々にチョコレートを摘んでいたスヴェトラーナがふとぎょっとした顔をした。ペトラの顔を見てそうなっていた。 「ぺ、ペトラお姉様?どうして泣いているんですの?」 「え…?」 指摘されて初めて気づき、ペトラは自分の頬へと手をやった。 濡れた手触りがあった。跡を辿っていくと、指先は目の端へと行き着いた。熱い温度を放っていた。

7 20/12/15(火)00:39:53 No.755322532

「どうなさいました!?どこか痛むんですの!?それともスヴェトラーナが何か悲しく思うようなことをしてしまいましたか!?」 「い、いえ、違うん、です…。分かりません…。あれ、どして自分…あれれ…」 食べるのを止めたスヴェトラーナがペトラの元へ擦り寄ってくる。 ペトラはわけも分からずぽろぽろと流れる涙を持て余していた。 止めようとして止められるものでもなく、壊れて水を吐き出し続ける蛇口を前にするように途方に暮れた。 ペトラにだって分からないのだ。スヴェトラーナにも分かろうはずもない。 ただしペトラと違ったのは、スヴェトラーナはそれを止めようと行動したことだった。 「…あ…」 「ペトラお姉様にも分からないならこうしますわ。涙はこうして止めるのが一番ですのよ」 反応する暇もなかった。次の瞬間にはペトラの顔にはスヴェトラーナの胸が押し付けられていた。 自分が抱き締められているということを理解するのに数秒かかった。 何でいきなりそんなことをするんだろう。スヴェトラーナはペトラにとって分からないことばかりする。 ただ認めざるを得なかったのは、ペトラの心の何処かの凝りがそれで不意に溶解したことだった。

8 20/12/15(火)00:40:03 No.755322568

スヴェトラーナはペトラよりも20cmも背が高い。 お互いカーペットに座ったまま抱き締められると自然と胸のあたりにペトラの顔は当たった。 「あ、あの、悪いですよ、こんな、すみません、その」 「どうして謝るんですの?ペトラお姉様は何も悪くありませんわ。  それよりもっとぎゅーっとして涙を止めてしまいましょう。そーれ、がおーっ」 慰めるような声音でスヴェトラーナは囁いて背中に回した腕の力を強くする。 涙が止まるまでがっちりと捕らえて離さない。そんなつもりなのかもしれない。 でも今はそんなふうに抱き締められるのが心地よかった。スヴェトラーナの体温を直に感じられて。 …今更ながら恥ずかしくなってきたペトラは、内緒話をするように言った。 「あの…スヴェトラーナさん…泣いてた、こと…誰にも言わないで、くださいね…?」 「もう、仕方ありませんわねペトラお姉様は。分かりましたわ。  全部この胸の中に仕舞っておきますわ。それと…スヴェータかツェツァで結構でしてよ」 返事と一緒に子供をあやすように優しく背中を擦られた。 尚更恥ずかしくなったけれど、ペトラは動けなかった。捕まえられていたから、仕方のないことだ。

9 20/12/15(火)01:03:20 No.755328153

8歳に慰められちゃ駄目だよ!

10 20/12/15(火)01:28:44 No.755333353

竜×羊が進展している…

11 20/12/15(火)01:29:59 No.755333572

今日は夕方にも来てなかった!?

12 20/12/15(火)01:31:30 No.755333818

>今日は夕方にも来てなかった!? ふたポにログが残ってないんですけど… どうか内容を…

13 20/12/15(火)01:34:14 No.755334247

>ふたポにログが残ってないんですけど… >どうか内容を… 「」ッチーの方に残ってた

14 20/12/15(火)01:35:05 No.755334379

ありがたい…

15 20/12/15(火)01:46:58 No.755336385

落ちそうだ 次で投げる おきててね

16 20/12/15(火)01:49:41 No.755336785

むっ!

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