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20/12/11(金)21:04:40 泥の酒 ... のスレッド詳細

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20/12/11(金)21:04:40 No.754204163

泥の酒 http://seesaawiki.jp/kagemiya/ https://zawazawa.jp/kagemiya/

1 20/12/11(金)21:05:58 No.754204670

泥の酒豪

2 20/12/11(金)21:09:27 No.754206017

綺羅星はタバコセックスヤクは横行してるけど酒飲みは少ないな

3 20/12/11(金)21:12:38 No.754207236

「パンケーキの上にバターも熱々のベーコンも乗せて、更にたっぷりの蜂蜜…てのはさ。  ぼくは未だに慣れないんだよ」 「日本人は食べるものに関してやけに潔癖症だよな。さっさと食わないと冷めるぞ」 ジゼルはざくざくとパンケーキにナイフを入れて口の中に運んでいた。 顔を顰める蘭のパンケーキは(少なくとも蘭の感覚では)そんなやんちゃなことにはなっていない。 かりかりになるまで香ばしく焼かれたベーコンは皿の隅に添えられ、パンケーキの味付けはバターのみだった。 やれやれと肩を竦めた蘭は目の前に座るジゼルに倣い、自分もパンケーキにナイフを突っ込み始めた。 「だいたいきみはいつも帰ってくるのが唐突なんだよ。  先に一報くれるとかないの?何の用意もしてないよ。ぼくが家を空けてたらどうしてたのさ」 「足が向いたから来ただけだ。呼び鈴押しても出てこないなら無理やり中に入って1日中煙草を吸ってた」 「堂々と不法侵入宣言をされるともうちょっと防犯について真剣に考えたくなるね」 「魔術の施錠はどうとでもなるからな、私。  嫌なら最新科学のセキュリティ搭載のコンドミニアムにでも引っ越すことだ。印税はどうした人気作家」

4 20/12/11(金)21:12:51 No.754207319

いい具合に草臥れたアパートの内装を行儀悪くフォークの柄でジゼルが指摘した。 あまり面白くなさそうに蘭はサラダの青菜にフォークを突き刺した。 「そんなところに引っ越すほどのお金なんて無いよ。だいたいぼくはここが気に入ってるんだ。余計なお世話だね」 「ああそう。まあ私はいちいちお前の家を探し当てなくて済むからいいけどな」 ベーコンと一緒にパンケーキの切れ端を口の中に押し込むジゼルが卓上のコーヒーポットを手に取った。 何も言わなくともふたりぶんのマグカップにコーヒーを注いで対面の席へ突き出す。 こんな遣り取りも慣れっこだ。ジゼルはいつも唐突に現れる。 昨日の晩も半年ぶりくらいにふらりとやってきて、すぐにソファで横になってすやすやと眠ってしまった。 間隔はまちまちだ。1年以上顔を見せないこないこともあれば1ヶ月もしないうちに帰ってくることもある。 野良猫みたいだと蘭は密かに思っていた。訂正、密かでもない。伝えたこともあった。 「この後買い物に行くけど、今回も1週間くらいいるの?」 「ん………。ああ、うん」 マグカップを傾けていたジゼルが小さく頷いた。となると生活のための物資の消費量も2倍である。

5 20/12/11(金)21:13:05 No.754207409

「もっと長く一緒にいられたらいいのにな」 「仕方ないさ。そういう仕組みだ。買い物なら付き合ってやってもいいぞ」 「何で上から目線なんだよ。ジゼの分も買うんだから荷物持ちして当然じゃんか」 蘭はそう言って睨んだがジゼルはどこ吹く風で皿の上のものをやっつけていた。 それでもその顔を見ていると怒る気持ちが失せて心華やいで来るのが自分でも単純だと蘭は思う。 やっぱりジゼルと一緒にいると幸せだ。なんでもないこの朝の時間が特別なものに見えてくる。 あんまり分かりやすくその気持ちを顔に出してなんかやらないけど。 「蘭。塩の瓶どこにある?」 「あ、出し忘れてた。キッチンのラックの中だ。取ってきてよ」 茹で卵にかける塩を卓上の上に探していたジゼルが仕方ないなと呟いて席を立った。 座ったままの蘭の背後へと歩いていく。その間、蘭はジゼルの皿の上を見つめていた。 ジゼルが更に追加した蜂蜜の海にベーコンの切れ端がぷかぷかと浮いていた。 「…ねえジゼ。ぼくが食事について保守派なのを認めた上で聞くけど、ベーコンに蜂蜜ってどういう味がするんだ」 「ん?ああ」 蘭の後ろで響くジゼルが食卓に戻ってくる足音。そして───

6 20/12/11(金)21:13:17 No.754207492

全くの不意打ちで、横で身を屈めたジゼルが蘭の唇を奪っていた。 気がついたらジゼルの顔が間近にあった。ブレーカーが落ちたみたいに一瞬で何も考えられなくなる。 ただジゼルの柔らかい唇の感触だけが蘭の意識へ鮮明に焼き付いていた。 「…こういう味」 湿った水音を残してジゼルの顔が蘭から少し離れる。頬が赤く染まっていた。 勢いでしたことを後悔しているような顔につい蘭は嘆息してしまった。頬を赤く染めながら。 「…きみさぁ。自分からそういうことしておいて自分で恥ずかしがってるのはどうなんだ」 「うるさいな。思いつきだ。…で、味の感想は」 怒ったように早口で言うジゼル。それが愛おしくて蘭は思わず微笑んでいた。 「よく分からなかったよ。もう1度お願いしていいかな」 「…そう。買い物はどうする?」 「全部後回し。行こうと思えばいつだって行けるんだから、そんなの」 そう言って今度は蘭の方からジゼルを抱き寄せ、唇を重ねた。 馬鹿だな。ジゼの唇はいつだって砂糖菓子みたいに甘いんだから、他の味なんて分かるわけ無いのに。 …結局昼間まで退廃的に過ごした結果、精神的充足と引き換えに買い物の時間は大幅に遅れてしまった。

7 20/12/11(金)21:20:12 No.754210052

うわあジゼパイあざといっすあざといっすあざとすぎてアザトースになっちゃうっす

8 20/12/11(金)21:25:26 No.754212032

SSなげたが怪文書が出たなら後にしよう

9 20/12/11(金)21:25:36 No.754212079

>「足が向いたから来ただけだ。呼び鈴押しても出てこないなら無理やり中に入って1日中煙草を吸ってた」 ロールシャッハかよ…

10 20/12/11(金)21:27:05 No.754212622

ジゼパイは良い物だ...

11 20/12/11(金)21:32:47 No.754214872

未来の世界線てことでいろいろ考察できるところもあるな… ふたりは一体どういう状況なの

12 20/12/11(金)21:36:27 No.754216197

イチャつきやがって…

13 20/12/11(金)21:50:36 No.754220888

朝から盛り上がったんです?

14 20/12/11(金)21:55:10 No.754222463

それはもう蛞蝓の交尾のように

15 20/12/11(金)21:56:18 No.754222817

レズックスはお互い快感の斜面が穏やかだからかかる時間が長いらしいからな…

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