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20/11/04(水)23:01:59 10年振... のスレッド詳細

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20/11/04(水)23:01:59 No.743276828

10年振りに訪れたその村は、相も変わらず美しい場所だった。 ここの空気には、味がある。 そう教えてくれた当時と全く同じだ。ただの呼吸すら心躍らせてくれる、愛おしい場所。 偶然目に付いて受けた仕事の場所がここの近場だったのは、なんて幸運だろうか。 なんせ今は東京住まい。遠いここには立ち寄る機会が、まず無い。 更に交通費やら宿泊費やら、出費も中々。数多の戦いを共にしてきた我が財布はすっからかん。 しかし、おかげで、また来れた。 懐かしき道を歩みながら、腕を空へ伸ばし背を伸ばす。 「……うーん!気持ちの良い天気だ!」 見上げた空は一面青色晴れ模様。眩しく光る太陽は、雲一つ無いステージで燦々と俺を照らしている。 だけどあんまりにも頑張るもんだから、思わず手で影を作ってしまった。 しかし、これじゃあ全然足りない! それもそのはず、今は6月。春は短いもので、もう夏の頭がこんにちは、だ。

1 20/11/04(水)23:02:09 No.743276887

「くぅ~!あっちぃなぁ!どっか日陰は……」 記憶を呼び起こし、近くに何か無いかを思い出す。 その間にも、仕事着のスーツが太陽光と熱いベーゼを交わしてあっつ!熱い!黒が光吸って熱い! 思わずアチチと零しながら、10年も前の記憶と変わらぬ道を歩く。 木々が生む影の下を選んで歩く。まるで、子供の頃みたいだ。 ……そうだ、そうだった。確か、この近くには。 目的地というタイトルのパズルへ、記憶という小さなピースを当てはめて。 出来た一枚絵に描かれた場所。そうやって思い出した場所へと、進む。 歩いていた筈の足は、何時の間にやら走り出していた。 いつ以来だろうか?本気で走るなんて。 自分に問いかけても、返って来るのは乱れた息遣いだけ。 なんだかそれが無性に可笑しくて、笑ってしまう。 本当に10年前へと戻ったように身体が軽い。 汗を流しながら笑って走っていると、辿り着くのはアッという間だった。

2 20/11/04(水)23:02:30 No.743277013

長い階段を登れば、見えてくる目的地。 「……変わらないな」 そこには、神社があった。 確か……古手神社だ。10年前、綿流しという祭で立ち寄った。 あの時は凄かったなぁ。田舎の筈なのに、出店が都会に負けないほど出ていた。 当時の友人達とも、たくさん遊んで回ったっけ。 みんな、元気にしてるかな。 ……境内を歩いている内に、何時の間にやら物思いに耽っていたみたいだ。 「ハハハ……そんな歳でも無い筈なんだけどなぁ」 苦笑いを浮かべながら歩く俺の前に、賽銭箱。 折角だし、お参りしていこう。 最早スタンプや会員のカードが内容量の8割を占める財布から、10円玉を取り出し投げ入れる。 ……そういえば。神社の正しいお参りの仕方って何だったっけ? 「……」 まぁいいや。適当に手を叩いて、お辞儀して、この縄に繋がった鈴をガラガラリ。

3 20/11/04(水)23:02:44 No.743277082

神様への挨拶も済ませた事だし、心置きなく日陰を堪能できる。 拝殿に続く階段へ勢い良く座り込み、一息。 ここまでの運動に耐えた足を揉みながら周りを見渡しても、誰も居ない。 少しくらい無作法でも、別にいいだろう。 背中を後ろへ、ゆっくりと倒す。 視界が上を向き、見えるのは青空と天井。 ……目を閉じてみた。 木々の枝葉が擦れ合う音。ひぐらしの鳴く声。たまに吹く、風の音。 あぁ。全部、懐かしい。 この雰囲気は都会には無いモノだ。騒がしいのも嫌いじゃないが、こういうのが好きだ。 「……俺、本当に爺さんにでもなっちまったのか?」 この村に戻ってから、懐古しかしていないではないか。 まだまだピチピチでフレッシュな若者に似つかわしく無い!もっと強気にガツガツ行かなければ! なんて考えながらも、やはり抗えず。この懐かしき一時を、穏やかに過ごしていた。

4 20/11/04(水)23:02:55 No.743277141

……何かが、近くで聞こえた。甲高い、恐らく金属が出すであろう音。 目を開けて、音の出所を向いてみる。 寝ている俺の顔のすぐ側に、10円玉が縦になって落ちていた。 何処から現れたのだろう?不思議に思って手を伸ばすと、逃げるようにコロコロ転がっていく。 10円玉は階段から落ちても、まだ縦のまま。少し離れたところで、同じ場所を円を描くように転がっている。 ……まるで俺を、誘っているみたいじゃないか。 自分の頬を叩いてみても、その光景は変わらない。夢じゃない。 ……目の前で起きているのは、間違いなく不可思議な現象だ。どうする? 考えている間にも、自分の心に熱が灯るのを止められない。 無視して目を瞑るか?冗談だろ?大人になったから、これに好奇心が湧かないなんて。 「んな腑抜けた爺さんになった覚え、ねぇっての!」 飛び上がるように起き上がり、陽射しの下へ。 俺がついてくる事を確認したのか、10円玉は円を抜け出しまた動きだす。 それに歩幅を合わせて、ゆっくりついていく。

5 20/11/04(水)23:03:09 No.743277218

10円玉は参道を抜けた直後、横に倒れた。 少し待ってみても、まるで役目は果たしたかのように、先ほどまでの超自然的な動きをする事は無い。 倒れた場所より先は、ついさっき俺が登っていた長い階段だ。 何があるのか。あったとして、それはこの10円玉が伝えたかった事なのか。 溢れんばかりの好奇心に身を任せ、階段を上から見下ろした。 ……少女が、居た。 ちょうど木々が生み出してくれた影で休むように、段差の端に座り込む少女が居た。 長い髪と、ワンピース。こちらからは後ろ姿しか見えないため、顔はわからない。 そんな少女が、ただ、そこに座っていた。 ……俺が導かれたのは、彼女なのか? 問うように視線を投げてみても、倒れこんだ案内役はうんともすんとも言わない。 なんて不親切だろうか。だが、ミステリーの不思議としてはそれくらいでいい。 一つ笑いを零して、少女のところまで降りる事にした。

6 20/11/04(水)23:03:29 No.743277345

「やぁ、こんにちは」 未知の存在である少女との、ファーストコンタクト。初めは手堅く、笑顔で明るく挨拶だ。 ……だが、少女はこちらの折角浮かべた笑顔を見る事はせずに、座ったまま。 いや、むしろ、悪化した。 両膝の間に顔を隠し、更に両腕で膝を抱え、体育座り。まるで亀みたいに引っ込んでしまった。 なんてこった。初手で躓いた。 まぁ、無視してくると言うのなら。それならそれで、やり様は幾らでも用意してある。 「俺、雛見沢に来るのは10年振りでさ。この村、全然変わんないよな!」 「空気は美味いし、自然は多い!あとは可愛い女の子が居れば、完璧なんだけど~……なんつってな!」 「……ダメ?はぁー、こりゃ残念だぁ!後ろ姿だけでも美人さんってわかるんだけどなぁ!」 「もしや、悩み事かい?なら、相談に乗るぜ?俺、そういうの得意だから!」 「話術で解決もできるし、力技もお任せあれ!これでも空手に柔道もやってるからさ!」 「鍛えた肉体と技で、世の悪を成敗ッ!ふっ!はっ!ホアチョー!!」 「……最後のは、空手でも柔道でも無いじゃない」

7 20/11/04(水)23:03:46 No.743277440

……成功。 一方的に話して、やがて向こうから声をかけさせる。 普段なら、心を閉ざしてしまった人への一歩目のために取る方法だったが。どうやら、ビンゴ。 少女は今も、顔を膝で隠したままだが。実に大きな進歩だ。 「アハハ、そうだったっけか。まぁ、ともあれだ!お悩みを教えてくれやしないかい?」 「……」 そこまでは、まだ足りないか。だが、調子を沈めればそこで終わりなのは、目に見えている。 「おっと待った!当ててみせるぜ!……えーっと……恋だ!どうよ!?」 「……全然違う」 「じゃあ……わかった!家族!」 「違う」 「……えぇーっと。そのぉー……学校での、お悩みとか……でしょうかぁ……?」 否定する言葉の代わりに、溜め息が送られてきてしまった。

8 20/11/04(水)23:03:56 No.743277494

ごめんなさい調子に乗りました。降参です。 両手を上げつつ、苦笑い。まさしく、お手上げ。 さて、ここからどうしようか。まだまだカードは尽きちゃいないが、不信というコインが溜まるのは不味い。 「……大事な」 頬を掻いていると、小さな声が聞こえた。 「大事な人が、居ないの」 それは少女の、答え合わせだった。 「居なきゃいけないのに。居ないと、どうしようもないのに。ここに、居ないの」 「……転校、とか?」 「ッ!……」 しまった!これは、なんて迂闊だ。 軽い気持ちで、口から出た推測。それが、少女の何かに引っかかったらしい。 一度肩を震わせた後、両腕に加える力を強くした少女は、拒絶の意思を示す。

9 20/11/04(水)23:04:18 No.743277612

少女の隣に立ち尽くして頭を掻いても、何も起こるわけは無く。 あぁ、わかっちまうんだ。きっと、今、俺に出来る事はもう無い。 だけど、それでも、だ。無様だろうと、最低限は、やる。 スーツの内ポケットから取り出したるは、名刺入れ。 「……まぁ、さ。俺、こういうモンだから。もしよかったら、また俺と話してくれよ」 その中から、おニューの一枚を抜き取って、少女の手にそっと挟む。 口調は明るく、頼りになるような。だけど、これは負け惜しみだ。 そんな自分が情けなくて、目の前の少女から逃げるように神社がある方を見上げる。 期待に応えられなくて悪いな、謎の10円玉よ。俺にはここが精一杯だったみたいだぜ。 「そんじゃ、また。しばらくこっちに居るつもりだから、どっかで会ったらよろしくな」 少女の隣を抜け、階段を降りる。 結局、俺には何も変えられなかった。たった一人で居る少女の悩みすら、解消してやれなかった。 ……情け、ねぇなぁ。 そう自嘲しながら、歩く。段差は、もうじき尽きる。少し曲がってしまえば、少女は見えなくなるだろう。 「…………な!?嘘!?」

10 20/11/04(水)23:04:28 No.743277664

尽きる直前、あと一歩。声が響いた。 「そんな、嘘!ありえない!」 それは、あの少女の声。 「だってこんなの、今まで一度も……!」 だけどそれは、今さっきまでとは違う、驚きに満ちた、声。 ……つまり、だ。 まだ、終わっちゃいないって事だろ? 「おいおい!嘘とかありえないとか、ひっでぇなぁ!」 逆境なんて何度も越えてきた。その度に俺は笑ってみせた。 今回も同じだ。振り向いて、強気に笑う。 ……名刺を手に、呆然と立ち尽くしている少女が居た。 その目を真ん丸に見開いて、信じられないモノを見たような、そんな顔をして。 色々言いたい事はあるが、その中でも、どうしても言いたい事が一つある。

11 20/11/04(水)23:04:39 No.743277720

「それに書いてある事に嘘偽りなんて一切ナシ!全部真実だぜ!」 今も呆然としている少女にビシィっと指を指して、自信満々に叫ぶ! 俺の名刺に刻まれているのは、本名職業その他諸々と、“二つ名”。 ……まぁ、先輩方からは、流石に名前負けしてないか?とか言われたりするが。 だが!俺が良いって言ったら良いんだ!名乗るだけなら自由だからな! 「もう、一度」 ウンウンと頷く俺へ、頭上から声。 見上げると、少女は笑顔を浮かべていた。 「もう一度、悩みを聞いてもらって、欲しいのです」 その笑顔に、一瞬、見惚れた。 ……なんだ、やっぱり可愛いじゃないか。 「おう!任しとけ!女の子の笑顔のためなら、ロハでやるぜ!」 言いながら、もう一度名刺入れから、名刺を取り出す。 うーん。何度見ても、良い。フォントから文の場所まで悩みに悩み抜いて、決めただけはある。

12 20/11/04(水)23:04:52 No.743277802

『口先の魔術師』 フリージャーナリスト       前原圭一 白地に艶やかな黒が刻んだソレに小さく笑い、階段を登り出す。 きっと今年の夏は、何かが起こる夏になる。 そんな予感を、胸にして。

13 20/11/04(水)23:12:40 No.743280357

抱けえっ!抱くのです!!

14 20/11/04(水)23:13:11 No.743280515

10円玉お前の仕業だろ羽入

15 20/11/04(水)23:17:44 No.743281887

どういう世界線だ…? ロリ梨花ちゃまと社会人K1…?

16 20/11/04(水)23:19:58 No.743282602

設定が色々わからーん!

17 20/11/04(水)23:29:52 No.743285659

>10円玉お前の仕業だろ羽入 今回は圭一が来ませんでしたが気を落とさないで欲しいのですよ梨花… …あっ!?来てる!ちょっと大きくなりましたが来てるのですよ!梨花!梨花!!あうあうあうまずいのです入れ違いはまずいのです あっそうだ

18 20/11/04(水)23:35:17 No.743287400

流石縁結びの神様だな…

19 20/11/04(水)23:37:06 No.743287967

>設定が色々わからーん! 圭一がすごく早く生まれた世界ってことだろう

20 <a href="mailto:s">20/11/04(水)23:40:38</a> [s] No.743289161

わかりづらくて申し訳ないのです… >圭一がすごく早く生まれた世界ってことだろう これなのです… 単純に大人になった圭一が書きたかっただけなのですよあうあう

21 20/11/04(水)23:42:14 No.743289685

このカケラだと赤坂の代わりにK1がマッスルチャージして助けに来るんだろうか

22 20/11/04(水)23:44:22 No.743290382

この世界だと部活メンバーとの関係性も 変わったものになるだろうなぁ

23 20/11/04(水)23:45:26 No.743290715

心配すんな!ちゃんとみんなの分の人形を買ってきてあるぜ!

24 20/11/04(水)23:48:11 No.743291577

大人というだけで結構なメンバーが不信感を抱きそうなのが難しい……

25 20/11/04(水)23:48:26 No.743291679

この圭一だと年齢差で梨圭成立しないのでは?

26 <a href="mailto:おまけなのです">20/11/04(水)23:49:12</a> [おまけなのです] No.743291952

「そういえば、さ。俺、一応5年前に興宮の方には来てたんだよ」 「みー……?」 「いやな?5年前って、ちょうどアレの最中だったろ?あの、ダムの」 「みー。だから、雛見沢には来られなかったのですね」 「そゆこと!……そういえば、5年前って言ったら……」 「……?何かあったのですか?」 「髪をポニーテールに纏めた子と興宮で遊んだんだよ。活発そうな子だったなぁ……」 「みー!圭一はすぐ女の子に手を出すのですよ。わるいこわるいこなのです」 「いや、そんなんじゃないって!ちょっと手繋いで案内して貰って、頭を撫でてあげたくらいで!」 「……」 「うっ……その目やめて……あの子、雛見沢に住んでるって言ってたけど、元気にしてっかな」 「こっちに住んでるのなら、また会えるかも知れないのですよ」 「そうだな!会えたなら今度こそ、追っかけてたら全然違うとこから出てきたトリックについて聞いてやるぜ!」 (……そういえば、こっちの魅音と詩音も、何やら5年前に運命の人がどうこう言ってたような……) (……ま、どうとでもなーれ☆なのですよ。にぱー☆)

27 20/11/04(水)23:49:33 No.743292070

いや梨圭だけじゃなく部活メンバー全員と成立しないだろ

28 20/11/04(水)23:50:28 No.743292411

>心配すんな!ちゃんとみんなの分の人形を買ってきてあるぜ! 魅音だって女の子なんだから遠慮すんなって! とかいいながら普通に渡しそう

29 20/11/04(水)23:51:25 No.743292726

>(……そういえば、こっちの魅音と詩音も、何やら5年前に運命の人がどうこう言ってたような……) >(……ま、どうとでもなーれ☆なのですよ。にぱー☆) ヨシ!綿流しの惨劇は起こらなそうだな!

30 20/11/04(水)23:52:17 No.743293013

俺は前原 フリーのジャーナリストさ!

31 20/11/04(水)23:54:05 No.743293608

いやだって圭ちゃん貧乳マニアだし だからおっぱい星人の戦人とは相容れないんだし

32 20/11/04(水)23:55:00 No.743293905

十歳くらいは離れてんのかね まあ梨花ちゃんが大人になれば歳の差なんて大丈夫だろ!

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