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20/11/04(水)20:33:05 いつし... のスレッド詳細

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20/11/04(水)20:33:05 No.743219464

いつしか、目で追うようになった。 それを意識し始めたのはいつのことだったろう。 元気そうにしているのを見るだけで嬉しくなる。 いつものループのように心を病んでしまった時は悲しくなる。 今回のループは、極稀の最悪のカケラだった。

1 20/11/04(水)20:33:19 No.743219549

いつもどおり二人連れ立って登校した私は、 いつもの部活メンバーに圭一がいないことに気がついた。 極稀にある圭一がやってこないカケラ。 部活メンバーは四人だけで、楽しくはあってもどこか空虚で。 けれど、レナの父は美人局に引っかかることもなく、 魅音はいつもどおり、他になにか問題が起こることもなく、 これはいつもどおり何故か死ぬパターンかな、なんて思いつつ過ごしていたら…… 例年に少し遅れて鉄平が帰ってきた。

2 20/11/04(水)20:33:49 No.743219711

沙都子が帰ってこない。嫌な予感がして裸足で駆け出した。 当たってほしくない最悪の予想があって、沙都子は果たしてそこにいた。 状況が最悪だったのは、鉄平が帰ってきたのが土曜の朝だったこと。 沙都子はC120を摂取できないまま夕方を迎え、普段のパターンよりさらに高速で心を病んでいった。 ……圭一がいない。レナの暴走の予兆もない。詩音も今回は動き出しておらず、魅音は家の事情にがんじがらめ。 注射器を持って家に突撃しようにも、土曜日曜で鉄平の仲間は常にそこにいる。 どうしようもなかった。それでもどうしようもないことは諦める理由にはならなかった。 ……その日の夜。私は注射器とヒモと包丁を持って北条本宅で忍び込んだ。 普通に連れ出そうとしても沙都子は抵抗する。無理やりやるしかない。

3 20/11/04(水)20:34:29 No.743219946

……夜中でも酒盛りをしているクソみたいな連中。沙都子は付き合わされてずっと起こされていた。 酒を取ってくるために台所へ向かった沙都子の後ろに忍び寄り、包丁を突きつける。 「り…か…?」 「いい……? 今から貴方を人質にしてここから逃げる。黙って従って。私を信じて」 もう気力もなかったのか、豹変したような私にすら疲れた目で従う沙都子。 痛ましい様子に心が痛む。まずはC120を注射して、ゆっくりと居間へ向かった。 「動くなッ!!!」 沙都子に向けて包丁を構えたまま、私は鉄平たちの前に出た。 驚く鉄平たちが何かを言う前に、私は更に口を開く。

4 20/11/04(水)20:36:03 No.743220399

「……あんたらに北条の通帳は渡さない。この子以外に知っている子はいないわ」 鉄平の目が細められる。臆してはいけない。アドバンテージはこちらにある。 「……余計なマネはしないことね。……熱燗、好きなんでしょう?今、お鍋の近くにろうそくが置いてあるの」 台所方向に伸びるヒモをわざとらしく見せつける。 ロウソクなんてない。これは単なるブラフだが、確かに今酒は温められている……! 「くいっと引っ張れば……お家が燃えちゃうわ」 鉄平たちの顔色が変わる。このまま家を燃やされれば隠された通帳も燃えてしまうだろう。 「……もしそれが嫌なら、沙都子を私のところへ返しなさい……?」

5 20/11/04(水)20:36:33 No.743220557

……逡巡の後、鉄平は「行け」とだけ言い放った。急いで北条家を出て、その場を離れる。 すぐに通報されるだろう。あるいは四人が追いかけてくるかもしれない。どうすればいい……どうすれば……! 誰もいない田舎道を沙都子の手を引いて走る。 包丁も注射器も途中の道で落として、我が家に入って鍵をかけた。 もう、どうにもならない。明日は綿流しの祭りだ。外に出ないわけにはいかない。 それでも一分一秒でもあいつらのところから沙都子を引き剥がしておきたかった。 沙都子はぼうっとした目でこちらを見据えている。

6 20/11/04(水)20:36:54 No.743220656

お互い、夜中だと言うのに汗に濡れていた。 息も絶え絶えで、何も言えなくて見つめあう。数分だったのか、それとも一時間だったのか。 電灯もつけず窓も開けない、閉ざされた暗闇の中に二人の目だけが光っていた。 ゆっくりと手を伸ばして、沙都子を抱きしめる。汗に濡れているのに緊張で乾いた唇が目に映った。 ……思えば、私はずっとこうしたかったのかもしれない。沙都子がいない生活なんてごめんだった。 ――沙都子を、私のモノにしたい。 唇を寄せる。触れ合うような、怯えたようなキス。 沙都子がゆっくりと虚ろだった目を閉じて、ぶらつかせていた腕をこちらの背に回した。 また時間が引き伸ばされたように感じて、唇と唇の間に透明な糸がかかる。 沙都子が開いたまぶたの向こうに、いつもの光が輝いていた。

7 20/11/04(水)20:37:21 No.743220822

「……もう……ガマン、しなくていいんですのね」 沙都子が力を込めて私を押し倒した。 「……気づいていましたのよ。梨花がずっと私を見ていたこと…… 夜と朝、寝顔を見る度に……分校で一緒に過ごす度に…… 一緒にお風呂に入る度に、いったいどれだけガマンしてきたと思っていますの……?」 情欲に潤んだ瞳が、私を捉えて離さない。 「つらいこと、全て忘れてしまいましょう。……今は私と梨花だけあればそれでいいですわ」 衣擦れの音が静寂に響いて。夏の暑さだけじゃない熱気が私達を包む。

8 20/11/04(水)20:37:39 No.743220921

もう、どうでもよかった。沙都子を恒久的には救えない。 小学生の小娘の力だけじゃ沙都子を取り巻く状況を打破できないのだ。 そして私が何故か死ぬなら、全ての役割を放り投げて今は胸に渦巻く気持ちに溺れていたかった。 私の歪なこの思いが今一瞬でも沙都子を救ったなら、その愛に包まれていたかった。 明日のことも。その後のことも今は忘れよう。鍵は、もう開かなくていい。 「ねぇ、沙都子――

9 <a href="mailto:梨沙都くれ しにそうなんだ">20/11/04(水)20:38:23</a> [梨沙都くれ しにそうなんだ] No.743221169

しましょう?」

10 20/11/04(水)20:41:18 No.743222117

むう……両思い共依存退廃ロリレズ……

11 20/11/04(水)20:53:20 No.743226168

いい…

12 20/11/04(水)20:55:41 No.743227030

エロい…

13 20/11/04(水)20:56:50 No.743227411

いい… このまま沼に溺れるようにループが終わらないでいてほしい…

14 20/11/04(水)21:02:02 No.743229278

素敵だ…

15 20/11/04(水)21:02:03 No.743229283

俺も梨沙都ほしいけど圭梨どころじゃなく供給が薄いからがんばってこれからも供給してほしい

16 20/11/04(水)21:03:43 No.743229927

>俺も梨沙都ほしいけど圭梨どころじゃなく供給が薄いからがんばってこれからも供給してほしい お前も書くんだよ!!!

17 20/11/04(水)21:28:21 No.743240357

Tips 「お祭りは中止」 6月22日、村の少女AとBが興宮署の刑事に補導された。 少女Aは21日深夜に少女Bに包丁を突きつけて家人を脅し連れ去った疑い。 通報を受けた警察は違法賭博の痕跡を認め家人を逮捕。 少女AとBは虚言で共謀したものとして補導された。 少女AとBには性的な行為が行われた痕があったという情報もあるが未確認。 村では一年に一度のお祭りが行われる予定だったが、事態を鑑みて中止となった。 少女AとBは厳重注意の後帰宅となった。なにかの痕を隠すためか、夏場だというのに厚着で首にはマフラーが巻かれていた。

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