虹裏img歴史資料館

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20/10/11(日)21:41:14 紫の竜... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1602420074633.png 20/10/11(日)21:41:14 No.736009477

紫の竜が光線を吐く その光は高い熱で塔の一部を容易く穿った。光の通り道でさえも熱気で汗をかくほどだった 紫の竜を止めるべく、剣で断つも、盾で防ぐも、決着には及ばない ジムチャレンジャーナンバーワンの少女とナンバーツーの少年が相棒を鼓舞する 一方、少女の兄は走っていた ナンバー3あるいは4の自分は行く必要ないんじゃないか。そう思って最初は動かなかった 気がついたらかわいい妹と親友が行ってしまっていて勇気を出して慌てて駆け出したのだ 彼が戦いの場に着いたちょうどそのとき、もう少女に竜の放つ光線が迫っていて…

1 20/10/11(日)21:41:51 No.736009768

「それでカキーンと御主人の胸ポケットから飛び出したワタシが防ぐんですよー!かっこいいですねー!」 「それが今日見た夢だって?如何にもポンコツAIが見そうな夢だけどさ……そもそもAIって夢見れるのか?」 現在、少年とスマホの中の少女はとある場所で人を待つ間、雑談をしている 「…………YourIちゃんは生まれたばかりのAIです。応援して下さいね☆お友達にも教えてあげて下さいね☆」 「おい誤魔化すな……ポリゴン2やっちゃえ。端末の中に入って、こいつにれいとうビーム」 端末が熱くなってきたしちょうど良いとばかりに少年はスマホを適当な場所に画面が見えるように立て掛けて置くと遠ざかり、ポケモンを少女に差し向けた

2 20/10/11(日)21:42:49 No.736010297

「きゃゃゃゃゃゃあ!!!」 光線は少女にかするような軌道で飛んでいった 彼は彼女の悲鳴を聞いて、最初は不安になったものの、彼女がピンピンとしていたから光線に当たらなかったのだと思い、気にしていなかった。しかし数分もしない内に少女が倒れたことで事態は急転する 急に倒れ伏して動かなくなった少女を心配をして彼は彼女の元に駆け出した 「御主人待つロト!危ないロト!」 少女の周囲は熱くなっていた。火傷してしまうような熱気に彼の相棒であるロトムが止めようとするが彼は止まらない 「大丈夫か!?」 「うう……これは……まずいかも……当たったのに気づかないなんて漫画みたいなこと本当に……」 「……なあ、最期に言いたいこととかお願いとかあるか?」

3 20/10/11(日)21:43:24 No.736010593

「うん…………あるよ…………ワタシの願いは…………ウイルスバスターソフトを…………切って……」 その言葉を聞いた瞬間、彼の喜んだような顔は苦い顔に変わる 「断る。ちぃっ、ついに消えると思ったのにただの茶番か。というか周りを熱くするほどスマホを熱くするな」 そんな彼の言葉に続いてどうせ茶番だから止めたのにとロトムが小言を言う その小言よりも小さく、けれど妙に聞き取りやすい声で少女はぶつくさと喋った 「酷い……心配してくれたと思ってとっても嬉しかったのに……」 「はいはい。それよりちょっとホップに電話してくれ。アイツ遅いな……もう三時間もここで待ってるけど何かあったのかな」 「分かりましたぁ。えーっと……あ゛っ!…………六時間前にメールが…………件名は…………申し訳ないけど予定が入ったからまた今度に。お互い忙しいだろうから会うタイミングは調節…………」 自分は何でこいつにメールチェックを任せていたんだろう

4 20/10/11(日)21:43:59 No.736010937

彼はそう言って、取り返しのつかない判断をした自分を責め、彼はあまりの後悔と悲しみで泣いた。 三週間後、彼はホップと顔を合わせていた。 「互いに色々忙しかったから随分と久しぶりだな!」 「そうだなホップ。ホント忙しかったからなあ……」 「な、なあもしかして……オレを怒ってるか?」 「?何でお前を怒らなきゃいけないんだ。お前はやるべきことをやっただろ?許されないのはやるべきことをやれていなかった……」 「と、ところでさっきオレが来る前に誰かと喋ってなかったか?」 「ああ、それは気のせいだよ」

5 20/10/11(日)21:44:31 No.736011215

流石にこんな格好のAIと喋ってたことを親友に言うわけにはいかない。彼は誤魔化すことにした。ぶるぶるとスマホが震えるが無視して彼はホップに質問をする 「最近あんま眠れなくてさあ……なんか良い方法ないか?」 「お医者さんに相談するのが一番だと思うぞ!」 「いやまあそれはそうだけどさあ……悪夢のせいで寝れないんだよ。しかも起きても悪夢見てたことは覚えててもどんな悪夢だったかは思い出せないの。こんな子供みたいな話を医者に言えない……」 「別に恥ずかしいことじゃないと思うけど……オレからアドバイスする前に何か自分で試してることが無いか聞きたいぞ!それに合った提案が出来るかもしれないからな」 「わかった。えーと今やってるのは寝る前に今日起きた良いことを誰かと話すんだ。そうすると悪夢になりにくいらしいんだ」 俺の場合は一人だから自分を客観的に見る自分のきょうだいのような自分を作って話すんだけどな。ホップと違ってきょうだいはいないからほんとに想像上だけれど。と震えが強くなるスマホを無視して話を続ける

6 20/10/11(日)21:46:07 No.736012024

心の中できょうだいを作って会話するように独り言を呟いていると心が落ち着くんだよ。と補足説明をする その説明に対し、ホップは悩んだ顔をして…… 「リラックスしたいならもっとこう……例えばアロマとかそういうのが良いんじゃないか?」 「久しぶりに会えてどうだったロト?」 ホップと一緒にアロマを買いに行ってお開きになった帰り道、ロトムがスマホから飛び出して彼に話しかける。 「ああ……少しは気晴らしになったよ」 「……元気がないロトねぇ。最近いつもそうロト」 「ほぼ毎日悪夢だよ。元気がないのも仕方ないだろ?」

7 20/10/11(日)21:46:41 No.736012336

「確かにそうですねえ。毎日魘されてますけど本当に大丈夫ですか?御主人」 YourIも流石にこれにはふざけない。彼女も心配しているのだ 「ああ……心配してくれてありがとうロトムとYourI。実はさっきホップに少しだけ嘘ついたんだ。夢のこと実は少しだけ覚えているんだ。でその夢ではな。俺に妹がいるんだ」 「ご主人は一人っ子だからちょっと違うロトね」 「それでジムチャレンジャーベスト4にオレとホップとその妹とマリィが残るんだ。凄いだろ?ベスト4だぜ?まあオレはホップに負けてそのホップは妹に負けるんだが」 「バッジまだ集めきってない御主人にとっては文字通り夢のような話ですねえ」 「うるさい。で妹がチャンピオンと戦うってときになってドラゴンみたいな謎のポケモンが暴れてチャンピオンに妹とホップそれによく分からない四足歩行のポケモン二体がそのドラゴンを止めようとする……ここまでしか覚えていな……いや……思い出しそうだ……」

8 20/10/11(日)21:47:21 No.736012674

「そう、俺は動けなかった。ホップに負けたから。オレが行っても無駄だろうって少し不貞腐れてたんだ」 「妹とホップは良い感じの雰囲気になってたしそういう意味でも少々やっかんでたかもしれない」 「ようやく冷静になって行ったときはもう遅かったんだ。……そのときの俺は無邪気に間に合ったと勘違いしてたんだけどな」 「あのポケモン……ムゲンダイナの光線に妹が当たっていて……それから……」 「あの日のことは毎日夢に見る」 彼は人通りも少ない橋でロトムに語りかける。その語り口はまるで懺悔を請うような罪の告白だった

9 20/10/11(日)21:48:34 No.736013299

「え?あの日って実際に体験した話みたいに言うロト?そんなの知らないロト!御主人混乱してるロト!」 ロトム自身も混乱した様子で彼を落ち着けようとした。しかし遅かった 「ああ!全部、全部思い出したんだよ!俺がちゃんと最初からホップ達と一緒に行けば助けられたに違いないのに!」 狂乱した彼は頭をかかえてうずくまる 「これは許されない罪なんだ。だって今ここに再び俺がいることをチャンスだと思ってやり直そうにもここに妹はいない!やり直して救うなんて出来ない!」 「なんだこのふざけた服は!俺は記憶を無くして一時でも楽しんでたことさえ許せない!」 彼は着ていたプリントTシャツを投げ棄てる

10 20/10/11(日)21:49:10 No.736013601

「悪夢は続く。この罪は俺には耐えることが出来ないよ」 スマホと持っていたモンスターボールを橋に置いて彼は橋の手すりの上に立つ 「……みんな本当にごめん。今までありがとう。さようなら」 彼のポケモンたちはそれを止めることが出来なかった 落ちて水に落ちた身体は 熱さの中死んでいった妹とは違い 酷く冷たかった

11 20/10/11(日)21:50:41 No.736014380

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12 20/10/11(日)21:51:43 No.736014902

「わたしの分までお兄ちゃんも生きてほしい……この最期の願いいつになったら叶うんだろうなあ」 スマホの中である少女がいつまで経っても約束を果たしてくれない兄に対して呟いた。一緒にいるポケモンたちは哀しみにくれているためその呟きに気づかない 「……待っててね。次こそ……次こそは……お兄ちゃんを幸せにしてみせる」 彼のスマホの中からあるデータが消滅していく。いやそれは別世界への転送と言うべきか 「ぜったいに あなたを たすけるから」 ※おまけの話 奇数番目のレスだけ読むと0周目の話が読めるよ

13 <a href="mailto:s">20/10/11(日)21:58:56</a> [s] No.736018394

ごめんなさいレス番号的に言うなら奇数番目じゃなくて偶数番目ね… 0番目のレス→2番目のレス→4番目のレス…と読んでいくとはじまりの物語が読めるっていう仕掛けになってるわ

14 20/10/11(日)22:03:18 No.736020425

うおっすごい力作……

15 20/10/11(日)22:09:11 No.736023236

0周目が辛い…

16 20/10/11(日)22:10:29 No.736023865

おつらい…

17 20/10/11(日)22:16:30 No.736026942

おつらいけど投げ捨てられるでんせつでダメだった

18 20/10/11(日)22:17:59 No.736027652

>「?何でお前を怒らなきゃいけないんだ。お前はやるべきことをやっただろ?許されないのはやるべきことをやれていなかった……」 やるべきことをやれていなかったのが誰かが0周目とn周目で違うのね…

19 20/10/11(日)22:19:56 No.736028592

ああこの前のうぇぶあじの…

20 20/10/11(日)22:21:56 No.736029597

妹が死んだ時点でやり直しならどうやっても救いはなくない?

21 20/10/11(日)22:23:17 No.736030228

妹の分まで生きて幸せになる…なんてお兄ちゃんにとって決して辿り着き得ない結論なので何度繰り返してもそうはならないんだね…

22 20/10/11(日)22:23:53 No.736030517

スッゴいこじらせそう

23 20/10/11(日)22:24:17 No.736030697

このままだとbuzzyのbe somewhereじゃなくて鯨になっちゃう…

24 <a href="mailto:s">20/10/11(日)22:30:04</a> [s] No.736033555

兄が死ぬタイミングや死に方は違くてもループの度に兄は思い出して死にます バッジ集めの途中で死ぬことはわりとレアケースで一番多いのはムゲンダイナと出会って思い出して半狂乱で突撃して相討ちもしくは妹と同じ死に方です レス削除挟んでるせいで最後のレスも偶数番目になってしまっていますがこれは0周目じゃないですすいません webmのときは続き作る気無いと言いましたが出たかった大会に予定のせいで出られなくて悲しかったので怪文書を書きました 逆再生群像劇怪文書書いたときと同じ理由ですね

25 20/10/11(日)22:36:29 No.736036717

>逆再生群像劇怪文書書いたときと同じ理由ですね おまえかー!

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