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20/09/27(日)22:16:43 No.731784414
・前書いたやつの続きです。その予定はなかったけど続き思いついたので ・レッドに同居してる家族がいないという独自解釈前提です 前回のあらすじ 一人暮らしが長くて寂しいレッド 両親が長期出張で寂しいブルー レッドの家で同棲始めました
1 20/09/27(日)22:17:12 No.731784638
トレーニングを終えて自宅への帰路につくレッド。 以前はなにも思わなかった。誰もいない家に帰るだけだから。 でも今は違う。帰りを待ってくれてる人がいる。 そう思うとレッドの足取りが軽くなっていく。自然に鼻歌まで出てくる。 手にはケーキの入った紙箱がある。 一人暮らししてた時には買って帰るなんて思いもしなかったが、同居人が喜ぶのならと思いついて買ってみた。 普段そういった店に行ったこともないので正直緊張したがまあいい。 そんなことを考えているともう自宅に着いた。 前は真っ暗だった窓も今は内側の照明に照らされて光っている。 そのことに嬉しさを感じつつ、レッドは玄関に足を運ぶ。 と、レッドが手を伸ばすより先に玄関のドアが開いた。 「あ、レッド」 「おうブルー」 ドアを開いたのは同居人であるブルーだった。
2 20/09/27(日)22:18:05 No.731785011
「どうした?これから出かけるのか?」 「そうじゃないわ。ただそろそろレッドが帰って来るころかなって見に来ただけ」 「ならちょうどいいタイミングだったな」 と、ブルーの視線がレッドの手元に行く。 「ああ、ケーキ買って来たんだよ。ブルーが好きかなって思って」 レッドが紙箱をブルーに渡すと、彼女は早速蓋を開ける。 中にあるモンブランとチーズケーキを見て彼女は青い目を輝かせる。 「ありがとレッド!両方ともアタシ好みじゃない!アタシが両方食べていい!?」 「いいわけないだろ。片方はオレの分だよ…」 「えーケチ」 「居候のブルーが図々しんだよ」 「毎日あなたに美味しいご飯作ったり服を洗濯してるのは誰かしら?」 「…ブルーちゃんです」 「まあ冗談よ。あとで一緒に食べましょ」 くだらないやりとり。だがレッドはこうする相手がいるという今が嬉しかった。
3 20/09/27(日)22:18:24 No.731785143
そう思いつつ玄関を通って家に入ろうとすると、ブルーはレッドに眩いほどの笑顔を見せて、 「おかえり、レッド」 「ただいま、ブルー」 レッドも同じくらい眩しい笑顔で答える。 これが今の2人の日常だった。
4 20/09/27(日)22:19:21 No.731785550
夕食後、2人はソファーに隣り合って座りケーキを食べていた。 それなりに腹は膨れたはずだが、どうやらケーキは別腹というのは男女共通の概念らしく食欲は全く衰えなかった。 「美味しいー!いいチョイスじゃないレッド!」 「そんなに喜んでくれたなら買って来た甲斐があったよ」 「じゃあ毎日買って来てもいいのよ?」 「まあ考えとくよ」 そう言いつつ笑い合う。 ブルーはモンブランを口に運び、そのたびに喜びを増していく。 そんなに美味しそうにされるとそっちの方がよかったかなとレッドはチーズケーキを口にしながら思う。別にこちらも美味しいのだが。
5 20/09/27(日)22:20:17 No.731785909
「レッドもこっち食べる?」 「いいのか?」 「ええ。食べたそうにしてるし」 「そんなにわかりやすいのかオレって…」 軽くショックを受けるレッド。 「レッドとは付き合い長いからすぐわかるわよ」 と言いつつ、ブルーはモンブランをフォークで切り分けて、一切れをフォークに刺してレッドに向けてきた。 「はい、あーん」 ブルーに笑顔でフォークを突きつけられて、レッドは動揺する。 「いや…、自分でとるから…」 レッドがそういうと、ブルーは目を潤ませた。 「酷いわ…。ケーキ買ってきてくれたレッドに少しでも恩返ししようと思ってたのに…」 悲しげに目元を拭いつつ言うブルーの姿にレッドは罪悪感を覚え始める。
6 20/09/27(日)22:20:37 No.731786040
「悪かった!悪かったから!ちゃんとあーんされるから泣かないでくれよ!」 「あら、そうなの?」 レッドが弁解するとブルーはあっさりと切り替えてきた。 また嘘泣きに騙されたが、言ってしまったものは仕方ないので観念してレッドは口を開けてケーキを食べさせられる。 口の中でケーキの甘みと柔らかさを味わう。 「うん、美味いよ」 「でしょ?」 なぜか得意げになってるブルーを見てレッドはあることを思いついた。
7 20/09/27(日)22:21:04 No.731786226
「じゃあ次は…」 「じゃあ次はレッドがアタシに食べさせてね」 「先に言われた!?」 「レッドとは付き合い長いからすぐわかるって言ったでしょ?」 オホホと軽く笑うブルーに敗北感を覚えるが、気を取り直してチーズケーキを切り分けてフォークに刺してブルーに向ける。 「あ、あーん…」 「あーん」 なんとなく言ったセリフを復唱されてレッドは恥ずかしくなった。 緊張で手が震えつつもブルーの口にケーキを運ぶ。 ぱくりとブルーがケーキを口にする。 「うん、こっちも美味しい!」 「お、おう」 ブルーの笑顔が可愛く見えてしまい、レッドは思わず赤面する。
8 20/09/27(日)22:21:25 No.731786353
それを察したのかブルーの笑みが意地の悪い形に変わり、レッドの頬を突く。 「なに照れてるのー?」 「いや、ブルーが可愛くてつい…」 正直に本音を話す。 「オホホ。ありが、と……」 ブルーは調子に乗って笑ったが、途中で顔を赤くしてレッドから目を背けた。 「…そっちこそ照れてるじゃないか」 「…レッドがストレートすぎるからよ」 互いに照れてしまう。が、途中からどちらともなく笑いが溢れる。 「なあブルー」 「何?」 「楽しいよ、オレ」 「うん、アタシも」 1人では絶対に得られない誰かとの会話。 そうしたことで得られる温もりがレッドの心に喜びと楽しさを与えてくれていた。
9 20/09/27(日)22:21:55 No.731786565
「じゃあ、おやすみ」 「おう、おやすみ」 ブルーを寝室に送るとレッドは物置に入った。 物置といってもそこまで物は無いため人が寝るスペースくらいは充分にある。 布団を広げてそこに入って眠りにつくのが最近のレッドの1日の終わりだ。 ベッドよりは寝心地は落ちるが野宿とは比べるまでもない。 寝室で一緒に寝ればいいという初日のブルーの提案は丁重に断った。 正直心惹かれるものもあるが、我慢できる自信がない。 レッドはこれ以上ブルーとの関係を進めることには躊躇していた。
10 20/09/27(日)22:22:25 No.731786766
確かにブルーは魅力的な女性だ。一緒にいて楽しいし容姿もいい。 だが今のレッドにとってはブルーは大事な友人で仲間ではあるが、それ以前に仮の同居人だ。 いつこの生活が終わるかわからない。 親密になりすぎると別れが辛くなる。 拒絶されると今の暮らしが辛くなる。 そうした思いがレッドにブルーと距離を変化させることを拒ませていた。 ブルーはどう思ってるのだろうか。 少なくとも同居を了承し、家事を引き受けてくれてる程度には好かれてる。 昔は利用されたり成り行きで共に行動するだけだったが今は信頼し合える仲間ではある。
11 20/09/27(日)22:22:49 No.731786943
その気になればいつでもお互いの寝床には行ける。 しかしどちらもそうしようとはしない。 お互いの考えが一致してるのか。 それともすれ違ってるのか。 確かめることすらも躊躇ってしまう。 慣れない悩みに頭を使い、それに疲れたところでレッドは睡魔に負けて眠りにつく。 それもまた最近の日常であった。
12 20/09/27(日)22:23:14 No.731787126
「起きて…。起きて」 聞き慣れた声がレッドの耳に入る。 重い瞼をこじ開けて軽い布団を押しのけて上半身を起こす。 と、見慣れたエプロン姿のブルーが目に入った。 「おはようレッド」 「…うん。おはようブルー」 窓から差し込む日の光が彼女を照らし出す。 最近のレッドが毎朝最初に見るのがこの光景だ。 その度に思うが、似合う。 単にほぼいつもの服装なのに帽子がなくエプロンをつけただけなのだが、この姿で家事を行うと考えるとそれだけで特別感がある。 昔どころか最近まで想像もしなかったが、案外こういった姿もブルーに似合う。 それも自分のために家事をしようとしてこの姿になっていることにレッドは満足感を覚えていた。 「ほらあんまりエプロン姿に見惚れてないで早く起きて」 バレてた。
13 20/09/27(日)22:23:42 No.731787341
「今日はオーキド博士のお手伝い?」 「ああ、資料の片付け手伝ってほしいんだって」 朝食をとりつつ今日の予定を確認し合う。 「アタシも手伝いに行った方がいい?」 ブルーはそう言うと玉子焼きを口にする。 「いや、ただの片付けだから力仕事だろうしいいよ」 味噌汁を飲むとレッドが返答した。 「そう?」 「それよりブルーには洗濯任せたいかな」 「そうね。ウブなレッドには無理よね」 「……はい」 反論できず、レッドは白米をかき込んだ。 過去にレッドも洗濯を手伝おうとしたことはある。 だがブルーの女物の服や下着を前にするとそれに触れていいか葛藤してしまい、 見かねたのか恥ずかしくなったのか複雑な顔をしたブルーに追い出された。
14 20/09/27(日)22:24:09 No.731787526
ブルーは父親ので慣れてるからとレッドの服や下着を平気で触れるのに。 その上それからしばらくはブルーがどんな下着を着ているか気になってしまった。 なので現在では洗濯はブルー1人でやるようになっていた。 「いつもすまない…」 「しょうがないわよ。アタシがやっておくからレッドは自分のやる事をやってこればいいわ」 優しい目をしてブルーにそう言われてレッドはますます罪悪感に苛まれた。 こういう時にはあまりからかわない優しさが心に痛い。
15 20/09/27(日)22:24:30 No.731787664
「じゃあ行ってくるよ」 「あ、ちょっと待って」 玄関。出かけようとするレッドをブルーは呼び止めた。 レッドが足を止めるとブルーは彼の髪を整える。 「寝癖、ついてるわよ」 「あ、ありがとう」 レッドが礼を言うとブルーは彼の頭を帽子の上からポンポンと軽く叩く。 「じゃあ、行ってらっしゃい」 「ああ、行ってきます」 笑顔で言い合うとレッドは今度こそ玄関を出た。 背中に感じるブルーの視線を心地よく思いながら。
16 20/09/27(日)22:24:51 No.731787794
今日もまたレッドは上機嫌で帰途に着いていた。 手にはまたケーキの入った紙箱がある。 これを見たらブルーはどういう反応をするか。 また喜んでくれるだろうか。 それとももういいと呆れるだろうか。 そう考えながら歩いてるともう自宅に着いた。 玄関のドアを開くと誰もいないがブルーの小さな靴はあるので彼女が家にいるのはわかった。 リビングに行くとソファーに座るブルーの姿が見えた。 「ただいま、ブルー」 「……ああ、おかえり。レッド」 振り返って返答するブルー。だが、笑ってはいるもののどこか表情に力がないように見える。
17 20/09/27(日)22:25:15 No.731787971
「どうかしたか?なんか元気ないようだけど」 「ああ、うん……」 レッドはブルーの隣に座って話を聞こうとする。 「パパとママがね。あと何日かしたら帰ってくるって」 いつか来るとは思っていたが、来てしまった。 この生活の終わりへのカウントダウンの始まりが。 「良かったじゃないか。正直寂しいけどブルーが家族と暮らせるならそれが1番だ」 「……うん」 そう言うのが精一杯で、その時に自分がどんな顔をしていたかはレッドにもわからなかった。
18 20/09/27(日)22:25:37 No.731788146
それからも同居は続いた。 この生活はブルーの両親が帰ってくるまでの間で帰って来たらブルーは彼女の自宅に帰って終わり。 2人で話し合ってそう決めていた。 あの日からは出来る限り一緒にいたくて極力1人での外出を控えていた。 前のように冗談を言ったりからかったりして笑い合ってはいた。 だが、どうしてもこの生活が終わる日が近いことを意識してしまう。 そのせいでレッドは心から笑えないでいた。 多分、ブルーも。
19 20/09/27(日)22:26:22 No.731788456
ブルーの両親が帰ってくる前日の夜。 物置で布団に包まれたレッドが寝息を立てていた。 だが、ドアが音も立てずに開いていく。 人影が音を殺してゆっくりと物置に入っていく。 そしてレッドに近づいて手を伸ばし、 「ブルーか?」 レッドの声が予想外だったようでその手が止まった。 「起きてたの?」 「寝てたよ。でも誰かが忍び寄る気配を感じたら起きるように鍛えてるからな」 布団ごと上半身を起こしてレッドは答える。 明かりを消した部屋だが目が暗さに慣れてるため充分見える。 予想通り侵入した人影はブルーだった。 「…アタシの潜入能力も錆びついたかしら」 「そういう能力使う必要なかったってことだろ。いいことだよ」 そうねとブルーは同意しつつ布団の近くにしゃがみ込む。
20 20/09/27(日)22:26:46 No.731788617
「こんな時間にどうした?」 「うん……。レッドにお願いがあって」 少し言い淀んだ後、ブルーは言った。 「アタシと一緒に寝てくれない?」 レッドは目を見開いた。 「…添い寝だけよ?」 「あ、うんうん。わかってる」 ブルーに半目を向けられてレッドは返答するも目が泳いでいた。 「レッドのすけべ」 「……はい」 レッドはがっくりと項垂れた。 まあいいわとブルーは気を取り直して続ける。 「明日にはアタシ帰っちゃうけど、そう思うともうちょっと話したくなっちゃって」 「え…」 レッドはドキリとした。
21 20/09/27(日)22:27:24 No.731788854
「別に会おうと思ったらいつでも会えるんだけど、一緒に暮らすのが終わりって思っちゃうとなんだか寂しくて」 「…うん。オレも寂しいよ」 レッドがそう同意すると、ブルーが布団の中に入り込んだ。 まだそこまでは同意してないけどまあいいやと思い直す。 自分から行くのは躊躇していたが、ブルーから来たというのとただ会話するだけというのがレッドの心理的ハードルを下げていた。 狭い布団の中で並びあって横たわる。 レッドとブルーは互いに背中を向け合ってる。 「こっち見ないの?」 「それは恥ずかしいよ…」 「そうね…」 あははとお互い笑う。
22 20/09/27(日)22:28:02 No.731789116
「昔はブルーとこういうことになるなんて思ってなかったなあ」 「ちょっとはこんなことしたいって思ってたでしょ?あの頃のレッドは女の子見たら口説きたがってたから」 「ああそうかも…」 そこでレッドは違和感を覚える。 ブルーと知り合った頃にはそこまで女の子口説いてなかったはずだ。 「どこでオレのそういう情報を…」 「知らないわよ。単にカマかけただけ」 「あーちょっと安心した…」 オホホと笑い声が背後から聞こえる。 が、それも今のレッドには心地よかった。
23 20/09/27(日)22:28:19 No.731789234
その後も話は続いた。 1人で旅をしていた時の思い出。 仲間が出来てからの思い出。 食べ物の好み程度の話もした。 でももっと話がしたい。 ブルーともっとこうしていたい。 だから思いつく限りの話題を出し、 ブルーの話にも相槌を打っていた。 眠りに落ちるまで2人はそうしていた。
24 20/09/27(日)22:28:41 No.731789404
「じゃ、またね」 「ああ、またな」 次の日、ブルーを彼女の自宅に送り届けるとレッドは帰宅した。 別れ自体はあっさりといていたが、あまり時間をかけると辛くなるからこれでいいとレッドは思う。 「ただいま…、って誰もいないか」 つい癖で言ってしまった。 今日からレッドの家に住むのは1人だけ。 以前に戻るだけだ。 ブルーは両親と暮らす。 これも以前の通り。 そう思い直してレッドはトレーニングに出かけた。
25 20/09/27(日)22:29:01 No.731789538
足取りが重い。 レッドは陰鬱な気持ちでトレーニング後の帰途についていた。 何も持っていない手は力なくぶらぶらと揺れている。 今日はトレーニングに集中できなかった。 無駄に時間を費やしてしまった。 その理由は明白だ。 ブルーがいなくなって寂しいのだ。 覚悟はしていたつもりだった。 前の生活に戻るだけだから。 だがここまでの心の痛みになるとは。 そう考えてる間に明かりの消えた自宅にたどり着く。
26 20/09/27(日)22:29:37 No.731789797
玄関の鍵を開けてドアを潜ると暗闇が広がっていた。 レッドはその闇に少し恐怖を覚えるが中に入って明かりをつける。 そうすれば見慣れた家の廊下だ。 安心してリビングに足を運ぶ。 「ただいま…」 またつい言ってしまうが、当然リビングには誰もいない。 明かりがついてるのに部屋が暗く感じてしまう。 何をやってるんだオレは、とため息をついてレッドは夕食をとることにした。
27 20/09/27(日)22:29:57 No.731789954
その夜、レッドは久しぶりに寝室のベッドに入って眠りにつこうとしていた。 ベッドから匂いがする。 ブルーからしていた匂いだ。 ブルーがよく使うシャンプーがこういう匂いだったはずだ。 そう思うとレッドは否応なく実感する。 確かにブルーはここにいたのだと。 もうブルーはいないのだと。 単に彼女が帰宅しただけなのに。 会おうと思えばいつでも会えるのに。 レッドはまるで世界に1人取り残されたような孤独感に苛まれていた。 明日にはブルーに会いに行こう。 そう思ってレッドは目を閉じた。 なかなか眠れはしなかった。
28 20/09/27(日)22:31:02 No.731790432
翌朝、レッドは目を覚ました。 手元の時計を確認するといつもより遅い時間だった。 堕落した覚えはないがこうも調子が狂うとは。 もっとしっかりしないと、と思い直してレッドはベッドから出て朝食を取ろうと寝室を出た。 そしてリビングに行くと、そこには朝食が用意されていた。それも2人分。 バターの塗られた食パンやベーコンエッグ程度だが明らかに誰かが用意したものだ。 「あ、起きた?」 聞き慣れた声がした。 慌ててレッドはそちらを向く。 そこには見慣れたエプロン姿のブルーがいた。 「…………ブルー?」 会いたかった人がいる。 それが信じられなくてレッドは目を疑った。
29 20/09/27(日)22:32:44 No.731791095
「ええ。おはようレッド」 「おはよう……」 返事をするとレッドはゆっくりとブルーに近づく。 確かに彼女の匂いがした。 「どうせ寂しがってるだろうと思って、悪いけど上がらせてもらったわ」 「ああうん、ありがとう…」 この物言いも間違いなくブルーだ。 ブルーが目の前にいる。 ブルーが来てくれた。 ようやくそれが実感できてレッドは思わずブルーに抱きついた。 「ちょ、ちょっと!レッド!」 後先考えずに抱きついたためブルーの胸に顔を埋める格好になっていた。 それに気づくとブルーに怒られるかと思ったが、彼女はレッドの頭を抱きしめ返した。
30 20/09/27(日)22:33:56 No.731791612
「そんなに寂しかった?」 「…うん」 返事の声はレッドが自分で思ってたより弱々しかった。 口にするとレッドの心に留めていたものが溢れていく。 目から涙が溢れる。 「寂しかった…!ブルーがいなくなって、すごい寂しかったよ…!」 「うん、うん」 「自分の家なのに誰もいなくて、ひとりぼっちで…!」 レッドの頭に何かが落ちる感触がした。 そちらに目を向けるとブルーも泣いていた。 「アタシも、寂しかった…」 ブルーはレッドの頭をより強く抱きしめる。
31 20/09/27(日)22:34:13 No.731791739
「パパとママと久しぶりに会えて嬉しかった…!けど、レッドがいなくて寂しかったよ…!」 「オレも、ブルーに会いたかった…」 「アタシもレッドに会いたかった…」 2人は抱きしめ合い、涙を流しあった。
32 20/09/27(日)22:34:58 No.731792051
泣き終わった2人は朝食をとった後、ソファーに隣あって座っていた。 「ブルー、結婚しよう」 自然とレッドの口から言葉が出た。 「ブルーともう離れたくない。ずっとオレと一緒に暮らしてくれ」 「…はい。喜んで」 急な話だったが、ブルーにはあっさりと受け入れられてレッドは安堵した。 「あー、よかった…」 「こんな寂しがってるレッド見たら断れるわけないじゃない。アタシもレッドといたいしね」 レッドにもたれ掛かってブルーは答える。 レッドは少し迷ったがブルーの肩を抱く。 ブルーに頬にキスされてレッドの口元が緩む。
33 20/09/27(日)22:35:16 No.731792161
「よし!今から役所行って婚姻届もらうか!」 「急にぐいぐい来るわね…。でもうちのパパとママに挨拶する方が先じゃない?」 「じゃあそうするか!行くぞブルー!」 「あ、うん!」 ブルーの手を引いてレッドは立ち上がる。 彼女は確かにここにいる。 自分は1人じゃない。 彼女がずっと一緒にいてくれるから。 そう思うとレッドは自然と笑ってしまい、 ブルーも笑い返してくれた。
34 20/09/27(日)22:35:40 No.731792326
以上です 閲覧ありがとうございました
35 20/09/27(日)22:36:09 No.731792511
これで結婚してなかったの!?