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20/09/02(水)22:38:49 No.723944284
ここはロドスの基地の最下層の一室、一番最後にできた休憩室。 とりあえず余った家具とかを詰め込んだ部屋で、雑多で落ち着けないって人気が少ない場所なんだけど そこでグムはちょっとしたお食事処を開いているよ。 開店時間はグムが貿易所の仕事を終わらせて空いた時間の中で、大体、夜半から夜明けまで、 本当は色々作りたいんだけど、その時にある食材で作れるものを出すようにしてるんだ。 人が来るのかって?それが、意外と来るもんなんだよ! ほら、さっそくお客さんがやってきた―――。 ①ブレイズ dice1d1=1 (1)
1 20/09/02(水)22:39:00 No.723944352
① 酒、それと肴を。 ② 腹が減った。がっつりと。 ③ ちょいと小腹が空いたので夜食を。 ④ なにか甘いものはないかな? dice1d4=2 (2)
2 20/09/02(水)22:39:35 No.723944606
「ははっ!もっと声上げろ!」 けたたましい叫び声と共に灼熱が路地を撫でる。 「少し熱いかもしれませんよ?」 心配するような声色と共に爆風が路地を舐める。 どれほど重い装甲を身に纏おうがアーツによって生み出された獄炎の前にはなんの意味もない。 むしろ、その鎧が己を包み、焼き殺す枷となる。 まだ形を残した火が飛ぶ度に火の粉が舞い、人が散る。 その地獄のような有様でも、なんとかそれを耐え忍び、前へと進む敵がいる。 それを止めて、止めを刺すのが私の仕事。 ―――チェーンソーの唸り声が聞こえる?
3 20/09/02(水)22:40:18 No.723944891
戦闘終了。最後に残った敵を打ち倒したとき、私の肌には温いお湯のような汗が全身に浮かんでいた。 そしてその汗が気化して、私―――ブレイズの体質の都合上、さらに熱風を作り上げる。 早くロドスに帰ってシャワーを浴びたい。 そんなことを考えた時、ふと、一週間前の遠慮もない生温い風とは違う。 涼やかな風が私の髪を軽く持ち上げた――――もう、秋ね。 話変わって、帰投して、熱いシャワ―でひとっ風呂浴びて、深夜のロドス。 私はもうすっかり顔なじみのグムちゃんの深夜食堂にお邪魔する。 「グムちゃん!」 ① ちょっと早いけど秋っぽいものちょうだい! ② ちょっと遅いけど夏っぽいものちょうだい! dice1d2=2 (2)
4 20/09/02(水)22:43:39 No.723946126
今夜はブレイズがぐむぐむ深夜食堂のお客さんか
5 20/09/02(水)22:44:35 No.723946465
「ちょっと遅いけど、夏っぽいものをちょうだい!ガッツリめで!」 「はーい!わかったよ!ブレイズさんもお疲れー!」 緊急の出動ということもあり、夕ご飯も食べれないまま出撃して現場で簡単な栄養食。 それで日付が変わるまでひたすらに、戦って、戦って、そして今日も生きて帰ってきた。 本格的なお休みの前に武器の整備やら事後処理の書類やらを出してたらこの時間。 ロドスのなかはすっかり活気も収まり、みんなこれからさあ夜勤の一仕事ってところで 私はようやくあまりに遅すぎるって感じの本格的な夕食。 ハードな戦いの後の心地よい倦怠感と疲労感、そしてシャワーを浴びてもまだ火照る体は とにかくカロリーを求めてる。ああ、もう、とにかくガッツリ食べたい。 そんなところでグムちゃんが取り出したのは、黒い、ホースみたいな、うねうねと動くもの。
6 20/09/02(水)22:47:07 No.723947445
これは…うなぎ…?
7 20/09/02(水)22:47:32 No.723947593
グム食堂だ!
8 20/09/02(水)22:47:41 No.723947653
書き込みをした人によって削除されました
9 20/09/02(水)22:48:21 No.723947941
「え、うそ、ウナギなんてあるんだ!」 「うん!夏場に精をつけるならこれだ!ってマトイマルさんがお裾分けしてくれたのー!」 ヴィクトリアの故郷にいたころ、よくぶつぎりでどろどろのスープに入ってたのが懐かしい。 私は結構好きだったんだけど、他の皆には評判悪くて、ACEなんかあのコワモテを 思いっきり顰めながら恐る恐るって感じで口に運んでたっけな………。 グムちゃんはマッターホルン直伝の手慣れた調子でウナギを綺麗に捌いていく。 頭に串を打ち付けトドメを刺したら、腹から裂いていく。 「今日は西式だよ!」 「なにそれ、東式もあるの?」
10 20/09/02(水)22:50:07 No.723948636
グム食堂だけど所々えっちな香りを感じる
11 20/09/02(水)22:53:12 No.723949793
「うん!東式はお腹から裂いて、焼く前に蒸すの!」 「ああ、極東の料理法って奴ね、それじゃあ西式は?」 「焼いて出すの!」 「………じゃあ、東式のほうが手が込んでない?」 「うん、なんだけど、蒸さない分、じっくり焼くと香ばしくなるんだってー」 想像もつかない。ウナギって、こう……やっぱり焼くってのもわからない。 変わった料理法をするのね、極東の人たちって。 ちょっと時間がかかるから、これはサービス!と言いながらグムちゃんが 出してくれたサケをちびりちびりとやりながら、やっぱり極東式のピクルスをぱくり。 塩気が効いていて、滝のように汗をかいた後の体に染みわたる。 サケをちょいと煽れば、その塩気と米からくる甘さが馴染んで……ああ、思わずため息ができちゃう。 ちらりと見ればグムちゃんが火の前で真剣な表情でウナギの焼き具合を眺めている。 静かだけど、どこかちょっと張り詰めた時間の中、私はゆっくりと体を伸ばしてもう一度息をつく。
12 20/09/02(水)22:55:00 No.723950438
ゼリーにする発想の方がわからないよ…
13 20/09/02(水)22:57:30 No.723951366
「できたよ!」 <土用にはちょっと過ぎちゃった!夏の終わりのスタミナ!鰻丼!> ・鰻丼 炊き立ての柔らかな白米の上にどん!と乗ったウナギの焼き。 その上にはたっぷりと甘辛く仕立てられたソイソース風味のタレ。 ウナギは蒸さずに焼いただけの西式、噛めば小さくぱりっと音が響くほどに香ばしく その食欲そそる焦げがタレによく合って実に食欲をそそり、スタミナを満たしてくれる。 ちょっと下品だけど、このタレをたっぷりご飯に馴染ませて食べたいわ。 ・あつい緑茶 濃ゆい味に、これはさっぱりで嬉しい。
14 20/09/02(水)23:00:06 No.723952321
「本当は四角い重でやりたいんだけどねー」 「四角いの……?」 やっぱり極東の人の考えはちょっとわからないけど…… それでも、このウナギドンは、凄まじく美味しそうに見える。 焼き立てでぱちぱちと皮を爆ぜさせているウナギ、それにタレを多めにかければ これまた「じゅっ」と絶対美味しい音が響いて、ウナギを伝ってその下の白米にそれが染みわたる。 グムちゃんが重そうに差し出してきた丼を受け取ればずしりとした重さが確かにあって―――。 「いただきます!」
15 20/09/02(水)23:04:47 No.723954122
お箸を握ってまずはご飯の上に乗ったウナギを崩す。 一瞬白い断面が見えたかと思えば、すぐにタレが垂れて茶に染まる。 蘇ってきた食欲が私の本能を後押しして、その丼を掴み上げ、口元へと運ばせる。 まずは一口―――焼き魚ほど硬くはなく、だからと言って骨がないほど柔らかくはない絶妙な焼き具合。 香ばしい風味が一気に鼻に抜けて、脂という旨味が口の中に溢れ出す。 そのたった一口で全身に力が漲るような感覚を感じて、思い切り口の中に白米ごとウナギを押し込めば、 塩気の強いそれと調和するかのようなソイソースベースの甘辛いタレが主張する。 あ、これ絶対ご飯に合う、これだけでもご飯にかけて食べれば美味しい。 ちょっぴりそんなことを考えながら、一口だったはずが、一息に4分の1程度口の中に運んでしまっていて。 頬をハムスターのように膨らませて咀嚼する。
16 20/09/02(水)23:05:43 No.723954466
今年はうなぎ食わんかったな…
17 20/09/02(水)23:05:59 No.723954565
うな丼はたまにタレが本体かと錯覚するよね…
18 20/09/02(水)23:10:49 No.723956368
「……これ、美味しいわね!」 「だよね!グムも初めて食べた時すっごい驚いたー! 極東の人たちって夏場はみんなこれを食べて元気つけるんだってー!」 「へー!」 だから、ホシグマさんとかマトイマルちゃんはあんなに元気いっぱいなのかしらね。 思わず変なところで納得しかけて、極東ピクルスを一口、そして濃いめに入れられた緑茶を啜る。 火照ったところに熱いお茶というのも逆に体を落ち着かせてくれていいかもね。 そうして口の中があっさりしたところで、またウナギ!
19 20/09/02(水)23:13:15 No.723957291
「でも、ブレイズさん、なんで急に夏っぽいものを?」 「ええ?ああ……うん、今年の夏もドタバタしてたし シエスタのときも留守番だったからさ、夏っぽいことしてなかったなって」 「それで夏っぽいもの?」 「ええ……だから、やっぱり毎年一つくらい、季節の思い出がほしいかなって。 来年も来るからいいじゃないって思って怠けてたりすると、案外その「来年」が来ないもんだから。」 「……………。」 「あ、ごめん!湿っぽかったよね!」 最近どうにも、ちょっと、ナイーブになっている。 あんまり傷ついています!なんてポーズをとるべきじゃないってのはわかってるけど。 どうしても。どうしても。 「……なら、来年が来たら、必ずまた食べに来て?約束だからね!」
20 20/09/02(水)23:16:29 No.723958425
私がフォローをするよりも早く、グムちゃんが私の方を見ながら口を開く。 その言葉が出る一瞬前、グムちゃんの表情がいつもの天真爛漫なそれではなかったのは もちろんわかった。でも、それを言うときはそのいつもの顔だからこそ―――。 「わかったわ、必ず、来年も、ウナギドンを食べにくる。」 「約束だからね!」 私も、いつもの調子の笑顔で、軽い調子で、本気の約束をする。 そう、そうだよね、残されたら誰だって辛いんだもの。 だから、私は来年も、ここでウナギドンを食べようと、心から思うのだった。
21 20/09/02(水)23:17:38 No.723958807
お粗末様でした。 ブレイズはスキル3使うたびに心停止寸前まで行く前のめりっぷりが好きだけど無理しないでほしいと思う 今年は僕もウナギを食べそびれたのでここで供養させていただきます 次回は日曜日予定、まだ最終回じゃなくて二人か三人くらいは書きたいなってキャラがいます
22 20/09/02(水)23:20:26 No.723959820
お疲れ しんみりしちまった…
23 20/09/02(水)23:21:36 No.723960261
お疲れ様です こういうのもいい…