虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

1 20/08/30(日)22:43:39 No.723091328

だがリベンジは果たせなかった……だったらこの悔いは「次に勝つために努力」して振り払う。目の前に立つ女……ユウリと、そのお供が言っていたように。かつて振り払い方を、僕は間違えた。もう二度と間違えない。コートから去って、アラベスクに戻った僕は、すぐに先代と共に訓練に励んだ……次こそ、勝つ。そして、今度は認められて、あのコートに立ちたい。 そのためなら、どんなことも努力だと思わない。僕は、やり遂げてみせる。 それからジムチャレンジは終わり……あの女が、チャンピオンになった……正直に言うと僕は……というより、ほとんどの人が無理だと思ってた勝負を、最後まで、諦めずに力を尽くして……覆した。

2 20/08/30(日)22:44:04 No.723091532

驚愕と歓声の中……僕はいつの間にか、血が滲みそうになる勢いで、拳を握りしめていた。少しずつ、解く……委員長から推薦を貰ってしばらくは、周りの人間が全て劣っているように見えていた……今思えばただただ、恥でしかない。その時期にチャンピオンと戦い、お互いまだ未熟だったのもあるが……僕が勝った。 だが、一度だけだ。今更誇っても惨めなだけ……その後に打ちのめされ、完全に差を付けられたのだから。 なら、越えるだけだ。二年間はマイナーで過ごすが構わない。実力を付け、三年目でメジャー昇格……四年目で、勝つ。誰のためでもない。自分のためにチャンピオンになる。理由なんて、単純だ。負け続けたまま終わるなんて、僕のプライドが許せない。それだけのこと。先代もそれでいいと言ってくれた。 自分の生きる道は定めた。後はやり遂げるんだ。

3 20/08/30(日)22:44:26 No.723091701

それから４年……苦しいこともあったが目標通り、トーナメントを勝ち上がり、皆に許されてコートの上に立つ僕を……チャンピオンは、黙って僕を見据える。ジムチャレンジの時から……眉間に皺を寄せなくなったが、何も変わってない目で。 「３年間、僕のいないトーナメントで安心していたでしょうが、その安らぎもここまでです。あなたに勝って、僕の生きる道を証明します！」 彼女が何を言ったかは、覚えてはいない。でも、かつて僕に向けられた突き刺し、抉り抜くような侮蔑も、徹底的に打ちのめしてやるという怒りも、無い。 それに僕は何処と無く安堵し……すぐに振り払った。挑むためにここまで来たんじゃない、勝ちに来たんだ。 位置について、同時にボールを投げ……自分はギャロップを、彼女は……ガラルの守護者、ザマゼンタを。 その威容にギャロップは後ずさるが……すぐに首を振り、僕を横目で見る。 やるよ、ギャロップ！僕達が勝つ日が来たんだ！！思いもせずに叫んだ僕に、ギャロップは前足を上げ、嘶きで応えた。

4 20/08/30(日)22:45:17 No.723092080

ただ……その意気込みも、勝負が始まれば何の強みにもならない。ザマゼンタを倒す頃には僕の手持ちは６体中……３体になっていた。あんな出鱈目な強さなポケモンをどうして……思わず妬んだが、すぐに自分を恥じる。チャンピオンは、かつての騒動を収束させ……ガラルの守護者に認められ、力を借りている。彼女はそれだけのことをした。それだけだ。 チャンピオンが倒れたザマゼンタに「よくやってくれました」と呟き、ボールに戻す。そこから考えた様子を見せ……繰り出したのはロズレイド。チャンピオンが長く苦楽を共にしたポケモンの一体には違いないが……もう一体特別なポケモンがいるだろ……何故出さない？ここまで考えると、急に怒りが込み上げる。 僕相手に、ムゲンダイナを出すまでも無いと！？荒げた声に、チャンピオンは首を横に振って、ゆっくりと口を開いた。 「あなたが相手なら、ここでムゲンダイナが倒れたほうがまずいと思ったからです……ここまで勝ち上がってきたトレーナーに、無策な訳がないでしょう」

5 20/08/30(日)22:45:46 No.723092286

その言葉に、大きく満たされた自分が居たが……すぐに振り払った。ザマゼンタを突破出来なかったトレーナーも多い。実況は、僕は健闘しているとまで言っている。 心のなかで、また勝てないのかと不安が過る。それだけじゃない、この先もずっと……違う！そんな事を思うのは先代にも、自分のポケモンにも、これまでに戦った相手にも、チャンピオンにも……無礼じゃないか。 僕はいい勝負をして、認められたいんじゃない！あなたに勝ちたいんだ！！吐き捨て、自分の頬を両手で叩き、呼吸を整え……次のボールを構える。 「だったら、引き摺り出す！その生ぬるい判断を一生後悔させてやります！！」 その瞬間に、チャンピオンの目は……今までの僕に向けてきたものに変わり、厳しく低い声音で、僕に応えた。 「ならば、やってみせなさい。」 びくりと、心臓が跳ね上がるのを僕は……唇を噛んで、必死に堪えた。

6 20/08/30(日)22:46:14 No.723092496

4年間力を尽くし、甘い考えや弱音を振り払い、鍛え続けてきたが、結果はまたしても……僕は負けた。ロズレイドを止められず後が無くなり……それでも終わってないと、キョダイマックスしたブリムオンでようやくロズレイドを打ち倒す。 チャンピオンは焦らない。次に繰り出したゴリランダーをキョダイマックスさせた。 その猛攻を、限界を越えて堪えたブリムオンが、相討ちに持ち込んだ。本当に頑張ったよ君は。と伝え、ブリムオンをボールに戻す……でも、僕は負けたのだ。 大歓声の中、チャンピオンは戦える手持ちがいると証明するために、ウソッキーを繰り出す。勝者はユウリ……４度目の防衛に成功。チャンピオンが歓声に応えている間に、考えたくもないことが頭を過る。 僕は、選ばれた人間……だと思う。才能もあった、努力だってした。途中までは上手く行っていた。過ちも犯したが、それからまた、人の情けがあったとはいえ登り直せた。それでも届かない怪物が、同じ時代にいた。それだけのことだ。 なんで僕は、あいつと同じ時代に生まれたんだ。呪いのような言葉が思い浮かぶ

7 20/08/30(日)22:46:36 No.723092647

結局、ムゲンダイナを引き摺り出せずに、チャンピオンの手持ちを3体しか倒せなかった。彼女を、マスタードやダンデをも越えた、ガラル史上最強のトレーナー……そうも言われている。この試合を後で知ると、世間ではむしろ、僕は相当な善戦をしたようだったようだが……慰めになんてしない。どうするかはもう決めている。 「来年もっと力をつけて……今度こそ、勝ってみせます！」 呪うような言葉は振り払え、甘くなる自分を許すな。僕のハートは絶対に折れも砕けもしない。傷だらけになってもヒビだらけでも、進んでいくんだ。 チャンピオンが僕の前に歩みでる。「ジムリーダー、ビート」それだけを言うと、ゆっくりと手を差し出した……戸惑いながら、握り返す。

8 20/08/30(日)22:47:12 No.723092884

「私も来年もまた勝てるように、力をつけます」 これが、僕が……最初で……多分最後に見る事になるだろう、彼女の穏やかな表情だった。

9 20/08/30(日)22:48:03 No.723093248

なんか勢いのまま書いたしせっかくだし供養するね……多分これでいいと思うんだよこれで……

10 20/08/30(日)22:52:18 No.723095111

ありがたい…これくらい強いのが理想のピンクだ…

11 20/08/30(日)22:55:16 No.723096369

でも来年終わったらお嬢退任するからこれ勝ち逃げされたといえばこうなるかもしれない……

12 20/08/30(日)22:58:48 No.723097890

お嬢の所限定にしなくても大体こんな感じに落ち着くんじゃないかな……たまにパープル出そうになるくらいで

13 20/08/30(日)23:07:05 No.723100936

バトルで分かりあった殴り合いの友情がお嬢とビートくんだよね

14 20/08/30(日)23:10:43 No.723102350

委員長に推薦貰えるようなやつだってお嬢は認めてるんだよね割と早くに でもそんな奴が負け惜しみは言うし必要以上に他人を貶した挙げ句に筋の通らないことをしたから完全にキレた

15 20/08/30(日)23:19:44 No.723105894

ビートの最大の不幸は主人公がいたことだと思うんだ……

16 20/08/30(日)23:23:52 No.723107417

アタシが死ぬ前に生まれられたんだからむしろ幸運だよ

17 20/08/30(日)23:25:07 No.723107849

でもバアさんビートより長生きしそうだし……

18 20/08/30(日)23:32:15 No.723110423

AZにゃんより素で長生きするよねあのババア

19 20/08/30(日)23:35:51 No.723111661

ビートがお嬢に勝てるとしたら多分１０年以上後にエキシビションでとかかな……いいのかなこれ……