虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

20/08/22(土)23:53:08 「―――吸... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1598107988909.jpg 20/08/22(土)23:53:08 No.720605031

「―――吸いたい」  それが早川アキの脳裏に響いた第一声であった。決して声にはださないその聲はその自他を含む体液にまみれた躯に響いている。 暗幕に近いカーテンで締め切られた窓からは灯や燈は見られず。盲の感触に響くは効きすぎた冷房の轟音と、汗で蒸れたシーツのなんともいえない湿り気。そして隣で眠る彼女の寝息だけが鋭く、否起き抜けの鈍い感性に響くのである。  昨夜の情事はさておき、まずは日本酒とビール、そしてかすかにレモンサワーの香りのする吐息を吐き出す女、姫野センパイを起こさずそっと起き上がろう。我が家のニトリで1万数千円のベッドスプリングと違い、身体全体が包み込まれるようなベッドの質感一つで先輩とアキとの生活の柄が数段違うというのがわかる。シーツをそっと解き、身を起こす。下着すら履いていない間抜けな姿であるがとにかく10mmのニコチンタール箱とライターが欲しくて仕方がなかった。ベッドサイドをまさぐるが見当たらない。

1 20/08/22(土)23:53:52 No.720605324

カーテンで締め括られた暗室めいた部屋から自分の上着をまさぐるほどの気力はアキにはなかった。とにかくこのドロドロの身体をどうにかしたい。あと喉の乾きを解決するその一心で壁伝いに歩く。  カウンターキッチンの混合栓を右いっぱいにひねり、シンクから無造作に取り出したアルコールの香りがきつく残るコップで水を一杯、続けて二杯と喉に流し込む。水道は貯水槽組み上げ式の高層マンション故。さして水は冷えてはいないが、アルコール漬けの大脳はいまだ曖昧だが小脳が目覚めていく。怪しかった均衡感覚が目覚め足取りがしっかりとして行くのが自分でもわかる。  思考は曖昧だが、とにかくこのベタついた不快感からは脱出したい。アキの小脳はそう命令する。骨髄が命令するのだ。ガラス張りになっているシャワールームの証明を手探りで開ける。暗黒の世界からぼんやりと浴室独特の暖色めいた灯りが灯る。 アキは静かに浴室の扉を開け、おもむろにシャワーのコックを撚る。最初は刺さるような冷水が、そして徐々にぬるま湯が流れて来るようになると、おもいっきり頭からシャワーを浴びる。体中の粘液たる粘液、汗という汗が流れていくその快楽はなんともいえない。

2 20/08/22(土)23:54:16 No.720605488

「ふぅ」 と思わず口から漏れるその瞬間―――自分ではない誰かがコックを閉める音が聞こえる。 「おはよ♪」 「おはよう…ございます」 クスクスと笑う彼女は眼帯が似合う。彼のバディであり。人生の先輩でもあり。時に無理に酒をつきあわされる身でもあり、アキにとって生きる意味であり。何より彼にタバコを教えた愛すべき女性。姫野、通称「姫パイ」だ。 「なーに朝から元気ないじゃん」「いや…おこしちゃいましたかな…と思って」 「そんなの気にしなくていいよ、たしかに頭ガンガン痛いけどさ。」  昨日姫野は生ビール飲み放題180分2980円をいいことにビールを12杯、その後河岸を替えて安居酒屋でレモンハイやら焼酎のロックをしこたま。そして家に帰ってきてからも冷蔵庫のエビスを数本、とにかく飲みまくっていた。人間が蓄えられる水分量じゃないはずだ、店に就く度、トイレに何回も言っていたのを覚えている。さして酔いも回らない程度に抑え半分シラフだったアキは介抱しながら自宅まで送ったのを覚えている。抑えたのにも理由がある泥酔したセンパイを誰が送るかといったら自分しかいないからだ。

3 20/08/22(土)23:55:00 No.720605755

「まぁまぁいいからとにかくシャワーだして、さっぱりしよ」「センパイが締めたんじゃないですか」「そう固いこといわないで」コックを再び撚ると微熱を帯びた温水がアキと姫野を包みこむ、姫野はアキに抱きつく形でシャワーを浴びる。排水溝からは姫野の長髪やらドロドロの体液などがゴボゴボといいながら流れていく。  しばらく抱き合い、朝の逢瀬をすませた所で。アキはふと気づく。姫野の股間からしたたり落ちる白い液体を。そうそれはアキの分身そのものであり、本来の生殖行為を行った代償である。  シャワー越しに頭の後ろから足の先まで電流が流れる。大脳が全てを思い出した。そう、己のした行為が。アキの脳裏にはしっかりと焼き付いていた。 「ああ、これ~アキ君も大胆だねぇ~コンビニまでいってゴム買い足す余裕もなかったんだ~♪」  そう、昨日あのままセンパイと繋がりあった。これはセンパイの家で飲む時の通過儀礼。儀式と化している。お互い明日の命もわからない鉄火場のような毎日を過ごしている中で自然とそういう仲になってしまった。これが恋人の関係なのか上司との関係なのかは早川アキ自身にもまだわかっていなかった。

4 20/08/22(土)23:56:14 No.720606251

しかし問題はそこではない、最初の数回は備え付けのゴムをつけて致した。当たり前の事だ、しかし、センパイの優しい口淫でアキ自身が靭やかさを取り戻した瞬間、サガミの箱が空である事を知る。知るのだ。  互いに酔いと高揚感で判断がつかない状態。抑えきれない衝動。アキは自然と姫野の身体へと重なるように抱きしめていた。 「いいにょ~アキきゅん。おいでぇ…」姫野は呂律の回らないやさしい口調でアキを迎え入れた。その後の事はよく覚えていない。しかし、事実はセンパイから滴り落ちている。 「スススス!スイマセン!俺…責任とりますから!!!」 急にハキハキとした口調でアキは姫野へ頭を下げる。 「へー責任とってくれるんだぁ…なにしてくれるのかなぁ…アキくん」 スポンジで身体をこすりながら姫野はニタニタしながら彼の話を聞く。 「責任…つまりその…俺、添い遂げます!センパイと添い遂げます!子供も養います!」  偶然の賜物だろうか、それはアキにとって。センパイへの初めての愛の告白であった。もちろん姫野にとってもである。

5 20/08/22(土)23:56:54 No.720606498

「それはうれしいねぇ~アタシ、アキくんのそういう真面目な所大好きだよ?でも本当に添い遂げてくれるの?産んじゃっていいのかな?」 ニタニタしながら姫野はそのボディソープまみれの右手でアキのつむじを撫でる 「産むって…産まないんですか…?」アキは呆然と聞いてきた 「まぁこういう時に備えてちゃんと薬あるし~デキないっしょ!緊張したでしょアキくん、かわいかったよ」 ニタニタする姫野に対しアキはちょっとムッとする顔をしていた。 「あら?怒ちゃったかな?でもさっきのアキくんの言葉、お姉さんほんとにうれしかったよ。上辺だけじゃないって分ったもん。ところでさ―――」  そのまま姫野はシャンプーでアキのつむじを洗う、なすがままにされるアキはまるで借りてきた猫のようだ。アキはボソボソと喋りだす。 「まず…センパイと籍入れて。俺が倍稼いで。センパイと子供が何不自由な暮らしていけるよう頑張って…」 「私は嫌だなぁそういうの」「えっ!?」アキの驚いた顔は彼の洗髪をする姫野には見えていない。

6 20/08/22(土)23:57:16 No.720606672

「まぁ子供は実家に預けるよね、私の家族も面倒見いいからさ、そしてデビルハンター続けるのって、持って産まれた才能みたいなもんだからね。そういう生活になるかなぁ、ほらアキくん目瞑って」 姫野は勢いよくアキの後頭部にシャワーをかける。泡がユニットバスの溝に滴っていき床へと広がっていく。 「それじゃあ子供がかわいそうですよ。それならオレが預かりますよオレが!」 ムキになったようにアキは姫野へ言葉を返した。 「へーじゃあ辞めちゃうんだ公安、アキ君銃の悪魔斃すんじゃなかったの?」  姫野はコックを外していたずらにアキの頬をプニプニと押す。 「それよりも…大事な事ができたら…かまけてられませんよ復讐なんて」  さっきまで寝ぼけ面だったアキの顔は張り詰めていて、真剣そのものといった様子だった。 「いいよーいいよーそんなに張り詰めなくても♪それより家庭に入るアキくんってなーんか想像できないなぁ」 「そんな事ないですよ、オレだって一通り家の事はできますし…育児はちょっと自身ないですけど」 「そういう生活って、世間じゃ”ヒモ”って呼ばれるんだよ。女に飼われる生活。それでもいいの?」

7 20/08/22(土)23:57:52 No.720606907

「主夫、主夫って読んでくださいよ!今増えてるみたいですよ。女性が稼いで男が家事と育児賄うってのが」 「へぇ、時代は変わるもんだねぇ…お姉さんちょっと時代遅れだからわからないかなぁ…まぁコドモの事は気にしなくていいよ。多分大丈夫だから」 「多分?」アキの声は上ずった。彼は無責任に精を放ったのだから。その行く末は決まっている。半分覚悟は決めていたのに”多分”とは? 浴室を二人で抜け出し、バスタオルで乱暴に体を乾かした後、姫野は窓を前回に開く。 ワッと襲いかかる日光に目を当てられながら彼女を見ているとなにやらスーツの胸ポケットを漁っている。仲から何やら透明なプアスチック製の小箱が光る。 「じゃーん、こういう時の為にピルがあるんですなぁ、すぐ飲めばまずデキないよ」 そういって彼女はベッドサイドにあった飲みさしのドイツだか何処だか産の珍しい瓶ビールを飲み干し薬を二錠口にほおりこんだ。 「ほら?これで大丈夫。ヒロくん心配しすぎだってー。そういう時の備え、私がしてない訳ないじゃん」 あっけらかんとする彼女にヒロはバスタオルを腰に巻き、頭をを抱えてベッドに座り込んだ。

8 20/08/22(土)23:58:14 No.720607049

「取越苦労って奴かいヒロくん、かわいいね。」「かわいいじゃ済まされませんよ」 「でもね、ヒロくん」「なんですか」 「―――わたし、ヒロくんの赤ちゃんなら産んであげてもいいかなって思ってる。だってヒロくんかわいいんだもん」 「かわいいとそういう仲はまた別でしょう…」 「もーそういう所で水刺さない!私位のいい女が産んであげるって言ってんだからもっと誇らしくしなさいよ!しっかりしろ私のかわいい後輩!」  そういって姫野はアキの背中をバシバシおもいっきり叩く。痛いはずなのにヒロにはそれがとても心地よく想えた。 「その時はちゃんとセキニンとりますからね」「よろしくおねがいしますね”アキくん”」  そう笑いながら姫野は下着を淡々と履き出した。アキもベッド周りに散らばるスーツやらトランクスをかき集め。いそいそと着始める。

9 20/08/22(土)23:58:30 No.720607139

書き込みをした人によって削除されました

10 <a href="mailto:姫アキいいよね…">20/08/22(土)23:59:35</a> [姫アキいいよね…] No.720607545

「そういえば朝がまだだったね。冷蔵庫の中にあるもので適当に済ませちゃうけど何かたべたい?」 「いつものサンドイッチでいいですよ。なんならトーストだけでもかまいません」 「物分りがよくてよろしい。ちょっとまっててね、すぐ作っちゃうから」  そして、二人はいつものように朝風がまだひんやりとしない夏のベランダでベランダでサンドイッチとコーヒーにありつきながらああでもないこうでもないと語り合う。  二人にとってもいつもの光景なのだが。一つ違う点は、二人の間に愛の結晶ができるという可能性。そしてそれに肯定的な姫野センパイの存在。  それは二人にとって刺激的な出来事であり何より。二人の中をさらに深める「祝福」でもあるのであった。「祝福」を受け入れる日は、きっと遠くない。二人の心はきっとそう重なっているはずである。

11 20/08/23(日)00:03:04 No.720608909

姫アキ最高!姫アキ最高! …どうして二人とも死んだ後にこんなものお出しするんですか

12 <a href="mailto:幽霊の悪魔">20/08/23(日)00:03:18</a> [幽霊の悪魔] No.720608997

姫アキいいよね...

13 20/08/23(日)00:04:42 No.720609581

いい…

14 20/08/23(日)00:07:30 No.720610738

まぁいいか!あの世でよろしくなぁ!

15 20/08/23(日)00:09:49 No.720611688

妄言に縋る…

16 20/08/23(日)00:12:26 No.720612724

長すぎる こわい

17 20/08/23(日)00:14:17 No.720613452

これ4千字くらいない?

18 20/08/23(日)00:14:35 No.720613579

まぁ両方故人なんですけどね!

19 20/08/23(日)00:16:51 No.720614497

チェの怪文書はじめてみた

20 20/08/23(日)00:17:27 No.720614737

ありがとう…

21 20/08/23(日)00:20:24 No.720615920

うわぁお

22 20/08/23(日)00:25:16 No.720617916

ありがたい...

23 20/08/23(日)00:34:26 No.720621408

ヒロくん?

24 20/08/23(日)00:36:30 No.720622195

おいタコ野郎混じってるぞ!?

25 20/08/23(日)00:46:35 No.720625674

1行目から乳首の話かと思ったら違った

↑Top