20/07/31(金)23:16:11 善逸恋... のスレッド詳細
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20/07/31(金)23:16:11 No.713608209
善逸恋愛キャンペーンの「」の死際の回想を書いていた為昨日はスレを立てれなかった月彦だ 本来なら「」の回想と善逸の回想の二種類書くつもりだったのだが「」の回想だけで物凄く時間がかかった上文章量も多くなったので「」の回想しか書けていない そして読み返すともう少し簡潔に要点だけ書いたら短くできたのではないかと後悔している…23レス分の過去回想だぞ!?長すぎるではないか!!!! もう少し校閲や文体の整理に時間をかけたかったがそんな事をしていたらいつまで経っても完成しないので今この時を締め切りとしもう投下してしまうことにした 拘り続ければいつまでも完成しないのでな よって書ききれなかった分は明日の分にするかコソコソダイス噺で設定を明かしていくことにした とりあえずこれから今できている分の過去回想を投下していく…全くダイス振ってないのでダイススレ?と疑問に思うかも知れないがそこは目を瞑れ瞑れないなら私自ら潰してやる感謝しろ ~無限城コソコソダイス噺~ 結局出番が無く死んだ善逸の兄弟子の獪岳 彼を殺した鬼は dice1d2=2 (2) 1六つ目で強さを追い求めている男の鬼 2善逸に恋い焦がれる女の鬼
1 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:17:49</a> [s] No.713608834
ここまでの「」振り返り 人間の頃の経歴 性別:女 年齢:15 身長:168cm 髪型:地毛白の金髪に染めたショートヘア 胸:お労しや 尻:普通や 備考:足を怪我しており食に関しての飢えを抱えている 背景:8歳の頃家族を鬼に殺されて鬼殺隊に 炎の呼吸の練度:5 鬼への殺意:117→24 鬼殺隊への忠誠心79 来歴:とある男の子と10歳の頃に出会い14歳の頃最終選別を受けた 日輪刀の色: 真っ赤な刀身の上に黄色が稲妻の様に走っている 人間関係:炎の呼吸の育手モブ(性格6教育能力83鬼への恨み62鬼殺隊への忠誠心57) とある金髪の男の子:過去に救われた 煉獄家:過去に因縁あり? 鬼としての経歴 鬼としての名前:啖帷破"くいは" 肉体:上弦級 鬼としての見た目:44(皮膚が継ぎ接ぎのようになっており様々な種類の鬼の紋様が浮かんでいる) 失われた記憶:35(自分が恋した男の子の顔) 血鬼術の脅威度:80 血鬼術の内容:食った相手の特性を継承する 無惨への忠誠度:90 鬼としての活躍:79 現在上弦の伍 ステータス ルックス89性格42体力17知力73筋力54俊敏16技巧18精神力42特異体質49
2 20/07/31(金)23:18:00 No.713608922
>結局出番が無く死んだ善逸の兄弟子の獪岳 >彼を殺した鬼は >dice1d2=2 (2) >2善逸に恋い焦がれる女の鬼 Oh…
3 20/07/31(金)23:19:23 No.713609470
多分調子に乗って善逸莫迦にしたら殺されたな…
4 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:22:22</a> [s] No.713610734
前回のラストだ >「──あっ」 >啖帷破はその雷鳴のような音に正気を取り戻したが遅かった >──雷の呼吸壱ノ型 霹靂一閃 >片足が無く血を撒き散らしながら放たれたその一撃は万全の態勢の時のものと比べると遅すぎるぐらいであった >だがしかし善逸が持つ残り全ての力を込めて放たれたその一閃は啖帷破の頸を寸分狂わず斬り落とした >「そん…な…私…負け…たの?」 >啖帷破は信じられないような目で己の身体と倒れ込む善逸の姿を眺めた >「いや…だ…」 >啖帷破は足掻く >「嫌だ…嫌だ嫌だ嫌だ!!!」 >まだ死にたくないと目の前の現実を否定する >「だって私はまだ…!」 >鬼はまだ果たしていない未練を残したまま死にたくないと己の過去を回想しだす… 今回はこの回想を連投していくぞ少し長いだろうが文句を言わず付き合うが良い
5 20/07/31(金)23:22:48 No.713610887
黒死牟相手だったら即土下座してどそ恥曝するからな
6 20/07/31(金)23:23:12 No.713611060
最期までお付き合いしますや「」彦さん…
7 20/07/31(金)23:23:16 No.713611076
>今回はこの回想を連投していくぞ少し長いだろうが文句を言わず付き合うが良い 覚悟は出来てるから存分にやってくれや月彦さん…
8 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:23:16</a> [s] No.713611085
──子供の頃からずっと私は空腹で仕方がなかった 「ごめんね「」今日もこれだけしか食べさせてあげられなくて」 お腹を空かせて苦しむ私に対して母はいつもそう言って謝っていた 「お母さんがもっとお金を稼げたらこんな思いをさせなくて済むのに…本当にごめんね」 毎日のようにそうやって苦しそうに謝ってくるものだから私は食事の時間が嫌いだった 本当は空腹で怒りたくて仕方が無かったけど、母の泣きそうなその顔を見るたびにそんな気持ちは消え去っていた 「大丈夫よお母さん…私は大丈夫だから」 そうやって私はいつも同じ言葉で母を慰めていた
9 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:24:12</a> [s] No.713611481
母が働きに家を出ている間私はいつも飢えを凌ぐために残飯を探して町を歩き回っていた 「おい見たかよあの子供」 「ああ、あの夫を鬼に喰われたと騒ぐ気狂いの…」 私を見かけた町の大人は決まって私の母のことを悪く言っていた 「鬼なんている訳ねぇのになぁ…あんな妄言を吐く女に育てられてあの子も可愛そうに…」 「ならお前があの女と結婚してやったらどうだ?そうすりゃ少しはまともな生活をさせてやれるぜ?」 「おい辞めておけよ…あまり大きな声では言えねぇがあの女が自分の夫を殺したのを鬼のせいにしてるってのがもっぱらの噂だぜ?もしお前も鬼のせいにしてあの女に殺されたらどうするよ?」 (鬼…鬼か…) 下卑た男達の根も葉もない悪口を耳にして私は考えていた 母は私の前で"鬼"なんて言葉を口にしたことがなかった それどころか私がまだ幼かった頃に死んだという父がどのように死んだのかすら私に教えようとはしていなかった いつも苦しいだろうに、悲しいだろうに、母は町の大人達が言う気の狂った言動は決してしていなかった きっと母の言うことは本当なのだろう 鬼は本当に存在していて鬼が私の父を殺したのだろう
10 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:26:34</a> [s] No.713612388
本当の事を言って誰にも信じてもらえなかったから、私に真実を伝えそれを信じた私までもを狂人扱いさせたくなかったから、真実を言って実の娘である私からも狂人扱いされたら耐えられないから、きっとそう言った理由から母は実の娘である私には鬼のことを何も伝えないのだろう (鬼…鬼が…鬼のせいで…!) だから私は母を苦しめている"鬼"の存在を強く恨むことにした 貧困も空腹も孤独さも全て鬼の仕業だと思い、怒ることで辛い日々を耐える事にした 側から見れば見たこともない化物に怒りの感情を燃やす私も母と同じく気狂いに見えるのだろうか だが、例えそうだとしても私の為に苦しんでいる母の気持ちに少しでも近づけると思うとなんだか少しだけ嬉しく思えるのだった
11 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:27:24</a> [s] No.713612706
母と一緒なら何も苦しくない、母は何も悪くない、全て鬼が悪いんだ 母と一緒なら空腹や孤独にも耐えられる、鬼なんて物が存在するから私達は苦しんでいるんだ、鬼のせいだ 鬼のせいだ鬼のせいだ鬼のせい鬼のせいだ全部全部全部全部!!!! ──全ての理不尽を鬼のせいにする私へ報復するかの様に、実際に鬼は私の元へ訪れた それは私が8歳の時だった その日は母の誕生日だった 私は残飯を漁り続けている内に手に入れた小銭を手に隣町まで母への贈り物を買いに出かけていた 母は自分の誕生日には決まって饅頭などのお菓子を買っては、誕生日でもない私にその殆どを食べさせてくれていた 私は少しでもそんな母に感謝の気持ちを示したくて、化粧品や嗜好品をあまり持たない母に簪をあげるつもりだった 私が家に戻ったのは日が沈んでからだった 私は母が喜ぶ姿が見たくて仕方が無かった 「ただいま──」 しかし家の戸を開いた私を出迎えたのは母の声ではなく、真っ赤に染まった部屋とそこに佇む一匹の角を生やした醜い生き物の歓喜の声だった 私が怒りをぶつけてきた鬼という想像の中の存在が、現実に現れたのだ
12 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:28:02</a> [s] No.713612943
「あぁ?き…ふひひ…くひひ…けっへへへ!!食いもんが向こうからやってきた!嬉しいなぁ…今度は美味そうだなぁ…」 その醜い生き物は嬉しそうに私を見ていた 「さっきの女は肉が少なくて食いにくいかったからなぁ…それに比べてお前はまだマシだ食える場所も多そうだ」 目の前の化物の言葉に私は混乱した 「どういう…こと…お母さんは…?」 震える身体を抑えながら私は必死に言葉を絞り出した 目の前に広がる惨状と化物の言った言葉から何が起きたのかは薄らと理解していた だがしかしそれでも私はその予想を信じたくなかった 母が死んだと思いたくなかった そうだ、きっとこの家に空き巣に入った他の誰か偶然喰われただけで母はきっと無事だ、そうに違いない、そう思いたかった だがしかし化物の口から出た言葉は残酷にも私の縋るような思いを打ちのめした 「食ったよぉ…!"「」を奪わないで!""食うなら私だけにして"って騒ぐから望み通りになぁ…!き…くひひ…けっひひひ…!」 その言葉に私は絶望し、怒り、目の前の嗤う化物を殺そうと襲いかかった まるでこれまでの人生で味わってきた全ての理不尽への怒りをぶつけるように
13 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:29:22</a> [s] No.713613407
私はその鬼に殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ、引っかけられて、沢山の傷を負った 泣きたいと思った、逃げたいと思った だけどその感情は一瞬で母を殺した鬼への怒りでかき消され私は傷だらけになりながらも何度も鬼へと立ち向かった 「くひひ…面白いなぁ…楽しいなぁ…お前馬鹿だなぁけふひひひ…!」 その度に鬼は愉快そうに笑いながら私をあしらい玩具で遊ぶように私を痛めつけた 「何回も何回も傷つけ叩いた肉はどんな味がするのかなぁ…?絶望で肉の味が良くなったりするのかなぁ…?きひ、ぬひ、ふひひひひ…!」 その弄ぶような声に私はとてつもない怒りと悔しさを覚えた (悔しい…!悔しい悔しい悔しい悔しい!!!私が強ければ…!お母さんの仇を…!私が…!) しかし私の身体は限界を迎え最早立ち上がることは叶わなくなった 「ぎひひひ!もう終わりかぁ…?なら遠慮なく頂くぜ…ふひひひひ!」 下卑た笑みを浮かべながら鬼はゆっくりと近づいてくる (殺す…!殺す殺す殺す殺す殺す!!死んででも…!こいつを逆に食い殺してやる…!) 目の前に死が近づいてきても尚私は鬼を睨み続けた
14 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:30:38</a> [s] No.713613843
そして鬼が私を喰わんと手を伸ばした瞬間 「──あっ?」 ──炎の呼吸壱ノ型 不知火 燃えるような鬼殺の剣がその鬼の頸を斬り落とした 「ギャアァァ!貴様!!よくも俺を!せっかく食うところだったのに!よくもよくもよくもぉ!!!」 鬼は自分の頸を斬った男に対して恨み言をぶつけながら身体を消滅させ、やがて塵となって消えた 私はその鬼の身体が消えていくのをジッと見つめた…鬼が死んで尚私の怨みと怒りは消える事はなかった
15 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:31:15</a> [s] No.713614061
「おい…餓鬼」 しばらく鬼の死体が消えた地面を見つめていると男から声をかけられた 私が声の方を見ると眉間にシワを寄せた怒っているような表情をした男が私を見下していた 「お前…鬼殺の剣に興味があるか?鬼を殺す強さが欲しいか?」 男は冷たい口調で私へ問いかけた 私は黙ってその問いに頷いた 「そうか…俺は⬛︎⬛︎喪武男、鬼殺隊の育手をやっている。貴様が望むなら鬼を殺す方法を教えてやる」 男は私を肩に担いで道を歩き出した 「傷が酷いな…まずは手当てだ藤の花の家に向かう」 担がれた状態で私はその男の声を聞きながらジッと遠くを見つめていた 自分が産まれ育った家を、鬼の死んだ場所を、見えなくなるまで、ずっと、ずっと その日から私の鬼を殺す為の修行の日々が始まった
16 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:31:51</a> [s] No.713614309
──母が死んだその日から、私は炎の呼吸の育手の元で鬼を殺すことだけを考えて修行を始めた 呼吸の指導は厳しかった、木剣で撃ち込まれ、何十回も投げ飛ばされ、太刀筋が曲がっていれば手に木刀を撃ち込まれ、食事も鬼を殺せる強い身体を作る為にと米や魚といった食べ物を吐き出しそうになるぐらい食べることを強制され、何回も何回も叱咤を受けた 「「」、お前には呼吸の才能がない」 指導の中でこの言葉を何回投げかけられたかは分からない 「呼吸の才能がない、貧しかった食生活のせいでそもそも身体が戦うのに充分なものになっていない、剣の才能もない、鬼と戦うのに向いていない」 その言葉の通り2年以上修行しているのにも関わらず私は教えられた炎の呼吸を全く自分のものに出来ていなかった
17 20/07/31(金)23:33:25 No.713614863
モブなのにかっこいいな…
18 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:33:54</a> [s] No.713615026
「だが」 「お前が持つその執念は最高だ、修行から逃げ出さず、鬼に対する強い憎悪を持ち、鬼を殺す為に何度も何度も立ち上がり食らいつかんとするその怒りだけは数百年に一度の逸材と言っても良い」 それでも私が修行から逃げ出さず、また育手である彼が私を見捨てなかったのは私が異常なまでの鬼への憎悪を持っていたからだった 「いいか「」お前は炎になれ、決して絶えず燃え続け鬼を滅する地獄の炎になれ、そして奴を…腑抜けた煉獄の野郎をその立場から引き摺り落とせ」 煉獄と言うのが誰のことかは分からなかったが、私はその言葉の通りすべての鬼を殺し尽くす炎になろうとただひたすらに修行を積んでいった ……ある男の子と出会うまでは
19 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:34:43</a> [s] No.713615326
ある日のこと私は木刀を片手に普段師と修行を行なっている道場を出て街へ出かけていた 私の育手は月に一回、鬼を探し廻っては殺す為に一週間ほど道場を空けることがあった 何故育手になってからも鬼を殺す事に拘っているのかは分からなかったが、それは彼にとって重要な習慣であるらしかった。 だから師が道場が空けている間私は一人で自主鍛錬を行う必要があり、木刀片手に街へ出たのも修行の一環であった 街には荒くれ者や喧嘩自慢の馬鹿な男達がそれなりにいる、そんな所に木刀を持って歩いている女がいれば奴らは必ず手を出してくる、呼吸を使ってそんな奴らを一人で倒す、それが私の目的だった ただの人間であっても鬼との戦いの予行演習にはなるし、多数の鬼を相手する際の練習にもなる もし負けてしまえばどんなことをされるかは分かったものではないが、人間に勝てないようでは鬼にも勝てない、だから私は一心不乱に強さを求めてただただ戦いに明け暮れた
20 20/07/31(金)23:35:05 No.713615469
煉獄さんに反応したのこのせいか…
21 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:35:23</a> [s] No.713615575
「ああああああ!!無理無理無理無理そんなお金払えないって!ていうか知らない!」 「嘘つくなゴラ!お前があの女の借金を肩代わりするってこの書類に書いてあるだろう!お前の拇印もここに押されてるだろう!!」 「それ結婚の証明書だって聞いてたんだけど!?借金なんて知らないよヤダヤァヤダヤダ!!!」 「うるせぇ!いいからさっさと観念しろ!」 だから、喧しい喚き声を上げて走る私より少し年下の男とそれを追いかける人相の悪い数人の男との間に私が割って入り追手達を倒したのも、私の鍛錬の為であり決して騒がしく逃げる男を助ける意図は無かった 「ぐべぇ!?」「ぐ…おおおおあ!?」 「げぇーっ!?」「ぼべら!?」 最初は威勢よく襲いかかってきた男達も私が数回木刀を振った後には気絶して動かなくなった 「うわあああ!助けてくれてありがとうお姉さん!女神!結婚して!!」 するとそいつらに追われていた男はみっともなく私に対してしがみ付き訳のわからないことを騒ぎだした その言葉に私は呆れ返った 女に騙されて借金をした癖に見ず知らずの女に求婚を申し込むとは頭が間抜けだとしか思えなかったのだ
22 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:36:01</a> [s] No.713615820
「……」 「ウワーッ!その冷たい視線やめて!ちょっと傷つく!」 呆れて何も言えず私はその場を去った 「あ!待ってよ!せめてお茶だけでもさ!」 背後から聞こえるそんな言葉を無視して私は街を去った これが私と我妻善逸の始めての出会いだった
23 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:36:36</a> [s] No.713616026
その日以来、私が街に行くとその男が必ずと言っていいほど私に絡んでくるようになった 「や、やぁ…「」ちゃん?また会ったねい、いやぁー偶然だなぁ!?きょ、今日この後暇?後で一緒に俺と一緒にお茶しない?ていうか今からでもどう?そんな物騒な木刀なんて置いといてさ!」 白々しく偶然を装っているが、明らかに彼は私が今日この街に来ると分かって待ち構えていた 「……なんで私に絡んでくる?理解できない」 「え?だ、だって俺「」ちゃんに助けてもらったし、まだそのお礼をしてないから…」 「私が勝手にやっただけ、気にしないで」 「えー!?嫌だよ俺は「」ちゃんとお茶したい!」 何度私が拒絶するような言葉を突きつけても、その男は私に付き纏うのをやめなかった 「「」ちゃんもちょっとぐらい剣を置いて休んだ方が良いよ!せっかく綺麗なんだからさ!少しはオシャレに気を使った方が良いと思うな!」 あまつさえ、その男は何度も私に剣を置いて普通の女のように振る舞うことを勧めてくるのだった
24 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:37:24</a> [s] No.713616292
「黙れ…私には必要ない」 その男が普通の女の子らしく振る舞うのを勧める言葉を私に投げかける度に私は強く否定の言葉を返した 「そ、そんなことないよ!「」ちゃんはカッコいいし!綺麗だし!ちょっと身嗜みに気を遣えばもっと魅力的になると思うんだよ!」 だがその男は諦めずに何度も私の容姿を褒め称えてはすり寄ってきた そのしつこさに私は徐々に苛立ちと形容できない胸のざわめきを覚えていった 「ぶべぇ!?」 だから私はそんな気持ちになる度に決まって木刀でその男を撃ちつけ良く喋る口を閉ざさせた 「ぐ……すご…痛……けど…これも「」…ちゃんの……照れ隠…し……?」 「もう話しかけてこないで」 だけど何度そうやって痛めつけて拒絶しようともその男は私に構おうとするのをやめなかった
25 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:38:08</a> [s] No.713616555
「ねぇ「」ちゃん今日こそ俺と一緒にお茶グボォ!?」 ──くだらない 「分かったじゃあ一緒に食べ歩きおボハァ!?」 ──しつこい 「団子買ってきたから一緒にたベラ!?」 ──構うな 「あ、「」ちゃンブ!?」 ──邪魔だ 「…………痛い!?まだ俺何もいってなイヤァン!?」 ──時間の無駄だ なぜ構う?なぜ諦めない?分からない こんなことをして何になる?弱虫で、鈍臭くて、すぐ泣くお前がなんで諦めずに私に付き纏う? 私は強くなりたい、誰よりも強く、どんな鬼が相手でも殺せるように いつまでも私に付き纏うな 弱い癖に、弱い癖に、弱い癖に…
26 20/07/31(金)23:38:33 No.713616711
善逸しやがって善逸野郎が…
27 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:39:09</a> [s] No.713616929
──弱い癖に、なんで私を助ける? その日私は善逸を追いかけていた借金取りの男達に襲い掛かられた 「この女が例の奴です!お願いします先生!」 「ケェーヘッヘッヘッ!!俺が勝てばこの女は好きにして良いのか?」 「ええ!それはもうご自由に!」 「聞いたか女!俺が勝てばテメェは好きにして良いとさ!さて、どう調理してくれようか?」 そいつらは私に勝つべく助っ人を呼んでおり、いくら呼吸を使えようと数の差と戦いに慣れている男の加勢の前に敢えなく組み伏せられてしまった 「チッ!残ったのは俺一人!随分と手こずらせやがって!」 男が悪態を吐きながら私の胸元へと手を伸ばそうとする 私は抵抗しようと必死に暴れたが男の拘束から抜け出す事は出来なかった 「おっと!暴れられちゃ困る…骨の二、三本折っておくかな」 私は自らの弱さを恨んだ…もっと強ければこの状況から抜け出せたのに、もっと強ければこの男に勝てたのに、もっと強ければあの日、母を殺した鬼を自分の手で殺せた筈なのに 弱い自分が憎い、弱ければ奪われるばかりだ、もっと私が強ければ── そんな後悔をよそに男は私の足を掴み骨を折らんと手に力を加え始めた そして…
28 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:39:52</a> [s] No.713617157
「「」ちゃん!!!」 足の骨が折られんとするのを善逸が横から止めた 「テ、テメェ!?」 善逸の手には地面に転がされていた私の木刀が握られており、彼はそれで私を押さえつけていた男の腹を殴ったのだ 突然の攻撃に男が私を取り押さえる力が弱まり、私はその隙をつくように拘束された状態から脱出をした すると善逸はすぐに私の方に駆け寄ってきた 「大丈夫「」ちゃん!?早く逃げよう!」 善逸はそういうや否や私の手を引いてその場から逃げ出した 訳も分からず私は手を握られながら私は善逸の後ろを走っていた 恐怖で怯えているのか彼の手は湿っており小刻みに震えていた 「……怖がるぐらいなら逃げれは良かったのに…なんで助けたの?」 善逸に手を引かれて走りながら私は疑問を彼に投げかけた
29 20/07/31(金)23:40:13 No.713617293
おいメトジェイ
30 20/07/31(金)23:40:40 No.713617428
俺は辛い耐えられない
31 20/07/31(金)23:41:15 No.713617644
メトジェイは三下のチンピラにうってつけだからな…
32 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:41:49</a> [s] No.713617836
「いや!?普通女の子が襲われてたら誰でも助けると思うのですが!?」 彼は甲高い声を出しながらそう答えた 私はその言葉の意味が理解できなかった 「…?私より弱いのに?それに君よりあの男の方が強かった…あの男が油断してなかったらやられてた」 そうあいつは強かった、弱っていなければ彼が相手して勝てる相手じゃなかった 私のように強くなりたいわけでもない彼がわざわざ危険を犯して私を助ける意味が分からなかった 「いや確かに俺は弱いよ!?今でも木刀で殴った嫌な感触で吐きそうだし!それを平然と振り回せる「」ちゃんの強さには驚くし!」 彼は泣きそうになりながら言った まだ少ししか走ってないのに既にぜぇぜぇと息を辛そうにしていた 「けどさ!そんなの「」ちゃんを見捨てる理由にはならないよ!」 彼は遂には泣きだしながらそう言った 「……分からないや」 理由を話されてなもやはり何故私を助けたのかは分からなかった (見捨てたくないから助けたの?なんで見捨てたくなかったの?)いくら考えても答えは分からなかった だけど、何故だか分からないけど私は少しだけ彼の事を凄いと思い心を動かされたのだった
33 20/07/31(金)23:42:36 No.713618099
そういうところだぞ
34 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:42:47</a> [s] No.713618155
「ぜぇ、ぜぇ、ダメ…もう走れない」 しばらく経つと善逸は疲れたのか走るのをやめて倒れ込んだ 彼程ではないが私も疲れていたので黙って彼の隣に座った 「……ハァ…ハァ…「」ちゃんは凄いや…全然…疲れてない…」 息も絶え絶えと言った様子で善逸は私に話しかけた 「俺…足には結構…自信…あったのに…」ぐうぅぅ~ 言葉の途中で彼の腹が大きな音を立てた 「あはは…恥ずかしいや女の子の前でお腹鳴らしちゃった」 そう言うと彼は懐から竹皮で包まれた握り飯を取り出した 私は呆然とそういえばそろそろ昼時だったな善逸を見ていた 「「」ちゃんも半分食べる?」 すると善逸はおにぎりを半分私に分けてきた 「私は別にお腹空いてないからいいよ…お腹空いてるから一人で食べたら?」 特に空腹を感じていなかったので私はそう答えた
35 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:43:28</a> [s] No.713618389
「え?嘘だそんな筈ないよ」 私の言葉に対して善逸はキョトンとした様子でそう言った 「「」ちゃんお腹すかせてるでしょ?半分あげるから食べなよ」 そう言って彼は私の手に半分にしたおにぎりを渡してきた 「だから私はお腹空かせてなんて…」 本当に空腹感なんてものを感じていなかったので私は善逸におにぎりを返そうとした 「いいから食べなよ「」ちゃんからはいつもお腹を空かせた音が響かせてるんだから」 「音…?」 その言葉に私は訳も分からず聞き返した空腹…?私が?食べ物ならいつも修行の一環で嫌になる程食べているのに? 私がそんな疑問を口に出すより早く善逸は続けた 「それにさ、一人で食べるより二人で食べる方が美味しいじゃん?だから「」も一緒に食べよう」 その言葉に私は思わず固まった ──最後に誰かと一緒に物を食べたのはいつだろう?
36 20/07/31(金)23:44:10 No.713618612
また善逸してる…
37 20/07/31(金)23:44:16 No.713618646
この巌勝野郎!
38 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:45:27</a> [s] No.713619033
母が死んでからというもの私にとって食事は無機質なものだった 私の育手は私と一緒に食事を取らず、強い身体を作る為にと私に無理矢理沢山の食事を取らせていた それは全く楽しいものではなく、子供の頃は沢山何かを食べることに憧れていたのに、今ではむしろ食事に苦痛にしか感じていなかった 「……」 そこまで思い返してから私は黙って彼から分け与えられたおにぎりを一口食べた 「どう?美味しい?」 彼は和かな笑顔を私に向けながらそう聞いてきた その笑顔が、私に死んだ母を思い出させて、心が温かな気持ちになり、私は思わず涙を溢していた 「え!?鳴くほど不味い!?ええっとごめんね!?大丈夫「」ちゃん!?」 突然泣き出した私に善逸は大慌てでそう聞いたけど違う なんの変哲もない普通のおにぎりの筈なのに、何故だかもの凄く美味しく感じて、心がポカポカとした気持ちになったのだった
39 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:46:27</a> [s] No.713619339
──ああ、そうかだから… 過去を思い返して私は今更ながら腑に落ちた ──だから私はずっと空腹で仕方がなかったんだ 鬼になってから、多くの人を食べてきた かつての師を食べて、罪のない人々を食べて、同じ鬼殺隊の人間を食べて、沢山の人を食べ続けてきた その度に私は強くなっていったけど、得体の知れない空腹感を満たすことは出来なかった ──そうか私は善逸と一緒に食べたくて… 今更ながら自分が善逸に執着していた理由を理解した 彼の強さに惚れていたのは本当だけど、それだけが理由じゃなかった また一緒に二人で幸せな時間を過ごしたかった 頸を失い崩れてゆく身体を今は落ち着いた気持ちで眺めていた ──ああ私は善逸の顔だけじゃなくてそんな単純な事も忘れて… 今際の際に後悔が胸の中に満ちていく ──謝らないと…善逸に一言、迷惑かけちゃった… 啖帷破…いや、「」は最後の力を振り絞って善逸へと視線を向けた
40 20/07/31(金)23:47:08 No.713619541
いいよねこんな子が鬼になれとか言っちゃったし善逸の幸せの箱ぐちゃぐちゃにしたんだから
41 20/07/31(金)23:47:09 No.713619542
お辛い…
42 20/07/31(金)23:47:22 No.713619609
本当にどうしてこんな殺し合いになってしまったんだろう…
43 20/07/31(金)23:48:01 No.713619833
>本当にどうしてこんな殺し合いになってしまったんだろう… ダイスのせい
44 20/07/31(金)23:48:19 No.713619925
善逸がマジで善逸しまくってておつらい
45 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:48:38</a> [s] No.713620017
「ねぇ善逸…」 斬り落とされた顔が塵になって崩れていく中「」は善逸の方を見て口を開いた dice1d3=3 (3) 1「ごめんね」 2「ありがとう」 3「貴方は生きて」
46 20/07/31(金)23:49:08 No.713620158
呪いの言葉来たな…
47 20/07/31(金)23:49:30 No.713620308
呪いだな
48 20/07/31(金)23:49:48 No.713620401
死ねなくなったな…
49 20/07/31(金)23:49:48 No.713620405
>dice1d3=3 (3) >1「ごめんね」 >2「ありがとう」 >3「貴方は生きて」 全部言いたかったけど最後の言葉しか出せなかったんだろうな…
50 20/07/31(金)23:50:28 No.713620641
生きる理由ぶち壊しまくった本人がそれ言うとかダイスはワニ過ぎる…
51 20/07/31(金)23:51:36 No.713621060
呪われたな蒲公英…
52 20/07/31(金)23:52:04 No.713621201
ねえこれ一番キツイやつ…
53 <a href="mailto:s">20/07/31(金)23:53:03</a> [s] No.713621508
「え──」 その言葉に善逸はもう目の見えない顔を「」の方へと向けた そのお陰で顔が崩れていく「」は最後に善逸の顔を見ることができた 「」は自らが傷つけた善逸の身体と光が失われた顔を見て、後悔と罪悪感を感じながら消えていった 善逸の耳に、「」の最後の感情の音と塵になった鬼の身体が風に吹かれる音だけが虚しく響いた──
54 20/07/31(金)23:55:25 No.713622266
ちゃんと聞こえてますね…
55 <a href="mailto:ダイス&ワニ">20/07/31(金)23:55:36</a> [ダイス&ワニ] No.713622325
>生きる理由ぶち壊しまくった本人がそれ言うとかダイスはワニ過ぎる… おのれ…許さん…許さんぞ… 鬼舞辻無惨!
56 20/07/31(金)23:57:40 No.713622984
盲目&傷だらけ&片足切れてるんだから生きるのは...
57 20/07/31(金)23:58:12 No.713623175
>盲目&傷だらけ&片足切れてるんだから生きるのは... けど蒲公英はこの言葉を聞いた以上生きるよ 生きて生きて生き抜くよ
58 20/08/01(土)00:00:01 No.713623768
あの世行きはある程度までなら死人側がキャンセルできるからな…
59 <a href="mailto:s">20/08/01(土)00:02:14</a> [s] No.713624582
善逸は朦朧とする意識の中で「」の声がした方へと近寄ろうとした 少しでも近くに居てあげようと思った だがしかし出血多量により意識を保てなくなり彼はそのまま眠るように気絶した 「カアア!カアア!我妻善逸!上弦ノ伍ト戦闘!両目欠損左足喪失ノ重症ノ後之ヲ討伐!!意識不明!意識不明イィィ!!」 善逸が気絶した後、鎹烏が大きな声で叫びながら無限城を飛び回った その報告を聞いた竈門炭治郎、嘴平伊之助、不死川玄弥は彼の無事を祈らずには居られなかった… そして鬼との戦いは過酷さを増していく…
60 20/08/01(土)00:04:10 No.713625192
愈史郎ー!何とかしてくれー!
61 20/08/01(土)00:04:12 No.713625209
上弦陸から肆倒した善逸がこれだから周りの衝撃も凄そうだ
62 <a href="mailto:s">20/08/01(土)00:05:46</a> [s] No.713625726
そして時は過ぎ、人と鬼との最後の戦いが幕を閉じた後のこと… とある山に密やかに立てられた墓の前、そこに我妻善逸の姿は dice1d2=1 (1) 1あった 2なかった
63 20/08/01(土)00:06:18 No.713625903
生きてた
64 20/08/01(土)00:06:23 No.713625924
呪いが残ってるからな…
65 20/08/01(土)00:06:41 No.713626031
ダイスはさぁ…
66 20/08/01(土)00:08:02 No.713626496
死んだ方がマシなヤツは生かすとか靖子にゃんかな?
67 20/08/01(土)00:09:34 No.713627044
ワニでもここまでは…するかな…するかも…
68 20/08/01(土)00:09:46 No.713627107
スケスケあるし耳もいいから目が見えなくてもなんとかなるね
69 20/08/01(土)00:10:28 No.713627351
>ワニでもここまでは…するかな…するかも… スケベ思い出せ 生き地獄に叩き戻されたぞあいつ
70 20/08/01(土)00:12:09 No.713627975
>>ワニでもここまでは…するかな…するかも… >スケベ思い出せ >生き地獄に叩き戻されたぞあいつ スケベもここまで欠損してねえよ
71 <a href="mailto:s">20/08/01(土)00:13:03</a> [s] No.713628283
あの戦いの後我妻善逸は生き残っていた 左足に義足をつけ盲目の為に杖を片手に持った我妻善逸が墓の前に立っていた 「「」ちゃん…」 彼は静かに呟いた 「俺やってみるよ…「」ちゃんが出来なかった分精一杯生きてみる、だから俺がそっちに行くまで少しだけ待っててくれ」 そう言い彼は墓を跡にした 細やかな春の風がそっと彼の背中を押していた その後彼がどうなったのかそれは誰にも分からない… ─善逸恋愛キャンペーンビターエンド√完─