20/07/27(月)22:00:18 ──いつ... のスレッド詳細
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20/07/27(月)22:00:18 No.712458673
──いつかと同じ夕焼けの中を、あの時とは違う姿の彼と共に歩く。夕陽に赤く染まっていた白髪は正反対の黒い髪へ、兎の耳のようにも見えた長い角は短い角へと変わっている。 『アルジュナ…元に、戻れたんだね…?』 「はい。マスターには随分とご迷惑をお掛けしてしまいましたね、もう大丈夫です」 『迷惑なんてそんな…良いんだよ、困った時にはお互い様だし。なにより、自分がそうしたいからずっと君と一緒に居たんだから。……今の君は…、この特異点に来てからの記憶とかって…どうなってるの?』
1 20/07/27(月)22:00:37 No.712458806
「肉体と魂…灯火は統合され、1つになりました。同じようにあちらの…”留学生”としての私の記憶や想い出も、統合され1つに。…たとえ灯火が抜け落ちた状態であっても、結局の所…根本的には”私”であることに変わりはありません。基本的な思考も、潜在的な部分まで含めたあなたに対する想いも同じ。……記憶を失い箍が外れていたせいか…私が、普段は言うべきでは無いと秘めていた事まで、いくつか喋ってしまったのには少々頭を抱えたくなりますがね…」 『……何にせよ、君は君のままって事だよね。無事に元に戻れて本当に良かった。おかえり、アルジュナ』 「はい。ただいま、です。マスター」
2 20/07/27(月)22:00:55 No.712458910
夕陽の中で微笑む彼の顔を見ていると、ふと、あの日の彼に言われた言葉を思い出す。 《……、悩みがあるなら、隠さずに、私に──頼って欲しい》 ……彼は、あちらの自分と灯火の自分に変わりは無いと言っていた。頼っても…良いんだろうか?特異点の解決には直接関係の無い、”自分の記憶”という個人的な探し物についてだとしても…。 『あの、さ…アルジュナ』 「はい」 『君に…聞いて欲しい事があって……』 …………。…………。…………。アルジュナオルタに、自分の記憶の事を話した。 ……自分が汎人類史最後のマスターだという事、異聞帯を巡り世界を滅ぼして来たという事、そして…異聞帯で得た重要な知識、それだけは情報として頭の中に残っている。なのに…その情報や、異聞帯の終わりに至るまでにどのような旅路を辿り、その異聞帯に暮らす人々とどんな言葉を交わして来たのか…その”想い出”に相当する部分だけが不自然に抜け落ちた状態なのだ、と。
3 20/07/27(月)22:01:13 No.712459021
『……”アルジュナ”がサウナが好きだって事は知ってるのに…それを知ったのがどういう状況だったかとか、そういうのも全く思い出せなくて……。なんていうか…誰かの書いた報告書を読んで情報だけ得たような感じって言うのかな?自分が経験して来た事のはずなのに他人事みたいなんだ…。違和感はあったのに、どうして今まで気付かなかったんだろう…』 「……なるほど。もしかすると、多少違和感があっても疑問を持たぬように認識阻害がかかっていたのかもしれませんね。それもこの特異点の性質なのでしょうか…」 アルジュナオルタはむむむ…と顎に手を当てて考え込むような仕草をしている。可愛い……、じゃなくて!…手掛かりも何も無いけれど、記憶を取り戻すために力を貸してほしいと頼まなければ。
4 20/07/27(月)22:01:35 No.712459153
「あなたが真にそれを望むと言うのならば勿論全力でお手伝いします。……しかし、本当に構わないのですか?」 『…どういう意味?』 「今後の旅に必要な知識だけは残っているのでしょう?それならば…わざわざ辛い出来事も沢山ある記憶を取り戻す必要も無いのでは?」 『それは……ダメだよ』 「ほう?」 『確かに結果さえあれば問題は無いのかもしれないけど…自分は、それでも、そこに辿り着くまでの過程を大切にしなきゃいけないと思うから。自分が今までどんな選択をして来たのか…踏み越えて来たもの…背負うべきもの…それをちゃんと取り戻さないと、自分は自分では無くなってしまう…そんな、気がする…』 「怖くは、無いのですか?」 『そりゃ…ちょっとは怖いよ。もしかして、記憶が戻ったら今の”自分”じゃなくなるかもって不安もある、けど…。でも、これまでの旅路の想い出を永遠に失くしてしまう方が、きっと…もっと、怖いから』
5 20/07/27(月)22:01:59 No.712459307
「ふふふ…」 『えっ今笑うところあった!?』 「ふふ…いえ、すみません。つい試すような意地の悪い質問をしてしまいました。……灯火を失っても私が”私”であったように、あなたも”あなた”である事に変わりは無いのですね…。私、てっきりあの時はわざとあの時と同じ言葉をくれたのかと思っていたのに…」 『同じ言葉…?』 「ああ、こちらの話です。……とにかく、マスターの決意は伝わりました。あなたの記憶を探すため、私も全力でお手伝いします。…しかし、私の次はマスターまで…私達記憶無くしすぎでちょっと面白いですね。もしかして、マスターの記憶も案外その辺に落ちてたりして…」 『流石に虚数空間に落ちて消滅してましたーってオチは勘弁して欲しいなぁ…』 「とりあえず今後の事は寮に戻ってから改めて考えましょう。お腹も空きましたしね。今日の夕食はなんでしょうか…」 『……赤い煙は上がってないから少なくともエリセが当番では無いはず…』 「それは…少し、残念ですね…」 『あっそうだった記憶無いせいで最近カレーカレー言わないから忘れかけてたけどこの子こういう子だったわ…!』
6 20/07/27(月)22:02:18 No.712459434
アルジュナオルタとこうして他愛もない話をして、彼の楽しそうな笑顔を見ていると…胸の奥からあたたかいものが込み上げてくる。 ”この想いを彼に伝えたい”と感じるのに、それを伝えるのに相応しい言葉が出て来ない…。自分はその言葉を知っているような気がするのに。 「マスター…?」 『あのさアルジュナ。急に変な事言い出して申し訳無いんだけど…』 「なんでしょうか。あなたが突拍子もない事を言い出すのは慣れていますので、なんでもどうぞ」 『君も結構言うようになったね!?なんかアルジュナに似てきたような…いや同一人物に似てるって言うのもおかしいけど……あのさ。君に、とても大切な気持ちを伝えたいのに、それに相応しい言葉がわからなくて……、だから…いつか…相応しい言葉が見付かったら、それを聞いて欲しいんだ』 「……ふふ。わかりました。いつか必ず…聞かせて下さい。ずっと、待っていますから」 『うん……』
7 20/07/27(月)22:02:32 No.712459528
NEW! 【アルジュナオルタの「宝具・”帰滅を裁定せし廻剣”」が使用可能になりました】
8 20/07/27(月)22:02:50 No.712459624
『ところでさー』 「はい?」 『ずっと気になってたんだけど、その腰に下げてる小さいランプ?綺麗だね』 「これはクリシュナがくれたんです。……このランプの灯火は、きっと私達の道行きを照らしてくれる。そんな気がするんです…」 『そっか…大切にしないとね。またいつか、彼に逢えたら…その時はもっとお話出来たら良いな』 「…はい」 『よーし、寮にとうちゃーく!ただいまー』 「ああ、丁度良かった。2人とも、おかえり」 『あれ、ジーク?』 「アルジュナ…その姿は…。良かった、元に戻れたんだな。大体の事情はアーチャーの方のアルジュナから聞いている」 「ジーク、あなたには真のアルジュナ共々本当にお世話になりましたね…後で改めてお礼をさせて下さい」 「構わない。仲間なんだから困った時には助け合うのは当たり前だ。そうだ…マスター、帰ってきて早々にすまないんだが…、あなたに、お客さんが来ている」 『えっお客さん…?誰だろ……』
9 20/07/27(月)22:10:13 No.712462187
お客…?
10 20/07/27(月)22:17:51 No.712464861
記録はあるのに実感は無いって鯖みたいになってるな
11 20/07/27(月)22:44:09 No.712473768
>アルジュナオルタはむむむ…と顎に手を当てて考え込むような仕草をしている。可愛い……、じゃなくて! ぐだもあーぱーになって来てるな…
12 20/07/27(月)22:50:37 No.712475794
あざとさ全開の最高のサーヴァントオルタ
13 20/07/27(月)22:53:09 No.712476663
このオルジュナはぐだの気持ちに既に気付いてそう