20/07/25(土)00:45:18 怪文書... のスレッド詳細
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20/07/25(土)00:45:18 No.711493245
怪文書書いていい? >いいよ ありがとう
1 <a href="mailto:(0/11)">20/07/25(土)00:46:02</a> [(0/11)] No.711493480
『暗闘』
2 <a href="mailto:(1/11)">20/07/25(土)00:46:23</a> [(1/11)] No.711493610
──鎖の音が遠く聞こえる。 ──薄暗い中で、心臓の音が酷く大きい。 「おはよう、■■■。昨日は眠れたかしら」 いい匂いのひと。誰だったかな。前も見たようなきがする。 前っていつかわからないけど。此処はどこだったかしら。暗くてきらい。腕についてるのをひっぱると、じゃらじゃら音が鳴るよ。 おなかがすいた。お母さん、どこにいるの。 「姉さんね、今度の任務は遠出になるの。何日か帰れないと思うけれど……良い子にしていてね、■■■」 ……誰だっただろう。 とても懐かしいような……ずっと、一緒だったような。 なんだったかな、わからない。あたまが熱くてぼんやりして、かんがえられない。
3 <a href="mailto:(2/11)">20/07/25(土)00:46:50</a> [(2/11)] No.711493743
「……姉さんが、必ず人間に戻してあげるから。鬼の血を集めてあの人の研究を進めれば、きっと……」 このひとは、いつもへんな顔をしている。 笑ってるけど、なきそうな。さわられると柔らかくて、美味しそうで、いい匂いで、ふわふわする。 どうして泣きそうなのだろう。痛いのかな?血の匂いはしない。おなかがすいた。 ねぇ、泣かないで。わたしは姉さんの笑ってる顔がすきだから。 「ごめんね……ごめんね、■■■。姉さんが、絶対助けてあげるから……」 くっつかれた。柔らかくて美味しそう。いい匂いで暖かい。 でも、なにを言っているのかな。むずかしくてよくわからない。 思い出さないといけないような……わからない。わからない。あたまが熱くてぼんやりする。 懐かしいような、ずっと一緒にいたような。だきしめられるのも、なんどもされたことのような。 ねえさんって、なんだったかな。
4 <a href="mailto:(3/11)">20/07/25(土)00:47:15</a> [(3/11)] No.711493886
──鎖の音が遠く聞こえる。 ──薄暗い中で、心臓の音が酷く大きい。 「……おはようございます、師範」 かわいいおんなのこだ。誰だったかな。時々見る気がするけれど。 いつも暗いから、わからない。今は朝なの?早く朝餉の支度をしなくちゃ。今朝は何があったかしら──鎖だ。 どうしてこんなものがあるんだろう。じゃらじゃらと音がなるよ。たのしいね。 「…………」 ちかづいてきた。なにをするのかなと思ったけれど、じっと見てくるだけだ。へんな子ね。 近くで見ると、なんだかとても大きく感じる。此処は暗くてよくわからないのだけど。 ──もうこんなに大きくなったのね。拾った時はもっと小さかったのに。 だいじょうぶかな。怪我をしてない?あぶなっかしくて心配よ。
5 <a href="mailto:(4/11)">20/07/25(土)00:47:46</a> [(4/11)] No.711494073
「ねえ、さん」 この子は誰だっただろう。わからないけど、じぃっと見られてへんなきもち。 この子はいつも困ったようなかおをしている。何がしたいんだろうか。何処かで会ったことがあっただろうか。 とても懐かしいような……ずっと、一緒だったような。 なんだったかな、わからない。あたまが熱くてぼんやりして、かんがえられない。 「…………行ってきます、■■■姉さん」 いってらっしゃい、■■■。 ……なんだったかな。誰だっただろう。おなかがすいて、喉がかわいて、ああ、今の子は美味しそうだった。 小さくて、柔らかそうで、きっと噛み切ったら熱い血がいっぱい出てきて、お腹がいっぱいになるなります早く追いかけろ奪って殺して殺せ殺せ殺せ殺──鎖だ。 どうしてこんなものがあるんだろう。邪魔だな。■■■が怪我をするかもしれないわ、危ない。片付けなきゃ。 わたしはおねえさんだから、まもってあげなきゃ。
6 <a href="mailto:(5/11)">20/07/25(土)00:48:18</a> [(5/11)] No.711494263
──鎖の音が遠く聞こえる。 ──薄暗い中で、心臓の音が酷く大きい。 「おはよう、しのぶさん。今日も気持ちのいい朝だよ」 ────このひとは。 わからない。わからないけど、……なにか大事なことを忘れている。 身体が熱い。喉が渇く。頭がぼんやりする。 たしか、何かをしている途中だったはずだ。何だったか。 ダメだ。思い出せない……身体がすごく熱い。おなかがすいた。なにも、かんがえられない。 「……ん。この前から間も空いてるし、そろそろいいかな。ごめんね、毎回飲ませてあげる訳にもいかなくてさ」
7 <a href="mailto:(6/11)">20/07/25(土)00:48:49</a> [(6/11)] No.711494449
紅い眼のひと。わらってるのに、笑ってない。へんなひとだ。 いつもここに来る。此処は暗いのに、なにもないのに、何をしにきてるひとなのだろう。 こわいとき、撫でてくれるひと。うれしいの。優しく髪を梳かれると眠くなっちゃう。でも、誰だっただろう。思い出せない。 なにか、大事なことだったはず……身体が熱い。熱い。考えようとすると、わからなくなる。 口に噛んでいたものを外された。涎がこぼれるところは、見られるのが恥ずかしい。 誰だ。誰だったかな。たしか、何かをしている途中だったはずだ。何だったか。 大事なことだったはずなのに……言わなくちゃ。なにを?わからないけど。 「少し待ってね。今準備するから……」 紅い目の人は、なにかいってる。 なにをするのかな。心臓がうるさい。身体が、酷く熱くてめまいがする。 何とかしなければ。大事なことだった。刀は何処だ──刀。刀なんて、私は持ったことがあっただろうか。
8 <a href="mailto:(7/11)">20/07/25(土)00:49:23</a> [(7/11)] No.711494624
「準備できたよ、しのぶさん。……ゆっくりね」
9 <a href="mailto:(8/11)">20/07/25(土)00:49:40</a> [(8/11)] No.711494726
──鎖の音が遠く聞こえる。 ──薄暗い中で、心臓の音が酷く大きい。 差し出される腕から、滴る紅い液体。 身体が酷く熱い。涎がぼとぼとと溢れてしまう。何も音はしないのに、頭の中でがんがんと響いて酷く五月蝿い。 なにか、しなければいけなかったはず。 なにか、大事なことをしている最中だったはず。 刀は──刀は何処だろう。あれがないと戦えない、守れない──何を。 何を守るの。私は刀なんて持ったことがあっただろうか。 わからない。頭の中がぼんやりする。めまいがして、酷く気持ち悪い。
10 <a href="mailto:(9/11)">20/07/25(土)00:50:13</a> [(9/11)] No.711494901
──鎖の音が遠く聞こえる。 ──薄暗い中で、心臓の音が酷く大きい。 紅い目の人は、何も言わずにわたしをみている。 紅い──紅い。そうだ、このひとだ。このひとを、守るのだった。 私が、このひとを守らないと。でもどうしよう、刀がない。戦えない──身体が熱い。熱い。熱い。めまいがして、気持ち悪い。 ああ、怪我をしている。血が出ている。どうしようどうしようどうしよう。あいつが来る。あいつが来て、このひとを殺す。 助けなければ──刀を取って、このひとを逃して──戦うんだ。 ……あいつって、誰だっけ。 わからない。わからないけど。でも、このひとを助けなきゃ。 こわいとき撫でてくれる。ここは暗くて、こわくて、さびしいけど、うれしいの。そうだ、手当だ。まずは怪我を診なくちゃ。 わたしが──私が助けるの。私の意思で。傷つけさせない。うれしかったから、守らなきゃ。 貴方を守るのは、私の意思だ。 ……だから、お願い。そんな風に、泣きそうな顔をしないで欲しい……
11 <a href="mailto:(10/11)">20/07/25(土)00:50:40</a> [(10/11)] No.711495042
ぴちゃ、ぴちゃ、と。僅かに粘りを帯びた水音が、薄暗い地下に設けられた座敷に響く。 音源は年若い男と、鎖に繋がれた美しい娘だ。 娘は両の腕を封じられたまま、舌だけを懸命に動かして、男の腕から流れる血を舐め取っていく。 それは端的に食事であり、あるいは年若い男女の秘め事のようで、そして同時に、娘にとっては医療行為だ。 男が血を流すために自ら傷つけた腕に、唇を重ねる。懸命に舌を這わせて、どうか癒えて欲しいと──訴えるような。 娘は男のことを覚えていない。何故此処に繋がれたのかを覚えていない。記憶も、心も、暗闇の中で磨り減って消えてしまった。 けれど、それでも。あの夜に、あの恐ろしいものに立ち向かったのは、やはりこの娘なのだ。 刀は折れて、心は砕かれて、何もかもが壊れてしまったけれど。 それでも、まだ──娘は未だあの夜の闇の中で、戦っていた。
12 <a href="mailto:(11/11)">20/07/25(土)00:51:07</a> [(11/11)] No.711495187
「────………っ」 何も出来ぬまま守られてしまった男にとって、それはどんな心地のことだろう。 己に何の意味も見出せぬまま、今尚闇の中を彷徨う男にとって、どんな絶望だっただろう。 男は何も言わない。今、抱きしめてしまえば、縋ってしまえば──もう二度と、娘は戻らない気がしたから。 だから張り付いた笑みが崩れそうになるのを堪えながら、男は娘の黒髪を撫でた。 優しく、優しく──震えが決して娘に伝わらぬように。努めて、優しく。 せめてそれくらいは、娘の安らぎになって欲しいと。 いつまでも、そうしていた。
13 20/07/25(土)00:52:45 No.711495646
力作がスイと出た
14 <a href="mailto:(12/11)">20/07/25(土)00:53:11</a> [(12/11)] No.711495779
以上だ……今日は……随分話が進んだな…… 童磨と出くわしたのまではともかく……そこから瞬く間に死亡選択肢を踏みまくるのは……流石に心臓に悪い…… とはいえ……しのぶ嬢が恢復したのは……目出度き事故…… 何事もなく……終わってほしいものだな…
15 20/07/25(土)00:53:44 No.711495925
最新のスレで元気な姿を見せてくれてとても安心しましたよ私は
16 20/07/25(土)00:54:01 No.711496010
「」治郎のところのか
17 20/07/25(土)00:54:11 No.711496051
今日は力作の怪文書によく出会う日だな
18 20/07/25(土)00:54:44 No.711496182
「」治郎のとこの退廃的な「」いいよね…
19 20/07/25(土)00:55:24 No.711496374
「」治郎まだ立ててるぜ
20 20/07/25(土)00:57:13 No.711496890
>「」治郎まだ立ててるぜ 儂が悪いのではないこのカタログが悪いのだ
21 20/07/25(土)00:59:06 No.711497410
しのぶさんの記憶が混濁する感じとかほの暗さが最高にゾクゾクしましたありがとうございます この流れで「」治郎の書く結末も見届けてきます
22 20/07/25(土)01:18:40 No.711502853
「」なた様隊士クリエイトと鬼クリエイト同時進行っていう器用な事やってらしゃる…