ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/07/23(木)22:25:58 No.711129950
(これまでのあらすじ) 夏休みによくある特異点へ飛ばされたセイバー・リリィ。 しかしその世界がマスターのカルデアへ来る前の記憶を勝手に暴いたものでは無いかと危惧し、独自行動を開始した。 流れのカードゲーマー、軍師珍Qの協力を得て、正体不明のケンタウルスを撃破したのだった。
1 20/07/23(木)22:26:14 No.711130042
「貴方の懸念は既に払拭されたと言っていいでしょう」 「それは……どういう?」 七不思議と呼ばれる怪異を一つ、また一つと始末する傍ら、陳宮は軍師の視点からセイバー・リリィに語った。 「マスターの記憶を暴かれるという事態です。今では成り立ちますまい」 「七不思議を討った事で、何か事態が好転したのですか」 「残念ながらそうではなく。記憶の混濁が進んでいるのです」 増え続ける七不思議、増え続けるサーヴァント。特異点内を広く活動する内に、軍師には見えてくるものがあった。 即ち混濁。それも一人の話ではない。
2 20/07/23(木)22:26:36 No.711130168
「何故怪異は発生するのか、何故サーヴァントは増えるのか、何故サーヴァントは役割を演じる者とそうでない者がいるのか。 仮説に行き着きました。私は探偵ではないので、出し惜しみは致しますまい」 誰かの記憶から、一人の人物がこの特異点に形作られる。その人物を見た別の誰かの記憶から、また一人の人物が形作られる。 繰り返し、繰り返し……次第にその人物は特異点に元からいたと認識する者が増え、形作られる者もそのようになっていく。 もうそこにいる誰かが、誰から作られた存在かなど見当が付きはしない。役割に忠実でない者程、原典に近いと考えらるが…… 怪異もまたそのようにして、誰かの記憶から形作られ続けている。 「私も、貴方も、既に我々とは別に存在しているのを確認済みです。まるでこの街の一部と言った自然さでした。 我々が原典である保証は無いのですが」 「……私も、この特異点で作られた、まがい物かもしれないと」 「左用」
3 20/07/23(木)22:26:53 No.711130258
特異点は広がり続けている。 昨日までは世界の果てのような有様だった、陸も海も空も無かった場所が、今やローマ帝国の繁栄を絵に描いたような領域として成立している。 誰かの持つローマの記憶から再現されたのだろう。しかしこれ程までの拡張をどうやったのか。 「それですが、恐らく我々こそが力の源でしょうな」 「私達が? けど魔力を奪われる感覚はありませんよ」 「ええ。しかし記憶を記録とした時、集積された情報には価値が生まれると聞きます。 価値の流動、それがこの特異点の中では無限に近い動力となるのでしょうな」 「無限……それでは、この特異点は解消し得ないという事になります」
4 20/07/23(木)22:27:11 No.711130353
「手が足りません。これまでのような、マスターとその少数の仲間達が協力する程度では、とても世界の拡張には追い付けますまい」 「……言う割に、陳宮さんは打つ手がありそうな顔をしていますね?」 「貴方こそ。何か思い付きがある目をしている」 何処か稚気を滲ませながら、一つの目的のために戦う二人が息を合わせた。 「「聖杯戦争」」 「実際に聖杯を取り合おうと言うのではありません。七つの不思議を解消し、その度に景品を得る」 「カルデアのそれに擬えたと。結構! 取り付きやすいでしょうな。人的リソースの不足を解決し、特異点解決へ向けた活動に集団の意識を向けさせる。 その上で七不思議の解決へ向けて行動する者だと、周囲に認知させる。すると次に誰かの記憶から作られる者もまた、七不思議を追う者となる」 「夏休みの遊びとしてうってつけで、だから無理なく皆さんの力を合わせられます!」
5 20/07/23(木)22:27:29 No.711130454
「視点は異なれど、行き着く先が揃う。諸葛孔明と周公瑾でもありますまいが……であれば、私はここでお別れです」 「なんと!? 協力しては……くれるのですね。貴方に出来る手段で」 少女は僅かに瞠目し、その後軍師の意を汲み取った。 道を分かつとも、力を合わせる事は出来るのだから。 「私はカードゲーマー珍Qなれど、ここにアウトドアゲーム旋風を起こして見せましょう。 その先頭こそセイバー・リリィ、貴方に立って頂く」 「これまで通りに七不思議を追う。それが私の役目ですね」 七不思議の正体を暴き、それを討ち、そして称賛と報酬で以て迎えられる。 舞台に相応しい”遊び”を始めたとて、流行らなければ二人にとっては意味がない。 一方が風説を撒き、一方が実演してみせる。双方が火付け役になろうと言うのだ。
6 20/07/23(木)22:27:45 No.711130547
セイバー・リリィにとって、自分がオリジナルかどうかなど些細な事であった。 サーヴァントが元より人理の影法師に過ぎないのもあるが、自己の認識こそが最も重視すべきもの。 カルデアに所属するサーヴァント、セイバー・リリィに他ならないのであれば、特異点解消へ向けて為さぬという道はない。 もし自分のオリジナルが現れたならば、同じ事を考えているに違いないのだから、力を合わせれば済む。 道を阻むのなら──それが私であるものですか。 割り切りがあった。
7 20/07/23(木)22:30:08 No.711131419
何故特異点で消えたサーヴァントが存在するのか! 何故変身する度に頭が痛むのか!
8 20/07/23(木)22:30:28 No.711131534
よくできてるお話だ…
9 20/07/23(木)22:30:53 No.711131708
>何故特異点で消えたサーヴァントが存在するのか! >何故変身する度に頭が痛むのか! ヤメロー!
10 20/07/23(木)22:32:47 No.711132377
死んだマイフレンドも推定マスターの頭の中から生えてきたのか… 刺してくる方のシャルロットも…
11 20/07/23(木)22:33:27 No.711132625
友と呼んでくれたマイフレンドはマスターの心の中にしかいないからな…
12 20/07/23(木)22:35:05 No.711133174
役を演じていようと役に没入していようと参加出来るゲームで特異点をこわすぞ みんなあつまれー!
13 20/07/23(木)22:36:50 No.711133746
つまり...レイドバトルだな!
14 20/07/23(木)22:36:51 No.711133750
>>何故特異点で消えたサーヴァントが存在するのか! >>何故変身する度に頭が痛むのか! >ヤメロー! ソレイジョウイウナー!
15 20/07/23(木)22:37:40 No.711134008
リリ陳…陳リリ?あるのでは!?
16 20/07/23(木)22:39:03 No.711134502
これはセイバー・リリィ対セイバー・リリィもありそうだ
17 20/07/23(木)22:43:48 No.711136181
諸葛亮がいるカルデアで陳宮が 火 やるのか…
18 20/07/23(木)22:45:33 No.711136775
>何故特異点で消えたサーヴァントが存在するのか! >何故変身する度に頭が痛むのか! 変身してんの誰だよ…
19 20/07/23(木)22:51:09 No.711138664
これじゃまるでカルデアのマスターがやる事じゃないか… 或いは誰かにそのような人だと記憶された偽リリィなのか…?
20 20/07/23(木)22:58:32 No.711141039
早とちりから駆け出した話が随分と大事になって…
21 20/07/23(木)23:10:01 No.711144823
今からでも聖杯戦争に参加するって体でキャラを出せるからえらい