ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/07/18(土)23:04:00 No.709698890
──コンコン、という軽いノックの音で目が覚めた。なんだか身体が怠くてたまらないし、頭は殴られたようにガンガン痛む。 コンコン、とノックの音はまだ続いている。正直、その音ですら頭に響く。自分のものじゃないような重怠い体をなんとか起こし、壁伝いにドアへと向かう。普段なら容易に開けられる鍵に苦戦してなんとかドアを開けると、そこに立っていたのはアルジュナだった。 (……なんだっけ、なんか約束……あ、勉強見てもらうって……) 「遅いです」とでもいいかけたのだろうアルジュナはしかし、ぎょっとした様な表情でこちらを見つめている。 「マスター? 大丈夫ですか? 顔色が……」 大丈夫、と言いかけてぐらり、視界が揺らぐ。酷く焦っている様子のアルジュナの声を耳にしながらそのまま視界が暗転した。
1 20/07/18(土)23:04:29 No.709699078
「……目が覚めましたか」 次に目が覚めた時、ほっとしたような顔のアルジュナと目があった。 「あれ、なんで……」 「あの後倒れたんですよあなた」 「たお、れた?」 「本当にびっくりしたんですから……。まあ、診断の結果はただの夏風邪だったんですけど。栄養をとってきちんと休養すれば治るそうです」 飲みますか? とアルジュナはスポーツドリンクのペットボトルを差し出してきた。ご丁寧に蓋が外されたそれを受け取り、喉に流し込む。……思ったより喉が乾いていたようで一気に半分ほど飲み干してしまった。ぼんやりしていた思考が冷たい液体で少しクリアになる。 「貸してください」 そう言われたのでペットボトルをアルジュナに渡すと、彼はそれを蓋を閉め枕元に置いた。 「寮母さん達にはすでにマスターが体調を崩している事を伝えました。あとで見回りに来るそうです。何かありましたらそちらでも、私でもいいですから連絡してください」 枕元にスマホを置きながらいいですね? と 念押ししてくるアルジュナに黙って頷く。 「……他人がいては休めないでしょうし、私はこれで」
2 20/07/18(土)23:06:19 No.709699856
おやすみなさい、と告げて立ち去ろうとするアルジュナの服の裾を咄嗟につかんでしまったのは、殆ど衝動的なものだった。……ただ、体調を崩して酷く心細かったのだ。引き止められたアルジュナはきょとんとした顔でこちらを振り向く。 「……マスター?」 「……な、なんでも、ない……」 酷く恥ずかしい事をした気分になって、おずおずと指を離す。……子供っぽいと笑われるだろうか。恥ずかしくなって、タオルケットを頭の上まで引き上げて顔を隠した。 はぁ、と軽いため息が聞こえてきて、思わずびくりと肩が跳ねる。呆れられたのかもしれない。続いてごそごそ、と何かを取り出すような音がする。恐る恐るタオルケットから顔を出すと、彼は鞄から勉強道具を取り出し机の上に置いていた。
3 20/07/18(土)23:06:38 No.709699991
「え、だって、かえるって……さっき」 「一人の方が休めると思ったのですが……。あなたが酷く心細そうな顔をしていたので。私はここにいますから」 ゆっくり休んでくださいね、柔らかい口調で言われ、幼子のように「うん」と頷く。 「よろしい」 彼はそう言うと、ノートに目線を落とす。サラサラとノートの上をシャーペンが走る音が心地良くて、そのまま意識がゆるゆると溶けていった。
4 20/07/18(土)23:09:25 No.709701155
気が済むまで一緒にいてくれるんだろうな…
5 20/07/18(土)23:09:36 No.709701249
察しのいい最高のサーヴァント…
6 20/07/18(土)23:23:18 No.709707158
布団がはだけてたらそっと掛け直してくれるんだ…
7 20/07/18(土)23:36:19 No.709712318
学園生活送っててもこういう時はパパジュナ…