ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/07/15(水)06:08:17 No.708652601
ダイス柱会議の話題が出てたので怪文書かきました
1 20/07/15(水)06:08:54 No.708652627
「柱の前だぞ!」 (柱…!?柱って何だ?何のことだ?) 地面へと倒れ伏した炭治郎を見下ろすように何人もの影が差す。 軍服のような隊服を身に纏った男。 刀すら持たず不敵にこちらを見る少女。 まるで明日殺される豚を見るような冷たい視線をこちらへ向ける女性。 骨格や匂いが違う者もいる。異国の者だろうか。 更に目を引くのは、そんな中にどう見ても妹とさほど変わらない年齢に見える少年少女まで混ざっていることだ。 溌剌とした表情でおろおろと周囲と俺を見比べる背の高い少女。 張り付けたような微笑みのまるで少女と見間違わんばかりの人形のような少年。 そして、心配そうに俺を見守る少女。彼女は雷の呼吸を使うのだろうか。その隊服は善逸のものと似た模様で彩られていた。
2 20/07/15(水)06:09:07 No.708652640
「ここは鬼殺隊の本部だ、貴様は今から裁判を受けるのだ竈門訓練兵」 「いやはや少尉殿は相変わらずお堅くて困っちゃうぜ。鬼を庇うってんなら裁判の必要はないだろう」 「縛柱貴様…!」 「おおっと、悪いね。気に障ったなら謝るって。隊士同士での喧嘩はご法度だ仲良くやろうぜ」 軍服の男と異国の男が言い争う。 仲が悪いのだろうか。 「まあまあ落ち着いてくださいお二人とも。見たところなかなか素質がある少年に見えます。どうです竈門少年、貴方も素流になりませんか?」 「ええいやめろ風柱!貴様何人継子を作るつもりだ!」 「隊士の質が上がるのならば善いことじゃないですか月柱!あと継子ではありませんよあくまで弟子です!」 「……はぁ。つまらない子ね。貴方達の会話もつまらないわ。縛柱に倣うわけじゃないけど、もう殺してしまっていいんじゃない?鬼を庇うなんて明らかな隊律違反だもの」
3 20/07/15(水)06:09:19 No.708652652
彼らの言い争いを遮るように素手の少女が目を輝かせて会話に割り込み、その様子を眺めて冷たい雰囲気の女が飽きれたように言い捨てた。 ふと、つまらないと言い捨てた女性と目があった。 ──冷たい目だった。彼女の言葉に嘘はない。きっと、今ここで俺を殺すことになんの躊躇もないのだろう。 軍服の男はこめかみを抑えながら空を仰ぐ。どうやら苦労しているらしい。 そんな彼を見て異国の男が笑い声をあげるものだからまた軍服の男から軽い怒りの匂いが漂う。 三人が言い争いを続けていると、善逸と似た服の少女が声を荒げた。 「いい加減にしましょう皆さん!お館様は罰しろではなく連れ帰れと命じたのですよ!それにいくら容疑が掛かっているとはいえそんな少年を縛ったままにやれ裁くだの処するだの、可哀そうですよ!」 「わ、私もそう思いますっ!鬼を庇うのは確かによくないけど…何か事情があるのかもしれませんしっ!」
4 20/07/15(水)06:09:30 No.708652663
背の高い少女も彼女に続くように俺を庇う。 彼女たちから漂ってくる優しい匂いは本物だった。 どうやら本心から俺の事を心配してくれているらしい。 何もわからないこの状況で、彼女たちの存在は随分と安心を与えてくれる。 「だいたい、あのバカはどこにいるわけ? 柱合会議だと言うのに未だ到着すらしていない事に私は頭痛がしてくるのだけど、貴女と同じ鳴柱なんだから知っているんじゃないの? どう責任を取るつもりかしらね彼は」 「彼はー…その…『今日は外せない用事があるから遅刻するかもしれん、もし間に合わなかったらすまん』とのことで…」 「なんだと…!?それは真か鳴柱よ。ええい、柱合会議をなんだと思っているのだ奴は!!」 「ははは!あいつらしいじゃねえか!」 「貴様と言い奴と言い、柱としての自覚が足らん!我々は全ての隊士を率いるべき存在なのだぞ!柱がこれでは部下に示しが付かん!」 「あのっ…!それよりも私は炭治郎君からも話を聞いてみたいですっ!もしかしたら何か事情があるのかもしれませんっ!」
5 20/07/15(水)06:09:52 No.708652681
脱線し混沌とし始めた話を、背の高い少女が仕切り直す。 今しかチャンスは無いと思った。 彼らに全てを打ち明け、信じてもらうしかない。 炭治郎は少女に心の中で感謝しつつ、慎重に言葉を紡いだ。