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20/05/31(日)00:46:47 ・・・... のスレッド詳細

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20/05/31(日)00:46:47 No.694842936

・・・・・ 物陰に溶け込むように膝を抱えてうずくまる私。 そんな私の頭上からお嬢様の声が降ってくる。 「ホップはもう、自分で選んでいますわ」 その落ち着いた声には、どこか誇りのようなものが滲んでいて、 「たとえ弱さを罵られても。たとえ、わたくしたちの足を引っ張るとしても。それでも、わたくしたちとの旅を選びました」 嬉しくて嬉しくてしょうがないとその語尾が弾む。

1 20/05/31(日)00:46:59 No.694843002

「彼はもう迷ってなんかいません。ぶつかった壁をどうやって越えるか。それしか考えていません」 それはきっと、お嬢様もそうだから。 だから、理解できた。 「だから、わたくしたちは安心して待てばいいのです」 だから、私は理解できなかった。

2 20/05/31(日)00:47:24 No.694843160

膝に顔をうずめ、泣きそうな声が出てしまう。 「……なんだよ。結局、私だけがホップ君を理解できてなかったんだ」 私はホップ君を抱きしめてるつもりだった。君なら大丈夫だよって励ますつもりだった。 そんな必要、無かった。 「ズルいよ、お嬢様は。ホップ君の事、何でも理解してて」 エンジンシティの時からそうだ。お嬢様はホップ君にとって一番大事な事をしっかりと理解してる。 彼が求めているものをちゃんと、理解してる。

3 20/05/31(日)00:47:43 No.694843257

「ズルいよ、ホップ君は。私の知らないうちに、勝手に立ち上がってて」 私は、何をした? 自分勝手な優しさを押し付けようとして、その度に止められて、その度に苛立って。 「私……ただいじけて、八つ当たりして……勝手に落ち込んでるだけじゃん」 好きなのに。 こんなにも彼の事が好きなのに。 空回りでしかない。

4 20/05/31(日)00:48:06 No.694843396

「ホップ君を支えられるようになりたいのに。ホップ君に、頼られたいのに。私……こんなにも情けない」 恥ずかしさに顔から火を噴く。なんて通り越して、ただただ消えてしまいたい。 いつだってそうだ。 去っていくホップ君を止められなくて、泣いた。 帰ってきたホップ君に怒って、叫んだ。 私たちの旅をバカにしたビート君をボコボコにして、後悔した。 そして今日、彼の事を何も理解してないと理解して、落ち込んだ。 なんなんだ私は。何が運命だ。 ポプラさんにあれだけ啖呵を切って、諦めないだのなんだのほざいておきながら、このザマだ。 こんな私が一体彼と何で結ばれてるって言うんだ。 私はただ、彼を傷つけてるだけなんじゃないのか。

5 20/05/31(日)00:48:21 No.694843493

思考につられて、体がどんどん重くなっていく気がする。 このまま地面まで沈み込んで、いっそ土に還ればいいのになんて思っていた時、お嬢様が呆れたようにため息を吐いた。 「全く……あなたはホップの事となると盲目な時がありますね」 潤んだ瞳で彼女を見上げる。 お嬢様は、私を慈しむように見つめていた。 「忘れたのですか。彼が、わたくしたちとの旅を続けようと思った理由」

6 20/05/31(日)00:48:36 No.694843580

『こいつらとの旅は楽しいんだ。悔しい事も辛い事も『ユウリ』と一緒なら、楽しいんだ』 覚えてるさ。忘れる訳、ないじゃないか。 そんな事、彼女もわかっているのだろう、私の返事を待たずに喋り続ける。 「わたくしたちと共にいる事が彼にとって大切な理由ならば、旅が始まってから、今この瞬間も。わたくしたちは彼の力になっているのです。わたくしと、あなたは――――最初から彼の支えになっているのですよ」 そう言って、雪月に花を添えるように微笑む。

7 20/05/31(日)00:48:47 No.694843644

「だから、あなたが落ち込む理由なんて無いのです。しゃんとしなさい」 真っ直ぐ見つめられ、私は……目を逸らしてしまう。 「……やっぱり、ズルいよ。……そう思っちゃう私の事が、嫌いになるぐらい」 食いしばった歯が痛いぐらい軋む。

8 20/05/31(日)00:49:05 No.694843750

「私はもっとわかりやすく、ホップ君の力になりたいんだ。肩を貸したり、相談に乗ってあげたり……抱きしめて、あげたり。そんな短絡的で、即物的な事がしてあげたいんだ」 そう思うのは、そうしてあげたいのは――――私には、それしか出来ないから。 そう思ってしまうから。 「だから……私、お嬢様が羨ましい。そうやって、ホップ君の気持ちを理解して、本当にホップ君のためになる事が出来る。そんな君が、妬ましい」 あんまりにも自分勝手で無様な嫉妬。 私はどこまで子供なんだ。彼女は、お嬢様はあんなにも綺麗で、カッコよくて、素敵な大人なのに。 私はどこまでもワガママで、傲慢で、何も、見えてない。

9 20/05/31(日)00:49:20 No.694843857

同じ町で生まれて、同じ名前をもらって、同じ時に同じ人を好きになった。 なのに、こんなにも違う。 燃えるばかりで、押し付けるばかりな私は……彼が安らげる木陰になってあげられない。 自己嫌悪が再び目の前を真っ暗にしていく。 その時、私の肩に何かが当たった。 「お嬢様……?」

10 <a href="mailto:s">20/05/31(日)00:50:40</a> [s] No.694844321

長いので残りはテキストで su3936616.txt

11 <a href="mailto:s">20/05/31(日)00:51:32</a> [s] No.694844627

前回までの su3936596.txt 明日のダブルの部のために色々試行錯誤してたらこんな時間になってました

12 20/05/31(日)00:55:33 No.694846071

炎草キテル…

13 20/05/31(日)01:05:08 No.694848993

めっちゃくちゃ仲良くなったんだな…

14 20/05/31(日)01:05:50 No.694849193

すごいところで区切るからお嬢倒れたかと思った

15 20/05/31(日)01:08:35 No.694849916

炎草ルートもあるな…

16 20/05/31(日)01:26:22 No.694854473

一人の男を取り合う三角関係をしていがみ合っている間になんだかんだで百合ップルになってしまう アリだと思います

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