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20/05/30(土)01:34:32 どこを... のスレッド詳細

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20/05/30(土)01:34:32 No.694502228

どこを見渡しても灰色の部屋の中から見た窓の外で、揺らめく灯籠の光だけが色を帯びているように、私には見えた。 幼い頃の私の周りは、本当は色彩で満ちていたのだと思う。他人事のように語るのは、親が与える高価な玩具や、色とりどりの着物や簪たちが、私には何一つ魅力的に映らなかったからだ。 重い着物と脆い髪飾り。剣を執る私に辟易した両親は、外に出たければこれを着けていろと言った。今思えば、きっとその間だけは剣を振れまいと考えていたのだろう。 物心ついたときには自分の才に気づいていた私は、このとき初めて、自分の才は望まれていないものなのだと分かったのだ。 暫くの間、私は部屋から出なくなった。両親に拒絶されたという事実を思い出したくなくて、着物も剣も皆それきり仕舞った。そうして、屋敷の窓から手に入る筈もない景色の数々を、一日中眺めていた。

1 20/05/30(土)01:35:12 No.694502419

ある日、使用人たちが浮き足立っていたので訳を尋ねると、近所で祭りがあると聞いた。屋敷の皆も休みを取り、思い思いの人と一緒に、夜通し遊んで踊り明かすのだという。 そしてその日の夜、屋敷はいつにも増して寂しい所だった。当然行くことを許されなかった私は、椅子を置いて窓越しに祭りの灯りを眺めていた。 灯籠が揺らめき、お囃子が聞こえる。決して私を迎え入れてはくれない、硝子戸の向こう側の楽園は、楽しそうだろうと見せつけるようにあかあかと輝いていた。 最後に見た灯りは、涙で滲んで見えたことを、今でもずっと覚えている。

2 20/05/30(土)01:35:30 No.694502488

音と光の奔流が、耳と目に流れ込んでくる。 「楽しそうですわ!楽しそうですわ!お祭りって、こんなに賑やかなのですね、無一郎様!!」 「…転んじゃうよ」 「もう、私を誰だと思っていらっしゃるの?そんなへまは致しませんわ」 露店で買った飴を軽業師のようにお手玉の要領で回してみせると、無一郎様は苦笑しながらも、私のあとをついてきた。 全てが終わってから、どう身を振ろうかと考えていた。 帰る家はあるけれど、もうあそこには戻りたくない。けれど、他に行く宛もなければ、身を立てる術も知らない。 実家から持ってきたものは大半路銀に代えてしまった。残ったものは、全部禰豆子さんやカナヲさんに餞別として送った。無論、彼女たちに使ってほしいと望んでやったことだが、もう少しくらい手元に残しておくべきだったかもしれない。

3 20/05/30(土)01:35:51 No.694502588

そんなある日、無一郎様が訪ねてきた。 「一緒に来る?」 あの方らしく何の前置きもない単刀直入な提案だったけれど、あのときの幸福は生涯忘れないだろう。 「…喜んで。どこへでもお供いたします、無一郎様」 そうして、私と無一郎様の旅が始まった。 無一郎様はひとところに留まらずに、色々な場所を見て、たくさんの人と会ってみたいと言っていた。 「できるだけたくさん見ておきたいんだ。まだ、時間はあるから」 そういって微笑んだ無一郎様を見て、止まっていたこの方の時間が漸く動き出したのだとわかって。 それが、我がことのように嬉しかった。

4 20/05/30(土)01:36:11 No.694502666

そうして、今に至る。 無一郎様は相変わらず物静かな方だけれど、その表情はずっと豊かになった。それを一番近くで見られることが、私には何よりも嬉しい。 でも、私達の仲は、少なくとも私の逸る気持ちを余所にあまり進展していないように思えた。 秋波を送るというほど派手なことをやってはいないのも事実だが、自分の想いはそれなりに行動に表したつもりだ。彼も私を憎からず思っているから、きっとそばにいてくれるのだとは思う。 でも、彼はまだ最後の一言を言ってくれない。 言ってほしい。 愛してる、と──

5 20/05/30(土)01:36:40 No.694502769

初めて来た祭りは、思っていたよりずっと楽しくて、何より刺激的だった。 「無一郎様ー!早くしないと置いていってしまいますわよー!」 「…ちょっと待って」 珍しく、無一郎様が足を止めていた。 何があったのだろう。気になって近づいてみると、そこは小さな飾り物屋だった。 無一郎様の手には、牡丹を象った桃色の髪飾りが握られていた。 「もしかして、私に?」 「…うん」 掌の髪飾りと同じように、無一郎様の頬も少しだけ朱に染まっていた気がした。 「…ありがとうございます。ずっと、大切にいたしますわ」 嘗て自分が持っていた品とは比べるべくもない安物だったけれど、それを手にしたときの喜びは、何物にも替えがたいものだった。

6 20/05/30(土)01:37:06 No.694502885

髪飾りの金具は、握り込みすぎてすっかり温かくなっていた。 それだけ私は浮かれていたのだ。だから、前から来る人影にも気づかなかった。 ぶつかった感触がして、即座に支えようと伸ばした手は空しく空を切った。私とぶつかった女の子は、無一郎様に先に支えられていたからだ。 「申し訳ありません!お怪我はありませんか?」 「大丈夫?ごめんね」 「…あ、ありがとうございます。私は大丈夫ですから、どうかお構い無く」 そう言った彼女が無一郎様を見つめる目が潤んでいたように見えたのは、気のせいではないだろう。 浮かれていた気分が、一気に谷底へ転げ落ちていく気がした。 「…申し訳ありません、無一郎様」 「いいよ。二人とも怪我はなかったんだし」 寛大な無一郎様の態度は、私を安心させるどころか余計に不安にしてゆく。浮かんでしまった浅ましい疑念を、消すことができなかったからだ。 無一郎様は優しい方だ。それこそ、誰にでも。 もしかしたら、私と今こうしていてくれるのも、私を憐れんでいるだけに過ぎないのではないか。 本当は、私と一緒にいたくなどないのではないか──

7 20/05/30(土)01:37:33 No.694503002

顔を伏せたままの私を、無一郎様はずっと見つめていた。 「どうしたの?やっぱりどこか痛めた?」 「無一郎様」 「…ん?」 もしそうだとしたら、耐えられない。無一郎様を、私の独りよがりで縛り付けるなんて。 「…私、無一郎様のことが好きです。でも、無一郎様は…そうじゃないのかもしれないと、思って… 無一郎様はお優しい方ですから、私がどんなにはしゃいでもそばにいてくださるけれど、私は本当に無一郎様のお側にいてもよいのですか? 私が我儘だから、付き合わせているだけで、本当は──」 空気を全て吐き出すように、昏い思いのたけをぶちまける。 それでも、最後の言葉が出なかった。言い切ってしまうのが、たまらなく怖かった。 沈黙が場を支配する。無一郎様はなにも言わない。 返答が怖い。捨てられてしまうのかと思うと、心が欠けそうになる。でも、言わないと──

8 20/05/30(土)01:38:18 No.694503202

「いたっ」 「それ以上言ったら怒るよ」 おでこを弾かれた感触に思わず目を開けると、無一郎様は不服そうな顔をしていた。 「痛いですわ!なんで…あっ」 後ろから腕を回されて、そのまま抱きしめられる。無一郎様の温度を背中で感じて、心臓がうるさく騒ぎ始めた。

9 20/05/30(土)01:38:32 No.694503254

「無一郎、様…」 唇から、その名が思わず漏れてしまう。 「…君はほんとに鈍いね。君に送ったものも、君を誘ったことも、ただの同情だと思ってるの?」 耳に唇が触れる寸前の距離で、言葉が耳朶を撫でてゆく。 「無一郎様、耳、近い…」 「だって、君が僕の話を聞いてくれないんだもの。あんなに伝えたのに、まだ足りなかったみたいだね」 こんな無一郎様は、今まで見たことがない。こんな、私の浅ましい嫉妬に本気になって、抱きしめられて── 頭が、おかしくなりそうだ。 「…ごめんなさい。私、まだ、信じられなくて。無一郎様が、私のこと、愛してくれてるって──」 「…じゃあ、もう帰さない。君がもう寂しくなくなるまで、絶対に離さない」

10 20/05/30(土)01:38:59 No.694503369

前に回された手が、胸にそっと触れた。 「…んっ…あぁっ…」 掌から胸の高鳴りが伝わってしまうのではないかと思って、少しだけ恥ずかしくなった。 でも、もう構わない。もっともっと、愛してほしい。 それが私の、二人の望みだと分かったから。 「…もっと、さわって、くださいませ…」 目が合った。 吸い寄せられるように、唇が重なった。 「…愛してる」 「はい、私もです、無一郎様──」

11 20/05/30(土)01:42:39 No.694504268

最近ずっと夢柱とインフィニティのこと考えてる su3934178.txt

12 20/05/30(土)01:42:44 No.694504290

∞夢怪文書ありがたい…

13 20/05/30(土)01:43:52 No.694504573

今まで書いたやつ su3934179.txt su3934180.txt su3934181.txt

14 20/05/30(土)01:44:37 No.694504739

その…寝室ではめちゃくちゃ強い無一郎のシーンとかはないんですか…?

15 20/05/30(土)01:48:30 No.694505585

>今まで書いたやつ >su3934179.txt >su3934180.txt >su3934181.txt 花サイコのやつ以外見落としてたけどあんた凄いね… いいもの見せてもらったよ…ありがとう

16 20/05/30(土)01:49:54 No.694505896

>その…寝室ではめちゃくちゃ強い無一郎のシーンとかはないんですか…? えっちシーン書けない…手前で終わる…

17 20/05/30(土)01:50:31 No.694506054

むいゆめありがたい…

18 20/05/30(土)01:51:52 No.694506365

インフィニティにでかいおっぱい捏ね回される夢柱は見たい…

19 20/05/30(土)01:53:15 No.694506703

顎クイめっちゃ似合う

20 20/05/30(土)01:55:32 No.694507244

ありがてえ 良い夢が見れるな…

21 20/05/30(土)01:57:47 No.694507747

双子仕込まれてるのは確定だからね…

22 20/05/30(土)02:11:44 No.694510823

>その…寝室ではめちゃくちゃ強い無一郎のシーンとかはないんですか…? なんでだろうねインフィニティはベッドヤクザだっていう妙な確信がある

23 20/05/30(土)02:12:29 No.694510993

>>その…寝室ではめちゃくちゃ強い無一郎のシーンとかはないんですか…? >なんでだろうねインフィニティはベッドヤクザだっていう妙な確信がある ワシが…いや今は無粋じゃったな

24 20/05/30(土)02:12:31 No.694511000

>>その…寝室ではめちゃくちゃ強い無一郎のシーンとかはないんですか…? >なんでだろうねインフィニティはベッドヤクザだっていう妙な確信がある ワシが育てたからのう

25 20/05/30(土)02:13:41 No.694511233

>ワシが育てたからのう 貴様はファンブルしか出さなかったであろう

26 20/05/30(土)02:17:45 No.694512029

アホ巨乳お嬢様虚無めんどくさかわいい 盛りすぎでは?

27 20/05/30(土)02:22:58 No.694512974

>「…もっと、さわって、くださいませ…」 夢柱えろなん?

28 20/05/30(土)02:23:18 No.694513036

激しすぎて悲鳴を上げながらのまぐわい 終わった後死んだように倒れるとかとか

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