20/05/23(土)01:02:25 ・・・... のスレッド詳細
削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。
20/05/23(土)01:02:25 No.692075319
・・・・・ 「んー……すまん、今日突破は無理っぽいぞ」 戻ってきたホップ君の第一声はそれだった。 申し訳なさそうに頭を下げ、でもそんなことされても、私はただおろおろするばかりで、なのにお嬢様は冷静で、落ち着いてて、ホップ君が何を言うのか分かっていたかのようにそれを了承する。 「そうですか。なら、ホテルに行きましょうか」 「あー……先に行っててくれ。オレはもうちょっと考えてから戻るぞ」 「わかりました」 それだけ言うと、私が止める暇もなくホップ君はどこかへと行ってしまい、お嬢様もホテルへと向かおうとする。 そんな彼女を私は慌てて呼び止めた。
1 20/05/23(土)01:02:41 No.692075395
「ちょ、ちょっと待ってよお嬢様っ!?」 「なんですか」 平然としてるお嬢様の様子が余計に私の焦りを募らせる。 「なんですかじゃないでしょ!?いいのっ!?」 「何がですか」 「ホップ君だよっ!!」 そこまで言わなければわからないなんて事あるはずないのに。 お嬢様はホップ君の名を出されてようやく私が焦る理由に思い立った風だ。
2 20/05/23(土)01:02:51 No.692075468
「もう夕方です。残りのジムチャレンジャーの事を考えるとホップが今日再チャレンジするのは無理でしょう」 「な、ならっ!」 「ホップは『先に行け』と言いました」 「っ……」 ならホップ君の所へ。 私がそう言う前に、彼女は答える。 そして私を嗜めるようにじっと見つめ、小さくため息を吐いた。 「……いい加減理解しなさい」 「……」
3 20/05/23(土)01:03:17 No.692075600
わかってる、わかってるさ。 ホップ君を一人にしてあげる事が、彼のためなんだって。 落ち込んでても、傷ついてても、一人にしてあげるんだって。 それが、男の子なんだって。でも、だけど。 「だけどっ……」 その時、お嬢様がポンと私の頭に手を置く。 そして髪を漉くように撫でる。 「落ち着きなさい。今回はそう言うのではありませんわ。彼の言う通り、少し考えたいというだけです。すぐに帰ってきますわ」 「わかってる……けど」 諭すように微笑むお嬢様。でも、私の不安は消えない。 それがわかっているのか、お嬢様はそれ以上何も言わず、私の手を引いてホテルへと向かって行った。
4 20/05/23(土)01:03:28 No.692075658
・・・・・ 雪が降りしきるキルクスタウンの夜景はとても寒そうで、温かい部屋の中で見ているだけでも身震いしてしまう。 だから、私はしっかりと厚着をして部屋を出る。 そして隣の扉をノックすると、中からお嬢様が顔を出した。 「何の用ですか」 「私、温泉行ってくるね」 いきなりいなくなっては心配をかけるだろうとの心遣いなのだが、お嬢様はこちらを訝しんでいる様子だ。 「先ほど入ったではないですか」 「いやここ温泉街でしょ?温泉巡りしておかないと」
5 20/05/23(土)01:03:40 No.692075706
ホテルはもちろん街の中にも温泉施設は沢山ある。 せっかくなのだから色々な温泉を堪能しておきたいというのは当然の事だろう。 「……そうですか」 「お嬢様も行く?」 せっかくだからとお嬢様も誘ってみるも、残念ながら首を横に振られてしまう。 「遠慮しておきますわ。わたくしはもう休みます」 「そ、じゃあ行ってくるね」 「ええ、楽しんできなさい」 そう言ってお嬢様は扉を閉め、私は一人ホテルを出て――――町の外へと向かって歩き出した。
6 20/05/23(土)01:04:43 No.692076041
・・・・・ 「うげ」 思わず口をついて出た鳴き声に彼女は不満そうに顔をしかめる。 「……町の外に温泉があるだなんて知りませんでしたわ」 お嬢様は町の入口を塞ぐかのように仁王立ちし、私と相対する。 ホテルを出たのは私が先なのに一体どんなルートで先回りしたのだろうか。 「……文字通りの掘り出しものの温泉があるかなって」 「そんなに、彼の元へ行きたいのですか」
7 20/05/23(土)01:05:13 No.692076194
即興で捻りだした言い訳を一顧だにせず、お嬢様は核心を突いてくる。 私は言い訳やごまかしを捨て、観念したように頷いた。 「……うん」 諦めた私をお嬢様は咎めるようにじっと見つめる。 ああ、私はこのまま連れ戻されるのだろう。 わかっている。それが、彼のためなのだから。 お嬢様の言う事が正しいのだから。 でも、でも、でも。 私は……
8 20/05/23(土)01:05:36 No.692076317
その時、お嬢様が深いため息を吐く。 「………………わかりました」 「え?」 「遠目で見るだけ。声もかけない。気づかれないよう細心の注意を払う。それが、妥協できるギリギリです」 それはすなわち、彼の元へと行っていいという事。 制限こそ随分かかっているが、このまま連れ戻される事に比べれば遥かに有情だ。
9 20/05/23(土)01:05:47 No.692076370
「……いいの?」 「連れ戻したところでまた脱走されては時間の無駄です、ならばお互いの妥協点を探した方が建設的ですわ」 「……ありがとう」 「決まりましたわね、さっさと済ませてしまいましょう」 そう言うとお嬢様はコートをひらめかせ、町の外へと向かって行った。 ………………いや君が先に行くんだね。
10 20/05/23(土)01:06:09 No.692076490
前回までの su3915483.txt
11 20/05/23(土)01:07:57 No.692077051
お嬢の女房感いいな…
12 20/05/23(土)01:08:23 No.692077200
二人ともめっちゃくちゃ仲良くなったなって
13 20/05/23(土)01:12:27 No.692078527
ホップ含めで凹凸凹なトリオ
14 20/05/23(土)01:19:08 No.692080571
温泉堪能してるお嬢が見てぇー
15 20/05/23(土)01:28:36 No.692083299
お嬢炎ウリもなかなかキテル…
16 20/05/23(土)01:30:45 No.692083901
年上がちゃんと年上してるの好き
17 20/05/23(土)01:33:13 No.692084658
>ホップ含めで凹凸凹なトリオ 突起物の数か…
18 20/05/23(土)01:35:11 No.692085218
お嬢真顔でホップの方向かってったんだろうな…
19 20/05/23(土)01:49:44 No.692089141
>>ホップ含めで凹凸凹なトリオ >突起物の数か… おいおいそれじゃあ凹凸□だぜ!
20 20/05/23(土)01:53:11 No.692090044
>おいおいそれじゃあ凹凸□だぜ! 意味はよくわからないけどとりあえず燃やしておこうか