ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/05/17(日)00:43:57 No.689974545
・・・・・ 霜が降りる氷点下のスタジアム。 しかし、わたくしの心の温度は決して凍り付いたりはしません。 目の前ではダイマックスしたゴリランダーの前に同じくダイマックスしたラプラスが立ちはだかっています。 キルスクジムのジムリーダー、メロンさんの最後の一匹にして切り札。 そして最後の一匹なのはこちらも同じ。 ゴリランダーはラプラスの一撃をなんとかきあいのタスキで耐えましたが、次はありません。 つまり、これで決めるという事です。 白く染まる息と共にゴリランダーへと叫びます。
1 20/05/17(日)00:44:08 No.689974620
「決めなさいゴリランダー！！これで、最後です！！」 それに応えるようにゴリランダーが大きく吠え、『ダイソウゲン』を放ちます。 ラプラスが緑光に包まれ、その光が収まった瞬間。 今度はラプラスが大きく爆発を起こし、元の姿へと戻っていきました。 すなわち――――わたくしたちの勝利です。
2 20/05/17(日)00:44:27 No.689974744
・・・・・ 「あんた……やるじゃないか！まさか草ポケモンだけであたしのポケモンたちを倒すだなんてね！」 メロンさんは驚きと感激が入り混じった様子でわたくしを称賛します。 ですが、それを素直に受け止められるほど余裕の勝負ではありませんでした。 「紙一重、ですわ。運頼りの、それこそ、薄氷の勝利です」 「謙遜はよしな。なるほどね、カブさんのジムを突破できただけはあるよ」 感慨深そうなメロンさんの言葉に、わたくしもゆっくりと頷きます。 「……ええ、カブさんには大切な事を教えてもらいました。それがあったから、わたくしは本気でジムチャレンジに打ちこむことが出来るようになりましたわ」
3 20/05/17(日)00:44:48 No.689974888
勝利への渇望を、挑戦者としての心構えを。 わたくしはカブさんとの戦いで学ぶことが出来ました。 ポケモンの相性だけじゃない、勝利のために出来る事を全て尽くす。 それが、メロンさんとの戦いでも活かすことが出来た。 わたくしの道程が、わたくしの糧となっていることを実感します。 「そうかいそうかい！いやー『穴に落ちては詰まって抜け出して直進してまた落ちる』なんてやり方でジムミッションを突破された時は大丈夫かい！？って思っていたけど、杞憂だったようだね！」 「……次からは穴のサイズをもう少し考えた方が良いと思います」 穴のサイズが小さかったのであってわたくしのサイズの問題だと誤解されるのは甚だ遺憾なので。
4 20/05/17(日)00:45:03 No.689974985
・・・・・ 試合から戻ったわたくしを出迎えたのは、ホップと小娘でした。 「流石だなお嬢。見ていてめっちゃハラハラドキドキしたぞ！」 「お疲れ、随分と余裕だったね」 ホップの微笑ましい感想にはわたくしも思わず笑顔が零れますが小娘の軽口には真顔になります。 「それはあなたの事でしょう。わたくしは紙一重の勝利でした」 小娘は今回一番槍としてメロンさんに挑み、見事氷バッジをゲットしました。 ポプラさんとの試合を通して何かを掴んだ小娘は、その猛火でメロンさんのポケモンたちを悉く焼き払い、一方的な勝利を収めました。 そんな彼女に余裕の勝利などと褒められた所で皮肉にしか聞こえません。
5 20/05/17(日)00:45:30 No.689975180
「草ポケモンだけでメロンさん倒したんだから十分でしょ」 小娘はそう言いますが、わたくしが求めるのは『健闘』ではなく、『勝利』なのです。 頑張ったけど負けました、なんてものは求めてはいないのです。 それはジムチャレンジでも同じです。 どんなに相性が悪くても、どんなに相手が強くても、それが勝利を諦める理由にはなりません。 それが、カブさんとの戦いを通してわたくしが見つけた結論なのですから。 だから、 「だから、次のジムまでにわたくしはもっと強くなります。この子たちと共に」 モンスターボールを握り締め、そう宣言します。
6 20/05/17(日)00:45:44 No.689975273
「……そ。まぁ好きにすればいいよ」 その投げやりな返答とは裏腹に、小娘は微笑みます。 わたくしもそれに小さく微笑みを返し、話を次へと進めました。 「さぁホップ。次はあなたの番ですよ」 「……ああ」 小娘、わたくしと来たならば、最後はホップの番です。 ラテラルジムやアラベスクジムでの連勝で調子を取り戻した様子のホップ。 だからと言って油断など出来る訳がありません。 それはホップもわかっているのでしょう、その面持ちはいささか緊張した様子。 わたくしはその強張った頬にそっと触れ、軽く引っ張ってみます。
7 20/05/17(日)00:46:00 No.689975383
「……痛いぞ」 「そんな表情してるからですわ。もっと柔らかくなさい」 「お嬢様は全身柔らかいものべッ！！？」 余計な口を挟む小娘の額を指で弾き、もう一度ホップへと向き直ります。 「安心なさい。わたくしたちはちゃんと見届けますわ」 「……おう！待ってろよ！！」 「頑張ってねホップ君！」 ホップの表情から強張りが抜け、いつもの笑顔が戻ってきます。 さぁ、お行きなさい。 わたくしたちはホップの肩を叩き、送り出します。 わたくしたちに手を振りスタジアムの中へと消えていくホップ。
8 20/05/17(日)00:46:19 No.689975513
「さて、観客席へと行きましょう」 「うん………………ねぇお嬢様」 「なんですか」 「……大丈夫かな」 「それは今考える事ではありません」 「……ごめん」 小娘は小さく頭を下げると、観客席へと向かって行きました。 ラウンジのモニターには、ジムミッションへと挑むホップの姿が映っています。 意気揚々といったその姿に少しだけ安堵したわたくしは、小娘の後を追って観客席へと向かいました。
9 20/05/17(日)00:46:29 No.689975594
――――結論だけ言いましょう。 ホップは、メロンさんに敗れました。
10 20/05/17(日)00:47:01 [s] No.689975789
前回までの su3899270.txt 久しぶりだからちょっと長めです
11 20/05/17(日)00:49:20 No.689976846
ホップメロンさんに一回負けてましたね…
12 20/05/17(日)00:53:22 No.689978512
お嬢あっさり勝ってる…
13 20/05/17(日)00:53:43 No.689978690
みんな強くなったね…
14 20/05/17(日)00:57:59 No.689980385
ホップはこっからたくましい成長を遂げるんだよ…遂げるよね？
15 20/05/17(日)00:59:11 No.689980837
>穴のサイズが小さかったのであってわたくしのサイズの問題だと誤解されるのは甚だ遺憾なので。 ……そうですね
16 20/05/17(日)01:00:43 No.689981396
お嬢は規格外の大きさだからどこでも突っかかるな
17 20/05/17(日)01:01:18 No.689981614
久々の更新嬉しい…ずっと待ってたよ…
18 20/05/17(日)01:02:12 No.689981942
メロンさんも引っ掛かるだろたぶん
19 20/05/17(日)01:04:03 No.689982649
斬新なジムチャレンジクリアだ…
20 20/05/17(日)01:05:39 [s] No.689983292
>久々の更新嬉しい…ずっと待ってたよ… 書く内容は決まってたんですけど色々あって遅れました… 今の所ちゃんと続けてく予定なんでよければお付き合いください
21 20/05/17(日)01:25:05 No.689990503
>>久々の更新嬉しい…ずっと待ってたよ… >書く内容は決まってたんですけど色々あって遅れました… >今の所ちゃんと続けてく予定なんでよければお付き合いください ありがたい…いつも楽しくどうなるか読んでる