20/05/15(金)01:23:45 「…で、... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1589473425052.jpg 20/05/15(金)01:23:45 No.689250256
「…で、あとはこっちなんかも良いんじゃない?」 「ふむ」 甘い香りが漂う煌びやかな空間。あれやそれやが小さく華奢で、何もかもが俺には似合わない。 …が。俺の連れは違う。 何処と無く死んだ顔で居る俺と、アクセサリーを手に取る笑顔の愛は、まるで正反対だ。 「ん。これとか」 俺の方へ差し出された手に乗った、“いかにも”なアクセサリーを気だるげに見る。 何度目だか数えてはいないが、少なくともこの空間に漂う香りに鼻が慣れる程には繰り返したこのやり取り。 「…全然わからん」 「真面目に考えなさいよね。サキの誕生日なんだから」 「考えとるんだがなぁ…」 頬をポリポリと掻けば、不満顔が俺へ向く。この流れも何度目だか。 アイドルにおいて俺は、優秀で才気煥発にして更に一騎当千。最強の存在と言えるだろう。 …そんな俺であっても、伝説のレディースが欲しい物はわからなかった。 そして、なんとなく詳しそうな人物に頼るのも、まぁ、はい。非常に不服ではあるが、仕方無い事だろう。
1 20/05/15(金)01:24:20 No.689250377
「私のアドバイス、ちゃんと覚えてるわよね?」 「流石に覚えとるわい」 バカにしたような言葉に泰然と返したものの、やはりイマイチ掴めない。 『なんだかんだサキも女の子。可愛い物が良い』 『ただ、サキはちょっとズレてる節もある。ちょいキモくらいがベストかも』 とは言われたが、サキが考える可愛いに思考を巡らせれば、それが迷宮の入り口。 (アイツの可愛いってなんだ…?) 考えれば考えるほど、ドツボに嵌って抜け出せない。 果たしてサキの可愛いは俺の知っている可愛いと同じだろうか。KAWAIIとかそんなんじゃないだろうか。 「…小難しい事考えてないで、アンタが可愛いって太鼓判押せるヤツでいいのよ」 「…だが」 「デザインは別だけど、それ以外のアンタのセンスはまとも!私の言葉くらい信じなさいって」 何か一部気になる点もあったが、頼もしい言葉と共に愛が腕を組む。 数多の種類が並ぶこの中で一つ。 悩みに悩みぬいた末、俺が思うちょいキモな可愛いキャラが描かれたキーホルダーをどうにか手に取った。
2 20/05/15(金)01:25:06 No.689250539
レジで店員に渡せば、丁寧な手つきで小さな袋に包まれ渡される。 こうして包装されてしまうと、別に何か思いを込めたわけではないが、不思議と緊張するものだ。 …いや、込めた。ここまで悩むくらい詰まった俺の思いを、しかと受け止めて貰わねば。 「ありがとな、愛」 店を出て振り返り、一足遅れて出てきた愛に感謝を告げる。 きっと俺一人では、何かズレた物を用意してしまっていたに違いない。本当に、助かった。 「ん」 俺の感謝を受け取ったのかどうかはわからないが、愛は小さく笑ってみせる。 そして笑ったまま俺の手にある小包を掴んで抜き取り、隣を抜けて歩き去った。 「…は?」 物を掴む感触を失った手を見て。一拍置いて、思考が追いつかぬまま愛の方へ振り向く。 「こ・れ・は、アドバイス代って事で」 両腕で強く胸に抱かれた小包は、絶対に返さないぞという意思表示。 悪戯っぽく笑う愛。本当に大事そうに愛が抱えたキーホルダー。崩れ落ちる俺。 結局、第二希望としていたキーホルダーを更に買う羽目になった。もう二度と聞かないんだから。ぷんすか。
3 20/05/15(金)01:36:51 No.689253172
策士でありんす!
4 20/05/15(金)02:00:45 No.689258120
いい…
5 20/05/15(金)02:21:32 No.689261666
よか…