20/05/06(水)21:41:15 私にと... のスレッド詳細
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20/05/06(水)21:41:15 No.686610673
私にとっての光は貴女でした。 貴女さえいれば私には他に何もいらなかった。 「愛しています。――――様」 豪華絢爛な装飾によって彩られた空間。そこで私は今日、愛する人と婚礼の儀を交わす。愛を誓い合い、共にこれからを歩もうと指輪を互いの指先へと嵌め、私と――――様は見つめ合い、そして互いに微笑んだ。 光の魔力という存在が私にもたらしたものは決して良いことばかりではなかった。今の幸せ以上に苦しいことが沢山、そう沢山あったのだ。 一時は光の魔力を憎んだこともあった。けれど学園であの方に会って私は知った。楽しさや喜びを。あの方に会って――あの方? あの方って一体誰だったのしょうか。 『マリア』 私を呼ぶあの方の声。温かく、朗らかで、いつも私の作ったお菓子を美味しいと食べてくださった。とっても大切な記憶、そう大切な記憶のはずだった、のに。 「どうしたんだい? マリア」 「――――様。私は、私は」
1 20/05/06(水)21:41:33 No.686610779
こんなのは何かがおかしかった。 全てが異常で、全てがずれている。 まるで世界全てが別の何かにすり替わってしまったかのような違和感だった。私の中のあの方への大切な思い出は別の人物との出来事として書き換えられ、そればかりかあの方は。 「ああ、もしかして、まだカタリナのことを不安に思っているのかい? 大丈夫。もう心配はいらない。カタリナは今頃国外だ。もう君に危害など加えられないだろう」 「カタ、リナ、様」 カタリナ様。カタリナ様。カタリナ様。カタリナ様。 「国外、カタリナ様が……?」 何故、どうしてと疑問符。けれどすぐに思い至る。そうだった。カタリナ様は国外へと追放されてしまったのだった。解けた疑問は更なる疑問を呼ぶ。あんなにも優しかったあの方が一体どんな罪を犯したというのか。 さあと口づけを行おうとする――――様の手を振り払う。部屋中がどよめき立つ。困惑した目を向けてくるその人を無視するようにしてくるりと背を向けると私は走り出す。
2 20/05/06(水)21:41:52 No.686610908
「カタリナ様。カタリナ様。カタリナ様。カタリナ様!!」 こんな世界は違う! 私の知っている世界とは全然違う! ここに私の幸せなんてない。私の幸せは、カナリナ様の存在無くして有り得ない! 規定のルートからの逸脱によって世界は再び形を変える。 正しいルートと正しい結末のために。 けれど、世界がどれだけ変わろうとも正しい結末は訪れない。どれだけルートを用意しようとも。マリアは必ずあのイレギュラーを選んでしまう。何故どうして理解不能。世界のバグでしかない彼女が何故、世界にとっての光であるマリアをこうも。 「そんなことは決まっています。私にとっての光こそ、カタリナ様に他ならないからです。カタリナ様のいない世界になど、私は只の一つも幸せを感じることなんてできません!」
3 20/05/06(水)21:42:16 No.686611089
「マリア、マリア」 「……ん、ぅん」 枝葉の合間から漏れた陽の光が微睡みの淵にいるマリアをそっと出迎える。心地の良い、ようやく自分のあるべき世界に帰ってこれたような、そんな安堵を伴った目覚めだった。 風が吹き、樹々が揺れ、葉と葉とが擦れ合う。 「マリア」 自然の音を背景にその方の温かい声が私をそっと揺り起こす。 「カタ、リナ様」 目を開ければそこには心配そうに私を覗きこむあの方の姿がある。 「マリア! 大丈夫?」
4 20/05/06(水)21:42:32 No.686611216
どうやら私は木陰の下で倒れていたらしかった。意識を失う前のことは上手く思い出せなかったが、これ以上カタリナ様に心配を掛けないように一言「カタリナ様、私は大丈夫です」と言ってカタリナ様に笑いかける。 何事もなくてよかったわとカタリナ様は胸を撫で下ろした。私はカタリナ様に心配をかけてしまったことに罪悪感を感じる一方で嬉しい気持ちが湧き上がるのを抑えきれない。カタリナ様はいつだって私に色々な感情を引き出させる。 「ねえ、マリア! 具合が大丈夫そうなら一緒にお茶でもしない? ジオルドが美味しいお菓子を用意してくれたみたいなの! 私とジオルドだけで食べるのもなんだか勿体無いからみんなを誘っているのよ。マリアはどう?」
5 20/05/06(水)21:42:49 No.686611324
差し出された手のひらは私とっては眩しすぎて、時々その手のひらを取っても良いのかと思ってしまう。けれど、それでも私はもう光を手放すことなんて出来ないから。 「はい。是非、ご一緒させてください」 「本当! すっごく嬉しいわ。それじゃあ行きましょう! マリア」 「はい。カタリナ様!」 握られた手のひらから流れ込む熱。それがどれほど私の心を温めているのか、きっとカタリナ様は知らないだろう。 ――心の底から愛しております。 そう出かかった言葉を胸の内になんとか留め、私はカタリナ様に聞こえない声量で言葉を零す。 「カタリナ様、ずっとお慕いしております。例え、世界が幾度、変わろうとも」
6 <a href="mailto:世界">20/05/06(水)21:45:17</a> [世界] No.686612345
おかしい こんなことは許されない
7 20/05/06(水)21:47:48 No.686613315
世界さんさぁ…もう諦めなよ
8 20/05/06(水)21:49:55 No.686614177
重い…!
9 20/05/06(水)21:51:14 No.686614699
ナチュラルにジオルドが躱されててダメだった
10 20/05/06(水)21:53:44 No.686615806
今夜は重い淑女が多いな…
11 20/05/06(水)22:00:29 No.686618335
>今夜も重い淑女が多いな…
12 20/05/06(水)22:04:44 No.686620006
重さに底が見えないヒロイン
13 20/05/06(水)22:34:42 No.686632646
私にとって新たな光だ!