20/04/01(水)20:41:03 「そっ... のスレッド詳細
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20/04/01(水)20:41:03 No.676076954
「そっとしといてあげなって」 「だって面白そうだもん」 閉じた瞼の向こうから、仲良し男女の声がする。頬に何度かツンツンと、楽しげに触れる細い指。 「あーほら起きちゃった。御免ね君、姉さんはいつもこれだから」 「そういうこと。そして弟クンがこれだから」 ため息笑顔の黒装束。からから笑う桜色。呼び合う二人は私を知らない。なのに私は知っている。 「先、輩……」 ピクリと止まる二人の笑顔。どちらの色を呼んだのだろう、私にだって分からない。二人で一人、一人が二人。寝ぼけているのか夢なのか、はたまたこれが真実か。 「生憎と、今は真実が敵なんだよー」 思考を読んだように先輩が笑った。 「君も仲間だよね。桜餅どうぞ」 展開を読んだようにセンパイも笑った。 「姉さんそろそろ追手が来るよ」 「あいあいそれじゃあ逃げよっか!」 そこに居る筈の二人の影が、喧騒の中へ溶けていく。 「それじゃあまたね、なすびちゃん!」 そんな声が、飛びかけた意識の最果てから聴こえて──
1 20/04/01(水)20:56:44 No.676081575
「起きるがいい。招かれざりし旅人よ」 再び私は起こされて、今度の目覚めは部屋の中。空いた窓から陽が指して、春風一番髪を梳く。 「俺はヱドモン。探偵だ」 厳つい男が淡々と、目も合わせないで語り出す。 「黒装束と桜の着物。出会ったことがあるはずだ」 「はい。それはもう、ついさっき」 目を合わせないで私も答える。なるべく淡々、しばらく沈黙。それから再び語り出す。 「お前の目にはどう見えた」 二人の影を記憶に辿る。二人で一人、一人が二人。何がなんだかさっぱりだけれど 「とても──仲良しに見えました」 男の眉間に皺が寄る。私が感じた真実は、そうであってはいけないのだろう。それは確かにそうだけど、けれど二人はそうだった。だから探偵は敵を追う。 「手伝え。あの二人を追い詰める」 それが己のさだめのように、男は春の中へ往く。続いて私も飛び出して、そうして誰もいなくなった。
2 20/04/01(水)21:10:24 No.676085403
のうのう!
3 20/04/01(水)21:27:32 No.676090209
大正浪漫って感じしていいよね…