ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/03/20(金)00:58:59 No.672499685
「幸太郎さん、大丈夫と？」 声を掛けた相手は、何重にも重ねた毛布の下で真っ赤な顔をして荒い息を繰り返している。 天井を向いていたサングラスが、ベッドの隣に立つ私の方へ。 「ダイジョウブ」 「あ。あかんねこれ」 あまりにも露骨な片言に、はぁ…っと溜め息。 すっかり温くなった濡れ布巾を額から外して、しっかり絞った冷や冷やのを交代で額へ。 寝かせてから何も変わらない姿。ちょっと不安を感じながら、部屋の時計を見る。 「皆…大丈夫かな…」 「ダイジョウブ」 「…」 発熱して、フラフラしていた幸太郎さんを寝かしつけて。必要な物を探しだして発覚した驚愕の事実。 この屋敷には風邪薬が無かった。解熱剤も無いし、咳止めも無い。なーんも無い。 ダメそうな幸太郎さんと一緒に、買出しに行った皆の帰りを今か今かと待っていたのが今の状況。 …幸太郎さんは自分の健康を一切考慮していなかった事が発覚したけど、まぁ、そこら辺は治ってから。
1 20/03/20(金)00:59:19 No.672499763
「…お粥でも作れないか、見てきますね」 なるべく側に居た方が良いかな？とも思ったけれど、何もせずに居るだけは嫌。 幸太郎さんの手を一度だけ、握る。 汗ばんだ手が握り返してくれて、胸が少しだけ軽くなった。 「…幸太郎さん」 なんじゃいこっち見るんじゃないわい。なんて言ってきそうなのに、今日は静か。 「早く…元気になってね」 ちょっと…ちょっとだけ名残惜しみながら、手を離す。 （言葉にした事は、行動に移さなきゃ） 冷蔵庫の中に眠っている具材を思い返しながら立ち上がって、扉へ。 …向かおうとした途端。何かが袖に引っかかった。 振り向いて見ると、指。 「…」 まるで二本の指で摘まむように。 身体を起こした幸太郎さんが手を伸ばして、私の袖を掴んでいた。
2 20/03/20(金)00:59:30 No.672499809
「幸太郎さん？」 「…」 声を掛けても、私を見つめるだけ。 「…」 「…ゴホッ」 見つめ合って時間がただ過ぎる中で、幸太郎さんが咳き込んだ。 「こ、幸太郎さん！ちゃんと休まんといけんよ！」 慌てて近づいて、力が入っていない肩を押してベッドへ寝かせる。 （早く作ってあげんといけんね…） 元気が無くても、何かを食べて体力をつけてあげないといけない。 そう思いながら再度動き出そうとしたけど、私の袖にまた何かが引っかかった。 振り向けば、また幸太郎さんの指。 「…幸太郎さん」 今度は寝たまま。私を見つめて、摘まんでる。
3 20/03/20(金)00:59:59 No.672499888
…もしかして。 優しく解こうと、幸太郎さんの指へ手をやる。 すると、少しだけギュッと力が篭った。 …もしかして、もしかして。 「…側に、居てほしかと？」 頭に過ぎった可能性を口にしてみる。だけど幸太郎さんは黙ったまま。 …黙ったまま、ほんの少しだけ頷いた。 その肯定で、胸が高鳴る。 （あの幸太郎さんが、こんな、こんなぁ…！） いけない事だとわかっていても、ドキドキが止まらない。顔の熱が収まらない。 いつも強気に飄々と引っ張ってくれる幸太郎さん。 そんな幸太郎さんが、弱りきって、私を頼ってくれてる。側に居て欲しいと。 いつもと今のギャップが。強気と弱気が私の理性を溶かしていく。 「……よ、よかよ？」 何処からか移った熱に絆されて出た言葉。その言葉に返ってきた微笑で、私の理性は完全に陥落した。
4 20/03/20(金)01:00:09 No.672499927
「ただいまー！さくら！アイツの調子はど…う…」 「どうしたんですか愛さん？何かあっ…た…」 「…おーおー。二人仲良く寝とんな」 「さくらちゃん、すごい顔してるね…」 「幸せそうで良い事でありんす。幸太郎はんもきっと幸せでありんしょう？」 「いや…看病しないとダメでしょ…」 「あぁ！間に入ろうとしちゃダメですよたえさん！巽さんは今、病人なんですから！」 「……えへへ…こうたろうしゃん…」 「…とりあえず、さくらだけでも起こしましょうか」 「そうですね……ゆうぎりさん？何してるんですか？」 「あい？さくらはんが幸太郎はんを冷まさせているのなら、わっちも一肌脱ごうかと」 「たえちゃーん！だからダメだってばぁ！潜り込もうとしないのー！」 「……はぁ…私お粥作ってくるわね…」 「あっ。私もお手伝いしますね。ここだと色々巻き込まれそうで…」 「おめーら逃げんじゃ…姐さん！幾らなんでもそれいけんって！あー！グラサンのグラサンが！！あー！」
5 20/03/20(金)01:00:51 No.672500097
そうして色々あったらしいけど、幸太郎さんは無事復活！ 私もホクホクで文句無しの大団円だったのでした！ …でもなんだか、幸太郎さんが妙に私を避けるというか、照れたように目を逸らしてくるの！悲しみっ！ それに皆もすごい疲れた様子だし、レッスンは少しだけお休みだって！悲しみ悲しみっ！ でもでもさくらは折れません！なんせ今の私は元気一杯の無敵状態！ 幸太郎さんの弱気な姿を夢に見つつ、また明日も活躍するのでした！ まるっ！
6 20/03/20(金)01:05:08 No.672501038
>…もしかして、もしかして。 >「…側に、居てほしかと？」 >頭に過ぎった可能性を口にしてみる。だけど幸太郎さんは黙ったまま。 >…黙ったまま、ほんの少しだけ頷いた。 ギャップ萌えでありんす！！！
7 20/03/20(金)01:05:57 No.672501197
>「おめーら逃げんじゃ…姐さん！幾らなんでもそれいけんって！あー！グラサンのグラサンが！！あー！」 アウト！
8 20/03/20(金)01:08:41 No.672501768
巽はとりあえず栄養ドリンク飲んでおけば大丈夫とか思ってそうだな…
9 20/03/20(金)01:10:39 No.672502198
ゾンビやけん添い寝しても移らねえんだ！
10 20/03/20(金)01:13:41 [あらすじを忘れておりんした] No.672502849
今回のゾンビランドサガは！ さくらです！最近妙に冷え込んどったけど皆は元気にしとったかな～！？ 私達？ゾンビィやけん風邪引かねーんだ！っていうサキちゃんの根拠ゼロな言葉通りになりそう！ だけど生きてる幸太郎さんはそうも行かず、なんと風邪っぴきで40℃の高熱！ ……どどど、どやんす～！？
11 20/03/20(金)01:13:43 No.672502860
間に挟まりてえ～
12 20/03/20(金)01:17:55 No.672503771
>「あい？さくらはんが幸太郎はんを冷まさせているのなら、わっちも一肌脱ごうかと」 そして脱ぐ
13 20/03/20(金)01:18:14 No.672503855
40度はやべーぞ！
14 20/03/20(金)01:25:03 No.672505315
添い寝よか…
15 20/03/20(金)01:31:57 No.672506779
幸太郎はん！ 照れずに抱きなんし！
16 20/03/20(金)01:34:47 No.672507322
はいお前ら可愛い
17 20/03/20(金)01:42:05 No.672508780
よか…
18 20/03/20(金)01:50:55 No.672510592
さくらを意識しちゃう巽やーらしか過ぎる