ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/03/17(火)17:37:11 No.671870175
スズカさんはアメリカでも大活躍です!疑惑なんてなんのその!大人気のウマ娘です! そんなあの人の活躍を見てると、私ももっと頑張らなくちゃって思うんです! あちらに比べて、私は不甲斐ない所もあって気落ちしちゃう時もありますけど……。 「おーい!スペー!」 あ、トレーナーさん…ああっ!スズカさんの出走がもうすぐじゃないですか! 急がないと始まっちゃいます! 「急げよー!今のお前なら最高のスパートが出せるはずだー!」 そ、そのためにこんなギリギリまで教えなかったんですか!あの人ったらひどいです! こうなったら全力!誰よりも、それこそスズカさんよりも速く! でないとまたあの時みたいに…って、私ったら何考えてるんですか!ありえません! スズカさんより速くなるのはいいですけど、あれは違います!本当に、違いますから! 「スペェ……スズカァァァァァッ!」 ……気にしてなんか、いませんから。私はスズカさんが好きで、それはトレーナーさんも同じですから、ああなったのは当然なんです。 大歓声に紛れれば聞こえるはずなんてなかったそれは、ただの事故。きっと他意なんてありませんでした。 ええ、きっと。
1 20/03/17(火)17:37:33 [sage] No.671870222
寮へと戻る私を襲う、プツリという嫌な感触。 「……やっちゃった」 あの後スズカさんのレースに熱狂した私たちは、勝ったからってスピカの部室でパーティーを開いてはしゃぎました。 私はと言えば、調子に乗っていっぱい食べちゃったからお腹が膨れて、結果がこれです。 ああもう、どうして気分良く負われないんですか。あの時のことをまた思い出しちゃったじゃないですか。 ……不意に思い出してしまったのは、どうしてなんでしょう? このモヤモヤした気持ちはひょっとして……いえいえ、そんなことはありません。 だってあの人は、そういうのじゃなくて……どちらかと言えば、恋敵みたいな人で、それから、スズカさんにとって大切な人で。 そこに私が割って入るのはきっと、不可能で。どうしようもないんです。 時間が解決してくれるのを待つしかなくて……それまでずっと、こんな苦しい思いをするんでしょうか? 「あれ、どうかしたんですか?」 不意に声をかけられ振り向いた先に、見慣れない女の人がひとり、立っていました。 でも、初めて見る顔じゃなくて……確かテーラーガール、あるいはテーラーアイドルって呼ばれてる人じゃないですか。
2 20/03/17(火)17:38:11 [sage] No.671870324
「もう……皐月賞の時もそうでしたけど、服をいじめるようなことはやめてくださいね?」 名に違わない手際でした。あっという間に私のスカートを直してくれたのは、まるで魔法みたいで。 ああ、きっとこういう人なら素敵な相手と出会っているんだろうなって思いました。 いや……彼女はアイドル、いても表沙汰にはしませんよね。 ちなみに当時の私が服のサイズで困っていたのは、テレビ越しでも一目見て分かったそうです。トレーナーさんと同じく、そういうのを見る目があるんでしょうね。 「とにかく、ありがとうございました。機会があれば是非お礼を……」 「そんな!……でしたら私の店をご贔屓にしていただけたらなと。あ、これ名刺です」 しっかりしてますね。確か彼女、私よりも若かったはずなんですが……今後こういうことがあるなら、私も名刺くらいは持っておいた方がいいですよね。 「ところでその、ご気分が優れないようですけど……」 「いえ、大した事ではないんですよ」 「差し支えなければどうか、聞かせてください」 有無を言わせない迫力がありました。少し考えて、意を決した私は胸の内をそれとなく明かしました。
3 20/03/17(火)17:38:36 [sage] No.671870398
「ああ、そういうことですか。合点がいきました。私がスペシャルウィークさんへ、どことなく親近感を覚えたことって」 親近感。それはつまり、私にとってのスズカさんとトレーナーさんに相当する方が、彼女にもいるということで。 「そういうことでしたら、少しはお力になれるかもしれません。お節介を言わせていただく程度ですけど」 「構いません!どうか、よろしくお願いします」 最後に決着をつけるのは私自身。けれど糸口が見つからなくて、藁にもすがる思いでした。 「まず、ご自分を傷つけるのはやめましょう。考えるだけ無駄です。私もそうでしたから」 彼女は何かを思い出しているような様子で、空を仰ぎながら言いました。 「それから誰かを傷つける覚悟をなさってください。いい子でいようとするのは止めにしましょう。あまのじゃくなハートじゃ恋のダービーに勝てませんよ?」 あまのじゃく。はて、一体私が誰にそんな……あの人は、生理的に無理なんですってば! 「……どうかご自分に嘘をつかないで。でないと必ず、後悔しますから」 その言葉に重いものを感じた私は、ああ、きっとこの人は……だから私に、無念を託したのかと思いました。
4 20/03/17(火)17:38:56 [sage] No.671870446
夢と言うにはいささか重苦しくて、ほろ苦くって、いたたまれないその想い。 よく分かりました、私は同じ轍を踏んだりしませんという思いを込め、私は彼女に頷きました。 そうと決まれば思いの丈を伝えなければなりません。ええ、あの人に。 「ああ、つむぎちゃん。随分探したよ」 「あっ!すみません、お待たせしちゃって……スペシャルウィークさん、続きはまた今度!」 ……どうやら私の勘違いだったようですね。人が良さそうで、どこか幼さを感じる男の人でした。 彼女と彼、それに彼女が慕う人……あるいは他の人とも何かあったかもしれません。 それを乗り越え、ああして彼の傍にいるから、彼女はあんなにも幸せそうな顔をしているんですね。 迷いはなくなりました。 憧れは憧れ!ずっと一緒にいたいって思える人とは、イコールじゃありません! 行かなくちゃ。早くこの気持ちを、あの人に伝えなきゃ。 夢への舞台へ連れていってくれてありがとうって。それから、スズカさんには負けたくありませんとも。 そして私もあなたの愛バで、これからもずっとそうでありたくて、一緒に夢を叶えていきたいのだと。
5 20/03/17(火)17:48:06 No.671871854
また恋のダービーで差してる…
6 20/03/17(火)17:51:29 No.671872448
プツリって注射針刺されたのかと思ったらボタンか
7 20/03/17(火)17:51:35 No.671872461
スペちゃんはつよいな
8 20/03/17(火)18:00:59 No.671874106
アメリカにいる間に…
9 20/03/17(火)18:05:08 No.671874875
スズカさんはダービー獲れないから…
10 20/03/17(火)18:09:53 No.671875826
ブライアン。
11 20/03/17(火)18:22:07 No.671878299
君の愛馬が!
12 20/03/17(火)18:31:29 No.671880387
>また恋のダービーで差してる… ボクノモチウタナノニイツモボクカヤノソトー
13 20/03/17(火)18:31:43 No.671880450
ズルイヨスペチャン
14 20/03/17(火)18:34:06 No.671881014
オレも恋のダービーに…