ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/03/14(土)20:48:55 No.671080428
空の飛ウリ2話-2です。 ここまでのお話 → su3721796.txt
1 20/03/14(土)20:49:16 No.671080536
「ここが…ハロンタウン…？」 実際に見てみれば何か思い出せないかとお姉ちゃんと外に出てみることにした。例の暖かそうな上着はそのままに。 今日も外は晴れていて気温は低め。耳に届く強い風の吹く音と鳥ポケモンの鳴き声。 周辺に道らしい道はなく平たい草原、点々と建つ民家に少し離れたところに見える地上の切れ目。いつものハロンタウンだ。 「ええそうよおねちゃん。ここはわりと端っこの方だけど」 「お姉ちゃんよひーちゃん。でもハロンタウンってこう…もう少し家なかったかしら？ ウールーたちも周りに見えないし…」 ウールー？ たしかにハロンタウンの近くにある程度生息しているけどそんなよく見えるほどじゃ── 「それにどこからでも見えるような大きな森がすぐ近くにあった気がするのだけど…」 「──森！？ 今森って言ったお姉ちゃん！？」 「え？ たしか…まどろみの森って名前の森、記憶違いかしら？」 その名前を私は知っている。聞いたことがあるから私は知っている。 「……ううん。合ってる。その記憶はきっと合ってるけど…ちょっとついて来て」
2 20/03/14(土)20:49:40 No.671080672
しばらく歩いた先は先ほどとは違う位置の島の端っこ。目の前には地面の無い世界。多分この景色を見るのが一番理解できると思うから。 「ここが今のガラルなんだ…空のガラル地方。あの少し離れたところに見える島がブラッシータウンのある島。……きっとお姉ちゃんの知ってるガラルは数十年前なの」 まどろみの森はこのガラルに存在しない。浮上することなく地上に残されている。 その分森以外のそれまで町ではなかった部分が今はハロンタウンの一部となっている。 一面の空を前にお姉ちゃんはリアクションを取ることもなく立ち尽くしている。 それは当然だ。記憶がない中たしかにあった常識まで間違っていると知ってしまったのだから。しかし── 「世界ってこんなことになるのね。驚きねひーちゃん？」 なんてことないようにこちらを向くお姉ちゃん。そこに悲壮感などは見られない。
3 20/03/14(土)20:49:50 No.671080742
「え、ちょ、大丈夫なの？ そんなあっさり…」 「ええ平気よ。だって…さっきは黙っていたけどね、ガラルのことを覚えてるっていうのは少し違うの。覚えてるんじゃなくて知ってるだけ。情報も景色も知識として持ってるだけでそこにいて暮らしてたって実感がまったくないのよ」 「いやそれって…」 あるのは知識だけで記憶に繋がり得るものは本当に何一つ残ってないってことじゃ…
4 20/03/14(土)20:50:03 No.671080812
「…それにしてもよくすぐわかったわね、私のガラル知識が昔のものだって」 「……前世の記憶みたいに昔のガラルを覚えている人がたまにいるって噂が10年以上前からあってね、昔いた幼なじみもそうだったの。まるで以前のガラル地方を知ってるみたいに話すんだ。そういう本を読んだわけでもないのに」 私が昔のガラルについて少し頭にあるのもその受け売りだ。 ブラッシータウンまで道が繋がってたって聞いて私が疑ってたらお互いムキになって一緒に写真の資料データで確認したりもしたっけ。 「その幼なじみはどうしたの？」 「5年前に遠いところに引っ越しちゃってね。それ以来音信不通。まあ連絡手段が手紙ぐらいなこの時代そんな簡単じゃないんだけど」 「…大切な人だったのね」 「え？」 「そういう顔してたわ」 「…そっか。そうだね、大事な人だし会えるならまた会いたい。…きっと私の手持ちも久しぶりに会いたいはずだから」 「また会えるといいわね」 「…うん。とと、まあそういう話は置いといて、今のこと考えよ！ これからやること何か浮かぶおねちゃん？」 「お姉ちゃんよ。そうねー…？」
5 20/03/14(土)20:50:38 No.671080984
ホワイトデーとは関係なく話が進むけど白いし問題ないよね。 話がなかなか進まないけどまだ導入だから許して…というわけでまだまだ続きます。
6 20/03/14(土)20:53:28 No.671081838
ひーちゃんの大事な人は誰だろうか おねちゃんはいつも通りだな
7 20/03/14(土)20:53:48 No.671081930
お姉ちゃんはいつも通りだな…
8 20/03/14(土)21:23:11 No.671091136
ちょっと真面目だけどいつも通りのおねちゃんいいね… うまく言えないがひーちゃんと合わせて世界の絵面が綺麗