ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/03/06(金)17:00:09 No.668797717
光の無い凍える世界を私は今日も練り歩く。 どこかにあるはずの『何か』を探して。 「ん?」 今や時代遅れの骨とう品となったダウジングマシンを手に、灰に覆われたエンジン遺跡を歩き回っていると、 突然、マシンが反応を示した。 「なんかの入口……?シェルターかな」 マシンが反応した地面を調べると、灰と瓦礫に覆われ一見わからないが、扉があった。 スイッチのようなものがあったので押してみると、扉は劣化した様子もなく自動で開き、地下へと続く階段が現れた。 「……もしかしてここに『何か』があるのかも」
1 20/03/06(金)17:00:21 No.668797743
口ではそう呟くものの、内心は望み薄だと思っている。 ブラックナイト事件が起きたのはかつてのエンジンシティではなく、ナックルシティと呼ばれる場所だからだ。 その場所は灰と溶岩だけでなく、異常なまでに狂暴化したポケモンたちによって守られている。 今の私では近づいた所で無惨に散るのが関の山だろう。 だが、『何か』ではなくとも、『何か』に繋がる情報はあるかもしれない。 だから私は意を決して階段を下りていく。 世界に光を取り戻すために。
2 20/03/06(金)17:00:35 No.668797779
・・・・・ 階段を下りていくと、何やら通路らしき場所へとたどり着いた。 足元には機械のパーツのようなものがゴロゴロとしていて、気をつけないと転んでしまいそうだ。 ただ、問題はそれだけじゃない。 というよりも、もっと重大な点がある。 「……電力が生きてる」 私が部屋へと入った瞬間真っ暗な通路に一斉に明かりが灯った。 火ではない、電気の明かりが。 ガラルに人が住んでいたのはもう何十年も前の話だ。
3 20/03/06(金)17:00:49 No.668797819
それまでだけの間人の手が入らなかったのに未だにこの部屋では電力を賄える設備が生きているという事だ。 「つまり、それほどまでに維持しないといけない施設だった」 もしかしたら、ここは私の想像していた以上に重要な施設なのかもしれない。 そう理解し、私は恐る恐る進んでいく。 しかし、すぐに通路の終わりへとたどり着いた。 「この中に、何があるんだろう……」 やたら長い通路だったのに、扉らしきものは通路の終わりにあったこれだけ。 つまり、この中にこの施設を作った理由があるという事だ。 私はが扉を開け、足を踏み入れた。
4 20/03/06(金)17:01:11 No.668797878
・・・・・ 「……何、これ?」 部屋の中央にあったのは、沢山のケーブルが繋がれた棺のような長方形の箱。 「何かの保管庫?」 大きさは3メートルほどだろうか。 まじまじと眺めてみるものの中身が伺えるような情報は見当たらない。 「……よし!開けてみよう!……どうやって?」 決めたは良いものの、その棺らしきものはとても私の力で開けられそうにはない。 相棒のヒバニー達の微々たる力を加えた所でそれは変わらないだろう。 「どこかにスイッチとか無いのかな……」 私がペタペタとあちこちを触っていると――――突然、白い煙を吹き出しながら棺らしきものが開いていった。
5 20/03/06(金)17:01:22 No.668797907
「うわっ!?」 一緒に眺めてたヒバニーとヒトモシを抱きかかえて部屋の端へと避難する。 電子音らしきものが部屋中に響き渡り、これは不味いかと考え撤退をしようとした瞬間、煙と電子音が止まった。 「……いったい、何が」 私たちは恐る恐る棺らしきものへと近づいていく。 転んだヒバニーをヒトモシが助けてる。 そして、棺らしきものの中を覗き込んで―――私は絶句した。 「……に、人間?」 浅黒い肌に紺の髪。 年は多分私と同じぐらい。 性別はおそらく、男の子だろう。 棺らしきものは、まさしく棺だった。
6 20/03/06(金)17:01:35 No.668797952
「死んでるの、かな……?」 彼がいつからここにいたのかはわからない。 だけど、入り口の様子を見る限りブラックナイトが起きた数十年前からだろう。 ならば、これは死体なのだろうか。 ならば、なぜ死体をわざわざ保管していたのだろうか。 私の中で様々な疑問がぐるぐると回っていく。 すると、 「……んぁ?」 死体が突然口を開いた。」 「うわあああっ!?」
7 20/03/06(金)17:01:54 No.668797995
私は再びヒバニー達を抱えて部屋の隅へと避難する。 怯える私たちをよそに棺の中の死体はむくりと起き上がり、伸びをした。 「んー……!なんか、めっちゃ体バキバキだぞ……」 死体は明瞭に言葉をしゃべる。 「……あれ?ここ、どこだ?」 そして周囲を不思議そうに見渡すと、私たちを捉えた。 「なぁ、オマエここどこかわかるか?」 「え、あ……」 死体かと思っていた少年は、死体では無かった。 「んー……確か、アニキに、連れてこられて……だめだ。思い出せないぞ……」 少年は何やら唸ったあと、棺から転がり落ちるように出てきた。 そして、私の元へと不慣れな歩みで近づいてくる。
8 20/03/06(金)17:02:17 No.668798057
「なんなんだ一体……体、うまく動けないぞ……すまん、ちょっと手貸してもらえるか?」 「あ、うん……」 私が彼の手を引いてなんとか壁際まで連れて行く。 少年はそのまま壁に寄りかかって座り込む。 「ね、ねぇ……?君は、誰なの……?」 怯えを隠せないまま、そう尋ねると、少年は朗らかに答えた。 「ん?オレはホップ!ハロンタウンのホップだぞ!」 ハロンタウン。 私が、ハロン遺跡と呼んでいる場所のかつての名。 私のおばあちゃんが、かつて住んでいた場所。 その呼び方をするという事は、やはり彼は数十年前のガラルに住んでいた人なのだろうか。 私が考え込んでいると、今度は少年―――ホップ君が尋ねてくる。
9 20/03/06(金)17:02:30 No.668798089
「なぁ、オマエは誰なんだ?」 「……私は、ユウリ」 「そうか、ユウリ。一体何があったんだ?」 「そんな事私が聞きたいんだけど……」 かつて起きたブラックナイト。 それによって世界から太陽が奪われた。 熱の無い世界で、人々はシェルターの中で偽物の太陽の下、生きる事を余儀なくされた。 私は、それが嫌だった。 だから、灰の巨島―――かつてのガラル地方にやってきた。 ここなら、太陽を取り戻す手段があると信じて。
10 20/03/06(金)17:02:40 No.668798117
そこで見つけたのはブラックナイトを引き起こした『何か』ではなく、一人の少年だった。 彼がどうしてあんな場所で眠っていたのか、それはわからない。 だけど、もしかしたら。 彼は何かを『知っていた』のかもしれない。 彼ならば、『何か』を見つけられるかもしれない。 希望的観測に過ぎないそれを私はどういう訳か心から信じてしまう。 だから、私は彼へと手を伸ばす。 「ホップ君」 「なんだ?」 「私と、一緒に来て欲しい」 どうしてだろう、こんなにも胸が高鳴るのは。 理由の分からない動悸に戸惑いながら、私は彼の答えを待っていた。
11 20/03/06(金)17:03:05 No.668798193
ちょっとガールミーツボーイ感出してみました
12 20/03/06(金)17:04:49 No.668798479
ダンデさんはさあ…
13 20/03/06(金)17:04:50 No.668798483
続々と本編が進行していってる…
14 20/03/06(金)17:08:49 No.668799083
こういうのって普通女の子がするポジションじゃないですかね
15 20/03/06(金)17:09:58 No.668799259
お姫様は女の子だけの専売特許じゃねえぜ!!
16 20/03/06(金)17:13:24 No.668799816
ボーイミーツガールだやったー! ありがとー!
17 20/03/06(金)17:13:50 No.668799890
いや誤字ガールミーツボーイやったー!
18 20/03/06(金)17:14:46 [s] No.668800041
一応言っておくとホップはホップ本人です クローンとかロボではなく
19 20/03/06(金)17:17:20 No.668800405
ユウリという名前に聞き覚えがないのかそれとも「」ウリは別人なのか…謎は始まったばかり…
20 20/03/06(金)17:19:51 No.668800836
>「」ウリの記憶だけがすっぽりと消されているのか…
21 20/03/06(金)17:21:06 No.668801036
前回言ってたおじいちゃんおばあちゃんも関係者なのか関係ない誰かなのか
22 20/03/06(金)17:46:42 No.668805736
ダンデさんがめっちゃ重要人物な動きしてる…
23 20/03/06(金)17:51:52 No.668806654
>お姫様は女の子だけの専売特許じゃねえぜ!! ローズ委員長 ステイ
24 20/03/06(金)17:55:20 No.668807373
また面白そうな話を書きやがって… 大好きです…ありがとうございます…
25 20/03/06(金)17:55:47 No.668807461
>ローズ委員長 >ステイ オリーヴさんのレス
26 20/03/06(金)17:56:47 No.668807667
>>ローズ委員長 >>ステイ >オリーヴさんのレス 礼賛するビート君たち