ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/02/27(木)00:35:12 No.666481178
su3680922.txt これまでのお話 ─────────────────────────────────────── アラベスクジムに来てからどれくらい経っただろうか。 来る日も来る日も一日中あのバアさんと顔を付き合わせ やれバトルの心構えだのジム代表者としての立ち振舞いだのフェアリータイプの良いところだのと 延々長話を聞かされ続ける日々を過ごしたせいで僕の日付感覚はとうに失われていた。 とは言えトレーナーとしての在り方の講釈はまだいい、ジムを継ぐからには向こうを納得させる必要もある。 問題は私室に戻ってからも紅茶の淹れ方がどうだのクイズの答え方で人柄が見えてくるだのピンクとパープルの境目は曖昧だの訳の分からない話が止まらない事だ。
1 20/02/27(木)00:35:32 No.666481301
勘弁してくれ。僕は後任になるとは言ったがあんたの孫になった覚えはない。そんな話は街で妖精と戯れてる子供にでもすればいい。 一度面と向かってそう言ってやった事がある。そしたらポプラさんは目を丸くして…怒るかと思ったら愉快そうに笑いやがった。 曰く、このまま大人しく反発もしないようなら見込み違いを心配するところだったと。要はわざと僕がキレるのを待っていた訳だ。 腹が立つ。何よりその後も話が長いのは全く改善されなかった事に腹が立つ。
2 20/02/27(木)00:35:53 No.666481417
意外だがポプラさんは僕のそういう態度を否定しようとはしない。 立ち姿や歩き方、テーブルマナーなどの所作には厳しいが 一方で僕の考え方……何に従い、何を信じ、何に価値を感じるかといったことにはほとんど口を出さず 自分の感性を大事にしろとさえ言う。 ポプラさんは僕に教える事は熱心だが変えてやろうという気はそれほどないらしい、ある一点を除いて。 「あんたは、人を頼るって事が出来るようにならないといけないね」 「またその話ですか」 僕が人に弱みを見せるのを嫌う事が余程気に入らないらしく、ポプラさんは何かにつけてこの話題を持ち出してくる。
3 20/02/27(木)00:36:16 No.666481528
「大事な話だからね、理解できるまでは何度でもするよ」 「誰だって一人だけでやれることには限界がある、そんなことは僕だってわかっています」 「ならその限界を感じた時はどうするんだい?」 「協力者を探します」 「見つからなかったら?」 「…相手に有利な条件を足して再度交渉、ですかね」 「ふーむ……」 どうやらポプラさんの気に入る回答ではなかったらしい。テーブルの上で重ねた手の人差し指がとんとんと手の甲を叩いている。 「要は僕に人望が欠けていると言いたいのでしょう、まあ自覚はありますよ。ですが心配いりません、組織の長として人を動かす術も必ず身に付けて見せます……あまり僕を見くびらない事ですね」
4 20/02/27(木)00:36:41 No.666481678
少しの沈黙の後、ポプラさんが何かを諦めた様子でため息をついた。 「……どうやらはっきり言ってやらないとわからないみたいだねぇ」 「是非そうしてください、そしたらこの不毛な会話も終わります」 「あんた、人の情けってものを信じてないだろう」 「はっ?」 「損得を超えて助け合えるような関係を、今のあんたは築けないのさ」 「何を言い出すかと思えば…そんな甘ったれた馴れ合いが必要だとは思いませんね。ああ、それとも僕を拾ってやった事をもっと感謝しろという事ですか?」 「……ローズがあんたを推薦したのは何故だと思う?」 「僕の才能を認めてくれたのでしょう、だから僕はそれに応えるべく結果を出すことに必死だった。……もう過去の事ですがね」 「ふーむ……思った以上に強情だねぇ」 ポプラさんはまたため息をついた。 「まあ、今日はこのくらいにしておこうか。今すぐでなくともいずれ理解してくれればいいよ」
5 20/02/27(木)00:37:03 No.666481782
ようやく一人の時間を得た僕はベッドで横になった。 眠る前にぼんやりとさっきの会話を思い出す。人の情け…損得を超えた助け合い…そんなもの、まやかしだと僕は思っている。 一件そう見える行為だって動機を掘り返していけばその人に得があるからやっているものだ。 利害の一致であったり、慈悲深い人間だというイメージ作りであったり。 ポプラさんだって、後継者探しに悩んでなければ僕を拾いはしなかっただろう。 ローズ委員長は損得抜きの施しを方々でしていると言えるかもしれないが…あの人の場合はスケールが違うからだ。 この国の…ガラル全体の発展があの人の求める見返りで、そこに住まう人々皆への博愛に僕も含まれていた……それだけのことだ。 本当に何の得も無いのに情とやらで僕に向けて手を差しのべる、そんな経験は僕にはなかった。だから僕の世界にそんなものはない。 もし、それがあると認めてしまったら……
6 20/02/27(木)00:37:28 No.666481937
少し前の記憶、僕と同年代らしき桜色の髪の少女が脳裏をよぎる。 「その、私からも許して貰えるようにお願いするよ。一人で行くより二人の方が…」 「だって、ほんとは勝ち抜けるのに失格じゃ悔しいでしょ」 「でもその……えっと………友達…じゃない?」 「ああ…そう……!ごめんね!余計なお節介して!関係ないのに!!」 もし、それがあると認めたなら…あの時、生まれて初めて向けられたそれを、僕は跳ね除けた。 彼女は涙を流しながら僕の前から消えた。あれは誰の為の涙だったのだろうか。 ……これ以上考えるのはやめよう。あるにせよないにせよ、僕にそれを享受する資格はない。 胸中のもやもやが眠気を消してしまう前に、僕は眠りにつくことにした。
7 20/02/27(木)00:39:25 No.666482467
おわりです この辺の話の整理がついたら誰かゲロ甘ビト妖怪文書書いてくれないかなぁって思ってます
8 20/02/27(木)00:42:56 No.666483442
ピンクが高まってきた
9 20/02/27(木)00:45:32 No.666484143
>問題は私室に戻ってからも紅茶の淹れ方がどうだのクイズの答え方で人柄が見えてくるだのピンクとパープルの境目は曖昧だの訳の分からない話が止まらない事だ。 訳の分かっちゃう人はピンクになるのかなこれ…
10 20/02/27(木)00:47:06 No.666484575
>この辺の話の整理がついたら誰かゲロ甘ビト妖怪文書書いてくれないかなぁって思ってます ゲロ甘って結構難易度高いから私には無理だわ…
11 20/02/27(木)00:52:56 No.666486040
あーこれは意識しちゃってるマホー 何かのきっかけで人押しあればもうドキドキマホー
12 20/02/27(木)00:53:48 No.666486246
押すなよ押すなよマホ? えいってピンク髪の方に押すマホ?
13 20/02/27(木)00:58:18 No.666487234
ブリムオン 黙らせて
14 20/02/27(木)01:02:23 No.666488133
(一緒にマホマホ言ってるブリムオン)
15 20/02/27(木)01:11:36 No.666490293
一瞬ビト妖怪ってなんだろう…ってなってしまった
16 20/02/27(木)01:13:59 No.666490834
ここのビートくんは青春してていいね…
17 20/02/27(木)01:14:24 No.666490926
むう…妖怪文書……
18 20/02/27(木)01:16:58 No.666491473
ビートくん妖怪化怪文書?
19 20/02/27(木)01:18:51 No.666491867
はやく人間になりたーい!ってビート君が言う感じか…