ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/01/24(金)00:34:21 No.657287037
「いらっしゃいませー!」 今、マホイップであるマホは昼は喫茶店、夜はバーのマスターであるご主人様の元で働いているのです。 え?マホイップじゃなくて人間にしか見えない?……ふっふっふ。その話は昨日まで遡るのです…… 「マホイップ。見てよこのマスターボールマホイップが色とMが嫌だとか言っていたから頑張って塗ってみたよ」 と言ってご主人様が出してきたのはダサいとかもうそういう次元を越えた何かであったのです 「うわあああああああん!今まで我慢してたけど流石にこれは酷いマホオオオオ!ふざけんなマホオオオオ!十二回目の家出するマホオオオオ!常連さんの子になるマホオオオオ!」 「そう?頑張って塗ったけどお気に召さなかったかぁ……はい水筒。常連さんの迷惑にならないようにするんだよ?先に連絡入れておいた方が良い?」 「えーっと……お願いするマホオオ!とりあえずマホのマスターボールは帰ってくるまでに綺麗にしておけマホオオオオ!」
1 20/01/24(金)00:35:31 No.657287355
といった感じで家出を敢行したマホは自称フェアリータイプつかいの常連さんのお家に泊まることにしたのです ご主人様たちはきっといつもの馴れ合い家出かと思っているに違いないのですがマホは本気なのです一週間は帰ってやらないのです 常連さんの妹さんが彼氏さん?のところに泊まるということでその部屋を貸して貰えたから今回は本気なのです マホ用の布団を貰ったのでそこで寝るのです。いつもは同じ布団でご主人様と一緒の布団。 よってぬくもりが1/2……寂し……いや寂しくないマホ! 寂しいなんて気の迷いなのです。そもそもマホのボールを変えてくれないご主人様が悪いのです。 もしマホが人間だったらみんなちゃんと好きなボールに入れてあげるのです。心やさしいマホと違ってご主人様は性格悪いのなのです……あともしマホが人間だったら………… ご主人様と一緒に働いてみたいのです。昼の喫茶店で何度かバイトを雇ったけどどの人間もマホに言わせりゃ仕事が微妙マホ。サボテンやアイドル狂いとかはそこそこ上手くやってたけど足りないマホ。マホだったら絶対ご主人様のお手伝いを完璧に出来るマホ。
2 20/01/24(金)00:36:36 No.657287623
……考え事してたら眠くなくなっちゃったのです。 ちょっと夜風に当たるのです。ベランダに出ると曇り空……お話なら満天の星空なのですがそう上手くはいかないのです。 流星でもあったならマホを人間にしてくださいお願いしますとかしても良いかなって思ったのですけれど……はぁ……寝るのです。 部屋に朝の日の光が差し込む。朗らかな朝の時間なのです。起き……あれ?おかしいのです?身体が……?ん????? 「うわあああああああどうなってるマホオオオオ!?」 「どうしたのマホちゃん?」 と常連さんがマホの悲鳴を聞いて部屋のドアを開ける。 そこには本来部屋にいないはずの存在……人間がいる。 いるのはピンク色の髪のかわいらしい女の子 そう、その人間は……元々ポケモンだったはずのマホだったのです
3 20/01/24(金)00:36:54 No.657287698
原因が分からずとりあえずマホイップは常連さんに断って喫茶店に帰ってきたのです。 ドアを開けると喫茶店の準備の真っ最中 「……お客様?まだ開店時刻ではありませんよ?」 ご主人様に声をかけられた。……ただ一言人間になっちゃったといえば良いのにその言葉が出ない。もしご主人様が信じてくれかったら。信じてくれても人間なったマホを気色悪いと拒否されたら……そう思うと声なんて出ない 「……あ、もしかしてバイトの面接?」 「あっ!はい!そ、そうなのです!」 流されてつい嘘を言ってしまった。……けれど一度働いてみたかったし、まだマホがマホイップだって言う勇気もないのです。この展開に乗っかるしかないのです 「では座って……まずお名前から……」
4 20/01/24(金)00:37:14 No.657287793
「いらっしゃいませー!何名様なのですか?二名様?カウンターと席はどちらに……?カウンター!かしこまりましたー!」 数日前、ワケありの子供を雇ってしまった。開店前に突如現れたマホイップっぽい格好の少女。名前を聞いてもマホって名前だって言うし、親から常にマホイップの仮装をさせられている虐待児童とかだろうか?帰る家はあるわけだけれど…… 正直厄介なかおりしかしないし慈善団体じゃないのだから断ろうと思ったけれどワケありのようだし仕事が妙に上手い。何より……格好のせいか今はここにいないあの子と重ね合わせてしまった。 「どうでしょうか?マホは上手くやれてますか?」 仕事の合間にこうして私の元にやってきて仕事ぶりについて尋ねてくる。すごい仕事ぶりだ。まるで歴戦のスタッフのよう。だからその度にお世辞無しに褒めてあげているのだけれど……ちょっとだけ待ってから何やら少しだけ悲しそうに仕事に戻っていく もしかして頭を撫でてほしいのかな?マホイップと同じくらいの精神年齢に見えるしそういうのに飢えているのかな? 「ナデナデありがとうなのです……ところでマホはマホイップではないのですよ?」
5 20/01/24(金)00:38:15 No.657288061
あれ?心の声がうっかり出てたかな?ナデナデがほしいという予想は当てれたけれど 「えーっとね、マホイップっていうのは私のポケモンでいつも喫茶店で働いてくれているんだ」 「……へーどんな子なのです?」 「かなり昔から一緒にいるポケモンでね。少し素直じゃないけれどとっても可愛いんだ」 「……なんで今はいないのです?」 「数日前喧嘩しちゃってねぇ……マホイップは私のちょっとした拘りでマスターボールに入ってもらっているんだけれど本人は嫌がっていてね。色が嫌なみたいだからせめて色を変えてあげようかなって思ったのだけれど……お気に召さなかったようなんだ」 数日前に知り合ったばかりの子にここまで話すのはおかしいけれど何故か話してしまう。何でだろうか?やはりマホイップみたいだからかな? マホさんにマホイップのマスターボールを見せる。
6 20/01/24(金)00:39:34 No.657288358
「うぇっこれは酷いマ……酷いのですよ。マスターさんはセンスが欠けているのです。ラブラブボールとかヒールボールとかに変えてあげれば良いのに」 「うーん。やっぱりさすがにこれは不味かったかぁ。……それにしても帰ってこないなマホイップ。心配だ」 「…………マホイップが心配なのですか?」 「勿論。家出自体は今に始まったものじゃないし、今回は常連さんの家でお世話になっているのもわかっているけれど……大好きなポケモンだからね……大丈夫かな……?そろそろ迎えに行ってあげた方が良いかな?」 長い間一緒の相棒の一人であり、友達でもあり……何より自分の娘のような大切な存在。 いくら家出を何回もしても私も他の仲間たちだって本当の意味で慣れることはないだろう 「………………マホイップちゃんは愛されているのですね。きっともうすぐ寂しがって帰ってくるのです」 そう言ったあとマホさんが私に抱きつこうとする。うわっ仕事中だし流石に事案になってしまうし……不味い!
7 20/01/24(金)00:39:56 No.657288465
「だ、駄目だよマホさん。仕事中だから……それにポケモンとポケモン。ポケモンと人間の関係じゃないんだからそう簡単にスキンシップは、ね」 慌てて止める。今は仕事中だ。おそらくスキンシップに飢えているのだろう。抱き締めてあげるのが一番かもしれないけれどこれが原因で色んな人にスキンシップを求めるようになってしまったらいつか危ない事件が起こってしまうかもしれないし……あとで時間を取ってマホさんと向き合うべきかな ……ちょっと気になることもあるし。マホさんとマホイップの関係とか 「あっ……!そ、そうですよね。マスターごめんなさい……ごめんなさいなのです。仕事にするのです……」 そう言ってマホさんは仕事に戻ったのだけれど…… 「えっあっ……ごめんなさいもう一回注文を聞かせてください」 「ごめんなさいマスターさん……皿割ってしまったのです」 「ごめんなさいバイバニラさん!ねっとうかけてしまって!今オボンの実を……」 と急に仕事での失敗が目立つようになり、昼と夜の間の休憩で外に出て……そのまま夜の部の仕事が始まっても仕事にやってこなかった
8 20/01/24(金)00:40:19 No.657288558
家の灯りがぽつんぽつんと消え始める時間。マホは波止場で悲しい気持ちでいっぱいになりながら過ごしていたのです。 マスターにいつものスキンシップをしてもらえなかった。それだけだったのに急に今まで万能に思えていたこの人間の身体が不便に思えてしまったのです。実はマホはマホイップなのです。って言いたかったけれどもしかしたら気持ち悪いポケモンだと思われて捨てられてしまうかもしれない。そう思うと……何も言えなかったのです。 「お願いしますマホ。元の体に戻してほしいマホ……」 いくら夜空に願っても何も奇跡は起こらなくて。泣き出しそうになってしまうのです。 「夜の仕事もさぼっちゃったしもうマホさんとしてもマスターの元に帰れないマホ……」 これからどうしよう。そう思っていたときに後ろから大好きなあの人の声がしたマホ。 「こんなところで夜風に当たってると寒いよマホさん……いやマホイップ。一緒に帰ろう」 振り返るとそこにはご主人様が……ってなんでここに!?
9 20/01/24(金)00:41:04 No.657288744
「ふふん仕事は我らが頼れる店長代理におまかせしてきたよ。それでマホイップはさぁ……あんな直球な偽名で騙せると思ったの?流石にポケモンが人間になるなんて思わなかったから今日まではちょっとの疑念で済んでいたけれど……流石にあんな態度じゃわかるよ」 「そ、そうマホ?それで……ご主人様マホ人間になっちゃったけれど……あの、気持ち悪くないマホ?人間マホよ?」 「マホはマホだよ気持ち悪くなんて無いよ。マホイップが人間の身体が好きならそうしたら……」 ご主人様は優しいからどっちでも良いって言ってくれるマホ。人間での生活も悪くなかったけれど。でもマホはやっぱり…… 「嫌マホ!マホはやっぱりいつもの姿がいいマホ……!」 「そう。なら一緒に元に戻れる方法調べようか。変身するっていうとエスパーとかフェアリー……あとゴーストやどくタイプとかも関係してるかも……クララとかセイボリーとかに聞いてみたりするべきか……あと常連さんにも訊ねてみるのも……」 ……やっぱり最初からご主人様に頼れば良かったのです。いつだってご主人様はマホの頼れるマスターなのです。 そんなことを考えながらご主人様と一緒にバーに戻る
10 20/01/24(金)00:42:00 No.657288977
とそんなことを考えていると目の前に見たことある人影が 「あら……マスターとマホちゃんこんばんは」 人間になった前の日の晩泊まらせてくれたピンク色の常連さん……そういえばあの日動揺して結局泊めてもらったお礼言えてないのです 「こんばんはなのです。泊めてくださってありがとうごさいましたなのです」 「良いのよマホちゃん。また遊びに来てね。ところで人間での生活は楽しいかし?」 「……常連さんマホを泊めていただきありがとうございます。そして知っているなら話が早い。聞きたいことがあるのです。マホが人間に戻りたがっているんです。もし人間に戻る方法を知っていたら……」 「ん?え?あら?マホちゃん人間に戻りたいの?それなら……」
11 20/01/24(金)00:42:45 No.657289186
常連さんはそう言うとモンスターボールを取り出し、モンスターボールの中のポケモンに話しかけたのです 「ジラちゃん戻してあげて」 そう言った瞬間急に目の前が眩しくなったのです 「マホイップ!!大丈夫!?マホイップ!!」 ご主人様の……声が……聞こえる……とな……いや、頭上から…………ん?頭上から!? 眩しくなって閉じていた目を開くと目の前には大きくなったご主人様が……いや正しく言うなら小さくなったのはマホの方。つまり、マホが元の姿に戻れていたのです。マホは嬉しくなってご主人様に抱きついたマホ! 「おかえり!マホイップ」 感極まって泣いてしまったけれどご主人様に泣いている顔なんて見せたくないマホ。今は抱きついているから泣きじゃくった顔はきっと見えない。だからご主人様の服で涙を拭いてから顔を上げたマホ 「ただいま……なのです」
12 20/01/24(金)00:44:21 No.657289595
「……つまりウチのジラーチちゃんのせいだったってわけね」 10分くらいマホイップと抱き合ったあと、これは全お姉ちゃんが泣いた不朽の名作ね……とか変なこと言っていた常連さんに顔を近づけて説明責任を求めた。 いくら常連さんといえどマホイップに悪さしたのだったら許せないと思っていたのだけれど出てきた単語は思ったよりもビックネーム。ジラーチ?ねがいごとポケモンの?確かにそれなら納得だけれどガラルにはいないはず…… 「夢ちゃんの彼氏さんが鋼タイプを密輸していてジラーチちゃんもそうだったの。だけれどガサ入れが入っちゃってそのときに警察にばれないように私が預かってあげたの。フェアリーつかいの私にぴったりだし」 いやはがねエスパータイプだよね? 「……フェアリーよ。ジラーチちゃんに聞いてみたけれど特に副作用も無いみたい。ジラーチちゃんはマホイップちゃんが心の底で人間になってみたいと思っていた想いについ応えてしまったみたいだからあまり悪く言わないであげてほしいわ」 まあそういうことなら……今回何も悪いことは起きなかったから怒る理由は無いですしむしろこちらが……と言って常連さんに軽く頭を下げた
13 20/01/24(金)00:44:54 No.657289724
「マスター。そろそろ店に戻った方が良いんじゃないかしら?」 常連さんの言うことはごもっともだ。常連さんに別れを告げマホイップを抱え急ぎ足で帰る あれ?そういえばまだ一つだけ解決してない疑問があるような…… 「……そういえば何でマホイップは人間になろうと思ったの?」 「……秘密マホ」 「えー?教えてくれても良いんじゃないかい?」 「……分かったマホ。教えてあげるマホ。人間になって自分のボールを変えたかったから願ったマホ!結局出来なかったマホ!マスターボール以外に変えろマホ」 「じゃあ……ハイパーボールとか」
14 20/01/24(金)00:45:28 No.657289867
「ふざけんなマホオオオ!」 明らかな照れ隠し。絶対意固地になって教えてくれないパターンだね。まぁけれどこの関係が心地いい そんなこんなで店の目の前に辿り着いた。 「あ、おかえりなさいませマスターさん」 店の前で何やらイエ子さんがゴミ袋を運んでいた 「イエ子さんただいま。仕事大丈夫?」 「ちょっと店でお茶を溢してテーブルを割ってしまったお客さまがいて……割れたテーブルのお片付けをしています。彼……じゃなくて店長代理がちゃんと弁償の契約してたのであとでチェックしてあげてください。……あら?おかえりなさいマホ先輩。一週間ぶりですね」 「……た、ただいまマホ」
15 20/01/24(金)00:45:45 No.657289945
「ふふっ。新参の私は良いですけれど他の皆さんには先にただいまって言ってあげてくださいね?みなさんとても心配していらっしゃいましたから……勿論私も心配していましたよ?」 「わかってるマホ。ちょっと緊張しただけマホ」 ちょっと聞き捨てならない話をしてくれたイエ子さんと別れて店の裏手の従業員用入り口を開ける。……あとでイエッサンに確認だな 中は街灯があっても暗く寒い外とは対照的に明るく暖かい。そして働くみんなの姿 それを見たマホイップが小さな口を大きく開いた 「みんなただいまマホ!!」
16 20/01/24(金)00:49:29 No.657290810
こういうほのぼのしたのいいね… あとマホイップが人間の姿に憧れてもやっぱり元の姿のが好きなのも捨てがたい
17 20/01/24(金)00:50:23 No.657291033
最高だよ… こんなの見せられたらこちらも怪文書書きたくなったよ
18 20/01/24(金)00:50:53 No.657291126
ジラーチはてんさいだな…
19 20/01/24(金)00:51:08 No.657291175
みんな優しくてこれは…とてもいいですね
20 20/01/24(金)00:52:06 No.657291398
ステキ…
21 20/01/24(金)00:52:57 No.657291592
サラッと密輸してる鋼ウリでダメだった 突然のジラーチに伝説を密輸だのガサ入れだのたたみかけよってからに
22 20/01/24(金)00:52:59 No.657291602
>ご主人様と一緒に働いてみたいのです。昼の喫茶店で何度かバイトを雇ったけどどの人間もマホに言わせりゃ仕事が微妙マホ。サボテンやアイドル狂いとかはそこそこ上手くやってたけど足りないマホ。マホだったら絶対ご主人様のお手伝いを完璧に出来るマホ。 ユリテンダー…
23 20/01/24(金)00:53:54 No.657291813
いいウホ…
24 20/01/24(金)00:56:57 No.657292521
最高です
25 20/01/24(金)00:57:44 No.657292701
ハイレベル!
26 20/01/24(金)01:02:04 [s] No.657293641
これマホイップの擬人化立ち絵が出来た次の日に書いたんですけれどあまりに文字数多すぎっていうのとジラーチのせいでポケモンが人間になって……って展開が00年代のポケモンSSっぽいなーって思って没にしたんですけれどやっぱり勿体ないなって思って若干の修正だけ加えてお出ししました やっぱり長くて申し訳ない…… おまけで自分が今までに書いたマスター関連怪文書お出ししますね su3593889.txt su3593890.txt su3593892.txt su3593893.txt
27 20/01/24(金)01:04:41 No.657294162
こんな時間に変な笑いが止まらないんだけど
28 20/01/24(金)01:24:27 No.657298248
ハンバーガーがダブった時の人だったか…
29 20/01/24(金)01:28:01 No.657298898
ながいよ…ってなったけどtxtもそんなに…
30 20/01/24(金)01:28:11 No.657298933
お姉ちゃんしてるお姉ちゃんいい…からの後半の落差が酷すぎる