ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/01/15(水)00:10:00 No.654938020
さくらが三人になった。 いや、何を言っているかわからないだろうが、俺も何が起きたのかわからない。 『ゾンビィやけん!ゾンビィやけん増えても仕方ねーんだ!』 とは、サキの言。 バカか?と返したら文字通り痛烈な返しを貰ったので、もう言わない。気が向かない限り。 閑話休題。 実は、俺自身まだ増えたさくら達と会ってはいない。 部屋に殴りこんで来た面々…その中の愛から聞かされた内容がソレであったのだ。 『何グースカ寝てるのよ!起きなさい!さくらが三人に増えちゃったのよ!』 バカか?と返したらフランスパンで文字通り痛烈な返しを貰ったので、もう言わない。気が向かない限り。 閑話。 というわけで、俺も詳しくは知らない。ただ話を聞いただけである。 一体何が起きているというのか。まぁ佐賀だし何起きてもおかしくないか。 佐賀錦一切れよりも軽い決意をして、いつものミーティング室の扉を開いたのであった。
1 20/01/15(水)00:10:23 No.654938131
俺の目の前に三人のさくら。本当に、三人居る。 並べた三つの椅子に一人ずつ。 人差し指を立てて、一人。続けて中指、二人。最後に薬指、三人。 うん、三人。なんで? 「幸太郎さん!どやんしよう!?」 さくらがどやんす顔で声を上げた。 「はぁ…なしてこやんか事になると…?持っとらん…」 さくらがどんよりとした表情で呟いた。 「…えーっと?」 さくらは事態を掴めずに困惑していた。 …うーむ。どうしようか、この状況。 「こ、幸太郎さん!わた、私がぁ!増えとる!」 「見りゃわかるわいバカタレ。なんじゃいお前プラナリアだったんか」 「そんなわけ……あー!ゾンビィだから無いって言い切れん~!」 「ゾンビィ何だと思っとんじゃお前」
2 20/01/15(水)00:10:33 No.654938176
オロオロするさくら。恐らくこのさくらは良く居るタイプのさくらだろう。まぁ、デフォルト。普通。 よし、次のさくら。自称持っとらんさくら。 「…」 「なんか言わんかい」 「はぁ?」 「なんじゃい」 「なんで私から口開かなきゃいかんとですか」 「じゃあ何も言わんでええわい」 「…」 「…」 「……やっぱり、見」 「お前がどうなろうが絶対見捨てん」 「…そうですか」 それっきり口を噤んで黙りこくるさくら。いつもより闇が濃い。 恐らく、闇の部分が強く表れたさくらなのだろう。まぁ、俺が持っとるし。対処余裕。
3 20/01/15(水)00:10:45 No.654938252
さて、最後の一人。 先ほどから落ち着きが無いさくら。 他のさくらを見て、えぇ…と零したり、興味をそそられたのか部屋を観察したり、愛を見つめたり。 「なーにをキョロキョロしとんじゃいお前は。上京したてのど田舎ゾンビィじゃあるまいに」 話しかける事で視線が俺へ。 …何やら、俺を見て首を傾げている。 「なんか言いたい事あるんかい」 「……?」 眉を寄せ、顎に指を当ててうーん?と唸る。 どうやらこれまでのさくらとは違うようだが、はたして。 「…あっ!」 困り顔とも取れた顔が一転、満面の笑顔へ。あの日と何も変わらない、輝く笑顔。 「どうしたんじゃい」 「格好変わっとってわからんかったよー!今の状況何か知っとーと!?いぬ」 「ちょっとタイム」
4 20/01/15(水)00:10:56 No.654938298
さくらの手を掴んで、部屋の外へ。 扉を閉じれば二人だけの廊下。そこで向かい合う。 ……このさくらが一番やばいヤツだったかぁ~~~…想定外だったなぁ~~~… あの日…十年前に手を伸ばし損ねた憧れが、ここに。 高鳴る心臓をどうにか抑えながら、彼女を見つめる。 「それで、今何が起きとると?乾くん」 「アッ!」 「だ、大丈夫!?何かあるなら言って!私でも、きっと力になれるけん!」 「アァッ!」 むり。とうとい。まばゆい。つよい。 突然の心臓発作に倒れこんだ俺を心配してくれる彼女。もう何もかもが良い。すき。 体に残った僅かな力を振り絞って、俺を見下ろす彼女を…天井から注ぐ光が後光となっている彼女を見上げる。 「乾くん!ほんとに大丈夫!?…これくらいしかできんよぉ…!」 俺の手を取り、両手で握り締める彼女。 俺は死んだ。そう、巽幸太郎は、ここで死んだのだ。
5 20/01/15(水)00:11:08 No.654938365
起き上がり、今度は俺が彼女の手を両手で握り締める。 「うぇっ!?乾くん、ど、どど、どやんしたと!?」 「源さん」 「は、はい」 「結婚しよう」 「……うえぇええええ!?」 「ダメ?」 「……………幸せに、してくれっと?」 「はい」 「…ふ、不束者ですけど…」 「きたあああああああああああああ!!!」 彼女をお姫様のように抱え、再度部屋へ戻る。 「俺達結婚します!!それじゃ!!!」 二人のさくらと他の面々が居るのを確認し、叫んでから部屋を出た。 ハネムーンに出よう。そうしよう。きっと、いや絶対に。幸せな日々が俺達を待っている。
6 20/01/15(水)00:11:19 No.654938414
屋敷を出る直前にとっ捕まった。ボコボコにされた。儘ならない人生だ。本当に。 意識を手放した俺を待っていたのは、侮蔑の視線を送ってくる面々と、一人のさくら。 結局、気絶している間に元に戻ったらしい。というか、くっついたらしい。三人が一人に。すごいねゾンビィ。 愛する伴侶を失った悲しみに打ちひしがれていると、更に深まる軽蔑。ひどい。 頭を五百三十九回程フランスパンで叩かれた後、解散する面々。 俺を縄で簀巻きにしたまま解散。ひどい。 彼女に会いたい…またあの笑顔が見たい… そもそもなんで分裂したんだ…佐賀だし…まぁ、ありうるか… そんな事をぼんやりと考えていると、俺に落ちる人影。 さくらの影だった。 俺の頭を優しく撫でて、優しく笑って。 「……ほとぼりが冷めたら、一緒に何処か行こうね」 …もしかして、記憶がしっかり残って…? 俺の疑問に答えるように、さくらは俺の頬に口づけを残して部屋を出て行く。 お許しが出るまでの八時間。俺はだらしのない笑顔を浮かべながら、床に転がっていたのだった。
7 20/01/15(水)00:11:59 [sage] No.654938590
1月11日ってさくらはん三人の日だなって思ったので書きんした 少し遅れんした
8 20/01/15(水)00:15:39 No.654939635
通常さくら 闇さくら 光さくら …光さくら強過ぎんと?
9 20/01/15(水)00:16:08 No.654939765
バレとる!
10 20/01/15(水)00:18:03 No.654940336
乾よわーい
11 20/01/15(水)00:26:39 No.654942659
新婚旅行じゃーい!
12 20/01/15(水)00:27:04 No.654942768
抱きなんし!!!
13 20/01/15(水)00:29:01 No.654943224
3人のどやんす
14 20/01/15(水)00:31:58 No.654943954
フランスパンでボコボコにされても仕方ないよね...
15 20/01/15(水)00:36:25 No.654945167
巽が浄化されて乾になった
16 20/01/15(水)00:38:03 No.654945560
よか…
17 20/01/15(水)00:42:47 No.654946741
3人に分裂してもゾンビやけんで解決するゾンビ凄い
18 20/01/15(水)00:45:17 No.654947336
佐賀だからな…
19 20/01/15(水)00:45:49 No.654947481
イヌイー よかったね
20 20/01/15(水)00:47:54 No.654947931
乾くんはさぁ…幸せになってもいいんだよ
21 20/01/15(水)00:52:04 No.654948886
乾にとって唯一の光が強すぎる…
22 20/01/15(水)00:56:24 No.654949922
尊か…
23 20/01/15(水)01:06:43 No.654952135
ニセさくらを久しぶりに見れるかと思ったでやんす