ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
20/01/10(金)23:42:06 No.653791508
照明に照らされた道を私たちは固まって歩いていく。 鉱山というものの中に入るのは初めての経験で、端に置かれた道具やトロッコの線路などに目を奪われてしまいます。 そして、ここで働く方々の努力がガラルを支えているのだと思うと、とてもありがたい気持ちを抱きます。 私も、いつか彼らのようにガラルのために何かできるようになりたい。そう思って。 「ホップ君、ここは暗くて危ないし足元も不安定だからさ、お互い転ばないように手をつなごうか」 「ん?わかったぞ!」 そんな遠い未来に想いを馳せていると、少し前を歩く二人。その片割れの赤い髪をした小娘がホップの手を握ろうとしているではありませんか。 ですので、私は愛用している日傘をその間に差し込みます。 すると、小娘が随分と不満げな表情でこちらを見てくるではありませんか。 「……何のつもりだい?」 「いえ、あちこちに明かりがあるというのに暗いなどと随分微笑ましい事を言っているのでつい」 「……まぁお嬢様の方がよく転ぶしね」 「……あれは、ちょっと足元がおろそかになっていただけですわ」
1 20/01/10(金)23:42:16 No.653791559
ええ、ええ。ちょっと周りに目が行ってしまい足元のダンゴロに気づかず踏んでしまっただけなのですから。 なおそのダンゴロは無事ホップに捕獲されましたわ。 「それだけじゃなくて、よそ見してたらトロッゴンに轢かれそうになったじゃないか」 「それも……ちょっと物珍しくて線路を歩いてみたかっただけで……」 ええ、ええ。ただ線路の真ん中を歩いてみたかっただけです。 そこにちょうどトロッゴンが通りがかっただけで。 ああ、そのトロッゴンは小娘がゲットしましたわ。 とにかく、私はちょっと新鮮な景色に目を奪われていただけで私がドジかのように言われるのは大変不本意で……とあれこれ伝えようとすると、 すでに小娘の意識は別の事に向いていたようで私から視線を外していました。
2 20/01/10(金)23:42:47 No.653791701
「それにしてもここ凄いね……色んな鉱石がキラキラと、まるでイルミネーションみたいだ」 一言文句を言って差し上げようかと思いましたが、確かに小娘の言う通り坑道の壁から見える鉱石たちは照明を反射して様々な色に輝いています。 その幻想的な景色に、無粋な事を言う気が削がれ、私はただ溜息と共に小娘の言葉に同意することにしました。 「……ええ。少し、ここを出るのが惜しくなりますね」 「あははっ、確かにキレイだな!」 「それ、私に向かって言ってみて?」 ホップも同じように同意したのですが、それに小娘が食いつきます。 「え?めっちゃキレイだぞ!」 「もう一回」 「めっちゃキレイだぞ!」 「もう一回ッ!」 「何を遊んでいるのですか……ほら、もう出口が見えてきましたよ」
3 20/01/10(金)23:42:58 No.653791755
呆れながら窘め、指をさす。 その先には照明の明かりではなく、日の明かりが流れ込んでいます。 「本当だ。……ここを抜けたらいよいよターフタウンだね」 「ああ!オレたちのジムチャレンジその第一歩だ!」 先ほどまで鉱山を楽しんでいた二人の興味はターフタウンに移ったようで、 その歩みも早歩きになります。 「さっき捕まえたこの子もきっと活躍してくれるはず!さぁ!早く行こうか!!」 「転ばないように気を付けて行くというのはどうなったのですか」 「細かい事気にしないでよお嬢様?」 「……はぁ、私走るのは嫌ですわ」 「まったくーお嬢様はお嬢様だねー」 「うるさいですわよ」 とはいうものの、私も目的は一緒。 初めてのジムチャレンジ、その第一関門。 浮かれるなというのはいささか無理があるのでしょう。
4 20/01/10(金)23:43:22 No.653791895
私もまた、胸の内ではやる気持ちに素直になって早歩きで出口を目指したところ、 「ここに来るのですか?」 出口の前に立ちふさがる影がありました。 紫色のコートを羽織り、白い癖毛を揺らしながらこちらを睨め付ける瞳は、こちらに対する友好的な感情を微塵も含んでいません。 「アドバイスをしてあげますけどやめておいたほうがいいよ。ねがい星を持つトレーナーはぼくが痛めつけるからね!」 威勢よくそう言い切るととても腹立たしい笑顔でこちらを見据えます。 「何、あの人」 小娘も苛立ちを隠せない様子です。 まぁこの直情娘なら当然でしょう。 ですが、私は年長者ですので。落ち着いた対応を取ります。 「さて、どうしますか?」 「いや行かないわけにはいかないでしょ」 「オレたちの目的はターフタウンだからな!」 「……愚問でしたわね」
5 20/01/10(金)23:43:50 No.653792021
ええ、ええ。わかっていましたとも。元よりあのような男の妨害なぞ知った事ではありません。 あの男もジムチャレンジャーという事であればその進退を決めるに取る方法は一つ、ポケモンバトルでしょう。 では、誰が彼に挑むのか。 「よし、ここはオレが!」 「いや私が!」 ホップと小娘が威勢よく声を上げます。せっかくですからやる気のある方に任せるべきだとは思いますが、 「私が行かせてもらいますわ」 そう伝えると二人は少し驚いた様子でこちらを見ます。 「なにか?」 「いや……君がこういう露払いみたいな事するとは思ってなかったからさ」 「そうですね、普段であればあなた達に任せるとこですが……少し、あなた達以外とバトルしておこうと思っただけですわ」 「……大丈夫かお嬢?」 心配そうにこちらを見るホップに私は微笑みで返します。 「大丈夫ですわ。あなた達は、そこでゆっくりしていなさい」 私が前に出ると、男は鼻で笑いこちらを嘲笑います。
6 20/01/10(金)23:44:42 No.653792271
「別に、3人同時でもいいんですよ?」 傲慢なその態度に私は思わず息がもれてしまいます。 こういうのを『ベタ』というのでしょうね。 「ふふっ……」 「……なにがおかしいんですか」 まさか笑われるとは思っていなかったのでしょう、男は先ほどの態度から一変して怒りのこもった目でこちらを見てくるではありませんか。 それがまたおかしくて、私は笑いをなんとか抑えながら彼に教えて差し上げます。 「いえ、ずいぶんと微笑ましいなと。まるで、張り子で虚勢を張る子供のようで」 「……ぼくのどこが張り子だというのですか。ぼくは、目的をもって行動しているんです。あなた達みたいに遊びで参加しているようなやつらとは違うんです」 「遊びなんかじゃないっ!!私は、私たちは本気でッ!!」 「そうだ!!オレたちは本気でチャンピオンを目指してるんだ!!」 小娘とホップが大声で反論するのを手で制します。 落ち着きなさい。そう目で伝えると二人は理解してくれたようです。 私は再び男に向き直ります。 「遊び、ですか」
7 20/01/10(金)23:44:57 No.653792364
「そうですよ。お友達と仲良く揃ってジムチャレンジだなんて、舐めているとしか思えません。それに推薦をだしたチャンピオンも、身内びいきが過ぎます。 あなた達、くだらないんですよ」 『くだらない』。その言葉に後ろの二人の怒気が膨れ上がるのを感じます。 まったく、あまり感情的になるものではありませんわ。 ここは、年長者の私が大人の余裕を見せなくてはなりませんね。 「安心なさい。私一人で十分ですわ」 その言葉を合図に、私と男はボールを構えます。 ……ああ、忘れていましたわ。 「あなた、名前はなんというのですか?」 「ふん、ぼくの名前を知らないなんて勉強不足ですね」 「ええ、私必要のない事は覚えない主義なので。別に言わないのでしたらそれで結構ですよ。『そこの』とでも呼ばせてもらいますわ」 「うわお嬢様っぽい」 小娘の苦笑い。まったく、本当に口数だけは多い子ですわね。 などと考えていると男はじっとこちらを睨みつけ、 「……ぼくの名前はビートです」
8 20/01/10(金)23:45:24 No.653792487
……意外と礼儀正しい子なのかもしれませんね。 相手が名乗ったのであればこちらも名乗るのが礼儀。 私も高々と名乗って差し上げましょう。 これもまた、大人の余裕というものですわ。 「私はユウリ。それではビートとやら、道を開けてもらいますよ。私たちは、あなたのような者に時間を割いていられるほど暇ではないので」 ああ、一つだけ訂正しておきましょう。 どうやら私、少しだけ怒っているようですわ。
9 20/01/10(金)23:45:49 No.653792612
これまでのお話 su3560592.txt
10 20/01/10(金)23:48:35 No.653793402
やっぱお嬢とビートは相性悪いな
11 20/01/10(金)23:51:16 No.653794230
こんなんで怒ってたらホップ君曇らされた時 怒るどころじゃなくて発狂するんじゃねぇかな…?
12 20/01/10(金)23:52:22 No.653794529
>怒るどころじゃなくて発狂するんじゃねぇかな…? ポプラさん後継者見つけられないんだ…
13 20/01/10(金)23:53:33 No.653794854
続いてたお嬢の方は乱入があってもずっとビートとやらと言い続けてるし確実にアレ 炎は分からん
14 20/01/10(金)23:53:39 No.653794886
お嬢とビートくんは正論と皮肉でかみあわない…
15 20/01/10(金)23:57:16 No.653795915
ビートが顔をしかめたり眉間にシワを寄せてるのが見える
16 20/01/11(土)00:04:10 No.653798027
草炎いい…
17 20/01/11(土)00:05:20 No.653798363
お嬢はドジっ子だな…
18 20/01/11(土)00:08:31 No.653799215
お嬢はおっぱいでかいから足元見えないもんな!
19 20/01/11(土)00:09:00 No.653799344
お嬢ならトロッゴンと衝突するな
20 20/01/11(土)00:10:24 No.653799762
>お嬢はおっぱいでかいから足元見えないもんな! 身長も高いからバランス取るの大変だな ふと思ったけどひょっとしてヒールはいてる?
21 20/01/11(土)00:15:07 [s] No.653801151
>>お嬢はおっぱいでかいから足元見えないもんな! >身長も高いからバランス取るの大変だな >ふと思ったけどひょっとしてヒールはいてる? 基本的にシューズないしはローファーを履いているって感じですね ヒールを履く時もありますがあまりホップとの身長差がつくのを好ましく思っていないって感じで
22 20/01/11(土)00:19:28 No.653802392
>ヒールを履く時もありますがあまりホップとの身長差がつくのを好ましく思っていないって感じで いいよね…
23 20/01/11(土)00:30:54 No.653805625
スレッドを立てた人によって削除されました 素直にきもい
24 20/01/11(土)00:33:39 No.653806420
スレッドを立てた人によって削除されました モテスクおじさん怒って消したの?
25 20/01/11(土)00:34:49 No.653806784
いじらしい理由だ
26 20/01/11(土)00:35:08 No.653806879
スレッドを立てた人によって削除されました いつまで乱立するの?
27 20/01/11(土)00:36:00 No.653807100
>ヒールを履く時もありますがあまりホップとの身長差がつくのを好ましく思っていないって感じで かわいい
28 20/01/11(土)00:38:48 No.653807984
単純に下見えないからヒール履くの怖いだろうしな
29 20/01/11(土)00:39:52 No.653808291
足元見えないのよりも身長の方が理由はデカそうだな…
30 20/01/11(土)00:40:17 No.653808416
スレッドを立てた人によって削除されました delしてNGにする手間を考えてくれよ