ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
19/11/01(金)22:18:35 No.635337709
「ねえねえ、ありさ~」 その声を聞いた瞬間、私の全身は即座に警戒モードに入った。声から数秒遅れて、もたれかかるようにして私の体にまとわりつく体。 「…なんだよ、香澄」 「実は今度のお休みに──」 「断る」 「まだ何も言ってないよ!?」 反論は受け付けないと言わんばかりに顔を逸らすが、香澄もこの程度ではへこたれない。回り込んで再び目線を合わせて話しかけてくる。 「あのね、今度のお休みの日にハロウィンフェスタがあるんだって。それで有咲と一緒に行きたいなーって」 「却下」 「なんでぇー!?」 いくら休み時間とはいえ、あまり大声を出していれば周りの注目を集める。香澄の声を聞いて何事かとこちらに視線を向けてきているクラスメイトたちの詮索を避けるように、香澄にもう少し顔を近づけさせる。 「…あのな、ハロウィンならこないだパレードに参加したろ?」 「え、違うよ。こないだのはパレードで、今度のはフェスタだから」 いや、変わんねーだろ。そう突っ込みたいところをグッとこらえる。 「結局はハロウィンのイベントってことだろ? 私は行かねー」
1 19/11/01(金)22:21:06 No.635338486
「そんなぁ…」 見るからに落ち込んだ様子を見せる香澄だが、私は分かっている。香澄の目がまだ諦めていないことに。どうすれば私を参加させられるか、と。 となれば、こちらも攻めの一手しかない。 「今回ばかりはおたえたちを抱き込んでも無駄だからな」 香澄の策を事前に封じる宣言、のつもりだったのだが。それを聞いた香澄が首を傾げる。 「あ、皆にも声かけたほうがよかった?」 「は? そのつもりだったんじゃねえの?」 「ううん、今回は有咲と二人きりで行こうかなって、思ってたんだけど…」 「……」 互いに次の言葉が出てこない気まずい沈黙が訪れる。私は当然香澄が五人で行こうと計画していると考えていたし、『二人きり』と口にした途端に照れたように指をモジモジとさせ始めたことにもどう反応していいやらわからない。 「…そ、それで…やっぱりダメ、かな?」 先程までの勢いはどこへいったのか、急に弱々しく話を再開する香澄。 しかし、状況は何も変わっていない。今年はもうパレードにだって参加したんだから、それで充分のはずだ。 だからさっきまでと同じようにしっかり断るのだと決意を固め、私は返事した。 「…今回だけだからな」
2 19/11/01(金)22:22:11 No.635338862
(来るんじゃなかった…) 待ち合わせした香澄と合流してハロウィンフェスタとやらにやってきた瞬間、私はあの時断らなかったのを後悔した。 辺り一帯にはこのイベントに参加するために集まった人々が所狭しとひしめき合っていて、普通に歩くことすら容易じゃない。そもそも人混みが苦手な私からすれば、自らこの群衆に加わろうという時点で正気の沙汰とは思えない。 そもそも、お祭り自体が性に合ってないのだ。人の集まるところでは諍いが絶えない。これだけの喧騒となれば、それこそトラブルの種は尽きないはず。万一にも自分たちが巻き込まれることがあれば…なんて考えたら、たまったもんじゃない。 「うわー。すごい人だねー」 「だな…」 と、ここまで負の思考に囚われながらも、私はそれを口に出さないよう自制は心がけていた。 隣にいる香澄は人だかりにまでエンターテインメント性を見出だしているのか、めちゃくちゃはしゃいでいる。心からの笑顔を見せて、元気に楽しんでいる。 …イベントそのものを楽しめる気はあまりしないけど。それでも、今隣にいる今日一の価値あるものを壊すような言動はしたくないと、ただそう思った。
3 19/11/01(金)22:24:32 No.635339580
「…で、どこ行くんだ?」 「えっとね、あっちのほうなんだけど…」 目的地も当然のように人、人、人。この中を移動することを想像するだけでげんなりしてしまう。 「うーん…よし!」 隣の香澄が何かに納得して、私の手を握る。まあ、こうでもしないとはぐれてしまうだろう。 しかしいざ人混みに特攻をかけようとすると、手を繋いだ程度ではどうにもならない。 (流石の香澄も気が変わって帰ろうとか言い出したりしねーかな…) そんな甘い考えをする私に対して、我らがリーダーは違った。 「ちょっ、なにを…っ!?」 香澄が取った手段は単純にして明快。手を繋ぐ程度ではダメなら、もっと密着すればいい。つまり、私と香澄が抱き合うこと。 「これなら絶対に離れないでしょ?」 渾身のドヤ顔を見せる香澄だったが、私からすれば彼我の距離数センチに迫った香澄の唇、上気した頬、キラキラと輝いて見える瞳に意識が持ってかれてそれどころではない。 「有咲も絶対離れちゃダメだよ!」 周囲からぎゅうぎゅうと押される度に全身で感じる柔らかい感触。最早冷静な思考すら奪われた私が最後に考えたことは、唯一つ。 (ハロウィンって…そんなに悪くねーかも…)
4 19/11/01(金)22:28:11 [s] No.635340828
昨日みさここハロウィンあげたらかすありハロウィンも書きたくなったから書いた 後日お互いのハロウィンをなんかいい感じに脚色して話し合う咲咲とかが教室にいたりいなかったりすると思います
5 19/11/01(金)22:28:12 No.635340838
姫はちょろいな…
6 19/11/01(金)22:29:24 No.635341297
奥沢さんのこと言えねーな
7 19/11/01(金)22:31:48 No.635342140
(明日自慢しよ…)
8 19/11/01(金)22:32:43 No.635342460
いい…
9 19/11/01(金)22:33:10 No.635342615
絶対鼻の下伸びてるわ姫
10 19/11/01(金)22:36:43 No.635343796
美咲ちゃんにうわーあれ行ったんだ人混み大変だったんじゃない?って言われてすげー大変だったけどまあ…たまには悪くねーかも…って返したところで美咲ちゃんにも思い当たることがあってまあ、たまにはいいよね…みたいなこと言い合ってそう
11 19/11/01(金)22:45:00 No.635346484
いっぺん読み返したらいいよ
12 19/11/01(金)22:49:17 No.635347925
>もたれかかるようにして私の体にまとわりつく体。 香澄ちゃんのハグって姫からするとこんなねっとりしたエロさを孕んだ行為になるんだな…
13 19/11/01(金)23:03:21 No.635352586
ありさのほうがエロボディなのに…
14 19/11/01(金)23:09:10 No.635354476
みさここハロウィンいつの間に…見てなかった
15 19/11/01(金)23:11:32 No.635355259
このあと蔵で滅茶苦茶ハロウィンした って所までは持っていけてないんだろうな姫…
16 19/11/01(金)23:12:08 No.635355458
みさここの見返そうと思ったら「」っちーに残ってなかった…
17 19/11/01(金)23:12:45 No.635355663
香澄のほうが口実作って密着したかった可能性
18 19/11/01(金)23:13:37 No.635355912
香澄ちゃんはそういうところあるからな…