19/10/31(木)01:15:04 響き渡... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1572452104263.jpg 19/10/31(木)01:15:04 No.634926071
響き渡る轟音。立つのがやっとなぐらいの振動。私が押したのはこの基地の自爆スイッチ。敗北した以上はもうこの基地も手放すことになるし、それなら敵を最後まで追い詰めるのが皇女の意地というもの。それにまあ、逃げるための目くらましは派手な方がいい。 「私は時代に裏切られ、民衆に追われた氷の皇女。捕まるのも、世俗にまみれるのも願い下げ。幕が下りたのなら、このまま氷の海に沈むだけよ」 こうして言葉を続けている最中にも、どんどんと地響きは大きくなっていく。急ぎ脱出しなければ命はないだろう。星のコアとは、それほど危険な領域なのだ。 「でも、お供の友達ができる分には嬉しいわ。どう?一緒に永遠になってくれる?」 なんて、そんな言葉をかけてみる。まあ、私にはこんな場所で人生を終えるつもりは毛頭ない。こういう場面に備えて、脱出用のポッドは当然用意してきたのだから。でも、この言葉に惑わされて相手がこの星に飲み込まれるなら重畳だ。まあ、そんなことはありえないでしょうけど。
1 19/10/31(木)01:15:25 No.634926133
そんなことを考えていた私の腕が、不意に誰かに掴まれる。少し驚いてしまって、顔を上げてみると、そんなことをしたのは『マスター』だった。 「あら?貴方が私の友達に立候補してくれるのかしら。生け捕りにしろって言うボスの命令には背くことになってしまうけど……私には今更関係ないことね」 でも、少し意外だった。『マスター』という肩書を持つだけの、何もできない人間。サーヴァントより数段劣る生き物が、真っ先に逃げようとしないなんて。だけど、すぐにあきらめるような人物にも見えなかったから、この行動は少し疑問に思った。当の本人は首を横に振っている。ともに死ぬつもりではないということか。 「俺はまだ死ぬつもりはない。……それに、君も死なせるつもりはない」 耳を疑った。私を死なせない?おかしなことを言う。私は貴方の命を狙った女。生け捕りという風には言われていたけど、死ぬのが早いか遅いか程度の違いしかない。結局は殺そうとしたのだ。その私を言うに事欠いて死なせたくないですって?滑稽極まりなかった。
2 19/10/31(木)01:15:42 No.634926181
「俺は、もう目の前で誰にも死んでほしくはない」 「――――」 でも。その瞳に宿った想いを垣間見た私は、何も言えなかった。その瞳には、私が映っていた。フラッシュバックのように、今までのことを思い出す。故郷の惑星で、私たち家族を排除しようという敵意の視線。どうにか生き延びてスペースシンカゲに拾われたものの、駒としてしか見られてなかった。配属されたこの星では、無機質なロボットたちの目線に、荒くれ者たちの目にはアルトリウムばかりが映って私なんて見ていない。 いつも、いつだって、私を見てくれる人なんていなかった。この世界はそんなものなんだと、早々に諦めをつけてしまった。 でも、この世界にいなかったこの『マスター』は、今確かに私を見てくれている。不意に、心が熱くなった気がした。ああ、そうか。私が心の奥底でずっと求めてやまなかったものは、これなんだ。「私」を認めてほしかったんだ。 氷の皇女の心は、今、初めて溶かされた。
3 19/10/31(木)01:17:14 No.634926428
みたいな感じで元は敵だったスペースアナスタシアが心絆されてラブロマンスが繰り広げられるみたいなルートはないんですか?
4 19/10/31(木)01:24:10 No.634927594
ユニヴァースだからどんな皇女が出てくるかと思ったけど割とまともだった…
5 19/10/31(木)01:33:31 No.634929145
フェイクだったけど一緒に心中してくれる?って聞いてくるところ重くて良かったよね
6 19/10/31(木)01:56:04 No.634932752
ガッデム〇〇が持ちネタと化してた…