19/09/02(月)23:34:40 ここは... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1567434880690.jpg 19/09/02(月)23:34:40 No.619811986
ここはクラブ『サヨヒメ』。佐賀県某所、フランシュシュ邸地下の一室にて営業している小さなクラブだ。経営者は俺、巽幸太郎。ホストも俺、巽幸太郎。厨房も俺、巽幸太郎。皆、巽幸太郎。源氏名は『ハッピー=タツミ』 だ。 最近、とあるゾンビィが何だか不機嫌。どうしたというのだろうか?理由を聞いてみようにも膨れっ面でそっぽを向くだけ。その癖、店に予約を入れてきた。いいだろう……姫とホストとしてケリを着けるということだな?受けて立とうじゃないか。それに、本日9月2日はソイツにとって特別な日。何としても機嫌を直していただきたい。 そんなわけで、今宵も開店。例え誕生日でもゲストとホスト、他言無用の秘密の逢瀬。長い夜のほんの一瞬、刹那のような交わりであることを忘れないように、節度を守ってお楽しみください。それでは、クラブ『サヨヒメ』紺野純子誕生日特別編始まります。
1 19/09/02(月)23:34:58 No.619812073
ガチャリ。 「お邪魔します」 淑やかに入ってきたのは白く、フワリと柔らかそうな髪の毛と、大人しそうな雰囲気が印象的なゾンビィ、否、姫だった。俺はすかさず出迎える。 「ようこそ、いらっしゃいませ。クラブ『サヨヒメ』、本日も誠心誠意おもてなしをさせて頂きます」 「はい、よろしくお願いしますね」 良かった。ちゃんと返事してくれた。最近のご機嫌ななめ具合から無視されると思ったぞ。 「それでは早速、席に案内しますね。此方へどうぞ、姫」 差し出した手もしっかりと握ってくれた。うん、これならお話もしっかりしてくれそうだな。良かった良かった。…………一つ気になるとすれば握り方がこう……指を絡める所謂恋人繋ぎという状況なことだがまあ些末なことだろう。引き続き姫をもてなすぞ。
2 19/09/02(月)23:35:16 No.619812179
「お飲み物は何がよろしいですか?」 「私と貴方の思い出になるような、特別なものを……」 「はい、そんな感じのこと言うと思ってとっておきを用意しました。少々お待ちを……」 そう言い残して、俺は厨房へと向かう。お目当てのボトルを掴み、颯爽と姫の元へと舞い戻った。 「イカスミサイダーです。ご賞味あれ……」 「イカスミ……えっ?それって美味しいんですか?」 「美味しいですよ、どうぞ」 そう言ってグラスを姫に手渡す。しかし、姫はグラスをくるくる回して眺めるばかり。あれぇ…… 「何か忘れていません?」 「ん、ああ……姫の瞳と、佐賀に乾杯!」 姫は満足そうにグラスを傾けた。
3 19/09/02(月)23:35:54 No.619812369
「意外と美味しいですね、これ……」 そうでしょうそうでしょう。イカスミとサイダー。どう考えてもイロモノな組み合わせだが中々どうして美味いものが出来るのだ。余談はさておき、本題に入ろう。 「姫、その……最近ご機嫌がナナメのようでしたが……何かありましたか?」 「ご自分の胸に聞いてみては?」 あらぁ、冷たい。もう少し歩み寄れる手段は無いものか。今日は何としても、機嫌を直してもらわなければならないのだ。 「では、こうしましょう。姫の機嫌が何故悪いのか、私が考えて答えます。姫はそれに正解かどうかを教えてください」 「クイズ形式というわけですか?」 「そうです。せっかくだからクラブのお遊びらしくいきましょう。どうです?」
4 19/09/02(月)23:36:40 No.619812631
これなら姫を楽しませつつ、機嫌を直すヒントも得られるはず……!我ながらナイスだ! 「面白いですがそれだけでは足りませんね。そうですね……ハッピーさんが不正解する度に何でも一つ、私のお願いを聞くというのはどうでしょう?」 する度!?何でも!?いくらなんでもペナルティが重すぎやしないか!?しかし、今の俺にはこれしか手段がないのだ。仕方無い。 「受けて立ちましょう。ただし、お願いは実現可能な範囲で、かつ常識的なものでお願いします」 「ええ、それはもちろん」 斯くして、俺と姫の戦いが始まった。
5 19/09/02(月)23:36:54 No.619812701
「ズバリ、姫の機嫌が悪いのはこの間のライブで失敗したから!」 「違います。なでなでしてください」 「じゃああれだ!この前チェキ用に撮った写真が気に入らなくて全部撮り直しさせたからだ!」 「残念ハズレです。抱き締めてください」 「衣装の採寸ミスってゆうぎ…花魁姫のサイズの服着せたから!?」 「胸部がぶかぶかでしたねあれ……でも違います。次はあすなろ抱きをお願いします」 「じゃああれだ!冷蔵庫に入ってたプリンを姫のだと分かっていながら食べたから!?」 「犯人がようやく分かりましたよ。その話は後で聞くとして、膝枕してください」 これだけ言っても当たらないとは……もう心当たりが無いぞ…… 「もう終わりですか?うふふ、私の勝ちみたいですね」 俺の膝の上で勝ち誇る姫。クソッ……得意気にしよってからに…… 「そろそろ終わりにしますかねぇ?次はキスでもお願いしましょうかぁ?」 キッ……!?
6 19/09/02(月)23:37:33 No.619812908
「姫!流石にその命令は受理しかねます!」 この店はホストとゲストが健全な触れ合いを楽しむ店。そういう艶っぽいのはアウトだ。それに、今はホストとゲストでも本来はプロデューサーとアイドル。そんなの駄目に決まっている。 「……随分と必死に抵抗するんですね」 「当然です。この店のルールと私達の立場上、いけないことですから」 「では、何故私の機嫌が悪いのか当てて阻止すればいいでしょう?私達の立場を気にするのなら、何で貴方の担当アイドルが怒っているかも分かるはず……」 むむむ……そう言われるとなぁ……しかしキスは駄目だ。姫のためにも。何とかして正解を出せば納得してくれるのだろうか? 「ほら、早く答えてください。何なら私から……」 ヤバい。結構怒ってる時の姫だ。何で……俺は何をした……?考えろ……キス……キス……あっ 「……ひょっとしてこの前のサ…元ヤン姫のキスについて怒ってます?」
7 19/09/02(月)23:38:37 No.619813209
ピシリ。姫が止まった。どうやら正解らしい。先日、元ヤン姫(サキ)が店に来た時のこと。詳細は省くが、俺は右頬にキスをされた。当然、ルール違反なので黒服ゾンビィ達に罰せられる所だったが、俺は彼女を庇った。結果、元ヤン姫は廊下で三時間の正座とさく…どやんす姫のお説教という軽い罰で済まされたのだが…… 生真面目というか頑固というか。一本筋が通ったところのある姫はそんな特別な待遇が許せなかった、ということだろう。 「違いますか、姫?」 姫は悔しさからかプルプルと震えている。フフフ、惜しかったな姫。このゲームどうやら俺の勝ち…… 「どうして正解しちゃうんですかぁ!!!」 突然の大声に俺は引っくり返る。その隙を逃さず、姫は俺に馬乗りになった。 「そうです!そうですとも!巽さんの言う通りサキさんのキスで機嫌を悪くしていましたぁ!!!」 「ハ、ハッピーです……分かったから降りて……」 「嫌です!それに、半分不正解です。私が機嫌を悪くしたのは単純に……」
8 19/09/02(月)23:38:49 No.619813263
───羨ましかったから。どうして、私の時は必死に止めようするんですか? 「……え、何ですか姫?」 「何でもありません!」 言って、姫はガッシリと押さえ付けてきた。流石のゾンビィパワー。身動きが取れん。 「見事正解した巽さんにはご褒美をあげないといけませんね……」 「ハ、ハッピーです。ご褒美とは……?」 姫はフッ、と微笑んで俺の唇目掛けて……あっ、このパターンは……
9 19/09/02(月)23:39:08 No.619813363
バタン! 勢いよく扉が開き、黒服のゾンビィ達がドタドタと入ってきた。あっという間に姫を拘束する。うん、このパターンだと思った。 「離してください!あと少しだったのに!巽さん!助けてください!巽さん!」 納得いかないとばかりに地団駄を踏み、暴れる姫。俺は申し訳なさそうにいつもの一言を伝えた。 「申し訳ございません、姫。当店節度を守った触れ合いがモットーのお店でして……」 姫はそんな……!と一言だけ呟くと黒服のゾンビィ達にズルズルと引き摺られて……行かない。その場で羽交い締めにはしているものの、黒服達は連れていく気配を見せない。何か全員こっちを見つめている。サングラスの奥から何かを訴えている。怖いんだが……
10 19/09/02(月)23:39:44 No.619813575
まあ、黒服達が言わんとすることくらい俺も分かっている。先程から懐に隠し持っていた包みを取り出して、姫の前に跪いた。包みをソッと差し出す。 「これは……?」 「プレゼント。本当は機嫌を直してから渡したかったがな。姫、いや、純子。誕生日おめでとう」 「巽さん、私ワガママで、酷いこと言って……」 「んなもん気にしとらん。ほれ、受け取ってくれ」 「……はい!」
11 19/09/02(月)23:39:54 No.619813626
ようやく姫のいつも通りの笑顔を拝めた気がする。黒服達は「良かったね」とか、「お誕生おめでとう」とか、「あのキスは事故みたいなものやけん、許して……」とか言いながら姫を引き摺っていった。 やれやれ、一件落着といったところだな。それにしても相変わらず積極的な姫だ。毎度毎度唇を狙ってくるのもそういうことなのだろうか?……なーんて、な。一時の気の迷いに違いない。そんなことを考えていると、ちょうど姫が引き摺られながら出口を潜ろうとしているところだった。ふと、彼女と目が合う。彼女はニッコリ微笑み、小さく口を動かし…… ───大好き やれやれ、と苦笑する。随分と長い一時のようだ。さて、どうしたものか……俺達はプロデューサーとアイドルで、この店ではホストとゲストだ。そのことをどうか忘れないでほしい。まあ、特別な日だ。今日くらいサービスしてやってもいいだろうと、俺は姫に微笑み返した。
12 19/09/02(月)23:41:07 No.619814019
ということでハッピーバースデー純子はんでありんした 何か長くなってごめんなんし これまでのホスト編のまとめも貼らせていただくでありんす su3286482.txt
13 19/09/02(月)23:44:48 No.619815158
この姫欲望に忠実すぎる…
14 19/09/02(月)23:44:49 No.619815161
純子ちゃんよかったね…
15 19/09/02(月)23:45:07 No.619815239
純子編も描いてくれるかな、とひっそり期待してました ありがとう!
16 19/09/02(月)23:45:28 No.619815332
純子ちゃんまたレギュレーション違反してる
17 19/09/02(月)23:46:06 No.619815521
欲望に忠実な純子ちゃん大好き
18 19/09/02(月)23:49:01 No.619816404
何としててでもキスする方向に持っていこうとしててダメだった
19 19/09/02(月)23:49:19 No.619816509
キスはなかったけど結構いい思いしてんな!
20 19/09/02(月)23:49:34 No.619816590
なでなでハグあすなろ抱き膝枕とかサキちゃんよりよっぽど欲張ってるぞこのきのこ…
21 19/09/02(月)23:50:10 No.619816808
あすなろ抱き吹いた
22 19/09/02(月)23:50:40 No.619816976
毎回黒服スタンバイさせとかないとすぐ抜け駆けしよんな
23 19/09/02(月)23:50:52 No.619817021
あのオーダー流れるようにこなしてるのか巽…
24 19/09/02(月)23:52:10 No.619817410
>「ズバリ、姫の機嫌が悪いのはこの間のライブで失敗したから!」 >「じゃああれだ!この前チェキ用に撮った写真が気に入らなくて全部撮り直しさせたからだ!」 >「衣装の採寸ミスってゆうぎ…花魁姫のサイズの服着せたから!?」 >「じゃああれだ!冷蔵庫に入ってたプリンを姫のだと分かっていながら食べたから!?」 思い当たることあり過ぎるよ!
25 19/09/02(月)23:52:33 No.619817523
>ここはクラブ『サヨヒメ』。佐賀県某所、フランシュシュ邸地下の一室にて営業している小さなクラブだ。経営者は俺、巽幸太郎。ホストも俺、巽幸太郎。厨房も俺、巽幸太郎。皆、巽幸太郎。源氏名は『ハッピー=タツミ』 だ。 出だしからダメだった
26 19/09/02(月)23:52:59 No.619817652
人のプリン食べちゃいけんよ!
27 19/09/02(月)23:53:11 No.619817719
プリン食べたんですね。。 うん…でもね
28 19/09/02(月)23:55:17 No.619818399
キスできなかった以外はなんだかんだで美味しい思いしよんな
29 19/09/02(月)23:55:45 No.619818565
レギュレーションは破る物 紺野純子です
30 19/09/02(月)23:57:33 No.619819149
ずるかー!
31 19/09/02(月)23:58:18 No.619819396
空気の読める黒服達だな…
32 19/09/03(火)00:01:00 No.619820306
>大好き よか…!!!
33 19/09/03(火)00:01:17 No.619820396
>ふと、彼女と目が合う。彼女はニッコリ微笑み、小さく口を動かし…… >───大好き こんなん反則ですわ
34 19/09/03(火)00:01:30 No.619820474
純子ちゃん撫で撫ですきすぎ
35 19/09/03(火)00:03:02 No.619820939
このシリーズ大好き
36 19/09/03(火)00:03:36 No.619821077
告白しとる…!
37 19/09/03(火)00:07:03 No.619822078
>「どうして正解しちゃうんですかぁ!!!」 ダメだった
38 19/09/03(火)00:07:27 No.619822213
誕生日だしサービスサービスゥ!
39 19/09/03(火)00:08:57 No.619822733
やーらしか姫だ…
40 19/09/03(火)00:10:59 No.619823309
清楚で従順そうな見た目でその実めっちゃワガママなギャップたまらん
41 19/09/03(火)00:13:33 No.619824066
可愛いなあ
42 19/09/03(火)00:14:04 No.619824199
地味にサキちゃん怒られとる…
43 19/09/03(火)00:14:52 No.619824466
>ようやく姫のいつも通りの笑顔を拝めた気がする。黒服達は「良かったね」とか、「お誕生おめでとう」とか、「あのキスは事故みたいなものやけん、許して……」とか言いながら姫を引き摺っていった。 サキちゃんがよわいって相当怒られたね…
44 19/09/03(火)00:15:04 No.619824540
キスリベンジならずだったか
45 19/09/03(火)00:17:15 No.619825204
でも幸太郎さんは軽い罰だって…
46 19/09/03(火)00:20:26 No.619826251
よか…
47 19/09/03(火)00:23:34 No.619827156
誕生日らしくいい思いは出来てるな!
48 19/09/03(火)00:24:11 No.619827310
>でも幸太郎さんは軽い罰だって… 3時間の正座と説教は軽くないよ!
49 19/09/03(火)00:29:38 No.619828890
リベンジのリベンジしなんし!
50 19/09/03(火)00:30:51 No.619829219
さくらだと遠慮してここまでできないだろうから 欲深い子の勝利だな