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19/08/21(水)23:28:36 No.616625087
「はぁいおっはようござぁあああああ!?」 本日はバニーの日。猟師っぽくベストを着て帽子を被り部屋の扉を開ければなんという事だ。 白耳、黒耳、色とりどりの耳に耳。 7対の耳が並んでいるではないか。 滑稽な程に大口を開けて、声にならない声が喉を震わせる。 そんな俺に向く、7つの視線。 「先手、取っちゃいました!…えへへ…」 ピンクのバニーと化したさくらがそう宣言する。 いけんよ。これ、いけんよ。 ただでさえどやんすな胸が、バニースーツで強調されて、いけんよ。 とりあえずさくらにはモザイクをかけておく。俺が耐え切れないからな。 「衣裳部屋にあったのを拝借しちゃったんですけど、どうですか!この格好!」 目の前でモザイクがピョンピョンと跳ねる。モザイクを貫通して揺れる何かで意識がクラッと。 「す、座れ!座れぇ!座ってぇ!!」 「はーい!」
1 19/08/21(水)23:29:16 No.616625283
妙にテンション高いというか、俺の様子を見て喜ぶモザイクをなんとか座らせて一息。 改めて部屋を見回す。 顔が赤い白バニーが1人。堂々とした赤と青と黄色バニーが3人。キラキラ笑顔の水色バニーが1人。 モザイクが1人。モザイクに噛み付いている黒バニーが1人。 なんという絶景…んんっ…なんという光景だ… あまりのやーらしかさに天国かと錯覚してしまう。というか多分これ以上寄られたら死ぬ。 「幸太郎はん?」 「ひょごっ」 今一番声をかけられたくないバニーに、良くわからない言葉で返事を返す。 「この時代の格好…ばにぃと言うんしたな…似合っておりんすか?」 赤色のタイツが零さぬように踏ん張る、その豊満な胸を持ち上げて俺へ笑顔。 「似合ってます。座ってください」 「ふふっ…殿方に褒められるのは、何時の時代も嬉しいものでありんすな…」 「似合ってますからちょっとこっちに近寄らないでください。座ってください」
2 19/08/21(水)23:29:33 No.616625367
「止まれ!フリーズ!ウェイト!」 「何を言ってるかわ~かりんっせん」 最初のはわかるだろ。日本語だぞ。 現実逃避にそんな思考を浮かべるが、取り付かれた。助けてください。誰か。 「ゆるして…ゆるして…おゆるしを…」 「何か悪い事をしたんでありんすか?」 「してないです…ゆるして…」 「じゃあこのままであり~んす!」 ぎゅうううううう。 死ぬ。このままでは、死ぬ。 「姐さーん!そろそろ時間やけん次アタシー!」 「あい…そうでありんすな、一人占めはめっ…でありんした」 赤いバニーから解放され、消えかけていた意識をどうにかこうにか復活させる。 「た…助か…った…ありがとうな、サ」 「夜露死苦ぅー!!!」
3 19/08/21(水)23:29:51 No.616625457
黄色のバニーが俺の胸に飛び込んで来る。死んだ。 「へへっ!どうよ!この二階堂サキ様のジャンプは!」 見事でございます。一人死にました。 最早俺に出来る事は何も無いと悟り、口をポカンと開けて天を見上げる。 「…おいグラサン」 胸から届く不機嫌な声。 「なんか感想…ねーのかよ」 「…やーらしか…」 「っ!…へへっ」 俺の首に腕を回し、背伸びをして。頬に伝わる柔らかい感触。 「元ヤン」 「サキちゃんずるかー!」 「次リリィ!リリィの番だからね!」 「わーったって!それじゃあな、グラサン!」 黄色いバニーは真っ白になっている俺に笑顔を送り、椅子に戻っていった。
4 19/08/21(水)23:30:10 No.616625549
「タツミー。生きてるー?」 「…なんとか、今生き返った」 ヨミガエった俺の側に水色のバニー。 まぁ、どれだけやーらしかでも同性だ。このバニーはそこまで怖くないだろう。 「夏バテだったりする?最近暑いし、仕事に熱中するのはもう止めないけど体調管理はちゃんとしてね…」 不安そうな声。全く関係無い事でこんなに不安がらせてしまって申し訳なさが募る。 「そういうんじゃないし、大丈夫だ」 「ホントにー?」 「ホントホント」 頭を撫でてやると、目を細めて笑う水色のバニー。 やーらしか奴め…だがそれに癒される… 「…でもやっぱり怖いから、リリィが冷ましてあげるね!」 頭を撫でていた俺の手を取る水色のバニー。そのまま胸元へ持って行き、タイツと胸のスキマへ。 …ヒンヤリとした冷たさが俺の手の一面に。 さよなら現世。悔いは無いぞ。いやあるけど。仕方無いね。
5 19/08/21(水)23:30:30 No.616625659
「ヴァウ!」 叫びで意識がヨミガエル。 目の前には、俺の体を揺らす黒のバニー。 「あぁ。起きた。ありがとうな、たえ」 「ヴァウヘヘヘ…」 その優しさとやーらしかさに、ご褒美としてゲソを一本。 むしゃぶりつく黒のバニー。こう普段の光景だと落ち着く…こういうのでいいんだよこういうので。 …不意に、俺の方へ目を向ける。 体を寄せて、更に俺に近寄る。密着する。 「たえさん?あの?どうしたんです?たえさん?」 何も答えない。黙って俺の顔へ近づく。 脳裏に浮かぶのは、先ほどの黄色のバニー。 「待て!待って!心の準備が!出来ても待ってて!」 止まる事無い黒のバニーを見て俺も、覚悟を決められる事無く目を閉じる。 ………そして黒のバニーは、俺の胸ポケットのゲソに噛みついた。
6 19/08/21(水)23:30:49 No.616625775
「俺は!俺はァ!オレハァアアアアアア!!!」 壁に頭を叩きつける。純真無垢を疑った己の罪に耐え切れず、叩きつける。 「なにやってんのよ…」 壁にヒビが入った一撃と同時に声がかかる。見れば呆れ顔の青いバニー。 「ま、いつも何してるか全然わからないのがアンタなんだけど」 …こ、この理解者面…このネクロマンサーにして謎のアイドルプロデューサーを舐めおってからに… 「………俺を知り尽くしたみたいな事言いおって…何様のつもりじゃい…」 「年下姉さん女房…って言ったらどーする?」 死んだ。不敵な笑みを浮かべつつ赤に染まる頬を隠そうとしない青いバニーを前に、死んだ。 ずるかー!平成。そやんか事言うんはズルやろ!年下じゃない姉さん女房ならここに居りんすよ?ゆぎりん… 控えのバニー達が騒がしくなる。まぁ俺は死んでいるから何も反応できないんだけどな。 「…もう一押しってとこかしら…ねぇ、ちょっと見てよ」 死にゆく中で袖をクイッと引っ張られて青いバニーの方を向く。 赤くて青いバニーが、花を咲かせて見つめてくる。
7 19/08/21(水)23:31:15 No.616625920
「…こんな事するの…アンタにだけ、なんだからね」 くの字にした両手を耳の上に。 「ぴょんぴょんぴょーん!」 …その場で、跳ねた。 「グッハァ!」 やーらしか衝撃波によって吹き飛ばされ、先ほどヒビを入れた壁に叩きつけられる。 「ガァッ…グッ…ガフッ」 四つん這いになり胸を押さえるが動悸が止まらない。 顔だけをどうにか前へ向ければ、俺に向けられる愛の勝ち誇ったような笑み。 クソ…自分が可愛いのを理解しきってやがる…可愛いよちくしょう…なんならまだ顔真っ赤なところが最高に… 「あ、愛さん!私!次は私ですよ!」 「はいはい。もう十分でしょうし、良いわよ」 余裕だらけのようでその実いっぱいいっぱいであろう青いバニーが椅子に座り、白いバニーがエントリー。 …まだやるの…これ…辛い…
8 19/08/21(水)23:31:28 No.616625998
これまでのバニーの中で誰よりも顔を赤くしている白いバニーが俺の前へ。 「た、巽さん!」 「…はぃ」 「さくらさんと愛さんので学びました!一番巽さんに効くのはこれですね!?」 耳上に両手をやり、目を瞑る白いバニー。 「ぴょんぴょんぴょ~~~ん!」 跳ね始めた。 「…あ、あれ!?ぴょん!ぴょんぴょん!!」 跳ねる白いバニーを見つめる。…ただ、見つめる。 「ど、どうしてぴょん!あんなに響いてたのにぴょん!」 「いやだって流石に直前に貰ってるし…」 「しょ、しょんなぁ~…」 泣きそうな顔になりながらも跳ねる事をやめない白いバニーは実に健気で、そこはやーらしかだと思うようん。 「ぴょんぴょん!ぴょんぴょんぴょん!…ぴょ~~~~~~ん!!!」
9 19/08/21(水)23:31:45 No.616626076
渾身の力が込められた大ジャンプに、真っ白のタイツが負けた。 ぺろん。ぷるん。 表情が変わる控えのバニー達に、白いバニーは気付かない。 「…わ、わー!純子ちゃん!胸!胸!」 「ぴょんぴょんぴょ~ん!」 ぷるんぷるんぷるん。 「純子!止まって!胸見て!胸!」 「ぴょん!…はい?」 白いバニーの動きが止まり、他のバニーに言われるがままに自分の胸に視線を送る。 「………………きゃぁああああああああああああ!?」 自分の胸を両腕で隠し、しゃがみこむ白いバニー。 「見な、見ないでぇ…巽さん…見ないでぇええ!」 なんか名前を呼ばれている気がするが、生憎俺の視界は真っ赤でもう何も見えないしそれどころじゃない。 鼻から噴き出す血を止められない。上を向いても止まらない。 噴水のように勢い良く噴き出す血を押さえるために手をやりながら、俺は倒れた。
10 19/08/21(水)23:31:59 No.616626131
目を開ける。映るのは天井。 「あっタツミ起きたー?」 「まったく…いつまで寝てるのよ…」 「まぁ、あんなん見せ付けられたら流石のグラサンも…なぁ?」 「純子はんは、ほんに大胆なお方でありんすなぁ…」 「ち、違うんですぅ…忘れてぇ…」 「ヴァーウゥ」 「あはは…慰めるたえちゃんはほんと良い子っちゃね!撫でてあげるともっと良い子とよ?」 皆が談笑している。7人のバニーが、談笑している。 「それじゃ、決めてもらいましょうか」 青いバニーが俺を見て一言。 「何をじゃい…」 「アンタの今の格好、なんだっけ?」 「………猟師」
11 19/08/21(水)23:32:11 No.616626203
俺の一言で、全員が俺を見る。 「猟師に捕まっちゃう哀れなウサちゃんは…だぁれ?」 質問が…俺が決めるべき事が、ようやく掴めた。 選べというのだ。この7人のやーらしかバニーの中から、一人を。 …なんという事だ…不味すぎるだろこんな状況… 悩み込む俺を見る視線に期待が混じっていくのがわかる。 どうすれば良い…どうすればこのバニー達を傷つけずにこの場を切り抜けられる? 考えろ…俺は猟師だ…猟師になりきれ…だがバニーを捕らえない優しき猟師に…なりきれ… 「…決まった」 ゴクリと息を呑む音が部屋から響く。 「…ロメロ」 「「「「「「は?」」」」」」 「猟師に必要なのは猟犬じゃーーーーい!!!ロメロォーーーーーー!!!カムヒアー!!!」 駆け寄ってきたロメロと共に部屋を出て屋敷を出る。 ウサギでも捕まえてくれば許してくれるだろ…多分。
12 19/08/21(水)23:32:42 [sage] No.616626376
バニーの日なんでバニー書きたかったでありんす 書いたでありんす
13 19/08/21(水)23:34:58 No.616627148
逃げるな 戦え
14 19/08/21(水)23:35:49 No.616627470
なんで衣装部屋にバニースーツが…
15 19/08/21(水)23:37:42 No.616628131
バニーいいだろがじゃい!
16 19/08/21(水)23:38:23 No.616628363
逃げた…
17 19/08/21(水)23:38:52 No.616628533
そんな… この後7匹のバニー達に猟師が襲われるなんて…
18 19/08/21(水)23:38:55 No.616628547
ロメロは頼りになるんじゃい…
19 19/08/21(水)23:40:27 No.616629030
ウサギに返り討ちになる猟師とか聞いたことないぞ!
20 19/08/21(水)23:42:25 No.616629703
おいしく頂きなんし!
21 19/08/21(水)23:46:39 No.616631035
>鼻から噴き出す血を止められない。上を向いても止まらない。 昭和らしいリアクションすぎる…
22 19/08/21(水)23:46:51 No.616631089
>鼻から噴き出す血を止められない。上を向いても止まらない。 >噴水のように勢い良く噴き出す血を押さえるために手をやりながら、俺は倒れた。 そんなに喜んでくれるなんてお胸をポロリした甲斐がありますね。。。
23 19/08/21(水)23:47:00 No.616631135
やーらしかスクやけん
24 19/08/21(水)23:50:22 No.616632280
抱きなんし!
25 19/08/21(水)23:51:55 No.616632823
ポロリて
26 19/08/21(水)23:53:40 No.616633365
速やかにかかるモザイクでだめだった
27 19/08/21(水)23:54:54 No.616633738
幸太郎さん!モザイクとらんね!
28 19/08/21(水)23:57:24 No.616634464
個人的に全員髪を下ろした状態だと尚良い