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    19/07/23(火)21:54:13 No.609018271

    艦長お誕生日おめでとうございました! 横着やめてちゃんと貼りますね… su3205136.txt

    1 19/07/23(火)21:56:44 No.609019117

    その手の温もりを 『うん、それじゃ、また明日ね。おやすみ、ミケちゃん』 今日は7月20日。私、岬明乃の誕生日。 モカちゃんは毎年、日付が変わると私に電話してくれるんだ。離れ離れになってからもずっと。 私も、そう。モカちゃんとは誕生日が近いから、お返しに電話をして喜び合う。 今は学校も一緒になったから、いつでも会えるんだけど…それでもこの習慣をやめようとは思わなかったな。 「電話、ありがとう!おやすみ、モカちゃん!」 電話を切ると、寮の自室はいつも通りの静けさを取り戻す。 それを寂しいと思うようになったのは、家族と…晴風のみんなと一緒にいるのが当たり前になったから、なのかな?

    2 19/07/23(火)21:57:10 No.609019237

    「…早く、寝なきゃ」 明日はシロちゃんが迎えに来てくれることになってるんだ。 シロちゃんとココちゃんが音頭を取ってパーティーの準備をしてくれたから、遅刻するわけにはいかないよね。 …まあ、シロちゃんはことあるごとに引っ付いてくココちゃんを引きはがすのが、一番大変だったかもしれないけど…。 ココちゃんからの連絡メールを見ながら、携帯のアラームの時間を確認して…うん、これで大丈夫。 RATt事件後の混乱も収束してきて、艦隊戦演習が始まって…あちこちの海へ出かけることが多くなって。 そんな中で迎えた誕生日がお休みの日だったのは、運がよかった…のかな? 「明日が楽しみ、だな…」 演習で疲れてたのか、ベッドに入ってからあっという間に眠りに落ちていった。 風邪をひいてみんなに迷惑かけちゃったこともあったし、体調には気を付けないと…。

    3 19/07/23(火)21:57:51 No.609019445

    朝。迎えに来てくれたシロちゃんと一緒に、寮を出発した。 向かう先は、学校に停泊している晴風。だから、土曜日だけど二人とも制服を着て歩いている。 何気なく、並んで歩くシロちゃんに話しかけてみた。 「会場は晴風なんだね。土曜日なんだから、寮でもよかったのに」 「確かにそれも考えたんだが…話をしていくうちに、艦長…岬さんの誕生日なんだから晴風で、という声が強くて。  その…私も、その方がいいと思ったから…」 そう言うシロちゃんの顔は、ちょっと赤くなってる。 もしかして、提案してくれたのはシロちゃん…なのかな?

    4 19/07/23(火)21:58:07 No.609019534

    「そっか。ありがとう、シロちゃん。なんか、そういうのってすごく嬉しいな!」 「う…いえ、その…まあ、これでも晴風の副長ですから…」 気恥ずかしそうに、そっぽを向くシロちゃん。 …ありがとう。もう一度、心の中で感謝の気持ちを伝えた。

    5 19/07/23(火)21:59:09 No.609019891

    そうして歩いていくと、見慣れた艦影が近づいてきた。 Y469。私達の新しい家。 その前に、数人の人影があった。最初は晴風の誰かかと思っていたけど… 「おはよう!どうしたの、皆揃って」 そこにいたのは、艦隊戦演習で一緒になった時津風と天津風のみんなだった。 「私達に声をかけないなんて水臭いじゃない、晴風艦長!」 ビシっとこちらを指さしながらそう第一声を上げたのは、ちーちゃんだった。 「お誕生日おめでとう、岬さん」 続けて、いつものように控えめに、笑顔で祝福をしてくれるつーちゃん。

    6 19/07/23(火)22:01:00 No.609020513

    「ありがとう。でも、どうして?」 「昨日、納沙さんから伺ったんですよ~。お忙しそうにされていたので、何やら面白いことが起こりそうだと思いまして~」 そう言うのは、きみちゃん。いつも通り、すごく楽しそう。 「ふっ…秘密の多さというのも、ハードボイルドの条件の一つだぜ?」 なんだかカッコいい感じでポーズを決めるのりちゃん。 「いや、別に秘密にしていたわけじゃないんだが…。というか、私も納沙さんから何も聞いていないんだが…」 シロちゃん、困惑顔。みんなが来ること、シロちゃんも知らなかったんだ…。

    7 19/07/23(火)22:01:18 No.609020627

    「だって、サプライズにした方が面白いじゃないですか~」 あっけらかんと言うきみちゃん。あはは…ココちゃんとあれこれ考えてくれたのかな…? 「えっと、立ち話もなんだから、甲板に上がろっか」 「お邪魔しまーす!全員で一緒のベンチに入ると、オールスター戦みたいだね!」 「あんたは本当にどこでも野球なのね…」 「あはは…」 こんなやり取り、あの無人島でもあったな…。

    8 19/07/23(火)22:02:14 No.609020940

    シロちゃん以外のみんなは話をきいてたみたいで、料理もいつもより多めに用意されていた。 ミカンちゃん達以外に、あゆちゃんもお手伝いしてくれたんだって。 「お料理のお手伝いは家でもよくやってるんです」 というあゆちゃんに、ミカンちゃん達は『思わぬところからライバル出現!?』って最初は戦々恐々としてたけど、 厨房に立ったらなんだかんだ仲良く料理してたって、みなみさんが教えてくれた。 パーティーが始まってからも、晴風のみんなと時津風・天津風のみんなで仲良くしてるところが沢山見られた。

    9 19/07/23(火)22:02:38 No.609021054

    編み物の相談をしてるつーちゃんとモモちゃん。 楽しそうにお話してるきみちゃんとココちゃん・リンちゃん。(リンちゃんは楽しそう、でいいんだよね…?) バットを振ったりボールを投げる真似をしながら話をしてるゆみちゃんとタマちゃん。 エレキギターとバイオリンでセッションするかもちゃんと万里小路さん。(練習したのかな?) ゲームしてるちーちゃんとあっちゃん。(数分ごとにちーちゃんが絶叫してる…) ため息付き合ってるあゆちゃんとシロちゃん。(いつもごめんね…) 水鉄砲で的当てしてるのりちゃんとヒカリちゃん達。(のりちゃんの命中率については、うん…) 工具を手になんだか難しい話をしてるジェニーちゃんと機関科のみんな。(なんかジェニーちゃんを見るレオちゃんの目が…?) などなど。 …なんだか楽しいな、こういうの。 実習中にできなかったおしゃべりもいっぱいできたし、これからも仲良くやっていけそう。 少し離れて休憩しながらみんなの様子を眺めていたら、時津風・天津風のみんなが私のところにやってきた。

    10 19/07/23(火)22:03:18 No.609021277

    「なーに一人黄昏れてんのよ、晴風艦長!」 「あはは、ごめん。ちょっと休憩してたよ」 なんだか気恥ずかしくて思わず照れ笑い。 そんな私に、ちーちゃんがずい、と紙袋を差し出した。 「プレゼントよ。ありがたく受け取りなさい」 「わ、ありがとう」 「急だったから、ちゃんと準備できなかったけれど…」 申し訳なさそうにしてるつーちゃんだけど、持っている袋は結構大きい。 「そんな…気持ちだけでもすごく嬉しいよ。ありがとうつーちゃん」 他のみんなも、それぞれにプレゼントを用意してくれたみたい。

    11 19/07/23(火)22:04:51 No.609021810

    「開けてもいいかな?」 「別に、あなたにあげているんだから好きにすればいいわ!」 ちーちゃんはそう言いながら、目をそらす。 「いいですね~テンプレなツンデレ、いただきました~!」 「誰がツンデレよ!?」 きみちゃんはいつでも楽しそう。 「それじゃ…」 まず、ちーちゃんの紙袋を受け取る私。がさがさ。

    12 19/07/23(火)22:05:14 No.609021941

    「えーと、ゲームソフト?なんか絵がカッコいいね」 「私の一押しよ!これで対戦に付き合ってもらうわ!」 「対戦するゲームなんだね。私、ゲーム機とか持ってないけど…あっちゃんに教えてもらおうかな」 「う、あの子ね…ま、まあ、それなら少しはいい勝負ができるんじゃないかしら!」 「すみません、岬艦長。たまにでいいのでちーちゃんと遊んであげてください」 完全に保護者だ…。 「あはは…うん、練習しておくね」

    13 19/07/23(火)22:07:51 No.609022851

    ゲームソフトを袋にしまい直すと、続いてちーちゃんの横にいたあゆちゃんからもらった袋をがさがさ。 「小説…あ、ブルーマーメイドのお話なんだ」 「半分くらいヒーローものみたいになってるライトノベルだけど、中々面白かったですよ」 「ありがとう!次の航海の時に読んでみるよ!」 モモちゃんならこの小説も知ってるかな?読み終わったら聞いてみよう。 さらに、芝居がかった動作でプレゼントを差し出してくれるのりちゃん。 「アタシからはこいつを送らせてもらうぜ、ガール」 包みから出てきたのは、大きな水鉄砲。当たったら結構痛そうかも。

    14 19/07/23(火)22:08:19 No.609023013

    「アタシの勘が告げている…腕利きのガンマンたちを統べるガールもまた、かなりの使い手だとね」 「うーん、前にみんなで遊んだことがあるけど、やっぱりタマちゃん達と比べたら全然だよ」 「そうかな?ま、時が来れば互いの銃が答えを教えてくれるさ」 「あんたはまずまともに当てられるようになってから言いなさいよ大指!」 「ふっ…こいつは手厳しい」 また何かの争奪戦になった時に使わせてもらおうかな。

    15 19/07/23(火)22:08:51 No.609023201

    天津風最後は、ジェニーちゃん。 「ワタシからは、コレだヨ!」 渡されたのは、かわいい腕時計。思わず心配になって、 「これ、高いものなんじゃ…?」 「ノンノン。コレ、故障品を安くゲットして自分で直したやつだヨ。  趣味で直すのが目的で、使うつもりじゃなかったから、don't worryヨ!」 「そうなんだ…ありがとう!大事に使うね」 「昨日メンテはしてあるけど、調子悪くなったら言ってネ」 「うん!その時はよろしくね」

    16 19/07/23(火)22:09:03 No.609023286

    そんなジェニーちゃんを見ながら、何か言いたげなのりちゃん。 「どしたノ?」 「いやその…ガールの親戚に『王様になりたい』って言ってるボーイがいたりしないか?」 「?いないヨ?」 「そ、そうか…」 何の話だろう…?

    17 19/07/23(火)22:09:27 No.609023432

    ここからは時津風のみんな。まずはつーちゃんの袋をがさがさ…。 「わ、セーターだ。かわいい!」 「これから暑くなるのにセーターを送るうちの艦長、面白いですよね~」 そう言って笑うきみちゃん。 「急に言われたから、他に用意ができなくて…途中まで編んでたのを手直ししたものだけれど、サイズは合うはずだから」 「手編み!?凄いね…でも、急だったのにサイズとかどうしたの?」 「これ、元々きみちゃん用に作っていたの。きみちゃんと岬さん、大体同じ体形だから…」 「いや~艦長にはあんなところやこんなところまで詳しく測られちゃいましたねぇ」 「その言い方はやめて…ふぅ…。あ、首回りをちょっとゆったり目にしてあるから、脱ぎ着しやすくなってると思うわ」 「あはは…見られてたんだ…」 その気配りは嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいな…。

    18 19/07/23(火)22:11:53 No.609024287

    続いては、きみちゃん。 「では、わたしからはこちらをどうぞ~」 これは…CD? 「『古今名作落語百選』…落語かぁ。聞いたことないよ」 「本当は寄席で生の落語を聞いていただきたいところなんですけどねぇ。  まずは入門も兼ねて、聞いてみていただければ」 「そうだね。お昼ご飯の時とかに流してみようかな?」 「ああ、いいですねぇ。飲み物を口に含んだ時とかに笑いどころが来るときっと面白いことになりますねぇ」 「…大変なことになるからやめておいた方がいいと思うわ…ふぅ…」 「あはは…そうだね…」 ミカンちゃん達にすごく怒られそう…。

    19 19/07/23(火)22:12:06 No.609024369

    次は、ゆみちゃん。 「…メガホン?」 「はい!艦長って、指示する時に声を張らないといけないから、役に立つかなって。  推しチームがわからなかったので、オールスターゲームで買ったやつにしました!」 「メガホンで指揮する艦長って見たことないよゆみちゃん…」 「私は面白くていいと思いますよ~」 「ふぅ…」 あはは…時津風っていつもこんな感じなのかな…?

    20 19/07/23(火)22:12:38 No.609024587

    最後は、かもちゃん。 「わたしからは、これ」 言葉少なに渡された包みに入っていたのは… 「グローブ?あ、スキッパー用だ」 「最速を求める者の必需品よね」 「私、いつも素手で運転してるけど…」 「は!?」 「というか、サトちゃんもりっちゃんも着けてなかったような…」 「なん…だと…」

    21 19/07/23(火)22:14:39 No.609025280

    信じられない、という顔をされてしまった…。 「何かとスキッパーに乗る機会は多いし、今度試してみるよ」 「そ、そうね…。ま、それはともかく…またレースしましょう!この間はついフライングしちゃったし」 「そうだね、今度はサトちゃん達も誘っておくから」 「ええ。楽しみにしておくわ」

    22 19/07/23(火)22:15:06 No.609025468

    楽しい時間はあっという間で、気が付くと、もう夕日がさしてくる時間。 パーティーの後片付けが始まっていて、みんなに指示を飛ばすシロちゃんとココちゃんの姿が見えた。 「私達もお片付けしに行かないと。行くよ、ちーちゃん」 「まあ、食べるだけ食べてはいさよなら、ってわけにはいかないわよね」 ぞろぞろと歩いていくみんな。 私もみんなについていこうとすると、ちーちゃんとつーちゃんがくるり、と私の方に向き直った。 「今日は楽しかったわ。来週からの演習もよろしくね、岬さん」 「次こそ私がナンバーワン評価をもらうんだから!覚悟しておきなさい!」 言葉の方向性は違うけど、二人とも、私を…私達を仲間だと思ってくれてるってこと…だよね。

    23 19/07/23(火)22:15:22 No.609025553

    「こちらこそ、よろしくね!」 すごく自然に、右手を差し出していた。 二人とも、私の思いをすぐに察してくれて。私の手に二人の手が重なった。 みんなと一緒なら、どんな困難が来てもきっと大丈夫だよね。 …そう、思っていたんだけど。 この時の私達は、想像もしていなかったんだ。 『アルマダ』という人工知能との自分たちの将来をかけた戦いが、程なく始まろうとしていたことに。 終わり。

    24 19/07/23(火)22:19:24 No.609026936

    投下乙!やさしい空間ははいふりによく似合う… 新規キャラも交えて豪華な感じでよかった

    25 19/07/23(火)22:20:16 No.609027227

    めっちゃ力作だこれ…

    26 19/07/23(火)22:23:45 No.609028452

    ネタ出しと制作で週末が潰れました!久しぶりだったので気合を入れ過ぎましたね…

    27 19/07/23(火)22:23:57 No.609028540

    アルマダって劇場版かと思ったらアプリゲーの方なのか… 未だガラケーの俺は情報が更新できなくて辛い それはそれとして久々のSS堪能させてもらいました 他艦の子もキャラ立ってるな…

    28 19/07/23(火)22:27:51 No.609030248

    >未だガラケーの俺は情報が更新できなくて辛い スマホじゃなくてもタブレットでもできますよ! できるココちゃんスタイルです!

    29 19/07/23(火)22:33:52 No.609032803

    >スマホじゃなくてもタブレットでもできますよ! >できるココちゃんスタイルです! 知らんかったありがとー!

    30 19/07/23(火)22:46:04 No.609037615

    はいふり界生きてるんだなって改めて感じた