19/07/21(日)01:04:59 ◆再放送... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1563638699242.jpg 19/07/21(日)01:04:59 No.608236837
◆再放送な◆ カブキスレイヤー第一部最終章 「デンショウ・オブ・コウライヤ」
1 19/07/21(日)01:05:13 No.608236918
眠らない都市・ネオサイタマ。 曇り空のもと、マグロ・ツェッペリンや数々の広告飛行船が上空から光の矢を射かけている。 さらにそれを天上から睥睨する如くそびえ立つシノギヤ・ペリニヨン・ファンド本社ビル。 その最上階…100畳程のVIPルーム、一面ガラス張りの窓から下界を見下ろす男が一人…いや、二人。 「ヒートタイド=サン、来たか」 「お呼びでしょうか、ペリニヨン=サン」 深緑のニンジャアーマーを身につけたニンジャは恭しく立て膝をついてこのペリニヨンと呼ばれるニンジャの半歩後ろに控えた。 「ワシはこれから大事な用事がある」 「…例の電脳麻薬の件についてヨロコーワ製薬とご商談を」 「そうだ。また巨額のカネが産まれる」 「偉大なるペリニヨン=サンの手腕には敬服しております」 深緑のニンジャ…ヒートタイドは言葉とは裏腹に無表情のままだ。
2 19/07/21(日)01:05:43 No.608237067
「だがこのようなコトワザもある…『英雄はパレードで刺される』」 ペリニヨンは江戸時代のカブキアクター・イチカワ・エビゾのコトワザを引用してみせた。カブキ伝書にも書かれている。 「…つまり、警備を固めろ、と」 「そうだ。ワシはこれより極秘IRC商談に入る。だがこのような時こそネズミは入り込んでくるものだ」 「…御意」 それだけ言うとペリニヨンはIRCルームへと向かって行った。 一人残されたヒートタイドはふと机上のカブキ伝書を見やる。確かに自分が数年前、マツモト家から奪い取ったもの。そしてその時その場にいた人間は始末した…はずだった。 だが生き残りがいた。それもニンジャになっていた。しかもカブキを使う…自分と同じニンジャに。そして今その男が偉大なるぴるす様の器を殺さんとしている。邪道のカブキの持ち主が。 (この世に存在して良いカブキはただ一つだ…コウライ・カブキなど紛い物よ) ヒートタイドはニンジャ第六感で確信していた。今宵あの男…あの生き残り、カブキニストはここへやってくる! ヒートタイドはカタナに手をかけ握り締めた。 「カブキニスト…必ず殺す!」 ーーーーーーーー
3 19/07/21(日)01:06:11 No.608237218
それからしばらく後。 普段と変わらずマグロ・ツェッペリンや広告飛行船がゼウス・ニンジャの雷めいて挑戦的に下界に光を投げかけている筈だったが…今夜は少し違った。 神に挑戦するかの如く威圧的漢字サーチライトの光が地から天に向かって伸び、ペリニヨン・ファンド本社ビルに突き刺さっている…その根本には警察車両の赤い光が星めいて瞬いている。 その中の一台、UNIX搭載型警察バンの内部。 「簡単に作戦の確認です」 ネオサイタマ市警でもっともあぶないと言われるデッカー、タチ・ヒロシがマツモト一家に呼びかける。 「我々のケンドー部隊が内部に突入…一般社員はなるべく確保、用心棒ニンジャがいれば殺します。一応の道案内役としてはマツモト・ソメゴロ氏を」 「カブキアクターで助かりましたよ。ここに雇われて仕事をする事もありましたのでね…」ここでいうカブキアクターとはぴるすを殺す者としての神聖カブキアクターではない。どこにでもいる、一般的ショービズカブキアクターとして、だ。
4 19/07/21(日)01:06:31 No.608237348
「ある程度なら建物の構造は分かりますし…一般社員をミエ切りで気絶させる位はわけありません」クロームメタル色のフルサイバーニンジャ戦闘服に身を包んだソメゴロが答える。 「そしてわたしがビル内のセキュリティを解除して…」 「私がペリニヨンを討つ」 コーシロが静かに語った。 全員に一瞬の静寂が訪れる。 「生きて帰ってこられるかはわからない。そうなればソメゴロ…息子よ、コウライ・カブキを頼むぞ」 「父さん…」ソメゴロは暗い顔を覗かせた。だがすぐ笑顔になった。つとめてそうした。 「死ぬ確率なら私の方が高いんです、父さん。私はモータルなので」ソメゴロは冗談めかして笑ったが、コーシロはソメゴロを真っ直ぐ見据えたままだ。「私はニンジャだ。死ねば死体も残らない。爆発四散する」コーシロは少し黙り、言った。「拾うべき死体も骨も残らん。故に…自分の命だけを存分に大切にしろ」「分かってます…私もまだ死ねませんよ」「私もね」三人は顔を見合わせ、精いっぱい笑った。 「出撃だ」タチも覚悟を決めた。「ネオサイタマにはびこるぴるす中毒の巣…ペリニヨン・ファンドは今日で潰す!」
5 19/07/21(日)01:06:49 No.608237443
ーーーーーーーー 「ぴるす君、君はもう永遠に独りだ、投降しなさい」 威圧的拡声器から発せられる特殊ボイスと墓標めいたシノギヤ・ペリニヨン・ビルディングを照らす赤いパトランプ。そして赤いパトランプに混じって赤黒の光が一筋…カブキニストだ! 今宵、カブキニストは、マツモト家は、ペリニヨンを討つ。全ぴるすニンジャを殺す、それが彼の、マツモト家の使命だ! 「イヨーッ!」カブキニストは飛び上がり、横一列に並んだ回転ドアを粉砕!そのまま正面ホール…エレベーターに突入する! 「カブキニスト=サンに続け!一般社員は全員逮捕、ニンジャは即攻撃だ!」タチが拡声器で叫ぶ。ソメゴロ含む夥しい数のケンドー部隊、その他デッカー部隊がペリニヨン・ファンド・ビルディングに突入していく! (父さん、タカコ、ご武運を)ソメゴロは静かにブッダに祈りを捧げた。
6 19/07/21(日)01:07:17 No.608237583
ーーーーーーーー コーシロを載せたエレベーターはどこまでも上へ、上へと登っていく。 流石はペリニヨン・ファンドと言うべきか、エレベーター一つでネオサイタマの安アパート程の広さがある。いったいどれだけの無辜の市民から搾り取った財産がつぎ込まれているのだろうか? 「エレベーターのセキュリティは何てことなかったわね」タカコがIRCチャットの向こうで話す。「むしろこれからもっと手ごわい障害が出てくるかもしれないわ。腕の見せ所」「頼りにしている」 「でもここから先はジャマーがかかってるわ。まずはそれを解除する…死なないで、父さん!」 「分かった」それが相手に伝わる前に音声にノイズが混じり、聞こえなくなった。やはり一筋縄ではいかないか。 プシューガコン。突如エレベーターが停止する。まだ目的の階にはついていない。すわ邪魔者か! 「出てこい薄汚いぴるすニンジャめ!」 「ケオッケオッケオ…このペリニヨン・ファンドに乗り込んでくるとは命知らずな奴!」 ガコン!突如エレベーター天井の蓋が外れ、ニンジャが降りてくる!
7 19/07/21(日)01:07:56 No.608237831
「ドーモ、カブキニスト=サン、パワーキーです!俺はこの一般フロアの警備を任された身、この先の『シックスピルスの間』にはネズミ一匹立ち入らせないんですけお!」 「ドーモ、パワーキー=サン、カブキニストです…『シックスピルスの間』?知らなかったぞ、そんなものがあるのか。わざわざ自分から情報を漏らすあたり、門番としての心構えもサンシタのようだ」 パワーキーは一瞬驚いた顔をし、「ケオオーッ!ここでお前を殺せば関係ないんですけお!」カラテを構える! 「イヨーッ!」「ケオーッ!」 両者は一瞬でエレベーター中央にまで達し、カラテ攻防を開始する!
8 19/07/21(日)01:08:15 No.608237971
ーーーーーーーー 「ネオサイタマ市警だ!開けろ!」「アイエエエ!ナムアミダ・ペリニヨン・サン!ナムアミダ・ペリニヨン・サン!」 15階一般オフィスではネオサイタマ市警及びソメゴロとペリニヨン・ファンド社員との競り合いが行われていた。 「ソメゴロ=サン、オネガイシマス」「はい…イヨーッ!」ミエ切り一閃!ペリニヨン・ファンド社員達はカブキリアリティショック(KRS)を起こして気絶!一行はオフィスに突入する! 「ケオーッ!」影に隠れていた用心棒下っ端ニンジャ達が襲いかかる!「ドーモ!マツモト・ソメゴロです!」アイサツ!「ドーモ」 「イヨーッ!」ソメゴロとケンドー機動隊による不意打ち一斉射撃!下っ端ニンジャ達は爆発四散! 「打ち方やめ!証拠まで吹っ飛ぶぞ」後ろからタチ・ヒロシが呼びかける。「見事な対ニンジャ戦法だ」「それほどでも」ソメゴロはニヤリと笑う。
9 19/07/21(日)01:08:31 No.608238055
ーーーーーーーー 「アイエエエ!ヒートタイド=サン!来ました!ネオサイタマ市警です!」「来たか」 ペリニヨン社員は社内秘密音声IRCで報告を行う。 「ペリニヨン=サンはどこに」「商談中だ。故に少しの間我が社の管理権はこの私が預かっている」「とにかく!セキュリティ防御を重点して下さい」 「分かっている…すぐシックスピルス達に警戒態勢を敷かせよう」ヒートタイドはIRCを切断した。 「ご心配には及びません」別のIRCから声が響き渡る。「すでにネズミを一匹感知しております。なかなかすばしっこい奴ですが私の敵ではありません」 「パノプティコン=サンか」 「ええ」このニンジャはパノプティコン。シックスピルスの一人にして、このペリニヨン・ビルディングの電子的防御の全てを担当する、恐るべきニンジャだ。 「ネオサイタマ市警の突入を許すまでに証拠集めを許した雑魚ハッカー共ばかり相手にしてきたようですなこのネズミは…少し遊んでやりましょう」
10 19/07/21(日)01:08:55 No.608238151
ーーーーーーーー 「イヨーッ!」「ケオーッ!」 何度目かのカラテがぶつかり合い、位置は繰り返し入れ替わり…パワーキーはコーシロに一撃を放つ!「ケオーッ!」 「イヨーッ!」コーシロは跳躍し、パワーキーの入ってきた天井の穴へ突入!エレベーター縦穴内へと出、エレベーター上部に着地! 「ケオッケオッケオ!そこは俺のテリトリーなんですけお!もはや逃げられない!死んでくだちーっ!」 パワーキーもエレベーター上部に降り立ち、何らかのスイッチを入れる! ガコン!エレベーターがまたも動き出す!これは!? 「ケオッケオッ…逃げろや逃げろ!」パワーキーは跳躍! 「イヨーッ!」カブキニストもニンジャ第六感に危険を感じ跳躍! 直後、エレベーター上部の床に電気トラップが作動し…登り始める! 「イヨーッ!」「ケオーッ!」 二人のニンジャは迫り来る殺人エレベーターから連続壁蹴りで逃げる!さながらビデオゲームの如し!
11 19/07/21(日)01:09:36 No.608238357
「ケオッケオッケオ…このデッドヒート!戦っている実感が湧くな、ケオーッ!」スリケン投擲! 「イヨーッ!」カブキニストはエレベーターのワイヤーに掴まりそれを回避!鉄棒選手めいてワイヤーを軸に回転し…ワイヤーを離す!パワーキーに蹴りを放つ! 「イヨーッ!」「ケオーッ!」間一髪蹴りをかわすとパワーキーは上に向かって跳躍!殺人エレベーターが迫る!「ケオーッ!」 「イヨーッ!」だがカブキニストはその刹那パワーキーに向けてフックロープを投擲!パワーキーはバランスを崩す!「ケオッ!?」「イヨーッ!」 フックロープを手繰り寄せる!二人の位置が入れ替わる!カブキニストが上、パワーキーが下!殺人エレベーターが迫る!「ケオーッ!」 パワーキーは直前でワイヤーに掴まり、スリケン連続投擲!「ヌウーッ!」カブキニストは跳躍の方向を変えざるをえない! 「ケオーッ!」パワーキーは常人の三倍の脚力でエレベーターワイヤー登攀しカブキニストと高さを合わせ…「ケオーッ!」ワイヤーに脚で捕まったまま拳を放つ!カルワザ! 「グワーッ!」カブキニストは一気に下に叩き落とされる!眼前に殺人エレベーターが迫る!アブナイ!
12 19/07/21(日)01:10:06 No.608238491
「イヨーッ!」カブキニストはフックロープをパワーキーに向けて放つが…当たらない!フックロープはパワーキーを掠め、遥か上空へと去っていく! 「バカめ!とどめだ!ケオーッ!」パワーキーは勝ち誇ってエレベーターを見下ろす…だが! ガコン!殺人エレベーターが突如停止!カブキニストのコンマ数センチ前で殺人トラップが停止する!「イヨーッ!」カブキニストはフックロープ巻き取り機構を作動させる!そして跳躍!パワーキーの上へ! 「何故だ!ケオーッ!?」パワーキーはワイヤーを登攀せんとするが…追いつけぬ!カブキニストは一体どこまで登っていったのか!?
13 19/07/21(日)01:10:23 No.608238576
その答えはエレベーター縦穴内最上部であった。フックロープのカギがエレベーター巻き取り部に引っかかり止まっている。安全装置が作動したのだ! カブキニストはぶら下がったままカブキの炎を体内で練り上げ始めた。「フゥーッ…ホォーッ…フゥーッ…ホォーッ…」指先に炎が燃える! 「ここにいたかカブキニスト=サン!」パワーキーが登ってくる!「エレベーターを止めるとは小癪な、だが今ここで」「イヨーッ!」 カブキニストのチョップは炎の軌跡を描き…エレベーターワイヤーを切断する! 「えっ」パワーキーは一瞬状況が飲み込めなかった。やがて理解し、跳躍しようとした。だが間に合わなかった。 「ケオオオオオオオオーーーーッ!!!」 パワーキー諸共、エレベーターは遥か下へと落下していく。数秒後、轟音と共に縦穴の底がキラリと輝いた。「サヨナラ!」小さく声が響いた。
14 19/07/21(日)01:10:33 No.608238617
ーーーーーーーー 「イヨーッ!」カブキニストは蹴りでエレベーターの扉をこじ開けた。 (何故奴はわざわざエレベーターの外に出てきたのだろうな)カブキニストは一瞬考えた。だがぴるす君のやることだ。すぐに考えるのをやめた。 『六大蛭巣』力強いオスモウ・フォントでそう描かれた看板を見上げた。ここから先にシックスピルスがいる。苛烈な戦いになるだろう、だが負けるわけにはいかない! 未だタカコともソメゴロとも連絡は取れない。死んでいなければよいが。 不安を振り切るように、カブキニストは中へと向かっていった。 (※カブキスレイヤーはフィクションです。実在の人物、団体などとは一切関係がありません)
15 19/07/21(日)01:10:53 No.608238717
◆梨◆ カブキ名鑑#027【パワーキー】 ◆園◆ シノギヤ・ペリニヨン・ファンド本社ビルの警備担当ニンジャ。エレベーター縦穴内での戦闘に特化したカラテを持つ。ナワバリであるエレベーターは彼によって改造されており、安全装置などは外されていたようだ。
16 19/07/21(日)01:12:35 No.608239280
ピルスは殺す慈悲はない
17 19/07/21(日)01:37:48 No.608246237
本放送見逃したから再放送はありがたい…
18 19/07/21(日)01:44:49 No.608247914
専用ルーム作ってたシックスゲイツもいた分パワーキー=サンのエレベーターを用いたイクサがマシに見えることですね?
19 19/07/21(日)01:45:33 No.608248098
スピード感あるな…