19/05/20(月)22:39:38 泥文書 のスレッド詳細
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画像ファイル名:1558359578805.jpg 19/05/20(月)22:39:38 No.592846886
泥文書
1 19/05/20(月)22:42:38 No.592848113
ぶんぶんぶーんしょ
2 19/05/20(月)22:44:41 [『いつか来たる終わり~Closing Story~』] No.592848950
視界がかすむ。輪郭がぼやける。もはや立っていることすらままならない 上半身のほとんどがえぐれているのだ。当然だ。だがそれでも、私は歩む まるで、何かに導かれるように。まるで何かを求め、彷徨う亡者のように 理由は自分ですら不明瞭だ。それでも唯彷徨い続けるうちに、声が響いた 「やぁ、また手酷くやられたみたいだね、カール・クラフト?」 ぼやけた視界を、暖かい虹色の光が包み込むような錯覚を肌で私は感じた 「それとも、死神と呼んだほうが良いかな? ねぇ、自滅因子」 「正しくは"死の恐怖"。終焉そのものとも言います。似て非なる物です」 「似たようなもんじゃないか。むしろそっちの方がタチ悪いぜ?」 物語にとって打ち切りは天敵だから、と彼は愉快気に笑いながら続けた。 貴方もまた、あの天空の神より受けた傷で、立つのも辛い傷だと言うのに なんて気丈なのだろう。なんと強いのだろう。これが英霊か。これが今の 人理に刻まれし極光か。その姿は眩く、暖かく、そして───美しかった 私はそのまま、その美しき光に抱かれ、視界が反転する錯覚を感じた
3 19/05/20(月)22:45:29 [『いつか来たる終わり~Closing Story~』] No.592849243
「突然倒れるなんて、びっくりしちゃうじゃないか」 もう首から下の感覚はない。あるのは朧げな視界と、頭部を包む優しき温もりのみだった 「勝手な所は変わらないね。君といると、僕は振り回されっぱなしだ」 「耳が痛い。ですが、何事も唐突なのが終焉です。…迷惑でしたか?」 「いや…楽しかったよ。これ以上なく。君と過ごす日々は、まさに美しき未知だった」 頬に、熱い雫が零れるのを感じた。泣いてくれるのか。このような、名も無き終焉の為に 終わりしか知らなかった死神がいた。終わりを否定したいが為に、男は未知を求め続けた 総ての物語を知った王がいた。王は全てを知っていたが故に自分の知らない未知を求めた 互いに相克する光と闇。されど惹かれ合う死滅因子。嗚呼、それは何と美しい未知だろう 「申し訳ありません。最後に一つ、我儘を叶えて頂いても?」 「いいよ、何なりと。僕は、君だけのサーヴァントだからね」 「寝物語を1つ、お願いします。安らかな目覚めを願う唄を」 「おやすみ、名前のない怪物(オンリー・マイ・モンスター)。次の目覚めこそは……、幸せにね」 「さようなら、全ての物語の王(マイフェア・ストーリーテラー)」その言葉で私の物語は幕を閉じた
4 19/05/20(月)22:46:25 No.592849568
出てくる名前と単語の関係で一瞬別の会社のSSみたいに!
5 19/05/20(月)22:48:36 No.592850444
やっぱこの二人キテルのでは?
6 19/05/20(月)22:50:40 No.592851292
名前のない怪物に自分だけの怪物ってルビふるアナンシに病み入った独占欲を感じる
7 19/05/20(月)22:51:22 [けもの(母)] No.592851552
息子のカップリング相手が男の子しかいません…
8 19/05/20(月)22:52:56 [匿名の女王] No.592852157
自分になびかない男しかいないからおかしいと思ったんですよ
9 19/05/20(月)22:59:07 [最終回の1シーン] No.592854464
署の屋上の手すりに寄りかかって缶コーヒーを舐めていた河原が不満げにぼやく。 「一連の騒ぎでたくさんの人が動いて、何人かが死んで、逮捕者が出ました。 でも得られたものはなんだったんですかね?自分たちの仕事もまるで変わらない。 文句つけたいわけじゃないっすけど、なんかそのあたりモヤモヤしてて」 分からないでもない。この事件において俺たちは犬のように街の隅々を駆けずり回った。 それで何か栄誉が得られたわけではない。だが。 「だから、それが得られたものだろ?この毎日が俺たちが守れたものだ。 俺たちが動いてなきゃ今も犠牲者は出続けていた。それは価値あることなんじゃないか」 俺は煙草の煙を吐き出す。この『煙龍』とかいう煙草は相変わらず脳味噌が痺れるほど不味い。 俺の言葉を受けた河原の表情が僅かに緩んだ。 「先輩のよく言う見えない幸福ってやつですか。 まぁ………確かに、そうなのかもしれないですね」 一緒に天王寺署の屋上からモザイク市「天王寺」の風景を見渡す。 少しだけ周りの建物より背の高いビルの上からは、いつもと変わらない表情で黄昏の朱に染まっていく街並みが佇んでいた。
10 19/05/20(月)23:31:18 [BAD END] No.592866294
自分が誰よりも弱いことなんて、他の誰よりも自分自身が一番良く知っている。 けど、この自分の価値は自分が思っていたよりも高いようで、皆が私を探して回っていた。 それは期待や希望など、昔向けられていた明るいものではなく……もっと汚く、殺伐としたもので ある日、友達が深刻そうな顔で先生と話しているのを聞いてしまった。それによると、私は。 「…………うち、いないほうがええんかな」 私がここにいるだけで皆に迷惑をかけてしまうなら、すぐにここを離れなければ。 でも、どこに行こう。一人になれる場所がいい。誰もいない、静かな所がいい。 できればお日様が見える、暖かい場所で……なんて願うのは、ちょっと欲張りだけど。 「ごめんな、兄やん」 行く宛もなく走り出す。幸い、走ることだけは誰よりも得意だったから。 息を切らして、風を切って、どこまでもどこまでも走り続ける。 見慣れた街が、見知らぬ景色に変わっていく。けど頭上お日様だけは、どこまでも追ってきて それだけで私は、どこまでも行けるような気持ちになれた。 ……もし、また走れなくなるとしても お日様だけは……ずっと見守ってくれるといいな。