虹裏img歴史資料館

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19/05/07(火)22:43:10 さくら... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1557236590277.png 19/05/07(火)22:43:10 No.589625026

さくらと私こと水野愛は最近一緒によく遊んでいた。彼女がことあるごとに誘ってくれたこともあるし、同年代なので話題がよく合うということもある。しかしさくらには何か誤解されている気がする。 「愛ちゃん愛ちゃん冷蔵庫にお肉が有ったと!」 私がお肉ならば何でも食べると思われていることだ。どこかにお肉の話があれば私のところにきて教えてくれる。 「まったく、私は良質なお肉じゃないと食べないんだから」 「お前ゾンビのくせに選り好みしよんな」 リーダーの言葉は無視して急行する。お肉は新鮮さこそ尊ぶ必要があるのだ。 「愛ちゃんこれこれ!」 「どれどれ!? ふーん、良さそうじゃない。アイツが買ってきたのよね?」 「まあ私たちは買いに行けんし、間違いなかと」 「アイツが私たちにこんないいお肉をくれることはあるかしら」 「うーん、どうかな。頼んでみれば分けてくれることも」 「無いわね」

1 19/05/07(火)22:43:29 No.589625133

即答する。ゾンビィに食わせるお肉はねぇと生意気な顔で言うアイツがすぐに想像できた。さくらもそのようで苦笑するばかりだ。 「は、ははは、いやでも勝手に食べるのは」 「今更じゃない? 色々この冷蔵庫のものは漁って使っているでしょ」 「そやんかことあるかな。あまり幸太郎さんに聞かないで食べとったのは間違いなかけど」 「みんなやってるしいいじゃない」 「そやね、そうかも。愛ちゃん目が怖い」 「そうかしら、ゾンビだからよ」 そう、こんなにお肉を求めてしまうのもゾンビだからだと思う。上質なお肉の筋と脂を這うように見つめながら思うのは、もはや料理方法のことだけだった。

2 19/05/07(火)22:43:44 No.589625243

「やっぱりお肉は焼くにかぎるわね」 「うん、美味しかったねぇ」 さくらと二人で取り分を食べ終わって。テラスでゆったりと駄弁る。他のゾンビも知ってはいると思うので食べたければ食べるだろう。 「ハンターの味付けは塩と胡椒でシンプルにサクッと、これが推しってやつね」 「豪快で美味しかよね! 愛ちゃんって昔は狩りしてたと?」 「狩り? 私はアイドル一筋よ」 「えっ、でもハンターやって」 「いやいや私動体視力いいからさ」 「そやね! 愛ちゃんすごかーっ!」 「照れるからやめてよもう」 「へへっ」

3 19/05/07(火)22:44:02 No.589625351

さくらは生前私のファンだったらしい。だからこその戯れだと思うが、記憶をなくしていた時みたいな気安さもあってほしいとも思う。私たちは等しく死んでしまったゾンビのアイドルなのだから。 「さくらは学生だったのよね?」 「そうだよ。愛ちゃんも学生やったよね?」 「まあ学校には所属してたけどあんまり通えなくてね。友達とかもいなくて、普通の学校生活はしたことなかったのよ。だから興味深くってさ、放課後とかは何するの?」 「うーん、そやねぇ。カラオケ行ったりショッピング行ったり、プリクラ撮ったり映画見たりとか」 「それは男の子と?」 「ぶっ」 聞いている話が何となく友達でイメージ出来なかったので彼氏かなぁなんて思い聞いてみる。見事当たったようで、さくらの図星顔が飛び出した。この子、変顔面白いわよね。 「さくら彼氏いたんだ、いいじゃない」 「か、彼氏とかじゃなかよ! ただ仲のいい男の子はおったっちゃけど、ただそいだけ」 「ふーん、私は実際いなかったからなぁ」 「アイドルやけん仕方がなかよ」 「いやいや、いた子はいたのよ? でも私はそう言うの縁がなくて。あ、でも一人会いたい人はいたかな」

4 19/05/07(火)22:44:19 No.589625457

アイドル一筋で練習してきた中で、近所の公園が思い浮かぶ。ちょっとした空き時間に他の子どもたちと遊んでいて、一人絡んできた男の子がいた。 「え、だれだれ!?」 「ちょ、ちょっと食いつかないでよ。ただ、ちょっとした幼馴染でさ。格好良かったなぁ、モテモテで。結婚の約束」 「しよったとや!?」 「しようかとしたんだけど断られてさ。悔しくなって私が最高のアイドルになって見返してやるって言ってやったのよ」 「愛ちゃんらしかねぇ」 「でももう死んじゃったし、アイツの驚いた顔なんて見れないのよね。あーあ、馬鹿みたい」 変なこと思い出して、勝手にセンチになる。思い浮かぶ男の子の顔は朧気で、幼い声ながら有名になったら必ず見に行ってやるなんて勝気なことを言っていた。それももはや虚ろの夢。溢れそうな涙を堪える。 「愛ちゃん、まだだよ」 「えっ?」 そんなうつむいた私の耳に、染み入るようなさくらの強い言葉が届いた。 「私も死んじゃったけど、アイドルになりたいって夢叶えられたけん。愛ちゃんも会えるとよ!」 「さくら」

5 19/05/07(火)22:44:36 No.589625545

「それに私も会いたいって思う人おるし、一緒にがんばろ!」 「そう、そうね。じゃあアイツのとこ行かなきゃ」 「せやね!」 励まされて前を向く。どんな事もアイツなら何とかしてくれる、そんな信頼が出来つつあるのか。 「無理に決まっとるじゃろこのバカゾンビィ!」 そうして、アイツの部屋で言い放たれた言葉は予想を予想通り裏切ってくれた。この男はいつもこれである。 「なんでなん!?」 「お前、ゾンビィが生きている人間と会ってもロクなことにならんじゃろがい!」 「そやん言っても顔見るだけなら構わんでしょ!」 おっ、と思ったのは私とアイツだ。さくらがここまでコイツに反論することは珍しい。よほど私のことを思ってくれているのだろう。想いに応えるため、コイツの天邪鬼は予想通りなので最高のカードを切る。 「よし、わかったわ。私もタダで人探ししてくれとは言わない」 「ほお、ケチな愛がそんなことを言うのか。明日雪でも降りそうだな」 「誰がケチよ。アンタには大盤振る舞いとして、コレでなんとかしなさい!」

6 19/05/07(火)22:44:51 No.589625628

ジャンっと、アイツの目の前に掲げるソレに。さくらもアイツも釘付けになっていた。 「「ペン?」」 「そう、普通の油性ペンよ。アンタにあのアイアンフリルの水野愛として特別にどこにでもサインしてあげる」 「本当!? いいないいなぁ幸太郎さん!」 「さくらには後でどこにでもそのどやんす尻にもサインしてあげるわよ」 「やった!」 ガッツポーズをするさくらを横目に、私は確かな手応えを感じていた。アイツはサングラス越しでもわかるほど動揺している。 「愛、お前それほどとはな」 「ふふん、そうよね。アンタ、私の大ファンだもんね」 「大ファン、だと」 「この部屋で見たのよ、私の初回限定版グッズや記事の切り抜きを諸々。どう考えても大の大ファンでしょ」 「そうだったとね!? 幸太郎さん!」 「ん、んん……大ファンというか、お前をプロデュースする上で必要だったんじゃい」 「え、アンタ私のファンじゃないの?」

7 19/05/07(火)22:45:07 No.589625720

いやコイツが私のファンじゃないことなんてどうでもいいし、とは言えなかった。私はかなりショックを受けている。見苦しいほどに、放心していた。 「幸太郎さん」 「ぐ、ぐぐ、……俺はお前のファンに決まっとるじゃろがい」 「お前? ファン??」 「俺は水野愛の大ファンですぅ! これでいいかこのバカゾンビィどもは! まったく」 「ぐす、……まったくは私のセリフよ! そんな大ファンであるところのアンタに私が手書きでサインしてあげるって言ってんの! 更には握手もしてあげるしデートだってしてあげるんだから。どうなのよええ!?」 私は一息で言い切って大勝負に出た。コイツには勢いで負けないことが必要だということは良く知っている。ペンは剣よりも強いだっけ。アイツの顔に突きつければ、両手を挙げて降参のポーズだった。勝ったわ。 「なんなんじゃい本当に。それで、誰を探して欲しいんだ? 有名人なのか?」 「彼はわたしと一緒にいた時はまだ一般人だったわ」 「名前は?」 「乾某よ」 「「乾某」」

8 19/05/07(火)22:45:22 No.589625781

アイツとさくらの声が被った。アイツは抑揚を抑えた言い方だったが、さくらは驚愕で目を点にしている。 「何、さくら。彼のこと知っているの?」 「知っとるよ! 乾君は私の同級生で、友達だよ、うん」 「え、もしかして」 「そう、そうかな。私も探して欲しいんは乾君のことなんちゃけど」 それは何という偶然か。私の幼馴染とさくらのクラスメート、どころか想い人っぽい人が同じとは。出来過ぎている、けど探すのは楽かもしれない。と思いつつ複雑な心は隠しておいた。 「乾某、ネットでは調べたんだけど昔にピアノのコンクールで受賞していたことくらいしかわからなかったわ」 「そうそう、乾君高校ですごい賞なんかとってたと!」 「それから音沙汰なしみたいだけど、アンタなら手はあるでしょ」 色々とさくらに聞きたいことは出来たが、今はこのさっきから口をつぐんでいる男に探してもらう方が先だった。業界に通じているコイツならもしかしたら聞いたことぐらいあってもおかしくない。

9 19/05/07(火)22:45:40 No.589625864

「彼は非凡で上昇志向の強い人だったから有名になってるかと思ったんだけど」 「今は芸名使っとるとかな」 「なるほどね、秘密主義の彼らしいか」 「もしかしたら素顔隠しとるかもしれんね!」 「うん、神経質だったからそれよ。絶対音感とか自称していたから音楽関係にはいると思う」 「乾君はアイドル好きで照れ屋さんだったけん、きっと裏方の作詞家や作曲家をやっとるんじゃなかと?」 「そうだわ、間違いない。佐賀でそんな人少ないだろうし、絞られてきたんじゃない? ねえ」 私たちの的確な推理に置き去りなアイツへとふる。奴はまなじりを抑えて天井を仰いでいた。そのリアクションはなんなの。 「お前らわざとじゃないよな?」 「何がよ」 「いや何でもない。とにかくその男を探しておけばいいんだな?」 「そうだけど、アンタ心当たりないわけ? 佐賀に精通している男でしょ」 「だから俺はwikiじゃないっちゅうに。しかしあまり期待するなよ」

10 19/05/07(火)22:45:54 No.589625935

いつもとは違うテンションの低く暗い声音だった。コイツは何かを知っていて隠しているの? 聞くべきじゃない話なのだろうか。 「乾君は元気に頑張っとるもん! 絶対、絶対に」 私が躊躇していると、さくらが大声を出してアイツに詰め寄った。いやな予感を振り払うためだろうか。それにしてもすごい剣幕、アイツも引いている。 「い、いや、別にソイツが不幸になったとか」 「乾君と約束したと、絶対すごか男になるって! 私はこやんことになったっちゃけど乾君は、乾君は立派になってます!!」 「さ、さくら落ち着けい。俺は見つけられんかもってことじゃい」 「幸太郎さんなら見つけられます、胸張っとってください!」 「お、おう」 もう訳が分からないので、私はいつもみたいにソファに座る。すると目の前のテーブルに危険物と張り紙のある箱があった。 「とりあえず乾君は超イケメンなのでジャニーズ事務所あたりならマークしてますよ!」 「いやそれは流石に、って愛それは弄るな!」 「何よこれ、爆弾?」

11 19/05/07(火)22:46:25 [終] No.589626108

興味がわいた私が触れた次の瞬間、部屋は大きな音とともに爆炎に包まれた。 「――――ごほっ」 「――――がふ、ぐへぇ、なんねこれ」 「――――ぷはぁ! お前なぁ」 瓦礫の中から三人とも無事に出てこれたようだが、みんな煤で真っ黒だ。服も半壊している。 「あれ、アンタサングラスないわね」 「あ、ああああ、乾君!?」 「げっ!?」 「見覚えあると思ったらアンタだったの!? あのとき貸したスマブラ返しなさいよ!」 「なんじゃいこのバレ方は! 有り得んじゃろうが!!」 「乾君、約束覚えとる!? 一緒にサイゼリヤ行こうね!」 「もうやっとれんわこんなん!」 アイツは爆発でオチた、こういうのもあるわね。 私たちは黒焦げになった部屋でひたすら逃げるアイツを追いかけていた。

12 19/05/07(火)22:49:40 No.589627119

>「見覚えあると思ったらアンタだったの!? あのとき貸したスマブラ返しなさいよ!」 >「乾君、約束覚えとる!? 一緒にサイゼリヤ行こうね!」 再会したのに会話軽いな!?

13 19/05/07(火)22:49:51 No.589627181

スマブラ吹いた

14 19/05/07(火)22:53:00 No.589628114

はいお前ら可愛い

15 19/05/07(火)22:53:24 No.589628243

最後コント

16 19/05/07(火)22:55:42 No.589628887

爆破オチの為の要素以外の理由で爆弾所持してたら怖過ぎる…

17 19/05/07(火)22:56:01 No.589628956

乾くんも大変だな

18 19/05/07(火)22:56:13 No.589629015

スマブラDXあたりかな

19 19/05/07(火)22:56:36 No.589629121

爆弾なんで所持してんの!

20 19/05/07(火)22:58:57 [sage] No.589629773

前にオチが思いつかないって言ってたわっちにアドバイスくれた花魁、サンキュー

21 19/05/07(火)23:00:19 No.589630128

実践したんかい!

22 19/05/07(火)23:00:55 No.589630292

どひープロデューサーなんてもう懲り懲りじゃーい

23 19/05/07(火)23:01:39 No.589630503

オチが巽たちの年代より10年くらい古くない?

24 19/05/07(火)23:02:56 No.589630833

爆発オチなんてサイテー!

25 19/05/07(火)23:05:36 No.589631574

締めがコントじゃねーか! でもこういうの好き!!

26 19/05/07(火)23:05:52 No.589631651

(ドリフのオチBGM)

27 19/05/07(火)23:06:11 No.589631725

(こち亀のオチBGM)

28 19/05/07(火)23:09:07 No.589632517

良かったい

29 19/05/07(火)23:12:10 No.589633314

愛ちゃんかわいかよね……

30 19/05/07(火)23:13:56 No.589633774

爆弾は送りつけられたか、庭に埋まっていた可能性も

31 19/05/07(火)23:16:15 No.589634394

乾某とは

32 19/05/07(火)23:17:21 No.589634679

オチもコントだが始まりの肉も大分コントだぞ!?

33 19/05/07(火)23:18:56 No.589635088

巽は確かに佐賀出身ではない可能性もあるので愛ちゃんと知り合いなのもいけるな

34 19/05/07(火)23:20:10 No.589635426

コント愛幸さくもよかね!

35 19/05/07(火)23:20:40 No.589635570

普段は巽標準語だしね あのじゃい語は方言喋れないのを隠してるのかもしれない…

36 19/05/07(火)23:26:24 No.589637097

幸愛さくはいくらあっても良い

37 19/05/07(火)23:26:56 No.589637234

巽は何だかんだ都会出身な気がする

38 19/05/07(火)23:33:15 No.589638844

>>「見覚えあると思ったらアンタだったの!? あのとき貸したスマブラ返しなさいよ!」 >>「乾君、約束覚えとる!? 一緒にサイゼリヤ行こうね!」 >再会したのに会話軽いな!? この会話好き過ぎる…

39 19/05/07(火)23:33:39 No.589638949

スマブラ借りパクはゆるせないな

40 19/05/07(火)23:34:20 No.589639132

>スマブラ借りパクはゆるせないな 死んでしまったから返せなかったんだ…

41 19/05/07(火)23:36:36 No.589639701

この愛ちゃんだと単に家で失くしただけかもしれない

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